から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

ウォールフラワー 【感想】

2013-11-29 22:26:53 | 映画


映画「ウォールフラワー」を観る。
青春ドラマの佳作。傷ついてもなお輝く3人が愛おしい。

本作は、高校に進学した内気な男子が、
風変りな兄妹と出会い成長していく話だ。

本作を現代劇と思い込んでいたが、登場人物たちのファッションとカセットテープ、
ロッキーホラーショーのクダリを観て、時代設定が少し前ということがわかった。

タイトルの「ウォールフラワー」は、「壁掛けの花」という意味で、
誰からもその存在に気づかれない人ということらしい。
それが本作の主人公、チャーリーだ。

結婚式の2次会が苦手だ。自分の居場所を探すのが面倒くさいし、
居場所を探そうとして知り合い同士で固まる人たちを見るのもイタい。
結局、人との会話はそこそこに、1人食べることに集中する。
思えば、自分も「ウォールフラワー」だったなと勝手に思う。。。ちょっと違うか。
ウォールフラワーな人たちは結構いそうなので、チャーリーに共感する人も多そうだ。

本作での主人公の成長とは、自分の存在を認めてくれる居場所を見つけることだ。
そして過去に負っていた秘めたる傷と向き合い、新たな一歩を踏み出していく過程だ。

主人公の成長に影響を与える兄妹も、人には言えない傷を抱えている。
なので、3人の出逢いと繋がりには強い必然性を感じてしまう。人との出会いは一期一会。
ウォールフラワーだったチャーリーも、いつしか周りに必要とされる存在になっていく。。。

その過程にあるものは友情と恋愛だ。ザッツ青春。
本作で描く青春は、かくも儚く輝いているものだ。青春の吐息が聞こえるよう。
そして過去の記憶と現在の記憶を独特のテンポでシンクロさせ、
秘められた暗部を炙り出す映像が、青春劇に違った深みを与えてくれる。

監督は本作の原作小説の著者であったということもあり、
全体的に文学的な香りが漂う。

主要キャラ3人を演じたのはローガン・ラーマン、エマ・ワトソン、エズラ・ミラー。
高い前評判だったが、皆、期待以上のベストパフォーマンスだった。
『パーシー・ジャクソン〜』『ハリー・ポッター~』『少年は残酷な弓を射る』と、
3人とも過去作が個人的に消化不良だった。それだけに一層感慨深い。
演出家が変われば、演者のパフォーマンスが変わる良い例かも。

本作の称賛はエズラ・ミラーに集まっている模様だが、
色気を感じる容姿含め、恵まれた素質があってのものだろう。素晴らしいことに間違いないが。
個人的には主人公チャーリー演じたローガン・ラーマンの繊細な演技が印象的だった。
とても難しいキャラクターを絶妙なバランスで表現し、本作を特別な青春ドラマにした。

本作で頻出するロッキーホラーショーや、当時のポップミュージックなど、
人によってはハマれるサブカルが、ことごとく趣味じゃなかったのが少し残念。

【70点】
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アフター・アース 【感想】

2013-11-26 02:20:53 | 映画


新作DVDレンタル寸評。

アフター・アース 【40点】
酷い。ウィル・スミス親子によるウィル・スミス親子のための自己満足映画。
「M・シャマラン君、私たち親子の想い出のために映画の監督をしてくれないか?」
そんな会話があったような仕上がり。親子の自己陶酔ぶりが鼻について嫌だ。
脚本もめちゃくちゃ。荒唐無稽がダサいパターン。息子のジェイデン・スミスに、
スター性がないのも痛い。「ベスト・キッド」の時はスターの片鱗を見せたけど。
ラジー賞有力。本作の失敗を胸にウィル・スミスは役者業に専念したほうが良い。

エンド・オブ・ホワイトハウス 【65点】
評判はイマイチだったようだが、全然悪くない。勧善懲悪を迫力のアクションで魅せる
典型的なハリウッド大作だが、久しぶりのテイストの映画ということもあって満足。
テロリストの攻撃に備えている本作でのホワイトハウスの危機管理は嘘っぱちのようだが、
世界一の軍事国家の中枢部での設定と考えれば、実際はもっと凄そうでワクワクする。
ガチで強そうな大柄でマッチョなジェラルド・バトラーを孤高のヒーローにしたのも正解。
ド迫力で力が籠るアクションの数々に満足。バトラーとエッカートのキャラが被る。。。

サイレントヒル: リベレーション 【50点】
まず、主人公のアデレイド・クレメンスがミシェル・ウィリアムズに激似で驚く。
髪色(金髪)、髪型でも寄せてる。もっと配慮があってもよかったのではと思う。。。。
映画自体はつまらない。映画を観て、前作を観ていないのに気づく。繋がりがわからない。
前作を観ていない人にもわかるようにフォローがあるが、それがあっても面白くない。
お化け屋敷を映像化した感じで展開も顛末もフラット。
クリーチャーはバイオハザードで観たことあるようなー。
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悪の法則 【感想】

2013-11-24 10:51:27 | 映画


リドリー・スコットの新作「悪の法則」を観る。

イマイチのれない。
キャストはマイケル・ファスベンダー、ペネロペ・クルス、キャメロン・ディアス、
ハビエル・バルデム、ブラッド・ピットと涎モノなのだが。

とある弁護士が麻薬密輸の手伝いをしたことで、災難に見舞われていく話。。。たぶん。

話の流れや登場人物たちの会話から、麻薬密輸の手伝いしたようだがあまり確信がもてない。
主人公の弁護士が具体的に何を悪いことしたのか細かく描いていないからだ。

これは制作側の意図であると思うが、少々の眠気も手伝い、
災難のきっかけを捉えきれないまま終わってしまったので、どうにもスッキリしない。

本作のテーマは、人間の本質的な欲望とその因果である。欲望は性欲と金欲だ。
顛末のきっかけは後者の金欲によるものだが、印象に残ったのは前者の性欲のほう。
性欲というより肉欲という言葉がしっくりくる。弁護士とその恋人が
しきりに互いの体を欲したり、キャメロン・ディアス演じる悪女が魅せるプレイだったり。。。
肉欲を欲望の象徴として描いているようだが、包含しても顛末のきっかけにはなっていない。

欲望は大いなる悲劇を招く。
弁護士が欲望のために具体的に何を悪いことしたのか不明確だし、
主人公自身も「身に覚えがない」と言っている。だけど悲惨な事態に陥る。
そこにあるのは不条理さだ。

悲劇をもたらす麻薬カルテルは事の結果から、
可能性として考えうる原因は全て抹殺するのだ。その中に主人公が巻き込まれる。
「小さなことでも悪いことをしちゃダメ」という単純な話ではない。

不条理という、この不確かな要素がどうにも苦手だ。
咀嚼できないまま丸呑みして「美味しかった?」と聞かれる感じ。

本作ではこの不条理を原因の説明よりも、多くの時間を割いて登場人物に説明させる。
「不条理も仕方のないことだ」と捏ねくり回すように何度も話をする。
何か頭デッカチな印象だ。苦手な映画のタイプ。。。。

主役級を揃えたキャスト陣のパフォーマンスはどれも一流品。
余裕と厚みを感じて掴まされる。衣装もカッコよいのでなお楽しい。
豪華キャスト陣の中でも光るのがキャメロン・ディアス。凄い迫力。
これまでのファニーフェイスを封印。ナイスバディと妖艶さの相性が良い。
目の周りのアクセントと、肩から背中にかけてのヒョウ柄のタトゥーが堪らない。
本作における悪の象徴として、その役割を見事に果たしている。非常に良い。
彼女が劇中披露する「なまず」プレイは名(迷)シーンとして語り継がれるだろう。

期待通りキャスティングは大いに楽しめたが、
映画自体にはあまり夢中になれなかった。

アメリカでの評価、興行も散々だった模様。
監督はリドリー・スコットじゃないほうが良かったのかも。

【60点】













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メッセンジャー 【感想】

2013-11-23 00:12:11 | 映画


新作レンタルDVDの寸評。

メッセンジャー 【70点】
前評判に違わぬ映画。戦争の悲劇を新たな切り口から描いた秀作。
兵士たちの死を残された遺族に告知しにいく男たち(メッセンジャー)の物語。
戦場とは、いつの時代においても殺し合いの場であることを実感させられる。
地獄を見て戦場から本土に戻ってきたメッセンジャー2人の活き辛さが生々しい。
メッセンジャーと深く関わることになる未亡人役のサマンサ・モートンが素晴らしい。
「夫を失って、夫への愛が蘇ってきた」というセリフが胸を打つ。
主要キャスト3人の、どの角度からも一本の映画として描けそうな味わい深いドラマ。

コズモポリス 【50点】
クローネンバーグの新作と聞いて期待していたがつまらない。劇場観賞をスルーして正解。
資本主義の終焉の世界を描いた話のようだ。。。。スローなテンポに何度も寝る。
脱トワイライトなロバート・パティンソンの存在感が本作に世界観に合っている模様。
映画のストーリー自体は「よくわからないわ」で終わってしまった。

愛さえあれば 【70点】
大好物なスザンネ・ビアの新作。彼女にとって初のロマンティックコメディのようだが外さない。
子どもたちの結婚式で出会い、恋に落ちてしまった中年男女2人を描く。
舞台となる南イタリアの黄色(レモン)と青色(青シャツと海)のコントラストが美しく、
本作で描かれるテーマによく似合ってる。登場人物たちの心情を美しい風景で表現してみせる。
しょせんは他人である人間同志。わかりあえなかった人間と、わかりあえた人間たちの姿から、
ピリ辛な笑いと清々しい感動が生まれる。スザンネ・ビアはやっぱりツボだわー。
北欧俳優勢の中で、浮くのでは?と思っていたピアース・ブロスナンだったが、とても好演だった。

欲望のバージニア 【60点】
アメリカの禁酒法時代に実在した三兄弟の物語。面白い時代設定なのに話が盛り上がらない。
感じるのは脚本の弱さ。あれだけの豪華俳優陣を揃えて勿体ない。
悪徳公務員と三兄弟の対立のほかに描けたであろうギャングとの関係性が希薄だったりと、
原題の「LAWLESS」(無法)ぶりが小さく収まっていて、ダイナミズムがない。
目立つのは三兄弟のめちゃくちゃな無敵ぶり。そこのタフさはどうでもよかったりしてー。
クライマックスのあっけなさもイタダけない。もっと面白い映画にできたのでは?



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ミーン・ガールズ 【感想】

2013-11-19 02:45:59 | 映画


ミーン・ガールズ 【75点】
非常に面白いっ!秀逸な脚本が冴える学園コメディ。完全に見逃していたー。
ミーンガールズ(「意地悪」な女子たち)を通して、女子たちの性が鮮やかに見えてくる。
アフリカから転校してきた素朴な主人公女子が復讐を遂げていく過程で、
自身の個性が学園内の勢力図とともに、あれよあれよと変貌していく過程が楽しい。
軽快なコメディの中に「虚勢を張らず、理解しあえるはず!」という
隠れたメッセージが気持ち良い。後味爽やか。これぞアメリカンコメディ。
今や、ハリウッドの第一線で活躍するレイチェル・マクアダムスの
才能の片鱗を魅せる若かりし頃のヒール役が見モノ。実にチャーミングで小憎たらしい。
ヤク中、アル中のイメージが強い主人子のリンジーローハンは、この頃が可愛かったー。
脚本は本作に出演もしているティナ・フェイ。GG賞でよく見る人だがこんな才人とは知らなんだ。

バイオレンス・レイク 【30点】
ケリー・ライリーとマイケル・ファスペンダーの共演。
幸せ絶頂なカップルが、湖で遭遇した不良少年たちにカラまれる不幸話。
観終わって本作がスリラーではなく、ホラー映画であること気づく。
一片の希望も残さない絶望の物語。この振り切り具合が逆に好評だったのだろうか。
「ファニーゲーム」を大きく上回る後味の悪さ。この不快さは自分史上ワーストワン。
個人的には怖さよりも、苛立ちがひたすら募る高フラストレーション映画だった。

π(パイ) 【50点】
ダーレン・アロノフスキーが脚光を浴びるきっかけとなった1998年公開の実験作。
全編モノクロの粗い画質で、強い閉そく感あり。物語は難解で刺激的なBGMが、
耳をつんざく。集中力が持たない。眠くなる。。。4回途中で寝る。
数式で万事の法則を解き明かし、サスペンスに転がる様相は楽しげだが、
内容を半分くらいしか理解せずフィニッシュ。見直す気力なし。。。。
当時の映画祭で多くの評価を得たようだが、このセンスを楽しめる人はどれだけいるのか。
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清須会議 【感想】

2013-11-16 09:01:30 | 映画


三谷幸喜の映画があまり好きじゃない。
笑わせることを前提にした演出が作為的で、差し出される笑いが笑えない。
テレビでの観賞で済むレベルと、毎回観るたびに思っていた。

そんな三谷映画の新作「清須会議」。
これまでの過去作と違う匂いがしたので、初めて映画館で観た。

予感が的中した。凄い面白い。驚いた。
期待半分だっただけに、このギャップに得した気分で舞い上がる。

歴史に疎い自分にとって、本作で初めて知った「清須会議」という史実。
本能寺の変で敗れた織田信長の後継を4名の武将の話し合いで決めた会議だ。

戦国時代の殺し合いの中、少人数の幹部による話し合いだけで
大事の決着をつけるとは、何とも民主的でとても意外に思えた。

実際のところはわからないが、本作では清須会議を
歴史の大きな転換期と捉えて描いており、
その時代のウネリをダイナミックに描くことに成功している。

それを限られた登場人物、かつ、清洲城という閉鎖的な空間の中で
見事に魅せてくれるのだから、ホント恐れ入った。

コメディ色を全面に押し出した予告編からは想像できないほど骨太なドラマだった。
展開と登場人物たちから発せられる迫力に息を呑み、何度も圧倒される。

柴田勝家、羽柴秀吉を中心に清須会議の渦中にある登場人物たちは個性が際立つ。
三谷考察のもと、多少デフォルメされた描き方になっているかもしれないが、
それが、人物相関を余計な説明なしに浮き立たせているとともに、
人物背景までも示唆させるまでに至らせている。
そして個性が鮮やかなほど、わかりやすくて面白い。まさに映画的表現だ。

清須会議をめぐり、登場人物たちの思惑が交錯していく。
その動機は忠義あり、義理あり、野心あり、遺恨あり、愛情あり・・と様々であるが、
共通しているのが「道理」で、道理に叶う言動こそが勝利への近道になっている。

登場人物たちのセリフの一言一言に、その前提が感じられるので
誰が正解ではなく、誰にでも正義があるような描き方になっているのが面白い。
それが演者たちの迫力と相まって、物語に説得力を持たせていくので、
顛末を追っかけるこちら側は、夢中にならざるを得ない。

三谷幸喜ってこんな脚本も書ける人だったんだーと驚く。

本作におけるもう1つの勝因は、やはりキャスティング。
役所広司や小日向文世の確かで思わず唸ってしまう演技など、
良点をいえばキリがないが、やはり本作で光るのは大泉洋だ。

三谷幸喜の脚本同様、思わぬ収穫だった。
大泉洋が絶品。こんな凄い演技ができる人とは思わなかった。
彼の過去作はそれなりに見ていたが、本作はかなり毛色が違う。
ひょうひょうとして、スルリと相手の懐に入り、いつしか手玉にとる、
人心掌握に長けた秀吉を見事に体現する。そして腹黒くて大胆不敵。
役所広司演じる柴田勝家が発した「どれだけツラの皮が厚い男よ」が象徴的だ。
人々を魅了する存在感だけでなく、非情さと残酷な匂いも感じさせて素晴らしい。

ほかにも浅野忠信演じる前田利家との友情や、
寺島進演じる秀吉の側近、黒田官兵衛の参謀ぶりも非常に面白い。
歴史は得意ではないけれど、先人たちに想いを馳せた。

惜しむらくは剛力彩芽の背伸びと、捨てきれない笑いへのサービス精神か。
ウケねらいの大物俳優のカメオ出演とか、本作の完成度に水を差すので勿体ない。
本作では、演者たちのマだけで十分笑えるのだ。

映画の絵ヅラに華やかさはないが、観る側をグッとスクリーンに引き寄せる磁力あり。
三谷幸喜の真骨頂というより、ひと皮剥けた新機軸と言いたい。

こういう日本映画を待っていた。

洋画を応援しているが、こういう映画で邦画が盛り上がるのは大歓迎だ。

【80点】
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キャリー 【感想】

2013-11-13 02:28:19 | 映画


1976年に公開されたホラー映画のリメイク「キャリー」を観る。

先日観た「死霊館」。その上映前、隣の席に座っていた女子2人組がしきりに、
「あぁ『キャリー』の方が絶対面白いよー(まだ公開してないんですけど・・)」と言っていたが、
「死霊館」の方がホラー映画としては格段に面白い。

本作はオリジナルのストーリーとほぼ同じ。
なので、オリジナルとの比較は避けられない。
現代に置き換えた本作リメイクを「これはこれでOK」と肯定することができなかった。

公開前から気になっていたクロエ・グレース・モレッツのキャリー役の起用。
客寄せとして人気絶頂の女優をキャスティングすることに意義があったのだろうか。

健康的な体格で、顔立ちも可愛いモレッツがどうにも苛められっ子に見えない。

そこはモレッツの演技力で、陰鬱な「キャリー像」をカバーできている部分もあるが、
油断すると、やっぱり可愛いのだ。これが感情移入を邪魔してくれる。

「500日のサマー」や「キックアス」から数年しか未だ経っていない。
16歳とは思えぬほど大人びて綺麗になっているが、
ヒットガールでも印象的だったトンガった上唇はそのまま。
自分でも気持ち悪いと思うが「あー可愛い!」と何度も心中でつぶやく。

オリジナルでは根暗感たっぷりのシシー・スペイセクだったからこそ、
プロムでの儚い輝きが一際まぶしく映り、その後の惨劇が常軌を逸したものに映る。
夢の世界から地獄へ転げ落ちる落差とスピードこそが恐怖となった。

リメイク版の本作では、ずっとイケてる女子に見えてしまうキャリーであるため、
そのムーブメントが起きづらい。キャリーによって観客を怖がらせることに失敗している。

恐怖を感じたのは、オリジナルにはなかったキャリーの母親の狂信ぶりだろうか。
このアレンジは結構効いた。ドアを血まみれになりながら壊すシーンの怖いこと。笑
ジュリアン・ムーアをその役に配したのが成功。リアル魔女。さすがの演技派である。

本作は、キャリーをいじめた悪女に復讐するアクションスリラーとして捉えたほうが自然か。
イジメをした女子の悲惨過ぎる末路含め、非常に痛快だ。

期待が大きくなかったぶん、落胆も少ないが、満足度は低い。
本作に関わらず傑作映画のリメイクはオリジナルをなぞるよりも、
大きくアレンジを加えた方が良いのではないかと改めて思う。
今年公開された『死霊のはらわた』が良い例だろう。
逆に、オリジナルの設定を置き換えただけのリメイク映画で
面白い映画に当たったことがない。。。

【60点】
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堕天使のパスポート 【感想】

2013-11-12 00:02:52 | 映画


GEOの旧作レンタル30日キャンペーンに便乗し、
Rottenでハイスコアながら、未観賞の旧作DVDを観る。

堕天使のパスポート 【70点】
次のオスカーで注目されるであろうキウェテル・イジョフォーの代表作をチェック。
ロンドンを舞台にパスポートを入手しようとする不法移民たちの物語。胸を打つ感動作。
シンプルな人物相関でも奥行きを感じる脚本に見入る。作品の毛色はまったく違うが、
「ドライヴ」に観た時の味わいに似ている。眠ることをしない心優しき黒人男性を
イジョフォーが繊細な演技で好演。彼のアップで終わるラストには温かな余韻が残った。

セレニティー 【65点】
2005年公開のSF活劇。脚本、監督は「アベンジャーズ」のジョス・ウェドン。
面白い脚本ながら、視覚効果がジョス・ウェドンの想像力に追いついていないようでやや窮屈。
カタルシスを感じる展開とダイナミズムなアクション描写はさすがのセンスを感じる。
今の時代で撮れていたら、さぞ面白しろい映像になっていただろうなー。

女性鬼 【65点】
ホラー映画のトンデモな怪作。個人的には全然アリで面白い。
批評家の評価は高いが、オーディエンスの支持がゲロっているのがよくわかる。笑
男性を一律に下半身の生き物として描くことに「ふざけんな」より「否定できません」。
男たちを恐怖に陥れる女子が、純潔を守る会のエースという設定だったり、
被害に合う男たちが事件の全容を明かせないあたりとかイチイチつぼ。
B級映画ながら男と女の性質を言い当てて、意外と深い!?
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パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 魔の海 【感想】

2013-11-10 10:48:42 | 映画


「つまらないかも?」と思ってみても観てしまう映画がある。

「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」もその1つ。

で、シリーズ2作目となる新作「魔の海」を観る。
1作目を下回るつまらなさ。上映中何度も苦笑いする。

ポセイドンと人間の間に産まれたハーフゴッドの青年の冒険を描く。

本作では1作目で目覚めたハーフゴッドの能力を主人公が飼い慣らしている。
トレーニング中に負った生傷を湖の水で完治させるなど、序盤からワクワクする。

主人公たちの活躍を青春映画として見せようとする意図を感じるが、
ドラマがいかんせん陳腐なので「どーでもいいわー」になってしまう。
でも、そこには期待していないのでOKだ。

こちらはギリシャ神話のアレンジを、面白く楽しく見せて欲しいのだ。

冒険の仲間として主人公の異母兄弟にあたるサイクロップスとのハーフゴッドが登場したり、
ギリシャ神のひとりであるヘルメスが旅のサポートをしたり、
その後の展開に期待を持たす種まきを行うが、最後まで見事に芽が出ない。

本作で感じるのは想像力の欠如。こうなったら面白いというイメージができてない。
普通の人間である青年たちのファンタジー冒険映画になっていてつまらない。
自ずと画のスケールも小さくなる。

主人公のローガン・ラーマン演じるハーフゴッドの水を自在に操る能力も
中盤の津波を起こすシーンくらいで、以降最後までその鳴りを潜める。

クライマックスシーンでも、その能力が全く発揮されないのがとてもイタイ。
本作の監督はいったい何を考えているのだろうか。。。

ギリシア神話に登場する半馬半魚の海馬が途中出てくるなど、
クリーチャーは相変わらず面白い。
非常に勿体無い。

次作となる3作目に続く模様。
監督を交代させて出直してほしい。

【55点】

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ダラス・バイヤーズクラブ 【気になる映画】

2013-11-09 23:50:20 | 気になる映画


昨年はマシュー・マコノヒーイヤーだったと思う。

昨年全米で公開された「キラージョー」「マジックマイク」「リンカーン弁護士」「バーニー」。
作品の色、彼が演じたキャラクターはまったく異質ながら、
どれを見ても彼のパフォーマンスは絶品だった。

これらの実績により、今や名だたる映画人からのオファーが絶えない模様。
そして今年もマシュー・マコノヒーイヤーになるような気がしてならない。

今年のマシュー・マコノヒーを語るに必須になるであろう映画、
「ダラス・バイヤーズクラブ」が先週より全米で公開された。

公開前より前評判が高かったが、公開後も絶賛レビューを浴びている。
ロッテンでは95%のフレッシュで、特に主演のマシュー・マコノヒー、
助演のジャレッド・レトに対する賛辞が目立つ。

物語は1980年代、無認可のHIV治療薬を密輸し米国で売りさばいた男の話とのこと。
マシュー・マコノヒーが演じるのは、自身もHIVに感染している主人公の男らしい。
悲しい運命をたどる男の姿を感傷的に描くのではなくユーモアを交えながら、
死に際にある人間の生き様を、バイタリティあふれるタッチで描いているという。

トレーラーを観て驚くのは、マシュー・マコノヒーの激ヤセっぷりだ。
「キラージョー」「マジックマイク」では、えげつない肉体美を見せつけたばかりなのに。

また、彼と共演で、同じくHIVに感染した女装ゲイを演じたのが、ジャレッド・レト。
私的2011年ベストの「ミスター・ノーバディ」での好演が頭に焼き付いているレトが、
このタイミングで注目されるなんざ、思いもしなかった。

本作はインディーズ映画であるため、日本での公開は4月以降になると思っていたが、
なんとアカデミー賞授賞式前の2月22日に日本公開してくれるそうだ。
ありがたや。ありがたや。

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死霊館 【感想】

2013-11-07 23:40:25 | 映画


1800円で映画を観たのは何年ぶりだろうか。。。。

今年全米で大絶賛され、興行的にも大ヒットしたホラー映画「死霊館」。

近場の映画館では上映されておらず、
やむなく値引きサービスに乏しい新宿ピカデリーで観た。

面白い。そしてハンパなく怖い。ホント怖かった。
このジャンルにさほど明るくないが、ホラー映画の新たな傑作と言いたい。

本作は1971年に実際に起きた心霊事件の映画化だ。
当時実在した超常現象研究家のウォーレン夫妻が、
片田舎に越してきた7人家族にとりついた悪霊と対峙する話である。

「悪霊は人間の恐怖を好物にしている」

登場人物とともに観客も、その恐怖を体感することとなる。
物語のプロットに真新しさはない。そのシーンの多くはどこかで観たことがあるものだ。
しかし、恐怖へのアプローチがこれまでのホラー映画と一線を画す。
ホラー映画の古典的な手法を忠実に抑えながら、
見えてしまう恐怖と見えない恐怖を自在に操って魅せる。

本作では特に見えない恐怖が効果的に描き出される。これが怖い。。。
恐怖が生まれ出るタイミングがわかってても怖い。何度も戦慄が走る。

本作の魅力の1つは主人公のウォーレン夫妻だろう。
彼らは研究家であるが、オカルト好きではない。
全米で起きる数々の心霊事件をロジカルに科学的に解決しようとする。
悪魔祓いを行うためには教会側への事務手続きが必要であるなど、
リアリティたっぷりで、彼らの言動にはひとつひとつ説得力が伴う。
なので、彼らを見守るこちら側の感情移入もスムーズに行く。
ユーモアは排除され、決死の覚悟で事件に立ち向かう彼らの姿に緊張感が帯びる。

ウォーレン夫妻の妻「ロレイン」は透視能力を持っているので、見えないものが見える。
ロレイン演じるヴェラ・ファーミガの、その時のリアクションがリアルだ。さすがである。
彼女のミステリアスな表情とホラーとの相性は想定以上だった。
1人の妻として、1人の娘を持つ母として、強く心優しい女性を好演している。

自分が本作を観て印象的だったのは、その怖さもさることながら、
血の通った人間ドラマとしての側面だ。実在の人物を描く製作側の誠意ともとれる。

悪霊に翻弄される家族は、父母と5人の可愛い娘を持つ明るく穏やかな一家だ。

自らの危険を顧みず「彼らを何とか助けてあげたい」という
ウォーレン夫妻の決意に胸を打たれる。

恐怖とスリルの波状攻撃となるクライマックスには、
まさかのエモーショナルなラストが待っていた。

監督はジェームズ・ワン。「ソウ」から始まり、演出手腕のキレが増しているようだ。

会社帰りの夜に観たが、水曜日のレディースデーであったため、
ホラー映画にも関わらず女性層が結構多かった。
恐怖のあまり泣き出す声が聞こえたと思えば、
終盤、感動のあまりすすり泣く声が漏れたり、女子たちは忙しい。。。

そのリアクションの数々に映画に集中できない場面もあったが、
久しく感じてなかった映画館で映画を観るという感覚を味わう。
だけど、1800円はやっぱ高すぎるなー。映画の善し悪しに関係なく。

【75点】
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42 世界を変えた男 【感想】

2013-11-03 15:27:53 | 映画


メジャーリーグ全球団で永久欠番となっている「42」。
そのきっかけとなった黒人初のメジャーリーガー「ジャッキー・ロビンソン」を描いた映画を観た。

映画自体は作家性を感じる演出に乏しく、とても平坦で平凡な作り。
良い人は良い人で、悪い人は悪い人として描かれる。
単純明快で、深読みする必要はなく、観たままの映画。

映画をいろいろ観ている人間としては面白みに欠けたが、
俯瞰して考えると、これはこれでありだと思った。

歴史の転換点とも言える偉大な史実の映画化である。
誠実に再現すれば、それなりに感動できるというものだろう。

そして、何よりそのわかりやすさから、
子どもからお年寄りまで観ることのできる映画になった。
史実を語り継ぐ映像作品として、とても意義にあるものになったと思う。
中学、高校生向けの歴史・道徳教材としても流行りそうだ。
本国での高評価もそういったところが大きかったのではなかろうか。

初の黒人メジャーリーガーとして激しい差別に合うロビンソンが
立ち向かうために持ち続けていたのは「やり返さない勇気」。
そのよりどころが「自尊心」であることが印象的だ。
そして、ロビンソン本人の弱さも丁寧に描いたことで、
偉大な人物を生身の人間として見せることに成功している。

本作で初めて見たロビンソン役のチャドウィック・ボーズマンは
好演であることは間違いないが さほど印象に残っていない。
余計な先入観を持たせなかったという点では正解だったと思われるが。

ロビンソンを導いた球団オーナー演じたハリソンフォードが素晴らしい。
本作の見どころは彼に集約されそう。彼が演じた人物自体も、
もう1人の「世界を変えた」人物と言って良いだろう。
インディン・ジョーンズでの泥臭くエネルギッシュだった頃のイメージは皆無。
見事にデブって、油断すると入れ歯が外れそうなシワシワ爺さんになっている。
これはあとで知ったことだが特殊メイクによるものとのこと。自然な仕上がり!
観る人によればハリソンフォードだと気づかないかもしれない。
言い換えれば、これまでのハリソンフォード像を完全に封印し、
「42」という新たな世界に生きる老齢キャラに見事なりきっている。
独特な抑揚をつけた話し方には力強さがあり、1つ1つの言葉に重みと深みがある。
「世界を変えろ」と主人公を後押しするシーンに素直に感動である。

オスカー好きとしてはどうしても言及してしまうが、
助演男優ノミネーションの可能性は高く、
これまでの功績を加味して受賞もありえそうだ。

2時間という上映時間はあっという間だった。
それだけ夢中になったというより「もう終わりなのか」という不足感に近い。
感情に訴えかけそうなシーンも、そのまんま見せるので盛り上がらない。
こちらの想像力に委ねる余白が欲しかった。

先週の王様のブランチでリリコが「見終わったあとの爽快感ハンパない」と言っていた。
好みの問題だろうが、違う監督が演出していたら、より感動的な映画になっていたと思う。

【65点】
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2014年アカデミー賞勝手に予想。其の1

2013-11-03 00:46:14 | 日記
2014年、第86回アカデミー賞授賞式は3月2日だ。
今日は11月2日なので、ちょうど3ヶ月前にあたる。

毎年やっていることだが、1月16日発表のノミネーションを
勝手に予想して、一人で盛り上がってみる。。。

★は確定予想。()は日本公開日。

【作品賞(10作品)】
 ★『12 Years a Slave』(来春)
 ★『ゼロ・グラビティ』(12月13日)
 ★『キャプテン・フィリップス』(11月29日)
 ★『Fruitvale Station』(未定)
  『Inside Llewyn Davis』(未定)
 ★『大統領の執事の涙』(2月15日)
  『アメリカン・ハッスル』(1月31日)
  『Nebraska』(未定)
  『Her』(未定)
  『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(来年)

 作品賞は「12 Years a Slave」と「ゼロ・グラビティ」の一騎打ちで確定か。
 大作VS小規模映画の構図だと大作がいつも負けるので「ゼロ・グラビティ」を猛プッシュ。

【監督賞】
 ★スティーヴ・マックイーン 『12 Years a Slave』
 ★アルフォンソ・キュアロン 『ゼロ・グラビティ』
 ★ポール・グリーングラス 『キャプテン・フィリップス』
  デヴィッド・O・ラッセル 『アメリカン・ハッスル』
  アレクサンダー・ペイン 『Nebraska』

 上位3人以外は自信なし。まだ全米公開されてないのでレビューが出回ってない。
 リー・ダニエル、スパイク・ジョーンズ、スコセッシの可能性も残る。

【主演男優賞】
 ★キウェテル・イジョフォー 『12 Years a Slave』
 ★ロバート・レッドフォード 『All Is Lost』
 ★トム・ハンクス 『キャプテン・フィリップス』
 ★マシュー・マコノヒー 『ダラス・バイヤーズクラブ』
  ブルース・ダーン 『Nebraska』

 各個人賞の中でも毎年最も競争率が高い部門。受賞は紙一重。
 候補の5人に選ばれるだけでも大変な栄誉だ。
 ホアキン・フェニックス、オスカー・アイザック、そしてサプライズで、
 「Fruitvale~」の マイケル・B・ジョーダン(「クロニクル」のスティーブ!)も可能性あり。

【主演女優賞】
 ★サンドラ・ブロック 『ゼロ・グラビティ』
 ★ケイト・ブランシェット 『ブルージャスミン』
  ブリー・ラーソン 『Short Term 12』
  ジュディ・デンチ 『あなたを抱きしめる日まで』
  アデル・エグザルチョプーロス 『アデル、ブルーは熱い色』

 賞レースでもサンドラとケイトの一騎打ちは確定の模様。上位2人以下は自信なし。
 メリル・ストリープやジュリー・デルピーあたりも可能性あり。

【助演男優賞】
 ★マイケル・ファスベンダー 『12 Years a Slave』
 ★ジャレッド・レト 『ダラス・バイヤーズクラブ』
 ★バーカド・アブディ 『キャプテン・フィリップス』
  ハリソン・フォード 『42』
  ダニエル・ブリュール 『ラッシュ プライドと友情』

 今年は面白い顔ぶれになりそうな部門。
 作品の評価も手伝ってか、マイケル・ファスベンダーが一歩抜き出ている印象。
 マシュー・マコノヒーは「Mud」「ウルフ~」のいずれかで助演ノミネートの可能性あり。
 となると、「ダラス~」での主演男優賞と合わせてダブルノミネートか!?。

【助演女優賞】
 ★オプラ・ウィンフリー 『大統領の執事の涙』
 ★ルピタ・ニョンゴ 『12 Years a Slave』
  ジューン・スキッブ 『Nebraska』
  オクタヴィア・スペンサー 『Fruitvale Station』
  レア・セドゥー 『アデル、ブルーは熱い色』

 予想は5人中3人がアフリカ系女優。結構良い予想してると思う。。。

毎年のことながら、演技賞は作品賞候補作出演者に寄ってしまう。それが面白くない。
そういう意味では主演と助演で確定予想した「ダラス・バイヤーズクラブ」は
作品賞ノミネートはなさそうなので、あっさり候補落ちの予感も。。。
マシュー・マコノヒーとジャレッド・レト。どちらも好きなので候補者に選ばれてほしい。








  

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グランド・イリュージョン 【感想】

2013-11-02 00:41:48 | 映画


ジェシー・アイゼンバーグ主演の新作「グランド・イリュージョン」を観る。

まずまず楽しむ。

内容は各得意分野を持つ4人のマジシャンチームが、
マジックショーと見せかけながら、大金を強奪していく物語。

それが成功したかどうかはさておき、
とてもチャレンジングな映画だと思った。

生の現場で超常現象を見せるマジックを、
何でも実現してしまう映画の世界で見せるわけだ。
どんなにあっと言わせるイリュージョンを見せても、
映画というフィルターを通せば「視覚効果でしょ」になる。

実際に本作で魅せるマジックショーのほとんどが視覚効果によるものだと思う。
そこで普通に興冷めする人も多いと思われる。

だけど自分は、そのリスクを理解したうえで、
「視覚効果でマジックを魅せるのだから、いっそおもいっきやってしまえ」、
みたいな製作側の開き直りを感じて、好意的に受け止めた。

ファンタジーとして観ることが正解だろう。
序盤のマジックでは、どこかで観たことあるレベルだったけど、
回を増すごとに常軌を逸し、最後にはありえないスケールに拡大する。

マジック毎にトリックを明かしてくれる構成になっている。
実際のマジックでも活用されている仕掛けのようで、そこにリアリティを感じたりするが、
おおよそ実際のマジックで、本作のようなマジック現象を実現できるとはとても思えない。
それでも上等。華やかでド迫力のマジックシーンは観ていて楽しいし、
そこにハリウッド映画の醍醐味がある。ハリウッドの物量は大スクリーンとやはり相性が良い。

そして実力派俳優たちの豪華共演もまた楽しい。これが本作を見た理由。
ジェシー・アイゼンバーグ、ウディ・ハレルソン、マーク・ラファロ、
メラニー・ロラン、モーガン・フリーマン、マイケル・ケイン・・・など。

草食系男子のイメージが強いジェシー・アイゼンバーグは、
本作ではプレイボーイっぽい。無精ひげも生やしクールなビジュアルだ。
なかなかカッコよい。饒舌で手さばき鮮やかなマジシャン役にハマってる。

メンタリスト兼、催眠術師役のウディ・ハレルソンは、
催眠ショーのパンフの写真では一時代を築いたであろう昔の若々しい長髪姿が写り、
現在はツルっぱげオヤジになっていて、何ともありがちで哀愁漂う風情だ。

ジェームズ・フランコの実弟で、不良青年が似合うデイヴ・フランコの
軽快で切れ味あるアクションも見ものだ。

演技派のマーク・ラファロは珍しく犯人に振り回されるベタベタな刑事役。
「その配役勿体ねぇー」と思いながら観るが、終わってみると納得する。

ジェシー・アイゼンバーグ率いるマジシャンチームは、
彼らを追っかける刑事たちに「お前らの先を常に進んでる」と言い放つ。

「マジシャンチームの強奪劇のホントの黒幕は誰か?」
その答えを追っかける観ているこちら側をも挑発するセリフだ。

自分は最後まで予想が全く当たらなかった。
この映画自体をマジックとして楽しめということか。。。

展開はかなり強引。そこに芸のなさを感じてしまうのが残念。
監督はルイ・レテリエ。まーそんなもんだろうが、普通に楽しんだ。

【65点】





















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