から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

Mr.ノーバディ 【感想】

2021-06-11 23:48:32 | 映画


アクション×カタルシス=最高の映画。
予感は的中。これなんですよ。

平凡で冴えないオッサンが、実は眠れる獅子だったという話。桁外れの戦闘力を持ちながら、暴力で名を馳せた過去を封印し、ノーマルな人生、人並みの幸福を手にしていた男が、ある事件をきっかけに再び、その力を解放する。

ジョン・ウィックと何かと比べられそうな本作だが、自分はジョン・ウィックより好きだ。主人公の個性がかなり練られている。主人公にとっては望まぬ展開だった、、、というのが、当初の見立てだったが、自身の凶暴性や、戦うことへの中毒性に抗えなかったというのが面白い。愛娘の宝物を奪った相手に対して、暴力の正当性を振りかざしながらも、その決断の過ちを自責する。ところが、抑えていた変態的衝動が抑えきれず、「神様、扉を開けてくれ」と、暴力を招き入れ、堂々と発散する。拳銃なんてジャマ、殴り合いによる、1対多勢の喧嘩。敵を圧倒するのかと思いきや、結構、普通にヤラれる。ブランクにより単に体が鈍っていたのか、自身に受ける痛みさえも悦びと感じていたのか。血だらけになって投げ出されたのに、わざわざ舞い戻るシーンに爆笑してしまった。

その後は、「お前が先に手を出した」と巨悪なロシアマフィアに喧嘩を売って、大暴れする。いよいよ男の本領が発揮される。アクションの技で魅せるというよりは、スマートで強く、心臓に毛が生えたような度胸と生き様に魅せられる感じだ。音楽と編集も観客の高まったボルテージを維持する。「痛快」のお手本。小気味よいユーモアが絶妙なスパイスになり、ずっとワクワクが止まらなかった。共闘のクライマックスでは「ドク」もまさかの大暴れ。

最大の成功要因は、全くアクションのイメージがない、ボブ・オデンカークを主演に据えたことだろう。「ベターコールソウル」の最終シーズンが非常に非常に待たれるなか、彼にもっていたイメージのギャップを早々に通り越し、中年男子の哀愁と、血染められた暴力が彼の肉体を介して鮮やかに融合し、強い説得力をもったキャラクターへと昇華する。傷だらけの顔面が何とカッコいいことか。

ムシャクシャしたときに、何も考えずに見て、気分が晴れる1本。
円盤購入は確定である。

【75点】




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ジャスティス・リーグ: ザック・スナイダーカット【感想】

2021-06-10 23:38:52 | 映画


2週連続でザック・スナイダーの新作を拝める幸福。
本作をもって、スナイダー、完全復活といってよいのではないか。心待ちにしていました。。。いやー面白かった。

やむ無き不幸により、自らが育てたシリーズを途中で投げ出した本作を、自らの手で引き戻し、本当の意味で完成させた。時間は何と4時間。。。。あっという間というワケではなかったが、「ジャスティスリーグ」を描くうえでこの時間は必要であり、スナイダーの情熱を強く感じた。見終わったあとの充実感、気持ち良し。

ジョス・ウェドン版の前作「ジャスティスリーグ」は2回見ていたが、まるで異なる新作を見ているようだった。おそらく意図的だろう。ワイドではなく正方形の比率、暗く冷淡な色調。本作のヒールである、ステッペンウルフ登場の背景にある勢力の実像と歴史を壮大なスケールで振り返る。冒頭からテンションマックス。ステッペンウルフは”パシリ”であり、前作には登場しなかった親玉が正体を現す。アベンジャーズでいう「サノス」だろう。DCもマーベルに劣らない世界観があったのだと知る。そして、DCファンはそれを観たかったのだろう。

前作との大きな違いは、主要メンバーたちの人物描写に多くの時間を割いていることだ。特に「サイボーグ」。前作からいきなり登場し、全身ロボットという特異体質にも関わらず、説明が不十分であったが、父親との親子関係を軸に、彼がその姿へと変貌した経緯を丹念に描いていく。そして、本作の鍵となる「マザーボックス」との因縁が明らかになる。前作までは、よくわからなかったが「まーそういうことなんだ」で済ませていた出来事の答えが悉く見えてくる。「悪夢」にまつわるシーンには驚かされた。

本来描かれるべき、原作のエッセンスをしっかり映像化すること、そして、何といってもスナイダーカットによるアクションの楽しさが満載である。とにかく「画」のカッコよさを重視、ゴリゴリのCGもその表現のために駆使する。前作では不十分と思えた、スーパーマンとステッペンウルフのバトル、「チートキャラ」なんて揶揄する話も聞くが、強い奴は強い奴として描いてくれればよい。中二的というか、「少年ジャンプ」的というか、強いものに憧れる男子のツボをスナイダーは本当によく心得ている。けれん味たっぷりのスナイダースローも多用され、見たかったスナイダーの映画を大いに満喫する。

本作がリアルタイムで公開されていたら、DCユニバースの流れも変わっていたと思う。ただ、その前にワーナースタジオ側が許さないか。。。
映画は監督のものであり、ファンのためのものである。どこかで聞いたことのある言葉の意味を噛みしめた。

【80点】
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アーミー・オブ・ザ・デッド 【感想】

2021-06-06 02:07:48 | 映画


ザック・スナイダーの帰還。やったぜ。
本作のために約2か月ぶりにネトフリに再加入。待ちに待った本作はその期待に応えるエンタメ作だった。
まずはオープニングだろう。傑作「ウォッチメン」を彷彿とさせる仕上がり。本編の導入部にあたる、過去の経緯をコンパクトかつドラマチックに、そして鮮烈に描き出す。ある意味、本編を通して、出だしのボルテージが絶頂といっても良いかもしれない。ネトフリという新たな舞台を得て、スナイダーが嬉々として本作のメガホンをとっているのは明白。
一攫千金の強奪劇×ゾンビ。ワクワク感とスリルを楽しむ。キャスティングされた俳優陣は見たことがない人ばかり。演じる役柄はいずれも個性的だが、主演のデイヴ・バウティスタ含め、華がなく、物足りなさはあるものの、「ゾンビ」が主人公と考えれば違和感はないし、誰が生き残るか、予想する上でも忖度みたいなものがない。実際に予想外の人があっさり消されたりする。
ニュータイプのゾンビが登場するのがミソ。なんと知性がありコミュニケーションがとれ、「愛情」という感覚を持ち合わせる。これまでのゾンビルールを逸脱することで得られる自由度を採用したか。ゾンビが神々しく描かれる場面もあり、両者の背景が描かれることで、人間対ゾンビの戦いが一層、盛り上がる。スナイダーならではのカットの美しさ(あるときはグロさ)も健在だ。
あと、グッときたのは、デイヴ・バウティスタ演じる父親と娘のドラマだ。スナイダーがしばらく映画製作から離れた理由でもある、娘さんの悲劇が思い浮かび、劇中の流れとは関係ないところでウルウル来てしまった。既に視聴済みである「ジャスティスリーグ」を見ても、完全復活を遂げたといって良さそうだ。大きな悲しみを乗り越え、また映画ファンを楽しませる映画を撮り続けてほしい。

【70点】
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