
2部構成の後半は「銀盤の戦い」というテーマだったが、嬉しかったのは、その中で札幌五輪当時のジャネット・リン選手の可憐な姿に出会えたことだ。
まさかの尻もちで結果は銅メダルだったけど、失敗にもめげず最後まで笑顔で滑り切った彼女は、一夜にして日本中いや世界中の人たちをファンにした。
当時高校入試の真っ最中だった私も、もちろんその中のひとりだった。
「高校に入ったら、苦手な英語をしっかり勉強して、絶対リンちゃんに手紙を書くんだ」と秘かに心ときめかせていたっけ。
残念ながら、この決意の方は、高校入学とともに春の夢となってしまいましたが・・・(笑)
あと、番組の中で印象に残ったのは、ゲスト出演していた さだまさしさんのコメント。
「あのとき芸術点で満点をつけた審判がいたんです。失敗した後も、最後まで笑顔をめげずに滑り切ったからこその満点だけど、『ころんでも満点』というのは、その後の自分にとって大きな勇気になりました」
まさに同感。
見終わって、何かほのぼのとした気持ちにさせてもらった。
こんなときはモーツァルトを聴きたくなるのだが、今日はバッハを聴いた。
選んだのは、カンタータの第23番。
4曲で構成される比較的小ぶりなカンタータだけど、このカンタータは名作だと思う。
第1曲は、2本のオーボエと通奏低音で始まるが、このイントロからして既に心が浄化されるようだ。
無伴奏チェロ組曲第5番(私にはリュート組曲第3番というほうがフィットするのだけど・・・)のガボットⅡのフレーズにどこか似ているが、テンポが遅いので雰囲気はまるで違う。
気高さを感じさせる第2曲、希望に満ちた第3曲を経て、終曲の感動的なコラールを聴くと、このカンタータの素晴らしさに胸がいっぱいになる。
終曲のコラールはあとで追加されたものだそうだが、よくぞ付け加えてくれたものだ。
それにしても最近バッハを聴くことが多くなった。
齢のせいだろうか。
それとも、心の癒しを本能的に求めているのだろうか。
きっと、その両方なんだろうなぁ。

■バッハ:カンタータ第23番 「汝まことの神にしてダビデの子よ」
<演奏>
■リリング(指揮)
■バッハ・コレギウム・シュトゥットガルト
■ゲヒンゲン聖歌隊
■アーリン・オージェ(ソプラノ)
■シュレッケンバッハ(アルト) ほか