から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

ハンガー・ゲーム 【感想】

2012-09-30 00:43:16 | 映画
待ちに待った「ハンガー・ゲーム」を観た。

アメリカで今年3月公開。
4億ドルの大ヒット、映画ファンそして批評家からも圧倒的な支持を受けた本作。

既にアメリカではDVDも発売されている時期での日本公開。
改めて「映画ガラパゴス日本」を実感する。

本作は、とある独裁国家で年に1回行われる、
隷属地区から選出される24人の若者同士が殺し合う、
「ハンガーゲーム」の模様を描いた話だ。

物語は意外な内容だったが、とても面白かった。

アメリカでの公開時、「日本のバトルロワイヤルをパクった話じゃん」
というレビューが散見されていたが、個人的には異なる印象の映画だった。

殺し合いをする24人に留まらず、彼らをサポートするチーム、
彼らを聴衆し、時に援助するスポンサー、ゲームをコントロールする政府。。。
物語を織り成す相関関係は重層的で見応えたっぷり。

そして、息もつかせぬアクションと先の読めない展開で、140分が短い。

殺し合いという極限の中にあって、
他人を思いやる理性と自分を守るという本能の葛藤が続く。緊張感たっぷりだ。
それはキャスト陣の好演も手伝い、しっかりとした人間ドラマになってる。
そのシチュエーションに自分も居合わせているような感覚にも陥る。

上質で見ごたえのあるアクション映画として楽しめることは勿論だが、
現代社会への問題提議とも思えるテーマが全編を通じて散りばめられている。

あくまで内容は寓話なのだが
「ハンガー・ゲーム」というものが起こった意義から始まり、
民主主義と資本主義の暴力、マスメディアの役割、
情報社会とプライバシーの危うい関係。。。等々
深読みすればいくらでも想像力が働くようなスルメ映画かも。

といってもアメリカで大ヒットしたのは、本作が紛れもない娯楽作であるからだろう。
物語の求心力を損なわない程度に社会風刺が効いている。
自虐的とも捉えられるアメリカの姿は、ユーモアも孕んでニンマリ。

アメリカで売れに売れた原作の映画化とあって、キャストも豪華だ。

お馬鹿丸出し役で、その起用がちょっと勿体ないくらいのスタンリー・トゥッチ、
アウトローな役がひたすら似合うウディ・ハレルソン。
この2人はその好演もさることながら、自然な仕上がりのズラにも注目だ。

あと、端役でホラー映画「エスター」でマジ怖かった女の子が出てたな。。。

そして何といっても主演のジェニファー・ローレンスの存在感に尽きる。
歳はまだ21歳なのに、既に大女優の貫禄。(そもそも老け顔なのか)
「あの日、欲望の大地で」「ウィンターズ・ボーン」で鮮烈な印象を残したが、
またもや、やってくれたか~という感じ。
パンフに載っていた共演のドナルド・サザーランドの受け売りだが、
「完璧で、美しく、並外れて美しい。とてもシンプルで、とても純粋・・・」
自分は特に、物語の後半、彼女が演じた役の成長した姿でもある、
多くの聴衆を意識した演技(嘘)と本心の使い分けっぷりに恐れ入った。
相手役のジョシュ・ハッチャーソンも素晴らしい好演だったが、
彼女の存在感を前にしては、ちょっと気の毒だったかも。
そのエヅラは釣り合わないけど、物語の構成上、これはこれでありなのかも。

彼女が出演するデヴィッド・O・ラッセルの新作「Silver Linings Playbook」、
すごい評判が良く、面白そうなので早く日本公開してほしい。

前半の導入部分はやや長いが、造形物、ファッション等のビジュアルデザインが
楽しかったので、ストレスなく観られた。

アメリカでの大ヒットを受けて、シリーズ化が決まったようだが、
どんな話でこの話が続くのか、全くイメージが沸かない。。。

とりあえず面白かった。

【80点】












コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2012年上半期 マイベスト映画ランキング

2012-09-21 00:45:16 | 勝手に映画ランキング
今日、今年の上半期、1番惚れ込んだ映画「ドライヴ」のBDが届いた♪



毎年勝手に恒例にしている、好きになった映画のランキングをしてみる。

2012年3月~8月(上半期としてる)に劇場で観た34本の邦画、洋画が対象。

 1、ドライヴ

 2、アベンジャーズ

 3、ダークナイト ライジング

 4、アーティスト

 5、おおかみこどもの雨と雪

 6、ファミリー・ツリー

 7、戦火の馬

 8、ジェーン・エア

 9、SHAME -シェイム-

 10、桐島、部活やめるってよ

「ドライヴ」と「アベンジャーズ」は僅差、どっちが一番でも良いくらい好きだ。
こう見てみると、わかりやすい映画のラインナップだ。。。
もう少し想像力があれば、「裏切りのサーカス」あたりも楽しめたのだろう。

次に勝手に個人賞。

 【監督賞】 ミシェル・アザナヴィシウス 「アーティスト」
 【主演男優賞】 マイケル・ファスベンダー 「SHAME -シェイム- 」
 【主演女優賞】 ミア・ワシコウスカ 「ジェーン・エア」
 【助演男優賞】 アーミー・ハマー 「Jエドガー」
 【助演女優賞】 ベレニス・ベジョ 「アーティスト」

次に苦手な映画賞。

 【期待ハズレだったで賞】 メリダとおそろしの森
 【お金返してほしいで賞】 バトルシップ

下期は、年末に日本でも公開される「レ・ミゼラブル」に期待。

そして今年のオスカーをはじめ、数々の映画賞を席巻するであろう、
「The Master」の日本公開がいつになるのかが気になる。
 


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

続 glee中毒につき

2012-09-18 22:43:28 | 海外ドラマ
「glee」シーズン2のBDボックスを購入してしまった。



そして見終わった。

あぁ楽しい。やっぱglee好きだな~。

シーズン1から引き続きの登場となる愛すべきニューディレクションの面々と、
彼らのスケールアップしたパフォーマンス、
主役、脇役を問わずそれぞれのキャラたちにもれなくフォーカスした人物描写、
そしてキャラ同士に壁がなくなって、皆フラットな関係で描いているのが楽しい。

シーズン1では脇役だったサンタナとブリトニーが、
ビッチ、天然キャラとして前面に出てきたのが大きい。

シーズン1ですっかりファンになってしまったブリトニーこと、ヘザー・モリスがやっぱ好きだ。
彼女と激カワなデブ猫「タビントン閣下」との絡みが悶絶過ぎて、
繰り返し、そのシーンだけを観る。。。

パフォーマンスはないけど、巨漢女子ザイゼスの存在も笑えるとともに素敵に映る。

しかしながら、シーズン2での一番の収穫は、
カートの彼氏、ブレインの登場だ。

彼のナイスガイぶりと、圧巻のパフォーマンスは観る度にテンションが上がる。

ブレインの歌声が一番好きだし、あの唄い方のセンスたるや、カッコ良すぎだ。
アメリカでの人気ぶりも納得だ。

シーズン2で一番好きなパフォーマンスも彼が地区大会にてリードボーカルで唄った、
Trainの「Hey, Soul Sister」だ。

自分にもあんな才能があったらな。。。

シーズン3ではブレインがマッキンリー高校に転校するらしい。
かなりなご都合主義だが、大いに結構。
ニューディレクションの才能たちと、彼のケミストリーを想像するだけでヨダレが出る。

11月にシーズン3が発売されるか。。。
続glee中毒につき、ソッコー買ってしまうな。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最強のふたり 【感想】

2012-09-10 01:02:36 | 映画
昨日観た「プロメテウス」とはうって変わって、
各方面から大絶賛を受けている「最強のふたり」を観た。

東京国際映画祭でグランプリ、
ネットの一般レビューを見てもほぼ好評。

公開スクリーンが少ないながらも、大ヒットを飛ばしているようだが、
日曜日のレイトショーにも関わらず(いつもなら空いている)、
シネコンで3番目に大きいスクリーンの7割近くが埋まっていてビックリ。
しかも客層の大半が女子であったことにもビックリ。

公開して2週目なので、クチコミで広がるには早すぎる。
普段あまり公開されないフランス映画で、
ユーモアたっぷりの小粋な感動ヒューマンドラマ・・・
みたいなイメージが女子にウけているのだろうか。

映画関係の仕事をしている会社の同僚も試写会に行って大絶賛していた。

なので、期待して観たのだが、
う~ん残念。。。自分にはハマらなかった。

本作は、事故で全身麻痺となった大富豪と
彼の介護人となった貧困黒人青年との友情を描いた話だ。

「障害と介護というデリケートな問題だけれども、
 ユーモアで吹き飛ばせ!笑って泣ける感動作だぜ!!」

という大方の感想にもあるように、その方向性は全然嫌いじゃない。

だけども、そういった実感が本作からは正直得られなかった。

まず、そんなに笑えない。
黒人青年のドリスの破天荒な所業が、
本作のユーモアの源泉となるわけなのだが、
ドリスのやることが度を越して、結構しつこい。
なので逆にそのユーモアが押し付けに感じてしまうことも多い。
冒頭のシーンで素直に笑えるかどうかが、本作にノれるかどうかの
分かれ道になるだろうが、自分は「それはやり過ぎじゃん」と普通に閉口した。
これは障害者相手だからということではなくて、普通に見ていてイタい。

そして、大富豪フィリップとドリス、両者の感覚にもあまり共感できず。

フィリップのドリスへの許容が広すぎる。
これまで障害者として「同情」をもって接してこられたフィリップだけに、
ドリスの遠慮のない言動は光明だったのかもしれないが、
なんでもかんでも受け入れるのは見ていて説得力に欠けるし、センスがない。
「そこはあくまでアンタッチャブル」という範囲がなければ生身の人間じゃない。

またドリスから多くの影響を受け、柔軟に順応するフィリップに対して、
変わらないドリスのマイペース具合にイラつく。

フィリップの影響を受けて始めた絵画も、
フィリップの出過ぎた甘やかしで、結局よくわからなくなった。
あんなことする必要があったのかな。。。

伝えたいメッセージは明確で、そのためのプロットも完璧なのだが、
シリアスとユーモアのバランスが微妙。

素直に笑える箇所も多々あれど、
終始違和感が拭えず、ラストの感動も得られなかった。

このあたりの描き方は、ハリウッドコメディの方が断然巧いと思った。

【55点】












コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

プロメテウス 【感想】

2012-09-08 23:30:50 | 映画
リドリー・スコットの30年ぶりとなるSF映画「プロメテウス」を観た。

各レビュー、自分の周りのクチコミでの悪評が気になっていたものの、
自分は普通に楽しめた。

脚本は良くないけど、1作目のエイリアンの世界観を踏襲したような、
暗黒の世界観と、ディテールとスケールを両立させた映像を満喫。

本作は、宇宙のとある惑星に人類の創造主を探しにいく探検隊の物語だ。

タイトルのプロメテウスは宇宙船の名前。
まあ、その宇宙船のビジュアルが最高にカッコよい。
同監督の「ブレードランナー」を初めて見たときに
ワクワクした近未来の夜景の質感に似ている。

その宇宙船「プロメテウス」が出てくる冒頭から最後まで、
「これぞSF映画の面白さ」というビジュアルが続く。
それだけでも見応えがあるので本作を映画館で観た価値はあったというもの。

惜しいのは脚本の下手さ加減。
物語の要素が複雑で、なおかつ、それぞれの伏線が消化不良のまま物語が続く。
「あれはなぜだったのか」
想像力の乏しい自分は、なおさらだったのかもしれないが、
そのあたりを気にしだすとフラストレーションが溜まる人もいそうな気がする。
ズッコケ(に思えた)な展開も、もっと脚本が上手ければ自然な流れに見えたかも。

エイリアンの前日譚として、話のプロットは全然アリだと思ったので勿体ない。

本作のもう一つのお目当てであったキャスティングはなかなか。

主役に抜擢された同い年なノオミ・ラパスが、
ミレニアムシリーズでのリスベットからは連想できないほど、
女の子っぽいビジュアルで安堵した。
意外と声が可愛いかったのね。

探検隊の監督官役のシャーリーズ・セロンはさすがの大女優オーラ。
足長くて、絵に書いたような綺麗な金髪がSF映画に映える。

そして、マイケル・ファスベンダーのアンドロイド役が楽しい。
人間臭さ(人間真似)と感情のなさのバランスがちょうど良く、
その塩梅を確実に決める。さすがの演技派。
良作に出逢えばオスカー受賞も確実な俳優と再認識。

このあたりのキャスティングを見ても、
リドリー・スコットの本作への気合いがわかるようなものだが、
やはり脚本が惜しかったな。。。

【70点】











コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

桐島、部活やめるってよ 【感想】

2012-09-02 02:30:04 | 映画
「桐島、部活やめるってよ」を観た。

上映館が少ないにもかかわらず、ソーシャル~を初めとしたクチコミで評判が良かった本作。

自分もツボに入った。
この映画、好きです。

本作は、とある高校を舞台にバレー部のエースである「桐島」が部活をやめたことで、
「桐島」に直接的、間接的に関わる周りの同級生たちの日常に
動揺と変化が伝播し、彼らの本音が浮き彫りになっていく様を描いた群像劇だ。

「できる奴はできる、できない奴はできないってこと」

自分の高校時代を振り返った。
男子校だったが、本作同様、いくつかのグループに分かれていた。

バリバリ運動部、
バリバリ文化部、、
帰宅部でイケていたグループ、、、
帰宅部でイケてないグループ、、、、

バリバリ運動部を挫折し、バリバリ文化部になった自分はワリと、
うわべではあったが、いろんなグループと仲良かった記憶がある。。。
しかし全体を俯瞰して想い出すと
それらのグループが親密に交わることはあまりなかったように思う。

「昨日カラオケボックスでヤっちまった」みたいな話をしまくる、
帰宅部イケていたグループの話に、ムラムラしていた情けない自分を想い出す。
本作の「できる奴」は何でも器用にこなしてしまう才能のある奴という意味が近いが、
自分にとって高校時代、同級生の「できる奴」っていうのは、
男子校というハンデを乗り越え、可愛い女子校生と付き合っている奴だった。

恋愛というよりセックスへの目覚め(渇望)、
部活を中心に自分がやりたいことを自己選択できる自由の始まり、

本作を観ながら、想い出すと、高校時代っていろんな意味で
黄金の時代だったのだな~と思った。

本作で描かれるのは、「桐島」の不在を受けた生徒たちのリアクションと連鎖。
誰かの言動は、誰かを励まし、誰かを傷つける。
学校というある種、閉塞感のあるコミュニティにおいて、それは結構リアルで、
主観、客観をわきまえ始める高校生の頃なら、なおさらのことだと思う。

同じ時間軸のシーンを、異なる生徒たちの視点から繰り返し描く本作の構成は、
そんな高校生活ならではの特殊な人間関係を雄弁に語り、
大いなる共感のもと、そのドラマに観る側を引き込む。

描かれるキャラクターがすべて、活きたキャラであったことや、
登場人物の全てが並列で平等な立場として描かれていたことも大きい。

また、制作陣が物語の世界観を高いレベルで完成させるためだったのか、
有名無名を問わず、勢いのある若手俳優たちをキャスティングしたことも素晴らしい。

神木君が表現した、時にコミカルに、時に切ない抜群のマは、
彼の俳優としての才能を改めて実感することができた。

「告白」で注目した、橋本愛の存在感は、
愛おしく残酷な本作キャラぴったりだった。あーいうコっているな。。。。

多くの俳優陣の中で一番印象に残ったのは、本作で初めて見た東出昌大だ。
リアルにいそうなイケメンで、あらゆる面で「(自意識のない)できる奴」を好演。
泥臭くて汗臭い野球部の先輩に言いようのない劣等感を抱くその姿に説得力があった。
今後の彼に注目である。

物語の季節が、秋であったことも、この物語の世界観を深めることに相乗している。
「秋」であることを明言しない描写もニクい。

「おおかみこども~」に引き続き、日テレ配給映画にありながら、当たりな映画。
映画の日(1000円の日)に関わらず、客席の入りが4割くらいだったのが残念。

青春映画を語る上で、欠かしたくない佳作。

青春の時を駆け抜けた本作のキャラクターたちが愛おしく、羨ましかった。

【80点】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする