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ハリウッドがガチで戦隊ヒーローを撮ったら、こういう映画になる。素晴らしい。普通にアツくなってしまった。強くなることへの憧れは男子じゃないと共感し得ない感覚かもしれない。ティーンが主人公ゆえ、青春ドラマとしての描き込みにも注力しているのはさすがだ。「友情・努力・勝利」という、週刊少年ジャンプのテーマがそのまんまあてはまる。ケレン味たっぷりの演出に、作り手の戦隊ヒーローへの愛が滲む。「変身」後のクライマックスが駆け足になったのが少し残念だが、それ以上に完成度の高い映像化に感動した。クリスピークリームドーナツとの癒着あったのか??
鉱山に偶然居合わせた5人の若者が、5色に光る不思議な鉱石を手にしたことで、超人的能力を身につけ、地球の存亡をかけた戦いに身を投じる様を描く。
のっけから、テンポの早さに驚かされる。ティーンならではの躍動を短い編集カットでみせる。よく見る学園モノの風景が描かれるが、主人公らは問題児ばかりで、しかも孤独。それぞれの事情で生きづらさを感じている状況だ。補習クラスの3人を除けば彼らは面識がない者同士であり、同じ時間にたまたま鉱山にいたがために、戦隊ヒーローへの道が一方的に開かれる。5人が一堂にまとまる展開も半ば強引だが、早いスピードでグイグイと引き込んでいく。
彼らが不思議な鉱石によって超人的なパワーを身に付けたリアクションが面白い。怖さよりも喜びが勝り、退屈な学園生活を一変させていく。ティーンならではのノリの良さも手伝い、身に着いた能力を謳歌する。スパイダーマンなどのアメコミヒーローの存在も、ジョークのネタとして使われる。楽天的で好奇心旺盛な若者たちが、不思議な鉱石に秘められた謎に行きつくのは必然的であり、その道中はアトラクション要素もあって楽しい。
そんな彼らが「選ばれた者」としての使命に目覚める様子が、時間をかけてしっかり描かれている。おそらく、ヒーローアクションとしての見せ場に重点を置けば、それらの前提を大幅に省くこともできただろう。特別じゃない若者たちが、地球を救うなどという大それた正義感に目覚めるのは自然なことではなく、相応のきっかけがあってしかるべきという誠実な判断だ。内面的な葛藤というよりも、敵の脅威に巻き込まれた印象も強いが、若者たちのリアルな反応を無視することのないように脚本がよく練られている。
5人の若者たちの友情が深まり、真のヒーローへと覚醒していく。覚醒の具現化シーンとして、「変身」が用いられたのがわかりやすくて良い。自己の内面の変化によって、大幅にパワーアップする展開は、多くのヒーロー漫画やヒーロー映画でコスられまくっている話だが、男子的には何度見ても気持ちが良いものだ。本作でも、変身までの紆余曲折が描かれた分、カタルシスが十分に感じられる。このあたりの描き方は日本映画ではまだまだ力不足で、ハリウッドに見習ってほしいところだ。日本映画で思い浮かべるのは窪塚洋介の「ピンポン」くらいかな。。。
彼らが強くなるために修業の様子も描かれている。欧米では馴染みのない工程だが、「ドラゴンボール」などの日本のサブカル文化の浸透によるものだろうか。戦隊モノのお約束の舞台である鉱山が、本作の舞台としても選ばれている。変身した5人が乗りこなす動物型ロボットが横並びで走るシーンも、あえてチープに見せている印象。随所にオリジナルへのオマージュを感じさせる。
欲をいえば、変身後の戦いのシーンをもう少しじっくり見せてくれても良かった。それこそ、5人の個性が発揮されるべき状況なのだが、操作するロボットが違うだけでアクションのバラエティが少ない。また、一番盛り上がるロボットの合体シーンは、5つのロボットがちゃんと変形して1つに合体する様子をちゃんと見たかった。あれでは、パシフィックリムと変わらない。
クライマックスの本番戦闘シーンが、前段のドラマパートに比べて物足りなさがあったものの、中二的妄想のなかで未だに生きている自分にとっては、日本の戦隊ヒーローがハリウッドによって見事な実写映画になったことに終始テンションが上がった。エリザベス・バンクス演じる悪役も、おちゃらけることなくホラーに徹したのも好印象だ。まだまだ、日本製サブカルネタで実写化してほしい素材はたくさんあるので、ネタ切れが目立つハリウッドとウィンウィンの関係を継続してほしい。
【70点】
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