今年のアカデミー賞が終わった。コロナに襲われた2020年、映画界に与えた影響の大きさを改めて思い知る。式の内容も、受賞結果の内容も異例づくしだった。会場はコダックシアターではなく、ユニオンステーション。参加者数も通常の20分の1に縮小。品格は保ちながらも、豪華絢爛とはいかず、やはり地味な印象は拭えない。「祭典」というよりは同業者が集まった授賞式といった感じ。それでもリアルな会場でやってくれたことには感謝だ。
MCなし、パフォーマンスなし、特集映像なし、生演奏なし。いつものクリアな映像ではなく、映画のような映像で中継されるも、あれだとライブ感がなくなる。「1つの映画として見せる」演出とのことで、ノミニ―たちのルーツを1人1人紹介する。そして、受賞スピーチは時間制限なしで、受賞者が気が済むまで話してOK。
確かに新鮮ではあったものの、次回はいつもの授賞式の内容に戻ってほしいと思った。特に式の見どころでもある、受賞スピーチは時間制限があったほうが良いようだ。ダニエル・カルーヤ、良い話をしているんだけど、あれだけ伸ばしてしまうと感動が薄れる。
主要部門の結果は下記のとおり。[△]は予想ハズレ。
【作品賞】 ノマドランド
【監督賞】 クロエ・ジャオ(ノマドランド)
【主演男優賞】 アンソニー・ホプキンス(ファーザー) [△]
【主演女優賞】 フランシス・マクドーマンド(ノマドランド)
【助演男優賞】 ダニエル・カルーヤ(Judas and the Black Messiah)
【助演女優賞】 ユン・ヨジョン(ミナリ)
何といっても今回の最大のサプライズは、主演男優賞のアンソニー・ホプキンスの受賞だ。彼は会場に来てないし、中継もせず、静止画での登場。式に参加していないので、もちろん受賞コメントもなし(笑)。
今回、「できない」尽くし授賞式にあって、製作側もいろいろ考えたのだろう。作品賞の発表を、主演俳優賞の前にもってくるという迷断を行った。目論見は明白で、最後に、主演男優賞でもってきて、故「チャドウィック・ボウズマン」の受賞で感動のフィナーレにしたかったのだろう。が、まさかのドンデン返し。前哨戦の結果からチャドウィック・ボウズマンの受賞は確実だったはずで、万一彼の受賞がない場合も、リズ・アーメドにいくと思われてた(自分も確信していた)。
解説の町山さんが話していたことだが、アカデミー会員を大幅に広げたのが要因だろう。これまでSAGをとれば、受賞間違いなしだったのが、投票権を持つ、アメリカ俳優以外の映画人たちが大幅に増えたことで、選考判断も多様化されたのだろう。これば、とてもフェアなことであり、歓迎すべきことだ。忖度なしで、「いい」と思ったものが評価されるということ。今回の結果で証明された形だ。脚色賞も本命視されていた「ノマドランド」ではなく「ファーザー」が受賞したことも伏線だったと思われ、予想以上に「ファーザー」が評価されたことがうかがえる。自分がフォローしているアメリカの映画レビュアーも「ファーザー」を昨年のベストに挙げていたし、来月の日本公開が楽しみになってきた。
他の部門の結果は、下記のとおり。
【脚本賞】 プロミシング・ヤング・ウーマン
【脚色賞】 ファーザー [△]
【編集賞】 サウンド・オブ・メタル [△]
【撮影賞】 Mank マンク [△]
【美術賞】 Mank マンク
【衣装デザイン賞】 マ・レイニーのブラックボトム
【メイキャップ&ヘアスタイリング賞】 マ・レイニーのブラックボトム
【視覚効果賞】 TENET テネット
【録音賞】 サウンド・オブ・メタル
【作曲賞】 ソウルフル・ワールド
【長編アニメーション賞】 ソウルフル・ワールド
【国際映画賞】 アナザーラウンド
【長編ドキュメンタリー賞】 オクトパスの神秘:海の賢者は語る
前回同様、結構バラけてくれた。これも会員数が増えたことに起因しているのでは。以前のように、1つの作品に偏るではなく、1つのパーツでも秀でた仕事を讃える姿勢は映画ファンとして純粋に嬉しい。
ほか、WOWOWの放送内容も含め、感じたことを以下にまとめる。
◆屋外スペースの花の装飾、めちゃ綺麗。
◆ダニエル・カルーヤは敬虔なクリスチャン。「マー」は英国訛りかな。
◆トマス・ヴィンターベアのスピーチ、胸を締め付けられる。感動。
◆グレン・クローズ、イイ人、確定。いつか受賞しますよ。
◆追悼、コロナの影響で紹介人数が多い。。。キム・ギドク、亡くなってたのか。。。
◆ピート・ドクター、3回目の受賞で緊張とは無縁の快活なスピーチ。
◆主演女優賞、予想通りだったが、キャリー・マリガンに獲ってほしかった。。。
◆フランシス・マクドーマンドのスピーチ、他候補者への言及があっても良かった気が。
◆ベストスピーチはユン・ヨジョン。互いを讃え合う場であることを再認識させてくれた。
◆高島アナから変わった宇垣アナ、好きな映画への偏りが見え隠れしてむしろ良い。
◆ゲストの行定監督、ナイスフォローを何度も連発。特に、主演男優賞の結果に対する「温度差」の対応が素晴らしい。番組スタッフも助けられたのでは。
MCなし、パフォーマンスなし、特集映像なし、生演奏なし。いつものクリアな映像ではなく、映画のような映像で中継されるも、あれだとライブ感がなくなる。「1つの映画として見せる」演出とのことで、ノミニ―たちのルーツを1人1人紹介する。そして、受賞スピーチは時間制限なしで、受賞者が気が済むまで話してOK。
確かに新鮮ではあったものの、次回はいつもの授賞式の内容に戻ってほしいと思った。特に式の見どころでもある、受賞スピーチは時間制限があったほうが良いようだ。ダニエル・カルーヤ、良い話をしているんだけど、あれだけ伸ばしてしまうと感動が薄れる。
主要部門の結果は下記のとおり。[△]は予想ハズレ。
【作品賞】 ノマドランド
【監督賞】 クロエ・ジャオ(ノマドランド)
【主演男優賞】 アンソニー・ホプキンス(ファーザー) [△]
【主演女優賞】 フランシス・マクドーマンド(ノマドランド)
【助演男優賞】 ダニエル・カルーヤ(Judas and the Black Messiah)
【助演女優賞】 ユン・ヨジョン(ミナリ)
何といっても今回の最大のサプライズは、主演男優賞のアンソニー・ホプキンスの受賞だ。彼は会場に来てないし、中継もせず、静止画での登場。式に参加していないので、もちろん受賞コメントもなし(笑)。
今回、「できない」尽くし授賞式にあって、製作側もいろいろ考えたのだろう。作品賞の発表を、主演俳優賞の前にもってくるという迷断を行った。目論見は明白で、最後に、主演男優賞でもってきて、故「チャドウィック・ボウズマン」の受賞で感動のフィナーレにしたかったのだろう。が、まさかのドンデン返し。前哨戦の結果からチャドウィック・ボウズマンの受賞は確実だったはずで、万一彼の受賞がない場合も、リズ・アーメドにいくと思われてた(自分も確信していた)。
解説の町山さんが話していたことだが、アカデミー会員を大幅に広げたのが要因だろう。これまでSAGをとれば、受賞間違いなしだったのが、投票権を持つ、アメリカ俳優以外の映画人たちが大幅に増えたことで、選考判断も多様化されたのだろう。これば、とてもフェアなことであり、歓迎すべきことだ。忖度なしで、「いい」と思ったものが評価されるということ。今回の結果で証明された形だ。脚色賞も本命視されていた「ノマドランド」ではなく「ファーザー」が受賞したことも伏線だったと思われ、予想以上に「ファーザー」が評価されたことがうかがえる。自分がフォローしているアメリカの映画レビュアーも「ファーザー」を昨年のベストに挙げていたし、来月の日本公開が楽しみになってきた。
他の部門の結果は、下記のとおり。
【脚本賞】 プロミシング・ヤング・ウーマン
【脚色賞】 ファーザー [△]
【編集賞】 サウンド・オブ・メタル [△]
【撮影賞】 Mank マンク [△]
【美術賞】 Mank マンク
【衣装デザイン賞】 マ・レイニーのブラックボトム
【メイキャップ&ヘアスタイリング賞】 マ・レイニーのブラックボトム
【視覚効果賞】 TENET テネット
【録音賞】 サウンド・オブ・メタル
【作曲賞】 ソウルフル・ワールド
【長編アニメーション賞】 ソウルフル・ワールド
【国際映画賞】 アナザーラウンド
【長編ドキュメンタリー賞】 オクトパスの神秘:海の賢者は語る
前回同様、結構バラけてくれた。これも会員数が増えたことに起因しているのでは。以前のように、1つの作品に偏るではなく、1つのパーツでも秀でた仕事を讃える姿勢は映画ファンとして純粋に嬉しい。
ほか、WOWOWの放送内容も含め、感じたことを以下にまとめる。
◆屋外スペースの花の装飾、めちゃ綺麗。
◆ダニエル・カルーヤは敬虔なクリスチャン。「マー」は英国訛りかな。
◆トマス・ヴィンターベアのスピーチ、胸を締め付けられる。感動。
◆グレン・クローズ、イイ人、確定。いつか受賞しますよ。
◆追悼、コロナの影響で紹介人数が多い。。。キム・ギドク、亡くなってたのか。。。
◆ピート・ドクター、3回目の受賞で緊張とは無縁の快活なスピーチ。
◆主演女優賞、予想通りだったが、キャリー・マリガンに獲ってほしかった。。。
◆フランシス・マクドーマンドのスピーチ、他候補者への言及があっても良かった気が。
◆ベストスピーチはユン・ヨジョン。互いを讃え合う場であることを再認識させてくれた。
◆高島アナから変わった宇垣アナ、好きな映画への偏りが見え隠れしてむしろ良い。
◆ゲストの行定監督、ナイスフォローを何度も連発。特に、主演男優賞の結果に対する「温度差」の対応が素晴らしい。番組スタッフも助けられたのでは。