昨日、台湾映画「モンガに散る」を会社帰りに観る。
場所は初めて行く六本木シネマート。
観れる場所が極端に限られているため、わざわざ六本木まで行く。
場所がわかりづらく迷いに迷い、本編開始直後に滑り込む。
「モンガに散る」。。。。何とカッコよい邦画名だろうか。
台湾映画というモノ珍しさと、様々なレビューの高評価に釣られて観ることにした。
本作は1980年代の台湾、台北。歓楽街モンガを舞台にした青春映画。
義兄弟の契りを交わし固い友情で結ばれた不良高校生5人グループが、
極道の道へ進んでどうこう~という話だ。
1980年代のきらびやかなモンガの街並み。
当時の雰囲気を十分に楽しめる数々のファッション(衣装)。
個性あふれる不良5人グループのキャラクターたち。
不良グループに加わる主人公(モスキート)がいじめられっ子でワケあり。
青春、友情、そして裏切り。
淡い恋。。。。
うまそうな素材が揃いに揃っている本作。
「これは青春映画の新たな傑作だ!!」
と声高にしたい気持ちがあったが、
惜しい、ホントに惜しすぎる、本作に私はのめり込むことができなかった。
暴力描写が序盤から軽い。終盤のクライマックスからようやくエンジンがかかる。
台湾のアクション映画の常なのか、相手を殴るシーンでケガを恐れてか、
拳が当たりそうな寸前で力を弱めているのが露骨にわかる。映画のツカミであったはずの、
5人グループがきっかけでモンガ中が大暴動になる派手なオープニングシーン。
大勢がもみくちゃになるのだが、互いに遠慮しているのだろう、
大勢の大人たちが互いにじゃれ合っているようにしか見えず、高まるはずの熱が一気に冷める。
無条件に暴力シーンにリアリティを求めているわけではない。
本作ではリアリティのある暴力が彼らの本気の生き様を描く上で重要なファクターなのだ。
手加減されている暴力を見ても相手への同情はない。それは観ているこちらとて同じこと。
おかげで深刻なシーンが深刻に見えないのが痛い。
なので、話に熱中できず、ヤクザの親分はパンチパーマをかけたダチョウ倶楽部の上島にしか
見えなかったり、主人公をいじめ、事件の引き金となった青年が南国育ちの宮川大輔にしか
見えなかったりした。。。。
嘘っぽさは暴力だけではないのも残念。
山の合宿のシーン、友情を深めるために必要な場面として入れているのだろうが、
「そんなことにホントにすんの?」とツッコミを入れたくなるような不自然な内容。
そのシーンの作りも安っぽかったりする。脚本自体のツメの甘さを感じる。
惜しいなぁ~と思う理由は、本作には印象に残る点も多いからだ。
個性あふれる5人グループの中でひときわ光っていたのが、「モンク」役のイーサン・ルアン。
5人グループのリーダーは極道の親分を父に持つ「ドラゴン」(なぜかイケメン)。
「モンク」はドラゴンの幼なじみで仏具屋の息子なのだが、不良にも関わらず勉強ができて
学校一番の優等生。リーダーの「ドラゴン」よりも明らかに有能なのだが、
あくまでリーダーを立て続け、グループに危機が訪れると真っ先に自らが盾となり、
汚れ役に徹する。そんなユニークで、時に魅力的にも映るキャラクターを
イーサン・ルアンが見事に体現。そのパフォーマンスは突出して素晴らしく、
「モンク」というキャラクターに一層の存在感を与えている。
物語のクライマックスに向け、「モンク」の行動がトリガーになるのだが、
彼の複雑な胸のうちがこちら側にもビシビシと伝わり、胸を打つ。
クライマックスに向け、終盤から本気度が出てくる本作。
「モンガに散る」、映画タイトルであるこの言葉は、本作のラストにつながるもの。
悲しく、そして美しいそのラストシーンは近年の映画の中でも屈指の出来といえる。
一流の走り幅跳び選手が十分な助走をつけなかったばかりに、
好記録を出せなかったという感じだろうか。。。
残念で仕方がない。
暴力シーンだけでも井筒監督あたりにパッチギ風で演出してもらえれば変わったのにな。
(無理だけど)
【60点】
場所は初めて行く六本木シネマート。
観れる場所が極端に限られているため、わざわざ六本木まで行く。
場所がわかりづらく迷いに迷い、本編開始直後に滑り込む。
「モンガに散る」。。。。何とカッコよい邦画名だろうか。
台湾映画というモノ珍しさと、様々なレビューの高評価に釣られて観ることにした。
本作は1980年代の台湾、台北。歓楽街モンガを舞台にした青春映画。
義兄弟の契りを交わし固い友情で結ばれた不良高校生5人グループが、
極道の道へ進んでどうこう~という話だ。
1980年代のきらびやかなモンガの街並み。
当時の雰囲気を十分に楽しめる数々のファッション(衣装)。
個性あふれる不良5人グループのキャラクターたち。
不良グループに加わる主人公(モスキート)がいじめられっ子でワケあり。
青春、友情、そして裏切り。
淡い恋。。。。
うまそうな素材が揃いに揃っている本作。
「これは青春映画の新たな傑作だ!!」
と声高にしたい気持ちがあったが、
惜しい、ホントに惜しすぎる、本作に私はのめり込むことができなかった。
暴力描写が序盤から軽い。終盤のクライマックスからようやくエンジンがかかる。
台湾のアクション映画の常なのか、相手を殴るシーンでケガを恐れてか、
拳が当たりそうな寸前で力を弱めているのが露骨にわかる。映画のツカミであったはずの、
5人グループがきっかけでモンガ中が大暴動になる派手なオープニングシーン。
大勢がもみくちゃになるのだが、互いに遠慮しているのだろう、
大勢の大人たちが互いにじゃれ合っているようにしか見えず、高まるはずの熱が一気に冷める。
無条件に暴力シーンにリアリティを求めているわけではない。
本作ではリアリティのある暴力が彼らの本気の生き様を描く上で重要なファクターなのだ。
手加減されている暴力を見ても相手への同情はない。それは観ているこちらとて同じこと。
おかげで深刻なシーンが深刻に見えないのが痛い。
なので、話に熱中できず、ヤクザの親分はパンチパーマをかけたダチョウ倶楽部の上島にしか
見えなかったり、主人公をいじめ、事件の引き金となった青年が南国育ちの宮川大輔にしか
見えなかったりした。。。。
嘘っぽさは暴力だけではないのも残念。
山の合宿のシーン、友情を深めるために必要な場面として入れているのだろうが、
「そんなことにホントにすんの?」とツッコミを入れたくなるような不自然な内容。
そのシーンの作りも安っぽかったりする。脚本自体のツメの甘さを感じる。
惜しいなぁ~と思う理由は、本作には印象に残る点も多いからだ。
個性あふれる5人グループの中でひときわ光っていたのが、「モンク」役のイーサン・ルアン。
5人グループのリーダーは極道の親分を父に持つ「ドラゴン」(なぜかイケメン)。
「モンク」はドラゴンの幼なじみで仏具屋の息子なのだが、不良にも関わらず勉強ができて
学校一番の優等生。リーダーの「ドラゴン」よりも明らかに有能なのだが、
あくまでリーダーを立て続け、グループに危機が訪れると真っ先に自らが盾となり、
汚れ役に徹する。そんなユニークで、時に魅力的にも映るキャラクターを
イーサン・ルアンが見事に体現。そのパフォーマンスは突出して素晴らしく、
「モンク」というキャラクターに一層の存在感を与えている。
物語のクライマックスに向け、「モンク」の行動がトリガーになるのだが、
彼の複雑な胸のうちがこちら側にもビシビシと伝わり、胸を打つ。
クライマックスに向け、終盤から本気度が出てくる本作。
「モンガに散る」、映画タイトルであるこの言葉は、本作のラストにつながるもの。
悲しく、そして美しいそのラストシーンは近年の映画の中でも屈指の出来といえる。
一流の走り幅跳び選手が十分な助走をつけなかったばかりに、
好記録を出せなかったという感じだろうか。。。
残念で仕方がない。
暴力シーンだけでも井筒監督あたりにパッチギ風で演出してもらえれば変わったのにな。
(無理だけど)
【60点】