から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

マン・オブ・スティール 【感想】

2013-08-31 08:30:05 | 映画


新しい伝説の始まりだ。

「マン・オブ・スティール」というスペクタルな映像の波に、
ただ呑み込まれればよい。

「観賞」というより「体験」という言葉が、この映画には相応しい。

試写で3D、公開初日で2Dで観る。2回目でもっと好きになる。

開始5分で映画の世界に埋没する。
冒頭繰り広げられる、クリプト星で起きる事件の始終に、
この映画への期待が確信に変わる。。。

そして夢中のままにエンディングを迎える。

興奮の余韻で、ハンス・ジマーの音楽(ジマー史上最強!)が頭の中で鳴り止まない。
アドレナリンを注入されたように体が冴える。
しばらく「鋼鉄の男」になったような錯覚に陥る。。。
帰宅して、ジマーのサントラ聞いて、腕立て100回やって、筋肉痛になる。

本作は誰しもが知る「スーパーマン」のリブート(再誕生)作だ。
本作のスーパーマンは、クリストファー・リーヴが演じた赤パンのスーパーマンを刷新した。
この刷新具合があまりにも鋭角なため、全米での反応は好評と不評の真っ二つに分かれた。
過去のスーパーマンも悪くなかったと思うが、ファンタジーだけでなくリアリティを併せ持つ、
本作の新しいスーパーマンを自分は支持したい。何しろカッコいいし。

本作で描かれるのは、地球人として生きることになった異星人の物語であり、
なぜ彼が「スーパーマン」と呼ばれるようになるのか、その経緯まで描かれている。

超人的な力を持つ異星人が地球人として生きようとすると、どんな事態が待ち受けるのか、
それを迎える地球人たちはどんなリアクションをするのか、
その視点が終始一貫している。このあたりの描き方はアクションだけでなく、
一級のストーリーテラーである監督ザック・スナイダーの色が濃く出ている。

予告編で観たとおり、(製作)クリストファー・ノーランの映画ではなく、
全編通じて(監督)ザック・スナイダーの映画だった。

生身のヒーローを描いた「ダークナイト」とは違うアプローチをして当然だと思う。
実物主義のノーランに対して、視覚効果で魅せるスナイダー。
超人の活躍を描く本作においては、後者のスナイダーで間違いなく正解だった。
バトルアクションではスナイダー節が炸裂する。やりすぎ感たっぷりだが全然OKである。

映像の特殊効果を最大限に活かし、荘厳さを湛えた迫力の映像の数々で畳み掛ける。
新たな物語の序章として強烈なインパクトを残すことに成功した。

「ノーランの脚本なので、ドラマがしっかりしている」という話を聞いていたが、
1回目はそのビジュアルに興奮してしまったあまり、ドラマの印象はさほど残らなかった。
2回目でようやく噛み締めることができた。親子愛にグッときてしまった。

人物描写がしっかりしている。
これは脚本力というよりキャスティングによるところも大きいと思う。

脇役にガチな演技派俳優たちを揃えてきた。製作陣の本気度がハンパない。
エイミー・アダムス、マイケル・シャノン、ラッセル・クロウ 、
ローレンス・フィッシュバーン、ケビン・コスナー、ダイアン・レイン・・・

ヨダレものの豪華共演だ。
ケビン・コスナー、ラッセル・クロウ、マイケル・シャノン、さすがです。。。
個人的に一番印象的だったのは上記の誰でもなく
ゾット将軍の女副将「ファオラ」演じたアンチュ・トラウェというドイツ人女優。
彼女の演技というよりは「ファオラ」というキャラが非常にカッコよい。
「道徳をなくすことは進化だ」と素晴らしい悪役ぶり。
冷徹な眼差しと言動に加え、戦慄が走るほどのスピードと強さだ。

主役のヘンリー・カヴィルも本作での大抜擢に見事応えている。
漫画を超えるほどの肉体美と、知的で精悍な顔立ち。その容姿だけでほぼ合格だ。
少しキュートな唇と劇中見せる笑顔には、スーパーマンならではの温もりが同居する。

ラストシーンの彼の姿には思わず笑みがこぼれ、次作への期待が無条件に高まる。

大気を切り裂く音速の滑空描写や、衣装や船体などのデザインも思いっきりツボに入った。

ダークナイトシリーズ、ロードオブザリングシリーズと肩を並べるほど、
大好きなシリーズになりそうだ。

重力なき異次元の空中バトルと、宇宙規模のアクションを目の当たりにして、
ドラゴンボールの実写は本作の2番煎じになるので、もはや無理だろうと思った。

【92点】
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リアリティ 【感想】

2013-08-30 01:17:04 | 映画


映画をDVDで観る。

イタリア映画の新作「リアリティ」が面白かったので感想を残す。

ナポリの田舎町で魚屋を営む男(ルチャーノ)が、
イタリアのTV番組(リアリティーショー)への出演を夢見て妄想が止まらなくなるという話だ。
妄想する男の危ない世界を描いた話ではなくて、妄想する男の陽気な日常を描いている。
この手の映画って妄想が止まらなくなった挙句、それが狂気に変わり、
ダークサイドに陥るみたいなことが多いのだが、本作では不幸な(不幸に見える)男の顛末を、
楽観的に映しているのがユニークだ。なので、本作は紛れもないコメディ映画。笑えて楽しい。
デニーロの「キングオブコメディ」に似ている感じだが、自分は本作のほうが飽きずに見られた。
主人公に閉じた世界の話ではなく、それを取り巻く人たちの反応をひっくるめて描いている。
舞台となるナポリの田舎町が清々しい。太陽光が燦々で、そこに住まう人々もみな陽気だ。
近所に住むルチャーノの親戚や近所の友人たちは、人情味たっぷりでとても世話焼きだ。
「かけがえのない仲間たちがいるぜ!」的な暑苦しさは微塵もなく、日々の近所づきあいの中に
自然と思いやりが存在している。このカラッとした人間関係がナポリの風ともシンクロする。
イタリアというと、おしゃれでシュッとした人たちを連想していたが、
本作では生々しくデブった人たちが多く出演している。人間腐さが増して良い。
カメラの視点が終始主人公ルチャーノの視点に近いところにあるので、
やや窮屈な画になる反面、妄想する男に映る世界を現実感たっぷりに見せてくれる。
ラストのクライマックスはまさかの展開だった。打って変わって幻想的なラストが憎い。

【70点】

ほかDVDの感想。。。。

【ダイ・ハード/ラスト・デイ】(40点)
劇場観賞をスルーして正解。酷い。マクレーンが望まない状況に巻き込まれて、
創意工夫でサバイブしつつ、悪をやっつけるシリーズの魅力が本作では希薄過ぎる。
用意周到のアクションや、「愛してる」などと湿っぽい親子愛はいらない。
タイトルの「死なない」ことを言いことに、芸のない大味アクションはシリーズへの甘え。

【10人の泥棒たち】(60点)
「面白くなかったらポイントバック」というTSUTAYAの文句に踊らされてレンタル。
韓国版オーシャンズイレブンといったところだが、言うほど面白くない。
2転3転する予測不能な展開がウリっぽいが、ばら撒いた伏線が綺麗に回収されない。
クライマックスのアクションはさすがの見応えだが、それまでは冗長。
シニアカップルのロマンスは不要。

【テッド】(70点)
劇場公開で見たが、吹き替え版見たさで再見。
有吉のテッドは良くも悪くもと言った感じ。キャラの馬鹿さ加減は字幕版のほうが際立って良い。
DVDではメイキングが見られてラッキー。セス・マクファーレンの多才ぶりに驚く。
ジョヴァンニ・リビシの腰振りダンスは何度見ても気持ち悪くて最高。
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Short Term 12 【気になる映画】

2013-08-27 00:12:47 | 気になる映画


先週末、全米で公開され、批評家たちの大絶賛を浴びている面白そうな映画を見つけた。

「Short Term 12」という映画。

全米でもわずか4館でしか公開されていないインディーズ映画であるが、
ロッテントマトではレビュー数はまだ少ないものの98%のフレッシュ、
ロカルノ映画祭などの映画祭でもちょくちょく賞をとっている模様。

映画の内容は孤児院を舞台に、若き指導員と孤児たちの交流を描いたドラマらしい。
思うように生きられない現実に直面し、もがく若者たちの姿を通して、
人生の意義を見出していくといった物語らしい。

予告編を見る限り、ドキュメンタリーのような質感の映画だ。
キャラクターたちを静観し、真意を見つめるような観察眼がうかがえる。
「明日、君がいない」の空気感に似ている。気になるなー。

また、本作のレビューをみると主演のブリー・ラーソンへの賞賛が目立っている。
ブリー・ラーソンといえば、傑作コメディアクション「21ジャンプストリート」で、
ジョナ・ヒル演じるイケてない男子高校生(ホントは警官)の相手役だった女子だ。
ジョナ・ヒルとチャイニング・テイタムが際立っていたため、さほど印象に残っていなかったが、
本作で早くも次のオスカー賞レースの主演女優ノミニーになりそうな予感がする。

オスカー賞レースではインディーズ枠として(そんな枠はないが)、
「Fruitvale Station」に並ぶダークホースになりそうだ。
日本公開は来夏くらいかな。。。。

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スター・トレック イントゥ・ダークネス 【感想】

2013-08-23 07:47:14 | 映画


今年の夏公開ハリウッド映画の中で、全米で最も評価が高かったのは、
「スター・トレック イントゥ・ダークネス」だった。ダントツである。

個人的に苦手な監督、J・J・エイブラムスの映画のなかで
唯一ハマった「スター・トレック」(2009年)の続編とあって公開を楽しみにしていた。

で、先週の先行上映で観に行った。

非常に面白い。そして男泣きの映画だった。

本作は、前作「スター・トレック」で描かれた世界の1年後に起きた事件を描いている。

都市部で大規模な爆破事件を起こしたテロリスト(ジョン・ハリソン)を、
前作から引き続きのエンタープライズ号の乗組員たちが追っかける話だ。

本作で特筆すべきは、完成度の高い脚本と、
ジョン・ハリソン演じたベネディクト・カンバーバッチの存在だろう。

130分というストーリーの中で、
これほど実の詰まった脚本は久しくなかったと思う。

本作では、若き乗組員たちの前作からの成長がしっかりと描かれている。
そして彼らの個性を有機的に結合させることで、展開を盛り上げることに成功している。
目まぐるしいスピードで物語が進む中、その形状は姿形を変えながら、
誰が欠けても成立しない絶妙なバランスを常に保っているのだ。
「うーむ!」と何度も劇中、唸ってしまう説得力。これが気持ち良い。

メインキャラである熱血漢で本能のままに生きるカーク船長と、
冷静沈着で論理派のスポックの名コンビは、前作に引き続き健在だ。
2人のテンポと温度差が楽しいばかりでなく、前作以上に合理的に機能している。
そして2人のクライマックスには完全にやられた(泣。
スポックの「奇跡なんてない」のセリフが実に秀逸だ。

前作では、勢いだけが先行して主人公としての器に疑念を抱いたクリス・パインであったが、
役柄同様、経験を経て落ち着きが出てきたようだ。カーク船長としてようやくしっくりきた。

そして、本作のもう1つの勝因はカンバーバッチだ。(シャーロック3、早く放送してくれー!)

彼に熱狂する日本女子たちの熱にやや冷ややかな目で見てしまうのだが、
その先入観をも忘れさせてしまう、素晴らしいパフォーマンスだった。
観る人を惹きつけるという意味で「カリスマ」という言葉がピッタリだろう。
狂気と哀しみを湛えた彼の佇まいと、凄みのある迫力により、映画がよりドラマチックになった。
ちなみに次のオスカー賞レースでは、彼が主演する別映画「TheFifthEstate」で
カンバーバッチが主演男優賞にノミネートされると密かに睨んでいる。。。

全編を通して情報を盛り込みすぎて、やや忙しない展開に、
作家性よりも商業色の強いJ・J・エイブラムスの影がチラつくが、
面白い映画なのは確かなので、降参だ。

日本での興行収入は50億(マジか!?)を目指しているらしく、
「人類最大の弱点は愛」だとかいう話題作り先行のイキった超訳や、
広告宣伝費の大量投下(おそらく今年の洋画の中で最大)に、
ちょっと抵抗感を感じているが、ヒットに相応しい映画だと思う。

乗組員たちは仲間であり、友人であり、家族だ。
正義と悪の区別なく、その絆が試される人間ドラマとしても見ごたえがあった。
前作同様、お約束みたいになっている、針の穴滑空もスリリングで楽しい。

だけど、やっぱ50億はないだろうな~。
20億いけば上出来だろう。

【80点】

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マジック・マイク 【感想】

2013-08-17 08:46:34 | 映画


昨年から公開を楽しみにしていた「マジック・マイク」を観る。

期待値が高すぎたせいか、物足りなさも感じたが大いに楽しむ。
真夏のマッチョ祭りだ、わっしょい、わっしょい!!

観た場所は渋谷のル・シネマ。
全米で昨年大ヒットを飛ばしたが、日本ではウケないと踏んだのだろう。
元配給のワーナーは日本での配給は行わず、CCC(TSUTAYA)が配給した。
なので、公開規模は小さく、都心部での限定公開だ。勿体ない。

本作は、男性ストリッパーたちの生き様を描いたドラマだ。

物語はチャイニング・テイタム演じる主人公マイクと、
アレックス・ペティファー演じるアダムの2人を軸に展開する。
マイクは「マジック・マイク」と愛称を持つ、ストリップクラブのスターだが、
ストリップは自身の夢の実現に向けた資金集めのためにやっている。
一方、マイクと出会い、ストリップの世界に足を踏み入れたアダムは、
ストリッパーとしての才能を開花させ、その世界で生きがいを見出していく。。。
同じストリッパーでも違うベクトルを持つ、2人の交差が鮮やかに描かれる。

映画と肉体の相性はやはり抜群だ。本作で再認識する。

本作の肉体は男子の「筋肉」だ。

隆起した大胸筋に、綺麗に割れた腹筋、
後ろを向けば、締まりに締まった臀部がお目見えする。
研ぎ澄まされて光る肉体が、小さな舞台で躍動する。。。
ストーリー自体は特筆して面白いこともないのだが、
本作には、それだけでエンターテイメントなってしまう強さがある。

単に裸で踊るだけではなくて、ショーとして観客を楽しませる演出も盛りだくさんだ。
「ターザン」「ドクター」「軍隊」やら、趣向を凝らしたショーで盛り上げる。
そのベースには常に裸体があるのだが、そっちの趣味のない男子が見ても十分に楽しめる。

現在、ハリウッドで旬を迎えているチャイニング・テイタムが輝く。
本作は彼自身の実体験に基づいているらしい。演技はやはり巧くないものの、
経験者ならではのキレキレのダンスパフォーマンスはさすがである。
思っていたより露出不足だったのが残念だが、肉体の露出だけではなく、
体技で観客を沸かせるというのも、ストリップクラブのリアルなのかもしれない。
また、正統派ハンサム男子のアレックス・ペティファーや
海外ドラマで馴染みのマット・ボマーのエロい体はかなりの儲けものだ。

そして、クラブのオーナー役を演じたマシュー・マコノヒーがとても素晴らしい。
ショーの舞台裏では個性豊かなメンバーたちを結束させ、
最高のパフォーマンスに仕上げるために、独特のリズムで仲間たちの士気を高める。
「ここのタッチは禁止だぜ。だけど今夜は違反者がいっぱい出そうだな」(女子、キャーキャー)と、
舞台に上がれば、会場のボルテージを一気に上げる粋なMCと、
1ストリッパーとして、ド迫力のパフォーマンスを魅せる。
40を過ぎてあの肉体は犯罪だ。紐パンが最高に似合ってカッコよすぎる。
ときに経営者としてのドライな視点と、ベテラン相応の枯れ具合が、
勢いだけに走りやすい作品に、リアリティと深みを与え、本作を別次元の映画に引き上げた。
他作品を含め、2012年はマシュー・マコノヒーの年だったと言っても過言ではなかっただろう。

まったく趣味ではないが、もう少し露出多めに魅せたほうが面白かったと思う。
余計な描写をそぎ落とし、淡々と画を組み立てる監督ソダーバーグならではといったところか。
だけど、マイクと女子のロマンスはやや不十分で、ちと残念。

昨年、全米でヒットした理由は全米女子たちのアツい支持があったようで、
劇場では観賞中、女性たちの黄色い歓声を上がっていたらしい。
劇中でも印象的だったのが、男性ストリッパーたちが舞台から降りる接近に対して、
遠慮なく、興奮してリアクションをとっていくところだ。正直な肉食系女子たちだ。
「フルモンティ」のブヨブヨ体型のおっちゃんストリッパーに、ノリで盛り上がるのとは違う。

自分が見た劇場では大半が女子で、その健全ぶりに安堵したが、
さすがに歓声は上がらなかった。一部、男子外国人2人組のリアクションが大きかったくらい。
本作に限らず、日本もアメリカくらい劇場でリアクションできれば、
日本の映画文化も変わるんだろなーと思った。

【75点】
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ワールド・ウォーZ 【感想】

2013-08-15 07:12:28 | 映画


ブラピが製作、主演した新作「ワールド・ウォーZ」を観た。

新しい切り口のゾンビ映画。なかなか面白い。

本作はウィルス感染により人間のゾンビ化が蔓延する世界で、
その解決策を探るために奔走する国連捜査官を追ったものだ。

ゾンビ感染をパンデミックとして描いている。
普段の平穏な日常にゾンビ病が蔓延したらどうなるのか、
あくまでフィクションだが、人間たちのリアクションが生々しい。

「人間を1人救えば、ゾンビが1体減る」というセリフが象徴的で、
オセロゲームのようなスピードでゾンビ化が進む。
本作で描かれるゾンビは身体能力が極めて高い。
走れば速いし、飛べばすごい跳躍力だ。そして獰猛でしつこい。
逃げても、あっちゅう間にかぶりつかれて、即ゾンビだ。
感染スピードも速いので、ゾンビ1体が起点となっても大量ゾンビに変貌してしまう。
まるで体内に入ったウィルスが血液を媒介し、一気に全身の細胞を蝕むかのようだ。

本作においては、このスピード感がとても重要で、
物語のスリルに巧くつながっている。

予告編含め、前情報をあまりインプットしていなかったので、
「そこで!?マジか!」とビビるシーンが多くて目が離せなかった。

また、ブラピ演じる主人公の捜査官のヒーロー像が面白い。
紛争地帯など様々な修羅場をくぐり抜けてきたサバイバルのプロフェッショナル。
何を捨てて何を取るかという判断を瞬時にできる男だ。
腕っ節の強さではなく、経験に裏打ちされた知能・スキルと
冷静な判断力によって危機的局面を次々と打開し、解決策を見出していく。

物語のヒーローをリアルで説得力のある人間に仕上げたことで、
虚構のゾンビ映画でありながら、世界観がグッと引き締まった。
物語のオチも素直に受け止められて頷いてしまう。

監督は人間ドラマのイメージが強いマーク・フォースターだったらしい。
本作のように、ジャンルは変わってもダイナミックな映像で魅せてくれる。多才だ。
家族愛はそんなに感じられなかったけど、これはこれでOK。

散々こすられてきたゾンビ映画であるが、ミステリー映画を観たような味わい。

だけど、本物のゾンビファンは本作のような映画はハマらないだろうな~

【65点】
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海外ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ 第一章」の感想

2013-08-13 22:09:50 | 海外ドラマ
海外ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ第一章」のDVDを、レンタルで全10話観終わった。



感想を一言で言うと、「第二章を早く観たい」。

第一章は10話中、7話目でようやく夢中になってきた。
7話目で物語が大きく動き出すからだ。

それまでのエピソードもつまらないわけではないが、
7つの国にわたる壮大な世界背景があるだけに、多くの登場人物たちの位置づけ、
個性を説明するのには、相応の時間がかかるというもので、仕方ないがやや冗長だった。
なので第一章は「次回を観ないと気が済まない」といった中毒性は低い。

当初、ドラゴンやらが出てくる「ロードオブザリング」的なファンタジーを期待していたが、
実際は、どこかで見たことのあるような色彩の中世戦国時代の覇権争いを描いた話だった。
覇権争いをする登場人物はすべて生身の人間である。

覇権争いといっても、第一章は王族、貴族たちの駆け引きを中心にサスペンス劇の色が強い。
戦いのダイナミズムを感じることになるのは、第二章あたりからのようだ。

第二章以降、物語の中心にある「スターク家」の逆襲に大いに期待してしまう。
第一章での、スターク家に対する仕打ちがあまりに惨く、
イライラが募るが、同時に逆襲への期待が高まり、熱を帯びて見てしまう。
その時点で製作陣(脚本)の術中にハマっているのだろう。
卑劣で病的なまでに残酷な少年王に、半沢直樹よろしくな「10倍返し」をお見舞いしてほしい。

スターク家の王で第一章の主人公を演じたショーン・ビーンや、
ハリウッド映画でも馴染みのある小人症のピーター・ディンクレイジを除いて、
出演陣は皆初めて聞く名前の俳優である。

スターク家は3男2女の子だくさん家で、私生児、里子も入れると5男2女の大所帯だ。
物語の軸となる王族なだけに、それぞれのキャラが立っていて面白い。
中でも次女のアリアと、次男のブランが印象的だ。
アリア演じるメイジー・ウィリアムズは天才子役といったところ。情感を瞳で魅せる。
ブランは少女漫画に出てきそうな可愛い男の子で、見るたびに癒されるのだ。

そして本作で最もスパイシーなのが、狡猾かつキレ者を演じたピーター・ディンクレイジの存在。
これまでコメディ映画を中心に、身長135センチという体型もあってか、
画面の賑やかにしに近い役柄が多かったが、「こんな演技ができる俳優だったんだ〜」と驚く。
素晴らしい助演ぶりだ。本作でGG賞やエミー賞を獲っていたらしい。
彼が2003年に主演した「The Station Agent」、いい加減にDVD化してくれないかな。。。

本作はお色気サービスも、ちゃんとあるのがよい。
娼婦役の色白女子の惜しみなく披露される豊満ボディが目の保養になる。

第10話のラストシーンを観てしまったら、
第二章を観ないというのは無理なこと。
脚本がえげつないな。笑
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パシフィック・リム 【感想】

2013-08-10 09:01:22 | 映画


「パシフィック・リム」を観る。。。。。熱狂する。
2013年、今年の私的カルト映画にほぼ確定。

男子の男子のための男子による映画。
興奮のあまり、はしゃぎたい衝動を抑える。
女子にはこの楽しさがわかるまい♪

公開初日であったが、試写を含めて2回目のリピート鑑賞。吹き替えIMAX3D。

本作は世界を破壊し尽くす巨大怪獣と、
それに対抗するために作られた巨大ロボット「イェーガー」との戦いを描いた話だ。

字幕版で観たときは、ドラマ不足に感じたが、
吹き替え版(映像重視)で観た結果、ドラマの分量がちょうど良かったことに気づく。
本作は吹き替え版の方が格段に面白い。プロの声優を配したワーナーに感謝。

日本に媚びたようにも見える芦田愛菜のキャスティングは正直シラけるが、
菊池凛子はそのアニメチックな顔つきで映像世界にフィット。
英語力はイマイチなので、林原めぐみの吹き替えで丁度よい。

本作は怪獣VS巨大ロボットのバトルをいかに楽しく見せるか、
確信犯的にその一点にフォーカスしているようだ。(たぶん・・・)

それが、こちらの想像を凌駕するほどのクオリティで素晴らしい!!!

巨大ロボットのスケールに相反して、細部に渡る徹底した作り込み。
4体登場する巨大ロボットの造形と技の個性が非常に楽しい。
中でも、個人的にはロシア製で原子力を動力源としている、
「チェルノ・アルファ」(ネーミングがブラック。笑)が虚無僧みたいでダサかっこよい。

怪獣とのバトルは、「こうなったら面白い」というツボをもれなく抑えている。
そのキマリ具合がカッコ良すぎて、途中何度も涙ぐむ。

地上戦、空中戦、海上・海中戦と、戦いの舞台は多岐に渡り、
肉弾戦が中心だが、ド迫力たっぷりの攻防は実に圧巻。手に汗握るの一言。
少年期に空想していた世界がここにある。

敵である怪獣も単細胞に見えて、手強い試合巧者なのが面白い。

その描写の1つ1つにギレルモ・デル・トロのセンスとオタク愛が溢れる。

怪獣たちには寄生虫がいたり、粘度の高い怪獣たちの臓器が登場したり、
デル・トロ映画には欠かせないロン・パールマンが美味しい役どころだったりと、
デル・トロっぽいユーモアとスパイスが、本作のようなスケールのデカい映像の中でも、
ちゃんと効いているのが彼のファンとしては嬉しいではないか。

本作を単に「B級映画」と揶揄するのは嫌だ。
男子の夢を実現させたデル・トロの偉業を称えるべきだ。

本国アメリカでは、批評家たちの高評価のわりにコケてしまったが、
世界興収で盛り上げて、是非ともシリーズ化してほしいものだ。

これだから映画はやめられない。

【95点】

チェルノ・アルファ〜〜〜!

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The Spectacular Now 【気になる映画】

2013-08-06 00:11:38 | 気になる映画


先週末より全米公開された「The Spectacular Now」が批評家から温かい称賛を浴びている。

今年1番の青春ラブストーリーの予感。

「ファミリー・ツリー」で注目したシャイリーン・ウッドリーの久々の出演作として気になっていた。
彼女の気だるそうで少し不良の香りがする顔立ちと、あのハスキーボイスがたまらない。

映画のあらすじは、パーティ三昧で今を謳歌している男子高校生と、
SFオタクな女子高生の恋愛模様を描いた話らしい。

気になる女子、シャイリーン・ウッドリーは後者の地味な女子高生役らしい。

相手の男子高校生演じるのはマイルズ・テラーだ。

彼を初めて観た「ラビットホール」での演技がとても印象的だったが、
薄目で見てもイケてる男子とは思えないルックスである。

イケてない男子(マイルズ・テラー)と、イケてる女子(シャイリーン・ウッドリー)という構図が
イメージとして自然だが、その逆ということらしい。
どんな仕上がりになっているのか非常に気になる。。。

Rottenでの90%という驚異的な支持にも表れているように、
単純明快な青春ドラマとして終わっていないという。
レビューコメントを見てみると、誰しもが共感しうる10代ならではの感性が、
時に痛く、みずみずしく描かれている模様だ。
そして主演2人のパフォーマンスが絶賛されている。
なんだか「500日のサマー」っぽいな。

日本公開は間違いなく来年だろうな。早く公開を決めてほしい。
DVDスルーはよして。

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ローン・レンジャー 【感想】

2013-08-04 09:30:08 | 映画


「パイレーツ・オブ・カリビアン(シリーズ)」が苦手だ。
何もかもが曲芸に見えて、シラける。

今週末公開されたばかりの「ローン・レンジャー」は、
前評判通り「西部劇版パイレーツ・オブ・カリビアン」だった。

先月アメリカで公開されるやいなや、大コケ。
1ヶ月以上経った現在でも、2億ドル以上かけた制作費の半分も回収できていない。
ジョニー・デップ好きが多い日本での興行収入合わせても、たぶん赤字になると思われる。
Rottenでも27%のフレッシュで、批評家からも大ブーイングだった。

なので、完全にDVDスルーの予定だったが、一部の日本のレビューサイトで
意外な好評だったので「もしかして?」と思って観た。

本作は西部開拓時代のアメリカを舞台に、アーミー・ハマー演じる検事(ジョン)と、
ジョニー・デップ演じるインディアン(トント)が悪の一団に立ち向かう話だ。

2時間半という長い上映時間の9割が、退屈。
昔話を老人から聞いている男の子の眼が、クリッとしていて可愛いなーって思うくらい。

特殊メイクから連想されたように、ジョニー・デップはパイレーツ~に引き続きピエロだ。
トボけた言動がユーモアとなって、場を和ませる役割を担っているようだが、
狙いにいった笑いに「だからそういうの苦手なんだよなー」と苦笑。
だけど、劇場ではちゃんと笑いが起きていて、こうして響く人たちがいるから、
パイレーツ~シリーズもちゃんと日本でヒットするのだろうな。。。と再認識する。

「悪霊ハンター」と前情報で聞いていたトントは、悪霊ハンターではなく、
ちょっとはみ出しものの普通のインディアンだった。勿体ない。

「ローン・レンジャー」こと、アーミー・ハマーは本作の主人公に適しているかは別にして
彼の精悍な顔立ちとスケールのデカイ体つきは、こうした娯楽作とは相性が良い。

彼らのコンビ意外に大きな戦力になる白馬「スピリット・ホース」の存在が面白かった。
ありもしない超人(馬)的なパフォーマンスも、ファンタジーにおいては自然に映る。

ひたすら退屈と思えた本作だが終盤から、意外と面白くなってきた。
西部開拓時代は、入植者によるインディアン迫害の歴史でもあり、
そのあたりが結構真面目に描かれていた。「銀」資源もちゃんと絡めている。
インディアンの血を引くジョニー・デップがトントを演じたのも因果かも。

それとクライマックスのバトルが結構盛り上がる。
これは「ウィリアム・テル序曲」の音楽によるところが多分にあるが、
「パ~パララ~♪」お馴染みのメロディが高らかに流れ、
爆走する列車を舞台に、白馬に乗ったローン・レンジャーとトントが、
縦横無尽に敵を倒し、駆け回る姿はなかなか楽しい。
絶対に死なないという安心感があっても見ごたえがある。

観て後悔はなかったものの、他の監督、演出家だったら、
もっと面白く作れたのでは、と思う映画だった。

日本ではやたら「キモサベー!」とCMで連呼してるけど、
そのセンス、ダサいな。

【55点】









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バーニー みんなが愛した殺人者 【感想】

2013-08-03 10:49:22 | 映画


先週、ジャック・ブラックの久々の新作「バーニー みんなが愛した殺人者」を観た。

Rottenで2012年のコメディ部門でNo1の評価を受けていた映画だったので
日本公開を楽しみにしていたが、やや肩透かしをくらった感じだ。
このテの小粒映画は大概DVDスルーになるので
劇場公開までこぎつけた配給会社には感謝するけれど、
個人的にはDVDスルーで良かったかも。「21ジャンプストリート」の逆パターンだ。

本作は1996年、アメリカのテキサス州で実際に起きた事件に基づく物語だ。
39歳の葬儀屋の男「バーニー」が、81歳の大富豪婆ちゃんを殺害した事件。

観終わった後に、この事件について調べたら、
以前にTV番組の「奇跡体験アンビリバボー」でも、
世界で起こった珍事件として、その全容が再現VTRとともに紹介されていたらしい。

その放送内容を観ると、映画で描かれていた内容とほぼ同じものだった。

この事件が普通の殺人事件ではなく「珍事件」たる理由は、
殺害者のバーニーが、町一番の心優しい人間で誰からも愛される市民であり、
そのバーニーを減刑にしようと町民たちが擁護した点にある。
一方で殺された大富豪婆ちゃんは、支配欲が強く誰に対しても意地悪な人間だった。
彼女は町一番に嫌われていたので、町民たちの動機もスンナリ受け入れられる。

「善き人」と「悪しき人」が出会ったことによる悲喜劇が描かれる。
まるで童話のようだ。

物語は、2人を取り巻く町民たちの証言を中心に、
過去の事件を振り返る構成になっている。

具体的なエピソードを絡め、様々な視点で、
2人についての町民たちの証言が出るが、

「あんな良い奴(バーニー)はいない」
「あの人(殺された老女)は最低だった」
総じると、この2つのことしか話していない。

「(撃ち込んだ銃弾が)5発じゃなくて3発なんだから、刑は軽くなるでしょ?」といった、
町民たちのトボけたコメントにユーモアを感じるとともに、
その過剰にも見える擁護に「もしかして町民たちは洗脳されている??」と一瞬思う。

しかし、そうした作為が劇中感じられないため、思い過ごしと判断することに。。。

2人の描かれ方が「真にいい人」「真に悪い人」に留まっているのが物足りない。
「人は知らないうちに人を洗脳している」という解釈もできるが、
本作においては、そのヨミはあまりにも飛躍し過ぎていると思う。

深読みをしてしまうと、つまづいてしまうものの、
コメディ映画としては普通に笑って楽しめる。

主演のジャック・ブラックが絶品だ。
ますます超えてきた体型に、丸みを帯びた四角い顔。
目、鼻、口といった顔のパーツがセンターに寄っていて、チョビひげが妙に合う。
似顔絵が描きやすい恵まれた容姿に加え、
天然な(病的にも映る)善人を軽やかに体現する。
彼の朗らかな歌声と、1センチだけ宙に浮いているような、
フワフワとしたダンスが非常に楽しい。
ジャック・ブラックを語るためには必須の1本といえよう。

大富豪婆ちゃんを演じるたのは、久々に見た大女優シャーリー・マクレーンだ。
ただ憎たらしいだけでなく、チャームを感じてしまうキャラになっているのが正解だ。
揚げ豆を音を立ててひたすら食っている表情が最高(笑。

本作がコメディ映画として成立しているのは、2人の好演によるところが大きい。

田舎町の検察官役のマシュー・マコノヒーも良いスパイスになってる。

「映画のような実話」を「映画にした」という映画で、
前評判以上の感動はなかったものの、まずまず楽しかった。

【65点】

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