から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

シュガー・ラッシュ 【感想】

2013-03-31 19:05:16 | 映画


ディズニーのアニメ映画「シュガー・ラッシュ」を観た。

すげー面白かった。
気づかぬうちに泣かされるパターンの映画。満足。

昨年夏に公開された「アベンジャーズ」で、主要キャラの吹き替え声優を、
宣伝要員の素人芸能人の任せ、映画ファンから大ブーイングを喰らった日本のディズニースタジオ。
本作ではその反省からか、芸能人を端役に回し(でもやっぱ必要なのね。。。)、
主要キャラはちゃんとしたプロの声優に任せている。これで安心だ。

本作は、ゲームセンターに置いてあるゲームの中のキャラクターたちが自分たちの意志をもち、
ゲーム間で交流しているという電脳世界の設定から始まる。
その中の1つの古典ゲームで悪役を演じ続けている心優しき主人公「ラルフ」が、
ヒーローになるために一騒動を起こして、どうこうという話だ。

冒頭から面白くてニヤニヤする。
各ゲームの悪役たちが、互いを慰め合う「悪役の集い」のシーンが、
これまで数々の実写ドラマ映画で「アル中」や「ヤク中」の人たちが、
再起をかけ集う、ありがちなシーンそのままで吹いた。

アナログゲーム、最新のシューティングゲーム、レースゲームと、
まったくタイプの異なる3つのゲームが横断的に描かれるのだが、
ゲームの年齢や世界観によって、同じ画面にいても
キャラの解像度がちゃんと分かれているのが面白い。

アメリカのアニメ映画でいつも感心するのはその脚本力である。
本作も漏れずに素晴らしい脚本だと思うのだが、
本作を観て改めて感心したのが登場人物のキャラクター作りだ。
キャラクターの完成度で、作品の出来不出来が決まると思えるほど、実によく出来ている。
本作の主要キャラは4人なのだが、それぞれの4人の造形によって、
こちらの感情が揺り動かされ、4人の個性によって、物語が綺麗にまとまっていく。

主要キャラを演じた4人の声優も見事にハマっていた。
中でも、やはり主人公ラルフ演じた山寺宏一と、
ヒロインの女の子ヴァネロペ演じた諸星すみれが非常に素晴らしく、
愛おしいキャラが、一段と魅力的になったと思う。
いや~山寺宏一は声優界と超え、芸能界の宝だとつくづく実感。
諸星すみれはまだ13歳の女の子ということなのだが、
あの「落下の王国」のアレクサンドリアも演じていたらしく、嬉しビックリだ。

本作で描くテーマは「役割」だ。
悪役としてモノを壊すことでゲームのきっかけを作るラルフ。
本人が嫌がるうんぬんではなく、彼がいないとゲームは成立しないのだ。
アイデンティティを保ちながら「役割」を演じていく上で何が必要なのか。
本作で描かれる答えは当たり前なれど、感動的だった。

デジタルなゲームの世界というディズニーにしては異質なテーマを扱いながらも、
きちんと「ハート」があって、確実に幸せな気分になれるディズニー映画になってる。
スべることのない、遊び心満載のユーモアセンスも健在。
大人も十分楽しめる完成度に今回もあっぱれだった。

結末で用意されたオチはやや蛇足感があれど、
ディズニー映画らしくもあり、ご愛嬌といったところか。

あと、本編の前に上映した短編アニメーション「紙ひこうき」が、素晴らしい傑作。
運命という奇跡を肯定してくれたファンタジーに、シュガーラッシュを観る前から胸がアツくなった。

【80点】
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「YOUは何しに日本へ?」が面白い件

2013-03-31 11:53:54 | 日記
テレ東で放送しているバラエティ番組「YOUは何しに日本へ?」が面白い。

昨年、特番でやっていた頃から見ていて、
「面白い企画、レギュラー化されないもんかな」と思っていたら、
今年に入って、水曜日の深夜枠でレギュラー化されて万歳。

毎週欠かさず見ているが、4月からゴールデンに昇格するらしい。

最近やや内容が失速気味であるが、それもガチなドキュメンタリーだから仕方ないかも。

番組の内容は、番組スタッフが成田空港の到着ロビーに張り付き、
「You」こと日本に来た外国人に「何しに日本へ来たのか?」と聞き、
その後の「You」に密着するというドキュメンタリーだ。

番組の魅力をまとめてみる。

1.人にドラマあり
  英語が通じない非国際国家「日本」にわざわざ来る外国人には、
  観光以外にも様々な目的があり、そこから「You」たちのバックグラウンド、生き様が見えてくる。
   
2.世界の人の価値観に触れる
  国によって価値観、モノの捉え方が違う。
  ノリが良い人、悪い人、楽観的な人、悲観的な人。。など、
  出身国で人の個性をまとめることは乱暴かもしれないが、
  一般人である「You」たちの言動から、日本人とはおおよそ違うことがわかって面白い。

3.海外旅行に行った頃の感覚を想い出す
  「You」たちの日本での反応を見て、学生時代、海外旅行に行っていた頃の、
  冒険心が甦ってくる。右も左もわからない初めての国に降りた時の興奮や、
  渡航先で起きたトラブルでいろんな人に助けてもらった懐かしき想い出がシンクロする。

4.新たな日本の文化、知られざる世界の文化を知る
  「You」たちの日本での目的から、ガイドブックや教科書にはおおよそ載っていない、
  実感として「リアル」で、知られざる情報が手に入る。

5.突撃インタビューする番組スタッフが楽しい
  「You」を見つけ次第、ガチで突撃インタビューする番組スタッフのテンポが楽しい。
  基本遠慮なく踏み込むスタイルは相手が外国人だから成せるワザかも。

6.ボビーのナレーションが良い
  ボビー・オロゴンの拙い日本語から発せられるナレーションが抜群にハマっている。
  「You」たちの可笑しさが伝わるとともに、「You」たちへの歓迎と親しみが感じられ、
  時にホロっとさせられる。

この番組を観ると、番組のテーマでも流れている「世界は一つ~♪」と同様に、
世界がグッと近くに感じられ、世界の人たちと無条件に仲良くなりたくなる。
ピースフルで、とてもハッピーな番組だと思う。

  
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ジャックと天空の巨人 【感想】

2013-03-31 08:39:10 | 映画


「ジャックと天空の巨人」を観た。

オープニングの制作会社のクレジットで、監督のブライアン・シンガーが
かつて「ユージュアル・サスペクツ」を撮っていたことを思い出した。
皆、メジャー監督になっていくものだな、と
先日観た「オズ~」のサム・ライミと同じ印象をもった。

本作は寓話「ジャックと豆の木」をベースに巨人退治をミックスさせ、
農民ジャックと王妃のロマンスを絡ませものだ。

先週の公開翌日くらいに観たのだが、観客席に空席が目立った。
先に公開しているアメリカでの評判も良くなかったし、
製作費を回収できないほど大コケしたので期待してなかったけど、意外と面白かった。

この映画はアトラクションムービーだ。

遊園地に良くある、映像を観ながら乗り物に乗るアトラクションに
もってこいのネタだと思う。

3Dではなく、2Dで観たのだが、豆の木がものすごい勢いで、
天空へ伸びるシーンや、逆に地上になぎ倒されるシーンであったり、
巨人たちにあの手この手で対抗する戦闘シーンなど、普通に観ていて楽しかった。

主役のジャックは本作が映画初主演となる期待のホープ、ニコラス・ホルト。
「アバウト・ア・ボーイ」の可愛かった子どもから一転、久々に映画界に登場した
「シングルマン」(好き!)では美しい青年に変貌を遂げ、見事な裸体を披露していた。
今年のオスカー授賞式で主役となったジェニファー・ローレンスとは
「Xメン」の共演をきっかけに付き合っていたらしく、別れてしまったことが個人的に残念。
トム・フォードのモデルをやっていただけあって、水に濡れても、泥まみれになっても、
風に吹かれても、常に美しい。彼のブルーアイとスベスベ肌が見ものだ。
その美しいジャックと、むさくるしく醜い造形で作られた巨人とのコントラストが良い。
あまりにもクセのない顔立ちに物足りなさを感じる人もいるようだが、
その無地っぽさが逆に映画によって表情を変えることのできる器だと思う。
彼がゾンビ役となった全米でヒットしたラブロマンス「ウォーム・ボディーズ」の公開も待ち遠しい。

あと、かつて「トレインスポッティング」で一緒に登場していた、
ユアン・マクレガーとユエン・ブレムナーの共演に時の流れを感じた。

「赤ずきん」や「白雪姫」等、寓話をベースに余計な色をつけた映画よりも、
原作に近い形で、確実にファミリー向けを狙った本作のほうが好感がもてる。
子どもにも安心して見せられるこういた映画も貴重だ。

見たあと、何も残らないので、
エンディングでソッコウ席を立つ人が多かったな。

【60点】

本作に関係ないが、上映前の予告でやっていた夏公開の新作「マン・オブ・スティール」は、
「ダークナイト」同様、スーパーマンというネーミングを使っていないようだ。
スーパーマンの内面にフォーカスした内容みたい、第2の「ダークナイト」になり得るか、楽しみ。

















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フライト 【感想】

2013-03-30 00:07:54 | 映画


すでに1ヵ月近く経つが、デンゼル・ワシントン主演の新作「フライト」を観ていたので感想を残す。

本作は日本で派手なプロモーションもなかったし(CMスポットでは何度か観たけど)、
アカデミー賞でもデンゼルワシントンが主演男優賞でノミネートされたくらいだったので、
地味な映画だなと思っていたけど、日本での興行収入で初登場1位だった。

自身の勝手な仮説だが、日本人は飛行機モノが好きなのではないだろうか。。。
ジョディ・フォスターが出ていたフライト・プランも同様のケースでヒットしたしな。。。

本作はデンゼル・ワシントン演じるジャンボジェット機のパイロット(ウィップ)が、
飛行中、制御不能となった機体を超絶技でコントロールし、多くの命を救ったという話から始まり、
その後、パイロット自身の人為的な事故ではなかったか、という疑いが浮上し、どうこうという話だ。

冒頭のシーンがエロくて良い。
ホテルのベッドで起きるウィップの傍で、ナイスバディなラテン系美女の裸体がドアップで映る。
それに比べてウィップのだらしのない体。。。
2人の会話の内容から商売ではなく、恋愛関係にある模様で何とも羨ましい。
その後、ウィップは寝起きに眠気覚ましに一発とばかりに白粉を鼻に吸引し、
パイロット姿に着替え颯爽とホテルの一室を出る。
オープニングの一連のシーンから、ダメダメな男であることが饒舌に語られる。
オスカーの授賞式でも、白粉を使った本作のパロディ映像が流れていたが、
大げさなパロディではなかったようだ。

上空という超自然的な環境下で、飛行機という鉄の塊に命を委ねる。。。
飛行機で空を飛ぶというのは、科学的な根拠があってもやはり特別な体験だと思う。

その特別な体験だから起こり得る事態、事実を余すことなく見せ、
飛行機事故をフックに、濃厚な人間ドラマに仕立てられていた。

序盤の航空パニックのシーンではスリリングでアトラクションに近い感覚を覚え、
中盤以降からは「法廷劇」⇒「1人の男が自身を見つめる物語」と、
物語はサスペンスと人間ドラマを孕んで意外な方向に展開していった。
演者たちの確かなパフォーマンスも手伝い、それがなかなかの見応え。

アカデミー賞の演技部門のノミネートはいつも外さない。
受賞の確率が一番低いとされ、授賞式では添えモノ的な扱いだったデンゼル・ワシントン。
しかしながら、ノミネート納得の素晴らしい演技。アルコールに負け続ける凄まじいダメ男ぶり、
そしてその弱さと対峙し、脱却する男を見事に体現して魅せた。その姿に素直に感動した。
白粉の調達屋のジョン・グッドマンの、テンションが高いデブオヤジっぷりが楽しい。
彼が登場すると一気に画面が賑やかになった。さすがですわ。
一方で弁護士役のドン・チードルの冷徹でときに感情的になる演技も生々しくて良い。
デンゼル・ワシントンを軸に、対極にある2人のパフォーマンスが物語に緩急を生み出している。
「スパニッシュアパートメント」から見守り続けているケリー・ライリーも頑張っていて良かった。

前評判とおりの映画。
主人公ウィップが導き出した結論に胸がアツくなった。

でも飛行機ってやっぱ怖いわ。

【70点】
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オズ はじまりの戦い 【感想】

2013-03-26 02:16:33 | 映画


「オズ はじまりの戦い」を観た。
「愛・アムール」を観た20分後に観たので、序盤は頭が回らなかった。

スパイダーマン以降、すっかりメジャー監督となったサム・ライミの新作は、
ど(がつく)ファンタジー映画だった。

「はじまりの戦い」というサブタイトルからシリーズものの第一弾みたいな雰囲気があったが、
続編はありそうでない映画だった。

本作は主人公ドロシーで馴染みの、かの有名な「オズの魔法使い」の前日譚となる話で、
「魔法使い」は実は人間界から来た手品師だったという設定。

誰も傷つかいない、安心設計な映画だった。

全編CGで創られた世界は、鮮やかな原色で彩られ、見ていて綺麗だった。
「CGが嘘っぽくてダメ」なんていうセリフはもはや時代錯誤だなぁと思う。
「ライフオブパイ~」でも思ったが、普通に感動できるし。

本作のお気に入りポイントは、主人公のオスカーと一緒に旅を共にする陶器の少女だ。
アナログとデジタルが融合した見事な質感と動き、その完成度は勿論のこと、
彼女の声優をした女の子(字幕版)の命の吹き込み具合が活き活きとしていて凄い。
笑って、泣いて、コロコロ変わる感情の波がチャーミングで微笑ましい。
物語に花を添える魅力的なキャラをよく作ったものだ。

3人の魔女を演じた女優たちの競演も楽しい。
一番の若手のミラ・クニスの肌の張り具合がエロかった。
3人ともシミひとつない自然で綺麗な肌で、そこからもCGの進化が見てとれた。

主役のジェームズ・フランコは可もなく不可もなくといったところか。
憎めないキャラというだけでは勿体ないような~

普通に面白かったけど、優等生過ぎる仕上がりにやや不足感もあり。
このテの映画で毒を期待するのはお門違いか。

「死霊のはらわた」観て、ありし日のサム・ライミを想うか。

【65点】

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愛、アムール 【感想】

2013-03-22 00:58:28 | 映画


ミヒャエル・ハネケの新作「愛、アムール」を観た。

「ハネケは人嫌い」と勝手に思っている。
ひたすら人の暗部を照射して、痛めつける映画が多いからだ。

そんなハネケが老夫婦を主人公に据えた、
「愛」がつく映画を作ったと聞いて、当初かなり意外に思った。
これまでにはない作風かなぁ~、と思って観てみたけど、
観た結果、本質的な所は変わらず、良い意味でハネケっぽい映画だなと思った。

本作はフランスに住む元音楽家の老夫婦がいて、
妻(アンヌ)が重病と認知症に冒されてしまい、どうこうという話だ。

ウィキペディアでの本作のあらすじには「~夫婦の絆が試される」とあったけど、
そういったモノを通り越した向う側にこの映画の本質があるように思った。

老夫婦は経済的にも裕福で、穏やかで満ち足りた生活を送っている。
音楽家として大成した教え子からは、今なお「先生」と慕われている。
おじいちゃん、おばあちゃんとなった今だが、これまで誇り高い人生を送ってきたことがわかる。
そんな生活が、老いという、誰にも訪れる必然的なものによって崩壊されていくのだが、
その姿が何とも惨たらしく映った。自らに襲いかかった局面に対して、
アンヌが恥ずべき、受け入れがたいものとして拒み続ける姿がリアルだ。
認知症を患い、夫に介護される姿はかつての輝きを失い、非常に痛々しい。
その様を描き出すディテールに、本作でも貫かれたハネケの冷徹な視線を見たようだった。

今年、本作で史上最高齢のオスカーノミニーとして話題になったエマニュエル・リヴァが綺麗だった。
フランス語っていつも「ジュビジュビ~」言って、聞こえ方があんまり好きじゃないけど、
彼女の澄んだ声色と優しく柔和なテンポが耳に心地よく響いた。
本作に対する彼女のインタビューをパンフで観たけど、やはり非常に明晰な人だ。
オスカー授賞式で彼女の生インタビューを聞きたかったな。。。

本作で描かれる、老夫婦が辿る崇高な結末に対して
感動を覚えることができなかった自分は未熟なのかも。
そもそも老いについて、あまり考えたこともないし、考えたくもないしな。。。
責任感のなさ、あぁやっぱ未熟。。。

あと、老夫婦の娘が言っていたセリフ、

 「子どもの頃、両親が愛し合う(セックスと想定)声をこっそり聞いていた。
  2人の愛が確認できて安心できたの」

・・・ゾッとした。(笑)
自分の両親のセックスシーンなんて想像したくないが、
このあたりがセックスに対する欧米との価値観の違いなのだと思った。
結婚後のセックスの回数も日本は世界と比べて極端に少ないようだし。

タイプな映画ではないけれど、ハネケには珍しい後味で、余韻の残る映画だった。
昨年の「別離」同様、オスカーはじめ、外国語映画賞を総ナメにしたのも納得。

この映画の直後に、立て続けに観た映画「オズ」。
頭の切り替えが相当シンドかった。

【65点】
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ムーンライズ・キングダム 【感想】

2013-03-20 01:07:20 | 映画


明日は久々の休みなので、溜まった映画を2本観に行きたいと思う。

その前に、3週間くらい前に観た「ムーンライズ・キングダム」の感想を残す。

本作は、とある小さな島に住む少年と少女の駆け落ちを追ったロマンチック・コメディである。

固定ファンの多いウェス・アンダーソンの新作だ。

「この映画は誰が撮った映画か」と聞かれれば、
ほぼ間違いなく言い当てることができる、数少ない無二の作家性を持つ監督だと思う。

少女の自宅内の風景から始まるオープニング、
開始5分足らずで、可愛さと愛おしさがスクリーンに充満する。

ビビットな原色を排し、パステル・中間色でまとめた色彩は心地よく、
狙いにいったユーモアには、嫌味がなくて愛がある。

画面の隅々までアンダーソンワールドが息吹く。

主人公の2人の少年・少女のキャスティングが絶妙。
おおよそ色気とは無縁なデカい黒縁眼鏡がキュートな少年と、
逆に色気たっぷりでミステリアス感漂う少女の組み合わせ。

彼らを取り巻く大人役の豪華出演陣もアンダーソン映画ならでは。
ガチな実力派俳優たちを脇役に配し、可笑しな世界の住人に仕立て上げる。

なかでも警官役のブルース・ウィリスのショボくれてどこか暖かい佇まいが印象的だった。
「ルーパー」や「ダイ・ハード」など同時期に公開していた大味キャラとは別味でオツ。

しかしながら本作、あまりの心地よさに
自分の意識が飛んだせいか、話の内容をあまり覚えておらず。。。

DVD化されたら、改めて観ようと思ふ。。。

【65点】




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クラウド アトラス 【感想】

2013-03-16 00:37:10 | 映画


かつて「マトリックス」で名を馳せた監督、ウォシャウスキー兄弟は
兄の性転換により、ウォシャウスキー「姉」弟になっている。

その事実を知ったきっかけとなった「クラウド アトラス」の感想を残す。
2か月くらい前に試写で観ていたが、今日から全国公開だったらしく思い出した。

6つの異なる時代(設定)・世界観をもった物語が交互に織りなす構成の本作。
「前世から来世まで、時空を超え、愛は運命でつながっていく」みたいな壮大なテーマのようだ。

同時進行していく6つの物語は、SF劇だったり、現代劇だったりと、その質感がまるで違う。
複数の別監督がそれぞれ好きな演出で撮ったオムニバス映画のようだ。

なので、6つの物語をつなげて俯瞰して、1つの映画として捉えるのがなかなか困難だった。
映画を観て想像力が発揮される人にすれば、感動できる映画に映るかもしれないが、
想像力の足らない自分はスンナリ行かず、個々の物語を観て、どうこうというレベルだった。

なので、どうしても6つの物語の比較になってしまう。。。
最も印象的だったのは(観た人は異口同音だと思うが)、
我が同級生の星、ペ・ドゥナが主演する近未来を舞台にしたSFチックなエピソードである。
どこか浮世離れした彼女の存在感が本作の世界観においてドンピシャだった。
美脚を見せつけ、大きな瞳には美しい涙。本作での彼女への萌え度はかなり高い。
物語自体も、ウォシャウスキーっぽい楽しいビジュアルとアクション、
そして、そこに儚いロマンスが絡み、思わず熱中してしまった。

しかしその一方で、ハマらない物語もあり。。。
2大スターであるトム・ハンクスとハル・ベリーが出てくる地球崩壊後(?)の未来の物語。
本作の軸となるエピソードだと思うが、名優トム・ハンクスの重量感がSFの世界にマッチせず。。。
ハル・ベリーとのロマンスに最後まで全く気付かないほど、ハマらなかった。

他、注目の若手俳優ベン・ウィショーは、
007(スカイフォール)に引き続き、ナイスな好演。今後どんどん活躍していく予感。

本作の見どころだと思われる、主要キャストたちの特殊メイクによる変装と、
その答え合わせとなるエンドロールが楽しい。
ただし、ジム・スタージェス演じるアジア人がわかりやすい一重だったり、
白人俳優の失敗しやすい黒人メイクや、逆に白人メイクのペ・ドゥナがブサイクだったりとか、
そのかき回し具合は、本作のテーマに準えた製作陣の意図があってのものだろうが、
安直で、やや人種差別的にも見えてしまった。

重層的で好きな形の映画なのだが、イマイチ。
3時間近い上映時間はそれなりの長さだった。

ペ・ドゥナの近未来の物語を
1本の映画にして見たかったな。

【60点】
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キャビン 【感想】

2013-03-10 02:56:47 | 映画


自分もそうだが、面白い映画を観ると、その映画を人に勧めたくなる。

綺麗に言えば「この面白さを共有したいから」だろうが、
自分の場合、「面白い映画を観た。羨ましいだろ。」という自慢に近いのかもしれない。
今日観た映画の興奮の中でふと思った。

「キャビン」

洋画のゴールドラッシュの中、休日出勤が続き、ムカついている昨今、
早くも今年の私的ベスト1の候補にブチ当たった。

傑作の中の傑作。
ジャンルは間違いなくホラー映画。

この映画を評する表現がポンポン出てくる。。。

 ・天地がひっくり返る瞬間を目の当たりにしたような映画
 ・観客の「予想を裏切る」を通り越し、観客の「想像力を凌駕した」映画
 ・ホラー映画の新たな金字塔でターニングポイントになる映画
 ・ホラー映画へのラヴレターのような愛に満ちた映画
 ・この映画のネタばらしをする奴は一生映画を観ないでほしい

とにかく、ド肝を抜かれる面白さだった=3(興奮)

冒頭から終始つきまとう違和感はすべて伏線。見終わった後の爽快感たるや。
本作監督とともに脚本を書いたのは「アベンジャーズ」のジョス・ウェドンだったらしい。大納得。
奇想天外なのに極めて真っ当。一見粗雑に見えて、実はどこまでも計算高い脚本。

オープニングシーンがラストシーンに繋がっていて、問われるテーマは意外と深い。

クライマックスのカタルシスに、発奮のあまり席から飛び上がりそうになった。

「ロッテントマト」で2012年ホラー部門第1位を獲得したのは伊達じゃない。

「ムーンライズキングダム」や「フライト」等、
最近観て面白かった映画があったのに、こっちの感想が先になってしまった。。。

これだから映画はやめらんない。

【95点】
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日本アカデミー賞が今年もしょーもなかった件。

2013-03-09 02:49:11 | 日記
今日は終電帰りだった。
帰宅して風呂入って、1時頃から今日放送して録画していた、
日本アカデミー賞の授賞式を観た。

受賞式の内容、受賞結果ともに今年もしょーもなかった。

司会は昨年から引き続き関根勤だったが、昨年同様、酷過ぎた。酷過ぎてイタイ。
噛み倒し、言い間違い、マの悪さ、的外れコメント、台本見ながらのインタビュー。(練習しろ)
隣にいた初司会の井上真央がいてくれて助かった。(逆だろ普通)
オスカー授賞式のWOWOW放送で司会をやったカビラとか、
映画をきちんと理解し、気の利いたコメントができる人は他に山ほどいるだろうに。
関根勤の司会が下手過ぎて、今年も見事なクラッシャーぶり。式の格が今年もモロ下がった。

豊作だったアメリカの本家アカデミー賞とは対照的に(比べては酷だが)
例年になく、今年の邦画は不作だったように思う。
「観て良かったな~」と思える邦画は3本くらい。。。

授賞式のノミネート作品も不作を反映してか、視聴率を意識した有り得ないノミネートが目立った。
「ヘルタースケルター」とかないだろ。。。アメリカなら間違いなくラジー賞♪

受賞結果については
主演女優賞の樹木希林(「わが母の記」)や、
「桐島部活やめるてっよ」の監督賞、作品賞受賞は納得感あり。

主演男優賞はまさかの阿部ちゃん(「テルマエ~」)だったが、
キネ旬の結果同様、今年の主演男優賞はダントツ森山未來(「苦役列車」)だったと思う。

外国語映画賞は案の定「最強のふたり」。苦手。

樹木希林の「受賞しちゃったら、来年司会をしなきゃいけなくなる」のコメントが素敵だった。

作品賞とった「桐島部活やめるてっよ」の東出昌大のコメント、
「座長の神木君が来れなくて残念。またウチでみんな(出演者)と集まりたい」を聞いてホッコリ。
監督の吉田大八のコメントがめっちゃあっさりしててウケた。

やっぱ、不作の中、昨年の日本映画の明るいニュースは
「桐島部活やめるてっよ」くらいだったなぁ~と改めて思う。

今年の邦画の公開予定を観てもイマイチときめかず、
園子温の「地獄でなぜ悪い」とか、気になる「変態仮面」の映画化くらいか。




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ジャンゴ 繋がれざる者 【感想】

2013-03-07 02:18:14 | 映画


洋画のゴールド・ラッシュが続く。

オスカーで脚本賞と助演男優賞をとって、ノリに乗っている「ジャンゴ 繋がれざる者」を観る。

「イングロリアス・バスターズ」から3年以来となるタランティーノ映画、やっぱ面白かった。

本作は南北戦争の直前、解放された黒人奴隷ジャンゴが、ドイツ人賞金稼ぎと組んで、
妻を救うために、凶悪な農場主と死闘を繰り広げる話だ。

タランティーノ脚本ならではの楽しい大ボラは本作でも健在だった。

黒人奴隷がガンマンになる話なんてありえないし、
彼らを虐げる白人たちを打ち負かすなんて話もないだろう。
このあたりがカンに触って、アメリカ本国ではザ・ブラック映画のスパイク・リーはじめ、
あからさまに本作に嫌悪を示したブラック層も少なくなかったとか。

話はどうあれ、映画は娯楽なので楽しければそれでよし。

愛する妻を救う男の話なのだから、話の筋は至って王道。
だけどもそこに、西部劇×奴隷制というかつて交わることのなかった2つの要素が合わさり、
無二の作家であるタランティーノが独自のスパイスを効かせたことで斬新な娯楽作になってる。

映画を観る上でキャラ重視の自分にとっては、
タランティーノ映画はヨダレ出まくり。。。

本作は主人公ジャンゴよりも、脇を固めるキャラが実に素敵だ。

一番のお気に入りはクリストフ・ヴァルツ演じるドイツ人賞金稼ぎのキング・シュルツ。
ひたすらスマートで合理主義者。奴隷制度を忌み嫌い、我が道を行くカッコよさよ。
ジャンゴの妻を想う気持ちに感化され手助けをすることになるが、その過程にクサさなし。
常にひょうひょうとしながらも、内に熱いものを秘める男をクリストフ・ヴァルツが好演。
彼のラストシーンが切なくて、カッコよくて一番グッと来てしまった。あぁもう一回観たい。
おそらくシュルツの存在こそが、タランティーノが本作で描きたかった良心だったように思う。
ヴァルツの2度目のオスカー受賞、お見事。

そして、極悪人コンビの農場主役のディカプリオと、
黒人なのに黒人を差別しまくる老執事のサミュエル・L・ジャクソンが絶品。
この2人が演じる強烈なキャラを観るだけでも本作は儲けもの。
初の悪役で水を得た魚のように圧倒的な存在感で輝くディカプリオと、
大袈裟でクセたっぷりのパフォーマンスながらも、なぜか嘘っぽくなく、
すっぽりキャラにハマっているサミュエル・L・ジャクソン。
大いなる憎たらしさを孕む2人の悪巧みにニヤニヤが止まず、興奮♪

登場人物たちの面白さのほかにも、グロさ満載で鮮血で彩られる、
バイオレンスシーンも健在だった。
これぞタランティーノ節、といったところか。

終盤、タランティーノ本人が出演するクダリは普通にいらなかったかも。
ド派手なクライマックスに向けた助走として必要だったのかな~という気もするが。

終わってみれば3時間近い上映時間。あっちゅう間だった。

【75点】







「イングロリアス・バスターズ」では、ヒトラーをアメリカの暗殺部隊が、
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2012年下半期 マイベスト映画ランキング

2013-03-02 10:16:28 | 勝手に映画ランキング
アカデミー賞が終わった。

自分の勝手な区切りである2012年映画年終了、ということで
2012年の下半期(2012年9月~2013年2月)に観た映画を
好きになった順にランキングしてみる。

 1、『ホビット 思いがけない冒険』
 2、『アルゴ』
 3、『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』
 4、『世界にひとつのプレイブック』
 5、『LOOPER/ルーパー』
 6、『アイアン・スカイ』
 7、『テッド』
 8、『ハンガー・ゲーム』
 9、『キラー・スナイパー』
 10、『ザ・レイド』

次に勝手に個人賞。

 【監督賞】 ベン・アフレック 『アルゴ』
 【主演男優賞】 ブラッドリー・クーパー 『世界にひとつのプレイブック』
 【主演女優賞】 ジェニファー・ローレンス 『ハンガー・ゲーム』『世界にひとつのプレイブック』
 【助演男優賞】 マシュー・マコノヒー 『キラー・スナイパー』
 【助演女優賞】 アン・ハサウェイ 『レ・ミゼラブル』

次に苦手な映画賞。

 【期待ハズレだったで賞】 『レ・ミゼラブル』
 【お金返してほしいで賞】 『希望の国』

今日は、会社帰りに『ジャンゴ~』を観る予定。
『フライト』もやってるし、来週は早くもサミ・ライミの『オズ~』やるし、
邦画も注目作が目白押しだ。うぅ時間が足らん。
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第85回アカデミー賞を振り返った件。

2013-03-02 00:50:29 | 映画


第85回アカデミー賞が終わって、はや4日が経った。

授賞式当日、有休をとった分、今週仕事がテンパり、明日も休出の見込みだ。。。

で、いまさらながら第85回アカデミー賞を振り返ってみる。

まず全体としては、例年になく非常に面白い授賞式だった。
ヒュー・ジャックマンがホストを務めた第81回以来の満足度。あぁ楽しかった~

予想が難しかった賞レースは、主要部門の受賞作がすべてバラけるという異例の結果に。

突出した映画がなかったという見方もできるが、
どの映画も甲乙つけがたく、押し並べて評価されたという肯定的な見方もできると思う。
個人的には後者の見解で、実際に今年の対象作のほとんどが興行的にも成功していて、
映画ファンの支持も十分受けている健全なラインナップだったと思う。

アン・リーの監督賞受賞は最大のサプライズだったけど、
「ライフ・オブ・パイ」は個人的に視覚効果などの技術賞で留まるには惜しいほどの
傑作だと思うので、主要部門に絡むことができてホント嬉しかった。

また「アルゴ」で作品賞をとった、製作兼監督のベン・アフレックのスピーチにアツくなった。
「人生必ず打ちのめされる。大事なのはまた立ち上がることだ。」って、何とドラマチックなセリフ。
デビュー以降、俳優としてイマイチ芽が出ず、監督という才能を開花させたベンアフに改めて拍手。

WOWOWの放送で三谷幸喜がちゃんと拾ってくれたが、
ジェニファー・ローレンスが壇上に上がる途中、コケた際に、
手を差し伸べようと、彼女の前に颯爽と駆け寄ったヒュー・ジャックマンのナイスガイぶり。
どこまで男前やねん!!と、さすがヒューである。

毎回楽しみにしているパフォーマンスは、その期待値の割にイマイチだった。
親族の不幸に見舞われ激やせしたジェニファー・ハドソンは声量は十分あれど、
ひたすら絶叫しているようで、太っていたころより歌にムードがないし、
逆にお肉たっぷりなアデルは、久々の舞台のせいか声が全然出てなかったし、
シカゴを再演したキャサリン・ゼタ=ジョーンズはわかりやすい口パク。。。

絶賛されていた、レ・ミゼラブルのキャスト陣大集合による夢の合唱は、
後半の個々のパートが折り重なるシーンで、結構音がズレていて危なかったような。。。
まともに感動できたのは「追憶」を歌ったバーブラくらいだった。

しかし、それらを補って余りあるほどの活躍を魅せたのは
司会のセス・マクファーレン。紛れも無く彼が今年のオスカーのMVPだ。

大舞台というプレッシャーをまったく感じさせない、彼の軽妙な司会っぷりが気持ち良かった。
候補作品、映画人たちをちゃんとリスペクトしながらも、
毒舌キャラである自分の色をちょいちょい出す余裕と強かさを併せ持っていて大いに笑った。
その一方で、オープニングから、ラストのパフォーマンスまでやった彼の歌唱力にびっくり。
映画同様に「テッド」の声もやったしホント多彩だ。彼のエンターテイナーぶりは見事。

授賞式のエンドロールでは賞が取れなかったノミニーたちに捧げる笑える唄を、
司会のセスと「glee」でも馴染みのクリスティンと歌って、カッコよかったわ。

ふぅ、1年間待ち焦がれたアカデミー賞が、あっちゅう間に終わってしまった。。。

また新しい映画年が始まる。



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