から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

ドライヴ 【感想】

2012-03-31 23:57:17 | 映画
今年度のマイベスト1映画の候補現る。

「ドライヴ」は紛れもなく映画史に残る傑作。

見終わって1時間後の今、興奮が収まらない。

日本公開の初日である今日。
昨年の全米公開時から今か今かと日本公開を楽しみにしていた。
期待のあまり、逆に大コケしたらどうしようという不安で緊張すらしていたが、
その想いは一蹴された。

これぞ映画だ。
そして最高にクールでカッコいい!!!

脚本、演出、映像、アクション、キャスティング、音楽、
映画を構成する全てが高いレベルで際立ち、融合。
上映時間100分間、恍惚のドライブに誘ってくれた。

本作は、ライアン・ゴズリング演じる、超絶なドライビングテクを持つ名もなき男の話。
昼は自動車の修理工場で働く傍ら、ハリウッドでカースタントの仕事をし、
夜は強盗犯の逃走を手伝うドライバーという2面性を持つ。
その男がキャリー・マリガン演じるアパートの隣人アイリーンと恋に落ち、
マフィアの抗争に巻き込まれる中、命をかけてアイリーンとその子どもを守る話だ。

話は極めてシンプル。任侠映画を観ているかのような古典的な筋だが、
余分な物語を排除し、限られたキャラクターにフォーカスしたことで、
監督が描きたかった世界を強固にした気がする。

監督は日本公開作品としては本作が初となるデンマーク人監督ニコラス・ウィンディング・レフン。
同監督の過去作のトレーラーを海外サイトで見てみると、
本作にも共通するのは肉弾戦なバイオレンス描写といえそう。
本作においてそれは思わず面食らうほどの残酷性を帯びていたりするが、
ライティングやフレーミング、挿入音楽等、監督の計算しつくされた映像世界の中にあって、
時に華麗で美しさすら覚えるほどだった(個人的に)。
ところどころ違和感のあるシーンも監督の強いコダワリによるものだろうが、
自分はどれも肯定的に受け止められた。

そして、なんといっても主演のライアン・ゴズリングのカッコよさったらハンパない。

研ぎ澄まされた筋肉質ボディは鋭い刃のようで、本作の映画そのものだ。
面長でシャープなアゴのライン。クセのある顔立ちは映画史に名を残す2枚目俳優の常。
修理工場での油にまみれたヨレヨレTシャツからは、その分厚い胸板が透ける。
そのTシャツの上には、背後にデカいサソリを刺繍をあしらったシルバーのスカジャン(ほしい!)。
ライアン演じるドライバーを突き動かすのは、アイリーンとその子どもへの純愛と秘められた凶暴性だ。
セリフがほぼなく寡黙で、何を考えているかわからないポーカーフェイス。
わずかに覗かせる悲哀、孤独、喜び、怒りといった感情の起伏を繊細かつ大胆に表現する。
今最も注目されているハリウッドスター、若き演技派ライアンの真骨頂。
そして彼の色気にひたすらシビレた。自分もああなりたい。。。
「君に読む物語」「ラースとその彼女」「ハーフネルソン」「ブルーバレンタイン」「ラブアゲイン」と、
その役柄を選んで自身のキャリアを紡いできたライアンの今後の活躍が本作でさらに加速しそうだ。

そしてヒロインのアイリーン役のキャリー・マリガン。
彼女を見るのは「私を離さないで」以来となるが、ずいぶんと大人っぽくなり、
ブスカワな女の子が、個性的な顔立ち美人になった印象。
本作において、甘くなり過ぎて弛まないロマンスは、彼女の存在感あってのことだ。

ライアンとキャリーのエレベーターでのキスシーンは映画史の残る名シーン。
ロマンスとバイオレンスのコントラスト、
美しくも惨たらしい描写に引き込まれ、鳥肌が立った。
ああ、もう一回観たい。。。

他にもリアルで怖すぎるマフィアのボス演じたアルバート・ブルックスや
自分の大好きなヘルボーイでお馴染みのロン・パールマン、
悪役が定着していてやや勿体ないオスカー・アイザック等、ナイスなキャスティングだ。

使われる音楽のセンスも最高。
久々にサントラを買おうと思う。

昨年、アメリカでも大絶賛された本作。
数々の映画賞に輝くも、
オスカー賞レースでスルーされたたのがやっぱり許せないー。
特にライアン・ゴズリングの主演は、ブラピと変わってほしかった。

ロサンゼルスの宝石箱をぶちまけたような美しい夜景をバックに
ネオンピンクの鮮烈でカッコよいタイトルバックから、ラストまで
スリル・緊張が全力疾走で駆け抜けるような爽快感。

闇を切り裂く一筋の閃光が如く。
かつてないほど美しいノワール。

この映画を表現するドンピシャな表現が見つからないけど、
自分は「ドライヴ」の大ファンであることは間違いない。

これだから映画はやめられない。

【98点】
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マリリン 7日間の恋 【感想】

2012-03-31 16:10:34 | 映画
ミシェル・ウィリアムズの新作「マリリン 7日間の恋」を観た。
彼女は本作で前作「ブルーバレンタイン」に引き続き2年連続のオスカーノミネートとなった。

本作は往年のハリウッドスター、マリリン・モンローが、
イギリスでの映画撮影時、助監督の青年とアバンチュールする話だ。

ただし、正確に言うとマリリン自身が恋をしたというよりは、
大女優に出会い恋をした助監督である青年の物語だった。

物語の最後までマリリンが相手の青年に対してどういう感情をもって、
その「7日間」を過ごしたのか、わからない。
描かれるのは助監督の青年の想いのみで、
マリリンの本心はいかようにでも解釈できる。
観客側の想像力に委ねる演出だったのかもしれない。
個人的にその魅せ方には賛成である。

本作でのマリリンは既に世界的なスターになっていて、
スクリーンでの華やかな彼女と、知られざる素顔の両面が描かれる。
その素顔に恋をしてしまう助監督なのだが、
こちらの観客側もミシェル・ウィリアムズ演じるマリリンを
好きになれるかどうかが、本作にハマれるポイントになると思った。

で、個人的にはハマらなかった。

自分はマリリン・モンローの映画を観たことはないが、
その姿はテレビ番組のVTR等で何度も観たことがある。
肉感的で豊満なボディと分厚い唇が印象にある。
当時「セックス・シンボル」と言われたそのイメージと、
ミシェル・ウィリアムズのイメージが全く重ならないが、
観ていくと、知られざる素顔のマリリン・モンロー、という設定が手伝い、
新しいマリリン像としていくらでもイメージが作れる。
なので、知っているマリリン・モンローに似ている必要はあまりないため、
中盤以降、ボリューム不足なミシェルでも割と違和感なく見られた。

しかしながら、マリリンの描かれ方が個人的に不満。
オーラを放つべき大女優の姿と、苦悩する一人の脆い女の子的な素顔のコントラストが弱い。
そのギャップに男子はメロメロになりたいのだが、後者の印象が一方的だ。

素晴らしい演技で魅せてくれたミシェルであったが、この穴は埋められない。
「ブロークバックマウンテン」しかり「ブルーバレンタイン」しかり、
やはり彼女には生活臭漂う役が似合うと思った。

本作でミシェル同様、助演でオスカーノミネートとなったケネス・ブラナーの抜群の巧さ、
役柄同様、大御所イギリス女優ジュディ・デンチの存在感が本作を盛り上げてくれただけに
個人的にはちと残念。
飽きらめることで成長する青年の姿等、
本来もっと感慨深くなれる要素も多々あったものの、入ってこなかった。

【60点】


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映画「モテキ」のDVD届く。

2012-03-26 21:36:29 | 日記
昨年、映画館で観た映画「モテキ」のDVDが先週土曜日届いた。

買ったのはモテキ DVD豪華版(2枚組)だ。
定価は6000円だが、DMMの半額セールで3000円で入手した。



結構な厚みだが、開けてびっくり。スカスカである。
このかさましは結構エゲツない。

中身を普通に梱包したら、この厚みの3分の1にはなるだろう。
6000円という決して安くない価格帯を考慮し、
店頭購入で手にとった時の満足感を想定してのことか。

映画がヒットしたことに味をしめ、
あらゆる手段で売りさばこうというテレビ東京のいやらしさが見える。
半額で買って正解だった。

しかしながら、収録されている映像はまさに「余すところナシ」だ。
何の出し惜しみもなく、収録した映像をこれでもかとぶっこんでいる。

各出演者・キャラクターにフォーカスした裏側のドキュメンタリーや、
映画では割愛された未公開シーンの数々。

中でも主演森山未来と、セカチュー以来の共演となった、
長澤まさみとのオフトークが興味深く、面白かった。
演じる職業って大変なんだなとつくづく思った。

また演者だけではなく、スタイリト、美術スタッフなど、
裏方スタッフの活躍にもスポットが当たっているシーンもあった。

サブカル小道具のコダワリがすごい。
学生時代、写真部に在籍していた時、
本作映画に出てくるサブカルまみれな人たちがいっぱいいたことを思い出す。

4月にクランクインして、9月に公開したという本作。
映画界のこれまでの常識を覆すようなスピード感だ。

DVDで見返して、テレビサイズな印象は拭えないものの、
やっぱり面白い。

(それまでの準備はあったとしても)即席で撮影して、すぐにリリースするという、
ある意味、お手軽な映画の普及は歓迎すべきことなのかもしれない。










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戦火の馬 【感想】

2012-03-21 23:24:16 | 映画
今週火曜20日、近くのシネコンで映画が1000円で観られる日、
スピルバーグの新作「戦火の馬」を観た。

最近ではとても珍しい、毒がなく優等生な映画で逆に面食らった。

だけど普通に感動してしまい、涙腺が緩みっぱなしである。

本作は第一次世界大戦時のイギリスを舞台に、
小作人の息子である青年アルバートと、
彼がジョーイと名付けたサラブレットの馬の物語だ。

タイトルにもあるようにジョーイは軍馬として戦地に送られ、
敵・見方関係なしに、様々な人々との出会いと別れを繰り返す話だ。

これまでスピルバーグが描いてきた「シンドラー~」や「プライベート~」にあった、
「戦争とはなんちゃら・・・」って話は本作においてはあまり重要ではない。、
戦争という廃れた世界の中で、人々が持ち続けていた希望や良心といったものが、
軍馬ジョーイの目を通して描かれている。

そのジョーイの美しさには一目ぼれである。
しなやかで筋肉質な流線型の馬体。
艷やかで光輝く毛並みと優しい瞳。
走らされているのではなく、走ることを思いっきり楽しんでいるような姿に、
作り手の愛情が伝わって好印象だ。
ジョーイの撮影については動物愛護団体の人が常に同行し、
ジョーイが嫌がっていると感じられた場合は撮影を待ったらしい。
動物愛護団体の人がどこまで馬の気持ちを図れるのかよくわからないが、
最大限の配慮をもってジョーイの撮影に臨んだということだ。
動物愛護先進国アメリカの一面でもある。

動物と人間の絆の物語は、その展開がベタでもやられてしまう。

数々の人間とジョーイのドラマがある中、
やはり大本命となるアルバートとジョーイの友情物語は堪らない。
彼らの奇跡を祈り、その通りの展開に拍手である。

エミリー・ワトソンを初めとした、ビッグネームのない渋いイギリス系俳優たちのキャスティング。
雄大で心を打つ、これぞザ・ムービー!という大巨匠ジョン・ウィリアムズの堅い音楽。
切り取って絵画にしたいような、どこまでも美しい風景の数々。
CGの使用はないらしく、これほどまでに美しい風景が地球上に存在していることに感動する。

本作においては悪者がいないことに違和感を感じてしまったらダメだ。
描かれる世界をそのまま飲み込んで、素直に感動する。
古典的にも映る映画だが、たまにはこんな映画もよいな。

【75点】






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シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム 【感想】

2012-03-19 00:33:39 | 映画
「シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム 」を昨日観た。

これまでにあった名探偵ホームズのインテリなキャラに大胆な解釈を加え、
頭脳派かつ、武闘派な新たなホームズが誕生した前作。
近年パッとしなかった本作監督のガイ・リッチーは前作で大きな賞賛を得て、
ホームズを演じたロバート・ダウニー・JrはGG賞を獲得。
自分も好きな映画だ。

最近の傾向である、シリーズものにおいて過去作を最新作が上回る傾向は本作にもあてはまった。
ド派手な演出、アクションは前作よりもさらにパワーアップ。
スリリングでエキサイティング、重量感とスピード感を兼ね備えたアクションの連続は、
これぞガイ・リッチーといったところ。
興奮しっぱなし2時間だった。

今回の敵役は前作の黒幕でもあったモリアーティ教授。
元ボクサーという無理くりな設定も手伝い、無敵なホームズの相手としては不足なしだ。

ロバート・ダウニー・Jrのホームズはやはりハマリ役。
アイアンマンな彼も無条件に好きだが、これも捨てがたい。
知性と男の色気が同居し、マッチョな体つき。そしてヤンチャな性格。
そのキャラクター像は男子憧れの存在だ。

前作でも好きだった彼演じるホームズの推理・先読み格闘アクションは本作でも健在。
本作ではより複雑になり、ボリュームも増え、そのシーンを観るのが病みつきになりそう。

同い年で親近感を勝手に抱いているノオミ・ラパスは本作で全米メジャーデビュー。
彼女のミレニアムシリーズでの高い評価で、世界は彼女をほっとかなかったわけだ。
北欧女優がジプシー役を演じたが、意外なフィット感。スペインの血筋もあるとのことで納得。
ヨーロッパを駆け回る物語にあって、不可欠なエッセンスになってる。
夏公開の「プロメテウス」ではどんな表情を魅せるのか楽しみだ。

個人的に好きなレイチェル・マクアダムスの扱いが切なかったのが、ちょっと残念。

ワトソンの愛犬かつ、ホームズの実験対象となっているブルドッグのワンちゃんも
前作から、引き続き可愛い。

脚本が早足で、本作においては良い意味で粗いので、
その展開に置いてきぼりを食らうことも多々あり、何度か意識が飛んだが
それは二度見三度見して発見する楽しみがあるということで消化。

本作のホームズならではの、軽快でシャレオツなラストも好きだ。

興行収入は2億ドルを超えたようなので、
また続編が製作されるだろう。
歓迎である。

【75点】

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マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙 【感想】

2012-03-17 00:05:06 | 映画
2週間ぶりに映画を観た。

今日から公開の「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」だ。

邦題がダサい。
「~の涙」とか自分(配給会社)で言うなよって感じで、興冷めする。

映画自体には、ほぼ興味がなかったが、
アカデミー賞授賞式でのメリル・ストリープの振る舞いが、
あまりにも素敵で、感動させられてしまったので、
彼女への御礼がてら、その受賞作となった本作を観に行くことにした。

本作の感想を結論から言うと「凡作」。

期待もしていなかったので、まいっかーと言った感じ。

本作はタイトルにもあるとおり、
1980年代活躍した英国初の女性首相、
マーガレット・サッチャーの半生を描いたもの。

ただし、単なる伝記映画ではなく、
政治の世界から引退し、認知症を患う老女となったサッチャーが
亡き夫の幻想を追いながら、自身の過去を見つめるというフィクションになってる。

なのでメリルの老女姿が物語のベースになっているのだが、
その自然過ぎる特殊メイクの仕上がりにまず、びっくりする。
ハリポタを凌駕した、メイキャップのオスカー受賞は伊達じゃない。
J・エドガーでのディカプリオのメイクとは大違いだ。

メリルの演技は絶賛されているとおりだが、
彼女の演技を見て「感動した」というよりは、
巧すぎて「恐れ入った」という印象だ。

サッチャーをリアルタイムで知らない自分にとっては
その演技が似ているかどうかわからないものの、
あの独特な抑揚のつけた話し方やしぐさを見れば、
彼女の演技が「そっくりモノマネーショー」を揶揄されるのも何となくわかった。

個人的には「鉄の女」と言われた、マッチョな決断を断行するサッチャーの猛々しい姿よりも、
老女となって、過去の栄光と、愛した家族に想いを馳せる弱々しい姿のほうが印象に残った。

本作はメリルの独り舞台。
彼女の演技以外で面白いところがまるでない。

まず、助演の不在。本作で改めて助演の重要性を知った。
亡き夫役の名優ジム・ブロードベントの活かし方、
サッチャーの幻想のピエロに過ぎないキャラクターで勿体ない。
サッチャーの周りの閣僚たちも一応にフラットなので、無駄にメリルが目立ってしまう。

そして浅い脚本と演出。
サッチャーが政治家に目覚める背景等、あらゆる動機が不足しているため、
「なんでそこまでやるの?」という「?」が頭についたまま進むシーンが多い。
そのせいでメリルの熱演もどこか表層的に写ったりする。
本来もっと緊張感があってダイナミックな政治劇だったのだろうけど、
こっちの感情を盛り上げるような演出も特にないため、2時間退屈だった。

アカデミー賞、メリル自身がオスカーを受賞したことは良い結果だったと思うが、
昨年のコリン・ファースしかり、ナタリー・ポートマンしかり、
千載一遇のスペシャルな演技をした人に受賞して欲しいという想いから、
本作での受賞というのは、個人的にふさわしくないと思った。

【55点】






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ヒューゴの不思議な発明 【感想】

2012-03-04 22:23:04 | 映画
アカデミー賞が終わり、堰を切ったように賞レースを賑わせた映画が公開される。

2012年度一発目の映画として、今日「ヒューゴの不思議な発明」を観た。

ユナイテッドシネマ浦和で、日曜日の午後という時間帯もあってか、客席は超満員。
アカデミー賞効果もあってか日本でもヒットしそうな予感。

本作は泣く子も黙るハリウッドの巨匠スコセッシの新作。
これまでギャング映画を初めとして暴力、流血の世界を描いてきた彼が、
「12歳でも見られる映画」として初となるファンタジー映画(と聞いていた)を製作、
全米公開時でのレビューも高評価だったこともあり、期待していた本作。

確実に完成度の高い映画であったものの、
個人的にはイマイチツボに入らなかった。

本作は1930年代のフランスを舞台に、パリのリヨン駅の時計台に隠れて暮らす孤児ヒューゴが、
父の形見であるカラクリ人形の秘密を探る話だ。
ここまでだと、先月に観たダルドリーの「ものすごくうるさくて~」に近いプロットだが、
本作では、そのヒューゴの冒険(?)がトリガーとなって、映画の本筋と思われる、
「人間賛歌」「映画愛」といったものが描き出されていく。

この「人間賛歌」と「映画愛」という2つのテーマに分かれていたことが、
この映画を噛み締める上で、つっかえ棒になった。(個人的な感想)

そもそも分けて捉えるものではないかもしれないけど、
「人間賛歌」→「映画愛」、もしくは「人間賛歌」≒「映画愛」という
自然でスムーズな連想が自分にはできなかったのだ。

映画は無駄な先入観を捨てて見たほうが、楽しめると考えるが、
アカデミー賞で5部門を取った話題作とあれば、自分もどんな映画か先回りして
調べてしまうし、そうせずとも情報が入ってくる。

「初めて映画を観た時を覚えていますか?」
「21世紀のニューシネマパラダイス」。。。

古典映画の復元、保存に尽力していることで有名なスコセッシの映画愛は
十分に感じ取れたものの、「ニューシネマパラダイス」にあったような
感動的な共感は本作から得ることができなかった。

むしろ主人公ヒューゴの美しい涙で語られる
「人間賛歌」というメッセージの方が強く響いた。

また2Dで観たことが影響したのかもしれない。
3Dで魅せることを前提とした演出が多かったため、
3Dで観ていたらまた印象が変わっていたかもしれない。

ヒューゴ演じたエイサ・バターフィールドのライトブルーな瞳が綺麗で
それだけでファンタジー。

「キックアス」以来、日本の映画ファンに愛されているクロエ・モレッツが演じたキャラ、
「私は冒険したいの!」と言われても、あまりシックリ来なかった。

「ボラット」「ブルーノ」での悪ノリな演技で馴染みの
サシャ・バロン・コーエンの珍しい真っ当な演技が新鮮。これまた意外な好演。

アカデミー賞で技術賞をほぼ総ナメにした映像はさすがだ。
パリの美しい風景と胸踊る時計台のカラクリは素敵だ。

駅構内で描かれる表情豊かなシーンの数々は、
その世界観を変えても、変わらぬ手腕を発揮するスコセッシならではだ。

本作はファンタジーじゃなくて、駅を舞台にした群像劇に近かった。
そこは結構な肩透かしだったかも。。。。

勝手にハードルを上げて見たため、イマイチな感想。
だけどホントに好きになる映画はそれをも超える力があるのだけれど。

【65点】









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2011年マイベスト映画ランキング(邦画)

2012-03-03 22:08:18 | 勝手に映画ランキング
今日、amazonで予約していた「未来を生きる君たちへ」のBDが届いた。
BDでどの程度の見え具合か確認しようと、サワリだけ見るつもりが、
映画に引き込まれ、最後まで見てしまった。
BDならではの鮮明で美しい風景を見て、柔らかな光と風をより近くに感じた。
先月映画館で観たばかりで、全部わかっているのに再感涙。
希望の火がともるような暖かで深い余韻。。。監督スサンネ・ビアの感謝。
この映画がやっぱ大好きである。そしてデンマークに行ってみたくなった。

で、昨日に引き続き、2011年映画の総括として自分の好きな映画をランキングしてみる。

今度は邦画。

【2011年マイベスト映画ランキング】(邦画)

 1位 「冷たい熱帯魚」

 2位 「八日目の蝉」

 3位 「奇跡」

 4位 「モテキ」

 5位 「マイ・バック・ページ」

ホントは洋画同様10位まで網羅するつもりだったが、
洋画ほど数を観ていないことと、ランクインさせるほど好きな映画があまりなかった。
ちなみに6位は「まほろ駅前多田便利軒」。

【ラジー賞】

  「探偵はBARにいる 」

大泉洋が好きなので見たが、探偵役の大泉洋は完全なミスキャス。
頭突きをかますシーンとか全く似合わない。
松田優作しかり、ルパンしかり、3枚目の中にも色気がないとツライ。
西田敏行(役)を想う小雪(役)が嘘っぽい。
悪役の高嶋政伸が方向性ズレてて苦笑する。
聞き込みをしただけで「西田敏行(役)に男惚れしたよ」と言い切る探偵がアホらしい。
松田龍平の存在だけが救いで、他は1ミリも面白くなかった。
シリーズ化されるみたいだけど、どう見ればこの映画、面白いのだろうか。。。







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2011年マイベスト映画ランキング(洋画)

2012-03-03 01:13:21 | 勝手に映画ランキング
今日、日本アカデミー賞があったのを完全にスルーしていた。
結果は「八日目の蝉」が、各賞を総ナメにした模様。(10部門制覇)
日本アカデミー賞ではありがちな偏った結果だけど、
今回は自分も「八日目の蝉」が好きなので、まあ納得。
あと、「冷たい熱帯魚」のでんでんが助演をとった。
日本アカデミー賞もいよいよ園子温を無視できなくなってきたみたい。

で、日本アカデミー賞はさておき、
本家アカデミー賞が終わって早5日が経った。

2011年映画の総括として自分の好きな映画をランキングしてみる。

ちなみに過去の5年のマイベストは
2010年「英国王のスピーチ」、2009年「アバター」、2008年「ダークナイト」
2007年「ノーカントリー」、2006年「善き人のためのソナタ」

対象映画は2011年3月~2012年2月に劇場公開された映画で観た62タイトル。

【2011年マイベスト映画ランキング】(洋画)

 1位 「ミスター・ノーバディ」

 2位 「未来を生きる君たちへ」

 3位 「リアル・スティール」

 4位 「X-MEN ファーストジェネレーション」

 5位 「マネーボール」

 6位 「塔の上のラプンツェル」

 7位 「カンフー・パンダ2」

 8位 「ラブ&ドラッグ」

 9位 「アリス・クリードの失踪」

 10位 「スーパー!」

【2011年のこの一本】
 
   「灼熱の魂」

【好きになった2011年映画たち】(順不同)

 「トゥルー・グリッド」「キッズ・オールライト」「ブラック・スワン」「127時間」
 「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」
 「ゴーストライター」「ミッション:8ミニッツ」「ウィンターズ・ボーン」
 「ミケランジェロの暗号」「ドラゴン タトゥーの女」等



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2011年 私的アカデミー賞(個人賞)

2012-03-01 00:06:52 | 勝手に映画ランキング
第84回アカデミー賞が終わったということで、
2011年、自身で観た映画を総括してみる。

まず、アカデミー賞っぽく個人賞を勝手に決めてみる。。。

対象映画  2011年3月~2012年2月に劇場公開されたもので 
         自身で観た62タイトル(DVD追っかけ含む)

【洋画の部】

 監督賞     ジャコ・ヴァン・ドルマル(ミスター・ノーバディ )

 主演男優賞  ジェームズ・フランコ(127時間)

 主演女優賞  ナタリー・ポートマン(ブラック・スワン)
           ジェニファー・ローレンス(ウィンターズ・ボーン)
      
 助演男優賞  ジョナ・ヒル(マネーボール)
           アーミー・ハマー(J・エドガー)

 助演女優賞  ダイアン・クルーガー(ミスター・ノーバディ)

監督賞のジャコ・ヴァン・ドルマル。
無限のイマジネーションを見事に映像化した情熱と
超技巧派テクに只々圧倒されたし。
本国では2009年映画だけど。。。

主演女優と助演男優はどうしても一人に絞れず。
ナタリー・ポートマンの超人的な演技は圧倒的なのだけれど、
「ウィンターズ・ボーン」のジェニファー・ローレンスもホント素晴らしいので。。。

助演女優のダイアン・クルーガーは、ごく私的な評価。
「ミスター・ノーバディはラブストーリーなんです!」と語るためには不可欠な人物。
美しい女優は作品にも、観客にも愛されるものだ。

続いて

【邦画の部】(あんまり観てないけど。。。)

 監督賞     園子温(冷たい熱帯魚)

 主演男優賞  でんでん(冷たい熱帯魚)

 主演女優賞  永作博美(八日目の蝉)
      
 助演男優賞  松田龍平(まほろ駅前多田便利軒)

 助演女優賞  小池栄子(八日目の蝉)

何かキネ旬の個人賞に近い結果になった。
主演男優、助演女優にそれぞれ「モテキ」の森山未來と麻生久美子を入れたかったけど、
やはり、でんでんや小池栄子のパフォーマンスと並べるのは厳しい。

森山未來は今年公開の「苦役列車」で主演予定、
監督山下敦弘とケミストリーに期待だ。

女優賞はどちらも「八日目の蝉」の納得の2人。

助演男優の松田龍平。
「探偵はBARにいる」では唯一の救いが彼だった。
「まほろ~」の松田龍平、瑛太の涙の告白を静かに聞くシーン、よかったな~。

  


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