から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

第93回(2021年)アカデミー賞の感想。

2021-04-27 01:20:34 | 映画
今年のアカデミー賞が終わった。コロナに襲われた2020年、映画界に与えた影響の大きさを改めて思い知る。式の内容も、受賞結果の内容も異例づくしだった。会場はコダックシアターではなく、ユニオンステーション。参加者数も通常の20分の1に縮小。品格は保ちながらも、豪華絢爛とはいかず、やはり地味な印象は拭えない。「祭典」というよりは同業者が集まった授賞式といった感じ。それでもリアルな会場でやってくれたことには感謝だ。
MCなし、パフォーマンスなし、特集映像なし、生演奏なし。いつものクリアな映像ではなく、映画のような映像で中継されるも、あれだとライブ感がなくなる。「1つの映画として見せる」演出とのことで、ノミニ―たちのルーツを1人1人紹介する。そして、受賞スピーチは時間制限なしで、受賞者が気が済むまで話してOK。
確かに新鮮ではあったものの、次回はいつもの授賞式の内容に戻ってほしいと思った。特に式の見どころでもある、受賞スピーチは時間制限があったほうが良いようだ。ダニエル・カルーヤ、良い話をしているんだけど、あれだけ伸ばしてしまうと感動が薄れる。

主要部門の結果は下記のとおり。[△]は予想ハズレ。

【作品賞】 ノマドランド
【監督賞】 クロエ・ジャオ(ノマドランド)
【主演男優賞】 アンソニー・ホプキンス(ファーザー) [△]
【主演女優賞】 フランシス・マクドーマンド(ノマドランド)
【助演男優賞】 ダニエル・カルーヤ(Judas and the Black Messiah)
【助演女優賞】 ユン・ヨジョン(ミナリ)

何といっても今回の最大のサプライズは、主演男優賞のアンソニー・ホプキンスの受賞だ。彼は会場に来てないし、中継もせず、静止画での登場。式に参加していないので、もちろん受賞コメントもなし(笑)。
今回、「できない」尽くし授賞式にあって、製作側もいろいろ考えたのだろう。作品賞の発表を、主演俳優賞の前にもってくるという迷断を行った。目論見は明白で、最後に、主演男優賞でもってきて、故「チャドウィック・ボウズマン」の受賞で感動のフィナーレにしたかったのだろう。が、まさかのドンデン返し。前哨戦の結果からチャドウィック・ボウズマンの受賞は確実だったはずで、万一彼の受賞がない場合も、リズ・アーメドにいくと思われてた(自分も確信していた)。
解説の町山さんが話していたことだが、アカデミー会員を大幅に広げたのが要因だろう。これまでSAGをとれば、受賞間違いなしだったのが、投票権を持つ、アメリカ俳優以外の映画人たちが大幅に増えたことで、選考判断も多様化されたのだろう。これば、とてもフェアなことであり、歓迎すべきことだ。忖度なしで、「いい」と思ったものが評価されるということ。今回の結果で証明された形だ。脚色賞も本命視されていた「ノマドランド」ではなく「ファーザー」が受賞したことも伏線だったと思われ、予想以上に「ファーザー」が評価されたことがうかがえる。自分がフォローしているアメリカの映画レビュアーも「ファーザー」を昨年のベストに挙げていたし、来月の日本公開が楽しみになってきた。

他の部門の結果は、下記のとおり。

【脚本賞】 プロミシング・ヤング・ウーマン
【脚色賞】 ファーザー [△]
【編集賞】 サウンド・オブ・メタル [△]
【撮影賞】 Mank マンク [△]
【美術賞】 Mank マンク
【衣装デザイン賞】 マ・レイニーのブラックボトム
【メイキャップ&ヘアスタイリング賞】 マ・レイニーのブラックボトム
【視覚効果賞】 TENET テネット
【録音賞】 サウンド・オブ・メタル
【作曲賞】 ソウルフル・ワールド
【長編アニメーション賞】 ソウルフル・ワールド
【国際映画賞】 アナザーラウンド
【長編ドキュメンタリー賞】 オクトパスの神秘:海の賢者は語る

前回同様、結構バラけてくれた。これも会員数が増えたことに起因しているのでは。以前のように、1つの作品に偏るではなく、1つのパーツでも秀でた仕事を讃える姿勢は映画ファンとして純粋に嬉しい。

ほか、WOWOWの放送内容も含め、感じたことを以下にまとめる。

◆屋外スペースの花の装飾、めちゃ綺麗。
◆ダニエル・カルーヤは敬虔なクリスチャン。「マー」は英国訛りかな。
◆トマス・ヴィンターベアのスピーチ、胸を締め付けられる。感動。
◆グレン・クローズ、イイ人、確定。いつか受賞しますよ。
◆追悼、コロナの影響で紹介人数が多い。。。キム・ギドク、亡くなってたのか。。。
◆ピート・ドクター、3回目の受賞で緊張とは無縁の快活なスピーチ。
◆主演女優賞、予想通りだったが、キャリー・マリガンに獲ってほしかった。。。
◆フランシス・マクドーマンドのスピーチ、他候補者への言及があっても良かった気が。
◆ベストスピーチはユン・ヨジョン。互いを讃え合う場であることを再認識させてくれた。
◆高島アナから変わった宇垣アナ、好きな映画への偏りが見え隠れしてむしろ良い。
◆ゲストの行定監督、ナイスフォローを何度も連発。特に、主演男優賞の結果に対する「温度差」の対応が素晴らしい。番組スタッフも助けられたのでは。

第93回(2021年)アカデミー賞の予想。

2021-04-25 00:14:07 | 映画
日付変わって、明日、第93回(2021年)アカデミー賞が開催される。
15年間、生放送で授賞式の模様を見続けてきたが、昨年は転職1年目にあって会社を休むことができなかった。で、今年は再び、いつものパターンが戻り、会社の振休を使い生放送で見る予定となった。
毎年、心待ちにしているのだけど、今年はあまりワクワクしていない。シンプルに応援したい作品が少ないことによる。それでも見逃せないのは、最初で最後であってほしい「コロナ禍」での授賞式がどんなものになるのかという興味だ。

で、今年の主要部門の予想をしてみる。
結局のところサプライズなしで終わると予想。
★は応援で、☆は予想。

【作品賞候補】
ファーザー
Judas and the Black Messiah
Mank マンク
ミナリ
ノマドランド→☆
プロミシング・ヤング・ウーマン→★
サウンド・オブ・メタル
シカゴ7裁判

順当に「ノマドランド」でしょう。。。映画は面白くないけど。

【監督賞】
トマス・ヴィンターベア(Another Round)
デヴィッド・フィンチャー(Mank マンク)
リー・アイザック・チョン(ミナリ)
クロエ・ジャオ(ノマドランド)→☆
エメラルド・フェネル(プロミシング・ヤング・ウーマン)→★

順当にクロエ・ジャオでしょう。。。

【主演男優賞】
リズ・アーメド(サウンド・オブ・メタル)
チャドウィック・ボウズマン(マ・レイニーのブラックボトム)→☆
アンソニー・ホプキンス(ファーザー)→★
ゲイリー・オールドマン(Mank マンク)
スティーヴン・ユァン(ミナリ)

順当にチャドウィック・ボウズマンでしょう。。。

【主演女優賞】
ヴィオラ・デイヴィス(マ・レイニーのブラックボトム)
アンドラ・デイ(The United States vs. Billie Holiday)
ヴァネッサ・カービー(私というパズル)
フランシス・マクドーマンド(ノマドランド)→☆
キャリー・マリガン(プロミシング・ヤング・ウーマン)→★

フランシス・マクドーマンドが三度目の受賞になるだろう。
キャリー・マリガンが獲ったらガッツポーズする。

【助演男優賞】
サシャ・バロン・コーエン(シカゴ7裁判)
ダニエル・カルーヤ(Judas and the Black Messiah)→☆
レスリー・オドム・ジュニア(あの夜、マイアミで)
ポール・レイシー(サウンド・オブ・メタル)→★
ラキース・スタンフィールド(Judas and the Black Messiah)

主演と助演がどちらもアフリカ系俳優が受賞するということで話題になるだろう。

【助演女優賞】
マリア・バカローヴァ(続・ボラット)
グレン・クローズ(ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌)
オリヴィア・コールマン(ファーザー)
アマンダ・セイフライド(Mank マンク)
ユン・ヨジョン(ミナリ)→☆★

ユン・ヨジョンが受賞し、「韓国旋風再び」みたいな見出しになるだろう。

あと個人的に注目しているのは長編ドキュメンタリー賞で、順当にいけばネトフリの「オクトパスの神秘:海の賢者は語る」が受賞するだろうけど、監督がどんな受賞コメントを残してくれるか。今年に入ってすぐに見た映画なのだけど、いろんな意味で価値観を覆すほどの感動を受けた。どんな視点であの「物語」を振り返ってくれるのだろうか。





砕け散るところを見せてあげる 【感想】

2021-04-24 23:49:03 | 映画


「ヒーロー」と名乗る青年と、痣だらけの女子。そしてタイトルは「砕け散るところを見せてあげる」。
その予告編の独特な編集から、エキセントリックな物語と期待していたが、その実はド直球な恋愛ドラマだった。それもかなり純粋な。
守っていた人を愛することになり、守ってくれた人を愛することになる。キラキラする青春の形に、後半にかけてサイコスリラーが侵食する。このあたりが、本作のオリジナリティか。そして、思わぬ壮大な「ファミリーヒストリー」へと転じていく。
冗長なセリフ回しは原作ゆずりか、過剰な演出は監督の特性か。「そのへんでよくない?」「それ、違くない?」が何度も脳内を行き交う。インパクトある「砕け散る」の言葉も映画と分離してる気が・・・。
あらゆる条件や環境が、俳優たちの技量に釣り合っていないパターン。これだけの若手俳優たちをキャスティングしておいて勿体なし。ヒロインを演じた石井杏奈は初見に近かったが、将来、大女優になりそうな煌めき。彼女の澄んだ声色は、恵まれた個性だ。あと、堤真一の久々の怪演に戦慄した。
【60点】

ザ・スイッチ 【感想】

2021-04-17 00:30:07 | 映画


ポップコーンムービーは誉め言葉。映画を気楽に映画館で楽しむ醍醐味、映画生活が戻ってきた実感。こういう映画をちゃんと公開してくれること有難し。ホラー映画へのオマージュは今回も笑いに満ちている。スプラッターもグロいよりも楽しい。

タイトルでわかるとおり、話のあらすじは事前にバレている。主人公として登場する金髪女子と、おぞましい殺人鬼が「入れ替わってる!?(「君の名は」風に)」な話。外見は綺麗目な女子で中身はサイコなおっさん、外見は小汚い大柄のおっさんで中身は気弱な女子高生というキャラが形成され、どちらも見事に笑いに転じさせる。最高に可笑しい。そして不思議なほどに、そのシチュエーションが実際にリアル見えてしまうから面白い。演出の巧さ、演者の力のなせる業といえる。

特に、殺人鬼演じるヴィンス・ヴォーンが絶品だ。直近「ブルータル・ジャスティス」や「デンジャラス・プリズン」を見たばかりで、男臭いイメージがついていたものの(どちらも最高)、彼のコメディセンスが久々に発揮された。あの2メートルの巨体に、あの走り方よ(爆笑www)。どんだけ女子高生になるためのトレーニングを重ねたことか。。。その練習風景を想像するだけで、ニヤついてしまう。あの狂気じみたキスシーンに、監督のセンスの冴えを改めて感じる。

単にコメディとして笑わせるだけでなく、こじらせ女子が男性の体を得たことで自らの殻を壊し、強く成長するというドラマもある。前作と比べると薄味は否めないが、監督クリストファー・ランドンにはこの手のジャンル映画を作り続けてほしい。

【65点】

騙し絵の牙 【感想】

2021-04-10 01:24:58 | 映画


面白い映画であり「面白い」を描いた映画。軽妙な騙し合いを連想する予告編だが、良い意味で詐欺。出版業界に留まらず、現代のビジネス社会を象徴化した社会派娯楽作。このくらいのデフォルメは大いに結構。

本作で定義する「面白い」は最大数の消費者の関心を得ること。フィクションは苦手だけど「ニュース」はよく見るという人がいる。その理由は「ノンフィクション(リアル)」だから。自分は常々思うのだけど、フィクションが好きな人もノンフィクションが好きな人も、本質的には同一ではないか。ノンフィクションが好きな人も、無意識にその裏にあるドラマを想像して面白がっているはずだからだ。

本作は、そんな様々な物語(創作物)を売る出版業界の今を映し出しながら、ビジネスの世界で生き残りを掛けたレースが描かれる。その光景はときに痛快であり、ときに悲哀をはらむ。

変化なきものは振り落とされる。情報化社会となって久しく、物事の変化がスピードアップした世界で、成功者の常套句としてよく使われている言葉だ。安住な環境を快適と感じる自分には耳が痛い言葉であり、本作の舞台となる出版業界は大変な状況下にあると改めて感じる。

「売れる」ためには何が必要か、つまらないものを切り落とし、面白いものを生み出すこと。「面白い」至上主義を掲げる主人公の手腕は、強引ながらもことごとく正しく思える。実なき幻想を涼しい顔で壊しにかかる姿に胸がすく。どこまでもスマートで不敵。そんな主人公を自然体で演じる大泉洋がとても魅力的だ。週刊誌の存在意義は広告媒体か、それとも消費者に売るコンテンツか。。。実際にはありえないことだが、後者を選んだ展開に圧倒された。

描かれるのは書籍の編集に関わる人たち。基本、活字が好きな人たちだ。本作をみてもつくづく、読書家な人たちには敵わないと思う。想像力しかり、それを自分の思考で解釈できる洞察力しかり、それを確固たる言葉にできる表現力しかりだ。松岡茉優演じる新人編集者が、そんな自分が思う「読書家」を体現する。一見、クールな主人公も文学に精通し、新人編集者に共鳴している点も見逃せない。新人編集者の能力が伏線回収の如く効いてくるから面白い。

そして何といっても「愛」だ。攻めること、グローバリズム、大衆迎合がすべてではなく、どれだけ文化芸術を想うことができるか、その深度に希望を見出したラストが最高のカタルシスを生んだ。この幸福な爽快感が堪らなかった。

【80点】

悪魔を見た 【感想】

2021-04-06 08:53:14 | 映画


いつか配信してほしいと待ち望んでいた韓国映画が、先月よりアマプラで配信開始された。通勤電車のなかでタブレットを隠すように鑑賞。聞きしに勝るS度500%の鬼映画。同時に、悪、暴力、罪の在り方を問うたインテリ映画だった。傑作。

連続殺人鬼に婚約者を殺害された主人公の男が、復讐するという話。主人公は刑事であり、犯罪を司法に委ねる役割であるが、その職務をあっさり放棄し、復讐の鬼と化す。よくあるプロットであるが、本作を描く上で特異な要素は大きく2点あって、1つは、連続殺人鬼が常軌を逸したサイコでありつつ常識的な判断ができるということ(実際あまりいないタイプでは?)、責任能力は十分で、好色で卑劣、救いようがない悪人。もう1つは、主人公が圧倒的に強く「殺人鬼<主人公」のパワーバランスが崩れないこと。

非道の限りを尽くす殺人鬼に対して、復讐を果たす主人公という構図は痛快そのものだが、主人公が掲げる「復讐」は、婚約者が受けた恐怖、痛み、苦しみを10倍にして返すことである。殺そうと思えば、簡単に殺せる、しかしそれでは不十分。拷問に近い暴力を与え、瀕死の状態まで追い込んだのち、治療して回復させたのち、再び、痛みを与え、活かす、この反復を繰り返す。主人公の残酷さは回を追うごとに増していく。「まだまだこれかれだ」、容赦ないバイオレンス描写が続く。韓国映画のバイオレンスはしっかり痛覚を刺激するから、北米映画のそれとは異質だ。

テレビドラマを中心に、コメディ、ロマンス、ヒューマニズムという韓国エンタメに浸っていた昨今、久々に「らしい」韓国映画の凄みを味わう。「悪」の描き方がぬるくない。主人公が追う殺人鬼もそうだが、途中出てくる「仲間」もそうだ。主人公による襲撃は脅威のはずだが、恐怖よりも興味が先立つ。殺人鬼の回復力が異常に強いなど、ツッコミどころもあるが、悪こそ生き延びる不条理を体現しているとも思える。

「どうせ強い」主人公だが、毎回の殺人鬼とのバトルにスリルが伴うのは、アクション描写に妙があるからだ。空間、アイテム、撮影カットを含めた演出が見事。同じアジア圏かつ10年前の作品なのに、日本のアクション映画ではまだまだ到達しえない領域にある。主人公演じるイ・ビョンホンと、殺人鬼演じるチェ・ミンシクの憑依型演技も大いに見もの。心臓を鷲掴む迫力。

本作のミステリーは、タイトルにある「悪魔」は誰かということ。流れからすれば「悪魔」になった主人公と察するが、終盤、本当の悪魔が正体を現す。暴力を見世物にしたわけではなく、あくまで「罪」であることを示す。暴力の果てにあった代償と、想像し得なかった悪の深さ。主人公の殺人鬼に対するこれ以上ない「おもてなし」と、果たされた約束も、押し寄せる虚無感に全てがかき消された。

【80点】

ノマドランド 【感想】

2021-04-04 09:35:29 | 映画


今年のオスカーの大本命を見る。
「ホームレス」ではなく「ハウスレス」。自らの意思で家を持たない暮らしを選んだという自尊が込められているが、本作の主人公の場合、実際は生活困窮ゆえの選択だろう。「アベンジャーズ」が華々しく公開されていたなか、リーマンショックによって、こうした生活者の人たちが多く生まれ出ていた事実を知る。1年半前、自身がロサンゼルスのコダックシアターに行ったとき、賑やかな観光地から一歩道を外れるとホームレスのテントが並んでいた風景を思い出す。

社会派映画の入り口だが、本作はノマドな人たちの精神性にフォーカスする。ノマド初心者の主人公と観客の視点が重なり、新しい価値観に触れる。彼らに「別れ」はなく、「再会」のために旅を続ける。その相手が故人であってもだ。最愛の夫を亡くした主人公の孤独をノマドという生き方が埋めていく。そして、アメリカの雄大の自然が主人公の旅路の伴侶となる。その美しさに目を奪われ、アメリカという国の複雑さと共に、懐の深さを見る。撮影監督「ゴッズ・オウン・カントリー」と同じなんだな。

あくまで彼らの「生き方」だ。しかし、その生活の過酷さも見逃さない。主人公をはじめ、多くの人たちがシニアであり、生活を身軽にしたところで身体は身軽にはならない。風呂に入れず、排せつも車内。短期労働で食いつなぎ、何かトラブルがあっても自力で解決。本作で透けるノマドの人たちへの敬意と共感みたいなものに、豊かな生活に甘んじている自分は距離を感じてしまった。

主要キャラ以外、実在の個人を起用するなど、フィクションとドキュメンタリーの間を行く本作だが、物語としてエンタメ度があまりに低い点も自分の好みではない。つまらなくはないが、面白くもない。「家は心の中にある」、自分もいつか理解する日が来るのかな。

【65点】

ミナリ 【感想】

2021-04-03 17:13:35 | 映画


鑑賞中、切に願うのはこの家族が幸せになってほしいということ。
アメリカの田舎に越してきたアジア系移民の家族の話という、事前情報通りの映画だったけど、こんなに親密に思えるなんて。。。自分は空間を超え、時間を超え、この家族の傍らにいるという実感があった。

小さな2人の子どもを連れた若い父親と母親。「ヒヨコの尻だけを見てきた」という苦労人の父親は、農場経営で成功する夢をかなえるため、妻を説得し、未開の土地に越してきた。都会から田舎へ、乗り気ではなかった妻は、トレーラーの住まいと何かと不便な環境に戸惑い、持病を抱える子供を心配する。2人は夫婦喧嘩を繰り返しながらも、何よりも家族の幸福な未来を守ろうとする。

降り注ぐ光と、吹き抜ける穏やかな風。劇中のBGMは鳥や虫の鳴く声。美しい自然に囲まれ、優しい家族の時間が流れる。やんちゃで愛くるしい子どもを中心に起きる細やかな出来事が微笑ましく、笑顔が止まらない。起伏のない展開だが、このドラマの中にずっと留まっていたいと思えるほどに心地よく、気づけば、この家族の出来事が他人事ではなくなってくる。

父親が求めるアメリカンドリームは農業であるが、自然を相手にした事業にあって、想像以上の苦戦を強いられる。「役に立たなければ廃棄される」、冒頭で語られる世界の残酷な一面と、運命の不平等さ。移民によって築かれた国、アメリカという場所で本作が普遍的なドラマとして評価されたことが頷ける。

そして、自分の年齢が本作の両親と子供、どちらにも近いことも印象的だった。今の自分は本作の父親であり、「レーガン」から想像する80年代は本作の子供だった。若くエネルギーに満ちていた父、若く美しく強かった母、大好きだった祖母。。。ノスタルジーが押し寄せてきた。

特別な体験になったものの、惜しむらくは終わり方。もう少し後日譚を描いてほしく、家族のあれからを見届けたかった。

【70点】

有吉が結婚してしまった件。

2021-04-02 23:37:35 | 日記
今日は朝ウナをキメるために朝の4時に起床。最高の整いから始まった1日。仕事もはかどり、定時に勤務を終えた。夜早々に眠くなり、布団に入りながら、スマホを軽くイジっていたら「有吉結婚」のニュースを知る。お相手はかねてから噂があった、夏目三久だという。

自身が敬愛する芸人、有吉のおめでたいニュースだが、祝うよりもショックが大きく、すっかり目が覚めてしまった。

ゴールデンのMCで器用に番組を回す頭脳派かつ常識人である一方、サンドリなどで見せる狂人ぶりの2面性。有吉がそれぞれの番組スタッフや、視聴者が求める像に合わせて、演じ分けているのは承知のうえだったが、後者の狂人(というか芸人)としてのキャラクター像が、くっきり幻想になってしまったことが寂しいというか。。。

思い返せば、マツコ・デラックスとの番組でたびたび、有吉の家庭的な生活スタイルに触れ「実はしっかりやっている」とイジられていたが、完全な独り身ではなかったということで腑に落ちる。しっかりと社会性があって人間性があって、才能があって努力家。だからこそ、多くのメディアを通して、彼のパフォーマンスに魅せられていたのだが。。。「やっぱ、そうなんです」と答えを出された感じ。。。

ぶっちゃけ、幻想のまま、独身を貫いてほしかった、、、というのはイチファンの勝手な戯言であります。

まだ救いは、相手が一般人女性ではなかったということか。夏目三久という彼との組み合わせがイメージできることに若干の安堵がある。背が高くて、「女子」よりも「女性」を好む彼のタイプ、そのままだし。

これから守るべき家族の存在がますます大きくなるなかで、有吉の芸風も変わらざるを得ないだろう。人生を重ねていくことは、イコール変化していくこと。そりゃそうだ。

結婚、おめでとうございます。お幸せに。








2021年春の近況日記

2021-04-01 05:06:47 | 日記

3月が終わった。仕事の話をボヤく。

自分が従事する業界にとって1月~3月は最繁忙期にあたり、この期間を乗り越えることに大きな意味があったりする。今週の月曜日にクライアントへのすべての納品が終わり、昨日、それに伴うクライアントへの報告を終えた。辛かった苦行からようやく解放された想い。一昨日は、フレックスを初めて活用し、早めに業務を終え、今の会社に転職する前に訪れていた北中米旅行の写真、約600枚をカメラキタムラのプリントに出した(総額15,000円だったな・・・)。

昨年の1月に今の会社に転職、2年目にあたる今年の1月から新しい部署に転属した。ベテラン社員が集まる部署であり、周りの環境が一変(人の部分が大きい)、扱う案件規模も大きくなり、途中から入ってきた自分には肉体的、精神的にかなり負荷が高かった。転職者の"あるある"だが、退職者や休職者で抜けた補充要員として充てられる。引き継ぎ案件が難儀で、これまでの経験上、情報の共有不足等で苦しめられることが多く、今回もそれに該当した。自分の監督役にあたるプロジェクトリーダーは、かなりクセがある人でマネージメントも雑。転職時に覚悟していたことだが、自分よりもキャリアの短い人間にタメ口で指示される経験を初めて味わう。タメ口は良いとして「自分で考えろ、俺の仕事を見て学べ」のスタンスには恐れ入った。プレイヤーとしては優秀な人なので多くのことを学べた、という良い側面もある。

ただでさえ忙しい状況がさらに面倒な状況になり、10年ぶりくらいに徹夜に近い状態を経験する。3月の残業時間は80時間ギリだった。コロナ禍が幸いし、在宅勤務でなければ乗り越えられなかったと振り返る。緊急事態宣言が解除され、今月(4月)からは出社比率が高まる。今年の冬は暖冬だった。地球温暖化が心配。

以下、最近の個人的なトピックス。

・在宅勤務が増え、コーヒーの消費量が増える
・近くのジムのサウナが100℃超えになり、整えるようになる
・日本酒熱が再燃。週1で4合瓶を1本購入するペースになる
・人間ドッグで始めて2次検査の達しがくる(目の検査)
・アニメ「呪術廻戦」にハマる(「鬼滅」よりも断然オモロ)
・中一の甥っ子が「シン・エヴァ」を3回観に行ったとのこと(ホントか?)
・ネトフリのコンテンツがやや枯渇気味(コロナによる製作遅延か)、久々に一時解約中
・学割から長らく使っていたauから、Yモバに携帯キャリアを乗り換え(さらばガラケー)
・アイアンマンのフィギュアをメルカリに出品するも売れない

今月末には一ヶ月遅れでアカデミー賞の授賞式がある。昨年、リアルタイムで見れなかったが、今年は有休を使って見たいと思う。