ディズニーのアニメ映画「シュガー・ラッシュ」を観た。
すげー面白かった。
気づかぬうちに泣かされるパターンの映画。満足。
昨年夏に公開された「アベンジャーズ」で、主要キャラの吹き替え声優を、
宣伝要員の素人芸能人の任せ、映画ファンから大ブーイングを喰らった日本のディズニースタジオ。
本作ではその反省からか、芸能人を端役に回し(でもやっぱ必要なのね。。。)、
主要キャラはちゃんとしたプロの声優に任せている。これで安心だ。
本作は、ゲームセンターに置いてあるゲームの中のキャラクターたちが自分たちの意志をもち、
ゲーム間で交流しているという電脳世界の設定から始まる。
その中の1つの古典ゲームで悪役を演じ続けている心優しき主人公「ラルフ」が、
ヒーローになるために一騒動を起こして、どうこうという話だ。
冒頭から面白くてニヤニヤする。
各ゲームの悪役たちが、互いを慰め合う「悪役の集い」のシーンが、
これまで数々の実写ドラマ映画で「アル中」や「ヤク中」の人たちが、
再起をかけ集う、ありがちなシーンそのままで吹いた。
アナログゲーム、最新のシューティングゲーム、レースゲームと、
まったくタイプの異なる3つのゲームが横断的に描かれるのだが、
ゲームの年齢や世界観によって、同じ画面にいても
キャラの解像度がちゃんと分かれているのが面白い。
アメリカのアニメ映画でいつも感心するのはその脚本力である。
本作も漏れずに素晴らしい脚本だと思うのだが、
本作を観て改めて感心したのが登場人物のキャラクター作りだ。
キャラクターの完成度で、作品の出来不出来が決まると思えるほど、実によく出来ている。
本作の主要キャラは4人なのだが、それぞれの4人の造形によって、
こちらの感情が揺り動かされ、4人の個性によって、物語が綺麗にまとまっていく。
主要キャラを演じた4人の声優も見事にハマっていた。
中でも、やはり主人公ラルフ演じた山寺宏一と、
ヒロインの女の子ヴァネロペ演じた諸星すみれが非常に素晴らしく、
愛おしいキャラが、一段と魅力的になったと思う。
いや~山寺宏一は声優界と超え、芸能界の宝だとつくづく実感。
諸星すみれはまだ13歳の女の子ということなのだが、
あの「落下の王国」のアレクサンドリアも演じていたらしく、嬉しビックリだ。
本作で描くテーマは「役割」だ。
悪役としてモノを壊すことでゲームのきっかけを作るラルフ。
本人が嫌がるうんぬんではなく、彼がいないとゲームは成立しないのだ。
アイデンティティを保ちながら「役割」を演じていく上で何が必要なのか。
本作で描かれる答えは当たり前なれど、感動的だった。
デジタルなゲームの世界というディズニーにしては異質なテーマを扱いながらも、
きちんと「ハート」があって、確実に幸せな気分になれるディズニー映画になってる。
スべることのない、遊び心満載のユーモアセンスも健在。
大人も十分楽しめる完成度に今回もあっぱれだった。
結末で用意されたオチはやや蛇足感があれど、
ディズニー映画らしくもあり、ご愛嬌といったところか。
あと、本編の前に上映した短編アニメーション「紙ひこうき」が、素晴らしい傑作。
運命という奇跡を肯定してくれたファンタジーに、シュガーラッシュを観る前から胸がアツくなった。
【80点】