バイオの故里から

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高効率バイオリサイクル共生システムの解明

2008年06月08日 | 医療 医薬 健康
管理コード R070000095
研究者 大熊 盛也(理化学研究所)
報告概要 自然界で効率よく資源を利用するシステムを細胞・分子レベルで理解し、資源の有効利用・バイオリサイクルについて学ぶ。このために、セルロースの高い分解能を有し、得られるエネルギーのほとんどを酢酸に変換して有効利用しているシロアリの腸内共生システムを題材に、共生微生物群による高効率性の要因を探る。シロアリは特に熱帯地域に圧倒的な量で存在する土壌昆虫で、陸上生態系での枯死植物から始まる腐食連鎖において大変重要な役割を果たす昆虫であり、その働きの多くは共生微生物によってもたらされると考えられている[総説として、M.Ohkuma,Termite symbiotic systems:efficient bio-recycling of lignocellulose. Appl. Microbiol. Biotechnol., 61, 1-9(2003)]。しかしながら、シロアリ腸内の共生微生物は、大半が培養が困難な微生物であり、どのような微生物がどのような機能を果たしているかはほとんど解明されていない。原生生物についても細胞形態による分類の他は詳細な研究はなされていなかった。そこで、我々は培養を介さない分子生物学的な方法を適用して共生微生物の研究を行ってきた結果、シロアリの腸内には多くの未知の微生物が共生していることを明らかとした。また、原生生物の細胞内や細胞表層に様々な細菌が共生していることも見出し、微生物群が多重に共生しあった関係であることも明らかとなった。本研究では、種々の原生生物と細菌の細胞レベルでの共生に注目し、共生の進化過程をもみすえて、どのような細菌種が細胞共生するかを明らかにする。特に上述の効率性をもたらす特徴的な機能に着目し、培養を介さない方法で腸内での局在・存在状態と機能をリンクさせて統合的にこの多重共生システムを理解する。本研究は、自然界の複合的な共生システムを微生物機能のレベルで直接詳細に解析する先駆的な研究であると位置づけられる。 研究報告コード R070000095

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