イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

源兵衛さんです

2010-06-23 22:15:28 | 朝ドラマ

先週、616日にリリースされた『ゲゲゲの女房』オリジナル・サウンドトラックに嵌まり中です。ドラマは、如何にNHKの複数チャンネル特権で、地上波・BS駆使して15回の放送があるとは言っても、録画機の前に座らなきゃ視聴できませんが、音楽なら一度圧縮音源に入れ込めば、出先でも移動中でも、作業中でもゲゲゲワールドですから。

NHK朝ドラの劇伴、2008年『瞳』と、記憶に新しい2009年『つばさ』の2作は、放送が終わってからかなり後に、やはり忘れ難くて入手しました。どちらも演奏時間70分前後。今作『ゲゲゲ』は79分少々、全39トラックで税込3,045円。うーーん、どうにか3,000円でおさめてほしかったかなと思いますが、コストパフォ的にはかなり頑張っています。

ダウンロードではなくCDを買うについて、ジャケやライナーノーツも大きな楽しみ。まずは今作、OPタイトルそのままの、しげるさん(向井理さん)愛用のヨーグルト空瓶を使った絵の具壷のスチールでぐっとひきつけられます。何てことはないんだけど、あのカラフルさと空きビン流用という庶民性がいいんですよね。絵を描く人のドラマ、でも貧乏物語、でもアーティスティック、で、希望がいっぱい。いろんなことをワンカットで印象付けてくれるタイトル絵です。

しかも、よく見るとこのジャケ、微妙に年季の入った、黄ばんだ風の仕上げになっているんです。表ジャケはブックレット体裁なので、取り出して裏表紙と見比べると微妙具合がわかります。

ライナーノーツは、ドラマ公式サイト内スタッフブログのまめな更新でおなじみ谷口(やぐち)卓敬チーフP。「窪田ミナさんの音楽、音楽に取り組む姿勢が素晴らしい」以外の、ドラマに関することももうひと声…と思うのは欲のかき過ぎか。窪田さんのプロフィール、ディスコグラフィー、劇伴制作歴も見開き2ページにわたって顔写真付きで詳録されています。

ちょっとね。ドラマから、ドラマ本編が好きで、失礼を怖れずに言えば窪田ミナさん単体には何の認識も興味も無くサントラに来た向きにとっては、74点ぐらいの編集でしょうか。もうちょっと本編に沿った、本編のストーリーや人物に関連付けたノーツが欲しかった気もします。

まぁ、『瞳』『つばさ』のそれでも、ドラマPはもっぱら作曲家・演奏家の称揚に夢中といったトーンのノーツだったので、これは朝ドラの伝統なのかもしれない。仲間褒め、お友達褒め。

その代わりと言ってはなんですが、中身の全39トラックはとても内容が濃く、ドラマ視聴者フレンドリーな曲・選曲・曲順になっています。

大雑把に、前半は布美枝(松下奈緒さん)の“こんな家族に囲まれたこんな環境で、コンプはありつつ欠点もありつつ、こんなにおおらかで真っ直ぐな娘に育ちました”、中盤は“そんな娘がこんなにユニークな男の嫁になって、こんな苦労やこんなびっくり、こんな哀歓をかさねました”、終盤→クロージングは“そんなこんなで、こんなに幸せに、こんな記憶を積み重ねて、振り返って、こんな感慨を持つ今日この頃ですよ”に至る、楽曲で織り成されたビルドゥングス・ロマンと思って聴くと幸せになれます。

どこで前半|中盤|終盤|クロージングと境目を切るか、それは聴く人それぞれ。

ドラマ劇伴は“ドラマティックであるべき”という縛りが聴く側にもなんとなくあり、フルオーケストラ、フルバンドの“音の厚み”や“音数の稠密さ”に有り難味を見出すようなところがありますが、このサントラはアイリッシュ・フォークロア調の楽器の単音フレーズが随所で輝いていて、分厚く重々しいオケ調とは違う、とてもさわやかで風通しのいい、童心にかえるようなドラマティック。

ちなみにOP主題歌、いきものがかり『ありがとう』はインストも別ヴァージョンも何も影もカタチも収録されていませんが、この曲はこのドラマ音楽において“取っ手つまみ”なので、言わば、浮いていてナンボ。サウンドトラックCD未収録なのも、手落ちとか例によってのアーティスト所属レーベル問題などではなく“ワザあり引き算”とポジティヴに受け止めるべきでしょう。

しかし、そうは言っても、この曲はドラマのシンボル。筆まめブロガー谷口チーフPによれば、この盤リリース直前の15日に「窪田さんと三回目の音入れの打ち合わせ」なんて記述もあり、全26週を今週第13週で折り返したばかりのドラマ、新作楽曲はまだまだ投入される様子です。ドラマの好調に乗って、23弾も…とならないかな。

コメント
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