長い夜

颯太がやって来た。
週に２回のペース、これが３回目か・・・。
数学をやっていたのを制して英語を始める。
形容詞と副詞の働きから紐解き、英語独特の後置修飾へと展開する。
前回は分詞の形容詞的用法までだったが、今日は関係代名詞の形容詞節に入る。
中学英語の正念場だ。
今日渡した英語のプリント、解説分の２枚を何度も何度も読み込むこと。
この一週間の仕上がり、悪くはない。
確かに英単語の綻びは甚だしいが、理論と素直に向かい合っている。
１年間の英語のブランクが思いもよらぬ効果を引き出すことになるやもしれぬ。

飄々として森下（８期生・環境学研究者）がやって来る。
さっそく竜太がやって来ては、英作文の質問をしている。
そこそこにタフになってきている。

にあサンに連絡。
元気なようだ。
てっきり拉致でもされたのかと心配していたが（笑）・・・。

中３は４年前の久居東の２学期中間試験数学。
玄太にすれば兄貴の瞭（20期生・名古屋大学工学部機械航空１年）との勝負。
あっけなく兄弟ともに100点で決着付かず。
拓夢と知子もほぼ完璧・・・後の課題は媒介変数か。

夜になり横山（４期生・花王販売）がやって来る。
明日の打ち合わせだ。
かといって難解なものでなく、午後６時頃に名古屋でのプレゼンを終えて戻る横山を津駅でピックアップ。
あとは河芸の『ふじわら』にしけ込む。
北野ドクターを送る段取りもある。
明日は酒は飲めないね。






森下がノートパソコンを取り出した。
まずは綿布でパソコンを拭き始める。
そして論文執筆。
今日も長い夜になる。

病室にて

午後11時頃から始まったマージャンは明け方の５時まで。
結局は俺が勝たせてもらった。
谷（６期生・ユニバーサル造船）を除く面々は退散。
谷は奥さんにメール。
俺と話しながら奥さんが迎えに来るのを待つ。
ゆったりと構えて話す谷の新婚の賞味期限、まだまだ先か。
そういえば昨日は兄の誕生日・・・33歳だとか。
33歳のとき、俺はん何をしていただろう。
期生でいうなら４期生が相手だったはず。
谷の携帯が光る。
「あ、来たかな」と谷が窓に駆け寄り駐車場を見下ろす。
「あれ・・・来てへん」
再び携帯を取り出しディスプレーを見やる・・・「今、起きたって・・・」
些少なりとも賞味期限が忍び寄ってきたかもしれない。

昼前に起きる。
ともにランチを食すはずの森下（８期生・環境学研究者）の姿はない。
おんぼろエスティマに乗り、遠山病院へ。
越知（４期生・旭洋）の親父さんの見舞いだ。
病室には越知がいた。
親父さんは眠っている。
頬の肉がこけ、腕も細くなった。
ミッチャンは見るのが辛いといって出ていったとか。
親父さんの様子を見やりながら、ここ数週間に塾で起こった出来事の顛末を話す。
裏『２５時』の開帳である。

津新町のロータリーの噂では美味しいと評判のたこ焼き屋は休み。
開明の会長がやっている有機野菜ふんだんの定食屋『好き』も休み。
仕方なく「ローソン」で定食を買い込む。
病室に戻り、越知と二人で食べ始める。
「ご馳走様でした」と越知。
「飯代は俺じゃない、マージャンで臼井（４期生・臼井自動車）から巻き上げた。感謝するなら臼井だ」
親父さん、目を覚ましたようで看護士さんの往来が頻繁になる。
今の越知にできること、・・・親父さんと同じ空気を精一杯吸い込むこと。