から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

2021年日本映画 トップ10

2021-12-31 19:49:58 | 勝手に映画ランキング
「今年は日本映画の豊作年」と言い切れるのは、このブログで初めてのこと。
特に、トップ3についてはどれも1位といってよい。「優れた」作品よりも「面白い」作品ということで順位付け。

1位 空白

実は群像劇。狭い間口からどんどん物語が広がっていく驚きと、1つの事件をきっかけに翻弄されていくキャラクターたちの濃密なドラマに引き込まれる。人間は複雑な生き物。シンプルに評せない人間の感情を見事に掬い取る。救済へと繋がるラストに深い深い余韻。今年の主演男優賞と助演女優賞は本作の松坂桃李と寺島しのぶ。

2位 素晴らしき世界

予感は的中。西川美和監督と役所広司のマッチングで新たな傑作が誕生。社会の問題になすり付けるだけなく、個性というものにもしっかり焦点が当てられている。優れた主人公の人物描写は西川監督の洞察力と役所広司の名演の賜物。

3位 ドライブ・マイ・カー

語るべきことが多く総括するのが難しい。2021年の映画を語るうえで最重要となる1本。3人の「人殺し」の物語。「喪失と再生」という枠組みだけでは全然足りないほどにテーマは多面的であり、その表現手法は重層的。今年の助演男優賞は本作の岡田将生。

4位 孤狼の血 LEVEL2

圧巻の前作超え。体感したかった熱量の120%で応える仕上がり。ボルテージMAXの演技合戦とバイオレンスアクション。スリルを帯びて交錯する3人の「主人公」のドラマの妙。

5位 劇場版 呪術廻戦 0

ストレス発散。見たかった「呪術廻戦」の劇場版はまさにコレだ。シネスコープで拡大された世界で、魅力的なキャラたちがクールで大迫力のバトルをキメる。朴監督率いるMAPPAの作画力と演出力は日本の宝。

6位 騙し絵の牙

「面白いもの」至上主義な主人公を通してみる出版業界の今。変化に順応しない者は振り落とされる競争下マウントの取り合いがスリリング。そして、最後に愛は勝つ。

7位 街の上で

特別でない物語が特別な物語へ昇華する。「LOVE 下北沢」な舞台で繰り広げられるミラクルな恋愛群像劇。可笑しくて切なくて、あの頃の青春が頭をよぎる。

8位 あのこは貴族

嘘みたいな階級差の2人の女子を通して描かれる、新しい時代のための正しい生き方指南書。ジェンダーレスという言葉すら古く、出身地、家柄、境遇、様々な違いも超えて「認め合う」というシンプルで幸福な関係。そして愛おしいシスターフッド。今年の主演女優賞は本作の門脇麦。

9位 ミセス・ノイズィ

まさかの秀作。よく知らない人との関係構築。自身の一方的な主観でその人の個性を捉えていないか。相手をどれだけ思いやり、その人の本質をどれだけ知ることができるか。自身への戒めになった1本。

10位 BLUE/ブルー

栄光なき男たち。負け様にドラマが宿るボクシングという競技を鮮やかに切り取った1本。持てる者と持たざる者、人生は不平等で残酷だ。負け組の男たちを輝かせた吉田監督の愛が胸に沁みる。

次点:東京リベンジャーズ、浅草キッド

2021年海外ドラマ トップ10

2021-12-31 18:19:22 | 海外ドラマ
映画もそうだけど、今年はあまり海外ドラマも見なかった。例年の半分くらい。年明けまで時間がないのでタイトルだけ並べてみる。感想は年明け。

1位 イカゲーム


2位 ギャング・オブ・ロンドン シーズン1


3位 真夜中のミサ


4位 賢い医師生活 シーズン2


5位 シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア


6位 マンダロリアン シーズン2


7位 D.P.脱走兵追跡官


8位 ファルコン&ウィンター・ソルジャー


9位 メイドの手帖


10位 地獄が呼んでいる

2021年更新版 ベストサウナトップ10

2021-12-31 17:17:10 | サウナ


今年もサウナ探訪を楽しんだ。過去に行ったサウナも含め、今年の更新版のベストサウナを勝手にトップ10でまとめてみる。あくまで独断と偏見。個人的な評価軸として下記の10項目を設定。項目ごとに10点満点だが、なかに満点以上の12点をつけているものもあり。

【サウナ】温度、湿度重視のセッティングか。多様性。
【水風呂】水温、水深、美味しい水風呂か、オーバーフローか。
【休憩】外気浴あるか、スペースがあるか、仰向けできるか、眺望。
【給水】水温、水が美味しいか、水飲み場の位置。
【風呂】温浴施設としてのレベル、温泉が好ましい。
【雰囲気】館内の雰囲気、ワクワク度、清潔度。
【民度】利用されている方のマナー。
【非混雑】自分のペースでサウナを楽しめるか。
【サービス】アメニティ、各種おもてなしの有無。
【コスパ】その料金に見合う価値があるか。


1位 白銀荘(北海道) 〔総合:97点〕

今年1番のハイライト。感動の体験。サウナとは自然、気候と一体化すること。粉雪が舞う外気浴、視界一面が銀世界に包まれ、十勝の空に体が「堕ちた」。セルフロウリュの性能も想定以上に十分、心地よいのに滝汗。キンキンの水風呂は天然水かけ流し。広大な外気浴スペース。温泉施設としても素晴らしく、内風呂、露天風呂の風情は美しく、アツアツの源泉かけ流し、外では足元に温泉がずっと流れている。サウナ、水風呂、休憩、温泉の無限ループが完成。最高で最強の聖地。おそらく「らかんの湯」でも超えられないと思う1位。

2位 湯らっくす(熊本)〔総合:96点〕

火と水の国、熊本からの贈り物。多様でいずれも高性能なサウナ、楽しいギミック、がっつり温泉。蛇口ひねれば天然水の熊本市、水深170センチかつオーバーフローの水風呂、そして、ホシザキの給水機から勢い良く出る給水は、いずれも個人的にベスト1。オシャレで清潔感あふれる館内。そこかしこに見える徹底したサービスには驚くばかり。熊本市民の方々が羨ましい。

3位 神戸サウナ & スパ(兵庫)〔総合:86点〕

料金高いです。だけどそれ以上の価値を感じてしまう。なんといっても平日の午前中から15分に1回のアウフグースは、めちゃくちゃ贅沢。セルフロウリュでも滝汗、塩サウナも楽しい、ハマームでの仰向け最高。露天風呂の熱湯に、暴力的な打たせ湯。午前中は清掃をしながらの営業、スタッフの方が念入りに清掃されているのを見て気持ちよく整う。

4位 かるまる池袋(東京)〔総合:83点〕

東京が誇るサウナのアミューズメントパーク。2階建ての構造と、多様なサウナにワクワクする。アウフグースでしっかりアロマが効き、アメニティ充実、サウナ―のマナー良し、給水が美味しい。混雑必至、セルフロウリュはしっかり水を補充してほしい、等の不満はあり。コスパはさすがに悪いかな。。。

5位 桜庵(山梨)〔総合:86点〕

サウナ1つ、水風呂1つ。だけど、1つ1つが非常にハイレベルなサウナ施設。近くのマウント富士のついでに立ち寄ったが、メインはこっちだった。。。100℃超え、デカいストーブ、セルフロウリュの水桶には惜しみなくアロマ水が注ぎ足され、枯れることなく「高温多湿」の最強コンディションが持続。あふれ出るの水風呂の水温(14℃と聞く)、水質ともに良し。休日の午前中も混雑なく、サウナー同士が譲り合ってロウリュ。「タカノ」ブランドとあってアメニティも文句なし。

6位 由縁別邸 代田(東京)〔総合:91点〕

サウナとは孤独で幸福な時間。。。そんな思いが何度も頭をよぎる。洗練されたデザイン、高級感あふれる館内。駅を下りれば別世界。。。その異空間が旅館、浴場、サウナ、休憩室まで地続きでつながる。85℃ながら多湿で滝汗必至のサウナ。極上の静寂のなかで堪能する。半屋外の休憩スペースから見る光景は1つの「絵画」のよう。都会の喧噪から抜け出た世界で整う。

7位 しきじ(静岡)〔総合:74点〕

自身のサウナ探訪の始発点。その水風呂は言わずもがな。サウナ体験において水風呂がいかに重要かを教えてくれた。アメとムチ。喉が焼けるような薬草サウナは暴力的であり、だからこそ、ご褒美の水風呂がいっそう尊い。人気施設の宿命だが平日の昼間でも混雑。サウナ待ちは避けたい。

8位 ニューウイング(東京)〔総合:70点〕

秀逸のボナサウナ。多湿で気持ちよく滝汗、心地よい香りが室内に充満。そして「泳げる水風呂」。頭部の冷却が、いかに「整い」に寄与するか教えてくれた。下茹でのためのお風呂が激熱で素晴らしい。ドアを空けるたびに室温が下がる、セルフロウリュは残念。給水は酷い。

9位 すみれ(千葉)〔総合:74点〕

某雑誌で今年の1位に上がっていたサウナ。期待していたオートロウリュは、ドライヤーみたいな渇いた熱風で少しがっかり。二重扉でサウナの室温をコントロールしているところを見て、考え抜かれた設計と感じる。水温が低い水風呂は素晴らしいが、マナーの悪い利用者の方が多い(かけず小僧と素潜り小僧)。かけ流しの温泉と、さえぎるものがない外気浴は最高。

10位 おふろcafe utatane(埼玉)〔総合:76点〕

自身のホームサウナ。セルフとオートのダブルロウリュ、多様なお風呂、縦横ともに広いスペース、これで朝風呂ワンコインは驚愕のコスパ。サウナ―の強い味方である一方で、民度の低い常連が多く、マナー違反を注意した人が逆ギレされているシーンを目撃。

偶然と想像 【感想】

2021-12-29 10:58:33 | 映画


今年の劇場映画鑑賞の見納め。
今年「世界の映画人」の仲間入りを果たした濱口竜介監督の新作を見る。上映館は渋谷のル・シネマのみだったので約10年ぶりくらいに出向いた。久々の渋谷駅、かつての職場があった場所だけど様子が変わって迷子になった。。。

3つのオムニバスの短編集だ。タイトルとおり、「偶然」に起きた出来事をフックに、人間の「想像」力の面白さを描く。平行上映中の「ドライブ・マイ・カー」同様に、キャラクターによる会話劇がメイン。カットを割らず、長セリフの応酬で魅せていく。朗読劇に近い印象で、演じる役者陣は棒読みと演技の中間くらいの表現力で言葉を発する。「本読み」に近い温度感であり、とてもユニークな演出だが、どんな意図があったのかは不明だ。
面白いのは「想像」の描き方が3つでそれぞれ異なること。想像を絵で描いた1話目、想像を観客の想像で描いた2話目、想像を劇中のキャラクターの想像で描いた3話目、といった具合。1話目はキャスティングにハマれず(違くない?)、小悪魔的な彼女の言動に、周りのオジサン観客が大声でゲラゲラ笑う状況にゲンナリしていたが、2話目、3話目で尻上げりに面白くなっていく。
特に3話目は白眉な仕上がり。このエピソードだけで今年のトップ10に入れたいくらい。20年ぶりの同窓会で帰郷し再会した2人の同級生女子の話。中盤で明らからになる「まさか」の展開も、気を遣いがちな日本人ならではの感性で身近なエピソードとして引き込まれてしまう。そのまま空中分解すると思いきや、2人は共鳴し、新たな関係を築いていく。セリフだけで語られる2人の回想、その思い出の日々が観客の想像のなかで生き生きと再現される。そして、終盤、2人は想像の世界でもう一度再会する。人間の可笑しさ、面白さ、切なさ、様々な感情が交錯。後味は晴れやかで気持ちいい。「濱口監督、凄いな~」と脳内でつぶやいた。
【70点】

余談>
自身の映画生活のなかで今年ほど邦画が豊作だった年はなかった。(半面、洋画はやや力不足だったか)。邦画のトップ10を決めるのが悩ましい。昨今、韓国エンタメに圧倒されてきたけど、新しい才能が日本でも次々と華開いていると思う。



劇場版 呪術廻戦 0 【感想!】

2021-12-26 09:50:23 | 映画


素晴らしい。

昨年、テレビアニメで沼にハマった自身の期待に一寸の狂いもなく応えてくれた。いや、期待以上だ。今年のエンタメ生活のなかで最大のカタルシス。
本作が映画化されるべき必然。呪いによって呪いを払う。そのプロットの面白さと可能性、理解を一層深める。「生贄」という新たなシステムや「愛」という呪い。物語の原点であり、その入門編として、または元エピソードへの回帰として本作は必須科目だった。原作は未読。この映画で初めて登場する「乙骨憂太」というキャラクター。テレビアニメをみて「2年生で特級ってどんな奴?」という妄想の答えを目撃、納得。もう1人の主人公として強烈な個性を放つ。普通に見えて普通じゃなかった、というタネ明かし、こういうの大好きなんだよな。。。「こじらせ男子」という共通項で、序盤、碇シンジとのキャラ被りを気にしていたが、緒方恵美の名演により「乙骨」という無二のキャラクターでしかなかった。目をギンギンにする殺意モードの表情、めちゃくちゃ良い。気持ち悪いものは、しっかり気持ち悪く描き、観る者に媚を売っていないから好きなんだよな。
バトルアクションの凄み、秀逸さは、テレビアニメのクオリティのさらに上を行く。大スクリーンに映える、空間描写にひたすら陶酔する。MAPPAの作画力よ。キャラ同士の読み合い、一瞬の間合いの取り方を絶妙に交え、そのスピードは一切殺さず、フルスロットルを継続。観る者のボルテージを上げ続ける。見事としか言いようがない。そしてクライマックス、愛と友情を糧に乙骨がついに覚醒する。あるべき少年漫画の郷愁もよぎりながら、その圧倒的な力に興奮を覚え、身震いしてしまった。これは、たまらんですよ。
【85点】

ラストナイト・イン・ソーホー 【感想】

2021-12-25 14:48:38 | 映画


エドガー・ライトの新作を見る。この映画、ホラーだったんだな。。。。
現代と60年代のロンドンを舞台に、2人の夢追い女子が夢の中でシンクロする話。これほどロンドンという町を濃密に感じた作品は初めてかもしれない。欧米映画でみる、上京モノだとニューヨークのイメージが強いけれど、旧時代の空間がそのままに残されるロンドンを舞台にした本作はとても新鮮だ。「陰鬱で雨が多く暗い」というロンドンへの先入観そのものだったけど、同時に、ネオンサインが似合う妖艶な夜の光景に魅了された。
悩める女子が前向きに突き進んでいく序盤から、物語は中盤以降で暗転する。女性が男社会で搾取されていた時代の闇が、現代に生きる主人公の現実を取り込んでいく。犠牲になってきた女性たちの痛み、悲しみ、現代にも通じる問題の根深さが示される。一方で、監督の女性に対する眼差しの優しさが滲んでくる。
後半はサイコホラーへとまっしぐら。悪夢が主人公の現実を侵食、夢と現実の境界がわからなくなる。崩れたパンダメイクに狂人と化したトーマサイン・マッケンジー が非常にパワフルだ。お目当てのアニャ・テイラー=ジョイ、思ったより脇役のイメージが強かったが、あのハスキーボイスで歌う「ダウンタウン♪」に惚れ直す。物語の鍵を握る、大家のお婆さん、GOTのオレナ婆さんだった。「ダイアナに捧ぐ」の意味を理解。遺作にふさわしい素晴らしい演技。ご冥福をお祈りします。
特筆すべきは、何といっても映画術のレベルの高さ。同じシーンで2人の女子がシンクロ、もしくは表裏になるシーン、現実と悪夢が混然するシーンなど、撮影、編集の技巧ぶりは圧巻。当然、デジタルな視覚効果が用いられていると思うのだけど、触感はどこまでもリアルで「実はCG使ってません」なシーンが沢山ありそうだ。複雑怪奇な設定にも関わらず、エドガー・ライトのビジョンは明確だったに違いない。最後のショットもチャーミングで爽やか。
【75点】

マトリックス レザレクションズ 【感想】

2021-12-24 05:15:11 | 映画


予想していたとおり、よくわからなかったwww
現実と仮想が実は逆転だったという1作目の設定から大幅に飛翔し、複雑怪奇、観るものを混沌に陥れる物語だ。では、つまらないか?というとそれは別の話で、「斬新アクション」と「革新的映像」で名を馳せた1作目を超えんとする熱量は凄まじく、その映像の迫力に圧倒される。エンドロールで流れる製作スタッフのクレジット数の何と多いことよ(長っ!)。劇場で見る価値は大いにあった。
落としドコロはネオとトリニティのロマンスであったが(ネタバレではなく)、とにかく1作目の印象が強かった自分にとってはあまりノレるものではなかった。演じるキアヌは確かにカッコよいのだけれど、やはり無個性に近い俳優さんであり、表情からドラマはあまり感じられないのだ。常に「ぬぼ~」としているというか。それは最近の彼の成功作といわれる「ジョン・ウィック」でも同じで、いい意味でアクションの邪魔をしない俳優なのかもしれない。
生みの親であるウォシャウスキーが考えて磨きぬいた脚本なのだろう。センセーショナルを巻き起こしたシリーズの後日譚として、どうしても描きたかった物語、と察する。その物語の仕掛けを映像だけで語るのは困難であり、どうしてもセリフでの説明が必要になる。2時間半近い上映時間、途中、年度も睡魔が襲ってくる(事前にコーヒー飲んだが効かず)。もっとシンプルにしてもファンは十分楽しめたのではないだろうか。「覚醒」によるカタルシスも薄め。
後半のクライマックスにかかる怒涛のアクションは、「ワイスピ」シリーズの失敗例に等しく、VFXの技術力にモノをいわせた何でもアリのお祭り。1作目では「電話」がその機能を果たしていた「出口」が全くなくなったのはクレーム案件だ。何でもできるようになった、はスリルの大きなブレーキになってしまう。
良くも悪くも1作目の偉大さを再認識させた。
【65点】

マリグナント 狂暴な悪夢 【感想】(ネタバレなし)

2021-12-05 09:39:08 | 映画


ジェームズ・ワンの新作を見逃すところだった。地元の劇場公開終了日にギリギリ間に合う。

監督の新境地ホラーであり、監督のキャリアを語るうえで必須の重要作だった。
これは面白い。

夫のDVに悩まされていた身重の女性が、ある日から夢のなかで実際に起きる殺人事件を目撃(傍らで体験)するという話。

「ナゼ?」の全容を明らかにする構成。ネタバレ厳禁な話だが、落としドコロの巧さもさることながら、伏線回収の鮮やかさに圧倒される。タイトルの意味、30年前の精神病院で起きる事件、度重なる主人公の流産、後頭部に残る流血、襲われ監禁される女性ガイド、殺人鬼の異様な動きと身体能力、殺人鬼とのシンクロ。。。。。何の関係性も見いだせない、複数のプロットが終盤のタネ明かしで1つのルーツに繋がる。その瞬間、驚きと恐怖が押し寄せる。同時に、謎が解けた気持ちよさに恍惚する。「そうくるか!」と「なるほど!」で手を叩きそうになった。謎が明らかになった瞬間、バイオレンスが爆発するシーンもカッコいい。

これまでホラーを描くのにオカルトをメインで扱ってきたが、本作ではその一歩先にいく。クラシカルなホラー演出と現代的なアクションの融合も新鮮。ただのホラー(怖がらせ)では終わらせず、主人公ら姉妹のドラマにメッセージを忍ばせる作風も健在だ。多少の粗はあるけれど、「この答えしかない」というアイデアと、それを最大限に生かしたワンの手腕に脱帽してしまう。

【75点】