から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

42 世界を変えた男 【感想】

2013-11-03 15:27:53 | 映画


メジャーリーグ全球団で永久欠番となっている「42」。
そのきっかけとなった黒人初のメジャーリーガー「ジャッキー・ロビンソン」を描いた映画を観た。

映画自体は作家性を感じる演出に乏しく、とても平坦で平凡な作り。
良い人は良い人で、悪い人は悪い人として描かれる。
単純明快で、深読みする必要はなく、観たままの映画。

映画をいろいろ観ている人間としては面白みに欠けたが、
俯瞰して考えると、これはこれでありだと思った。

歴史の転換点とも言える偉大な史実の映画化である。
誠実に再現すれば、それなりに感動できるというものだろう。

そして、何よりそのわかりやすさから、
子どもからお年寄りまで観ることのできる映画になった。
史実を語り継ぐ映像作品として、とても意義にあるものになったと思う。
中学、高校生向けの歴史・道徳教材としても流行りそうだ。
本国での高評価もそういったところが大きかったのではなかろうか。

初の黒人メジャーリーガーとして激しい差別に合うロビンソンが
立ち向かうために持ち続けていたのは「やり返さない勇気」。
そのよりどころが「自尊心」であることが印象的だ。
そして、ロビンソン本人の弱さも丁寧に描いたことで、
偉大な人物を生身の人間として見せることに成功している。

本作で初めて見たロビンソン役のチャドウィック・ボーズマンは
好演であることは間違いないが さほど印象に残っていない。
余計な先入観を持たせなかったという点では正解だったと思われるが。

ロビンソンを導いた球団オーナー演じたハリソンフォードが素晴らしい。
本作の見どころは彼に集約されそう。彼が演じた人物自体も、
もう1人の「世界を変えた」人物と言って良いだろう。
インディン・ジョーンズでの泥臭くエネルギッシュだった頃のイメージは皆無。
見事にデブって、油断すると入れ歯が外れそうなシワシワ爺さんになっている。
これはあとで知ったことだが特殊メイクによるものとのこと。自然な仕上がり!
観る人によればハリソンフォードだと気づかないかもしれない。
言い換えれば、これまでのハリソンフォード像を完全に封印し、
「42」という新たな世界に生きる老齢キャラに見事なりきっている。
独特な抑揚をつけた話し方には力強さがあり、1つ1つの言葉に重みと深みがある。
「世界を変えろ」と主人公を後押しするシーンに素直に感動である。

オスカー好きとしてはどうしても言及してしまうが、
助演男優ノミネーションの可能性は高く、
これまでの功績を加味して受賞もありえそうだ。

2時間という上映時間はあっという間だった。
それだけ夢中になったというより「もう終わりなのか」という不足感に近い。
感情に訴えかけそうなシーンも、そのまんま見せるので盛り上がらない。
こちらの想像力に委ねる余白が欲しかった。

先週の王様のブランチでリリコが「見終わったあとの爽快感ハンパない」と言っていた。
好みの問題だろうが、違う監督が演出していたら、より感動的な映画になっていたと思う。

【65点】

2014年アカデミー賞勝手に予想。其の1

2013-11-03 00:46:14 | 日記
2014年、第86回アカデミー賞授賞式は3月2日だ。
今日は11月2日なので、ちょうど3ヶ月前にあたる。

毎年やっていることだが、1月16日発表のノミネーションを
勝手に予想して、一人で盛り上がってみる。。。

★は確定予想。()は日本公開日。

【作品賞(10作品)】
 ★『12 Years a Slave』(来春)
 ★『ゼロ・グラビティ』(12月13日)
 ★『キャプテン・フィリップス』(11月29日)
 ★『Fruitvale Station』(未定)
  『Inside Llewyn Davis』(未定)
 ★『大統領の執事の涙』(2月15日)
  『アメリカン・ハッスル』(1月31日)
  『Nebraska』(未定)
  『Her』(未定)
  『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(来年)

 作品賞は「12 Years a Slave」と「ゼロ・グラビティ」の一騎打ちで確定か。
 大作VS小規模映画の構図だと大作がいつも負けるので「ゼロ・グラビティ」を猛プッシュ。

【監督賞】
 ★スティーヴ・マックイーン 『12 Years a Slave』
 ★アルフォンソ・キュアロン 『ゼロ・グラビティ』
 ★ポール・グリーングラス 『キャプテン・フィリップス』
  デヴィッド・O・ラッセル 『アメリカン・ハッスル』
  アレクサンダー・ペイン 『Nebraska』

 上位3人以外は自信なし。まだ全米公開されてないのでレビューが出回ってない。
 リー・ダニエル、スパイク・ジョーンズ、スコセッシの可能性も残る。

【主演男優賞】
 ★キウェテル・イジョフォー 『12 Years a Slave』
 ★ロバート・レッドフォード 『All Is Lost』
 ★トム・ハンクス 『キャプテン・フィリップス』
 ★マシュー・マコノヒー 『ダラス・バイヤーズクラブ』
  ブルース・ダーン 『Nebraska』

 各個人賞の中でも毎年最も競争率が高い部門。受賞は紙一重。
 候補の5人に選ばれるだけでも大変な栄誉だ。
 ホアキン・フェニックス、オスカー・アイザック、そしてサプライズで、
 「Fruitvale~」の マイケル・B・ジョーダン(「クロニクル」のスティーブ!)も可能性あり。

【主演女優賞】
 ★サンドラ・ブロック 『ゼロ・グラビティ』
 ★ケイト・ブランシェット 『ブルージャスミン』
  ブリー・ラーソン 『Short Term 12』
  ジュディ・デンチ 『あなたを抱きしめる日まで』
  アデル・エグザルチョプーロス 『アデル、ブルーは熱い色』

 賞レースでもサンドラとケイトの一騎打ちは確定の模様。上位2人以下は自信なし。
 メリル・ストリープやジュリー・デルピーあたりも可能性あり。

【助演男優賞】
 ★マイケル・ファスベンダー 『12 Years a Slave』
 ★ジャレッド・レト 『ダラス・バイヤーズクラブ』
 ★バーカド・アブディ 『キャプテン・フィリップス』
  ハリソン・フォード 『42』
  ダニエル・ブリュール 『ラッシュ プライドと友情』

 今年は面白い顔ぶれになりそうな部門。
 作品の評価も手伝ってか、マイケル・ファスベンダーが一歩抜き出ている印象。
 マシュー・マコノヒーは「Mud」「ウルフ~」のいずれかで助演ノミネートの可能性あり。
 となると、「ダラス~」での主演男優賞と合わせてダブルノミネートか!?。

【助演女優賞】
 ★オプラ・ウィンフリー 『大統領の執事の涙』
 ★ルピタ・ニョンゴ 『12 Years a Slave』
  ジューン・スキッブ 『Nebraska』
  オクタヴィア・スペンサー 『Fruitvale Station』
  レア・セドゥー 『アデル、ブルーは熱い色』

 予想は5人中3人がアフリカ系女優。結構良い予想してると思う。。。

毎年のことながら、演技賞は作品賞候補作出演者に寄ってしまう。それが面白くない。
そういう意味では主演と助演で確定予想した「ダラス・バイヤーズクラブ」は
作品賞ノミネートはなさそうなので、あっさり候補落ちの予感も。。。
マシュー・マコノヒーとジャレッド・レト。どちらも好きなので候補者に選ばれてほしい。