から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

新競技”ブレイキン”に激しく感動した件。

2024-08-12 10:02:22 | 日記


2024年、パリオリンピックが終わった。

今回のオリンピックについては、ダイジェストを振り返る程度でほとんど見ていない。
それよりも先々週末から起きた日米の株の歴史的暴落と、その対応にヤラレており、まったく興味関心が湧かなかった。今回の暴落で株式だけでなく、投資信託を含め、一時は、年収の1.5倍の資産が口座から吹き飛んだ。1年ぶりの含み損を経験。今は若干、株価は持ち直したものの、7月上旬の含み益の4分の1程度にしか戻っていない。また、このあたりの話は別途振り返るとして。。。

パリオリンピックの競技のなかで、唯一、予選から見ていたのが、今回より新競技として採用された”ブレイキン”である。即興音楽にのせて、1体1のダンスバトルで勝ち上がっていくというもの。いろんなダンスがあるが、そのなかでも最もアクロバティックで常人離れしたダンスがブレイクダンスといえそうだ。シンプルに見ていて楽しいが、実はかなり奥深い競技であることを知る。

5つの採点基準で争わる。
技術(Technique)、ボキャブラリー(多様性)、エクスキューション(完成度)、ミュージカリティ(音楽性)、独創性(オリジナティ)。素人がみて「この人、最高だな」と思っても、プロの審査員の評価はまったく異なったりする。それは、この5つの審査基準がベースになっているからだ。

ブレイキンは競技者の個性がそのまま出る。技術性が高い人、完成度が高い人、音楽性が高い人など、ダンスのスタイルも様々であり、同じ「ブレイクダンス」といえど、異種格闘技戦に近いものがあったりする。その人の得意技であったり象徴的なキメを「シグニチャー」と呼ぶ。これが「●●(選手名)のシグニチャーです!」という解説がいちいちカッコいい。若干、話がズレるが、今回の放送解説の熊崎アナと白井さん、的確な説明と強い”ハート”を含んだ解説、最高だったな。

日本人選手を応援するよりも、その競技自体を楽しんで視聴していた。個人的に好きだったのは、オランダのリーと、アメリカのジェフロ。リーは硬質なイメージが強いブレイクダンスのなかで、柔軟性や浮遊感を感じさせるダンス。ジェフロは、完成度と音楽性が飛びぬけて高いと思えた。2人とも決勝ラウンドで早々に敗退してしまって残念だが、これぞ、この競技の醍醐味といえる。



そのなかで最も印象的だったのは、日本人ビイキでない自分からしても、予選で敗退してしまったHIRO10こと、大熊選手のラストムーブである。この最終戦は、彼の敗退が決まったあとのパフォーマンスであったが、常軌を逸したといっていいほどの超絶なパワームーブを見せた。超絶というより壮絶という言葉が相応しいか。見えない炎が見えた。3戦目で筋肉疲労はピークに達していながらも、最後に己のプライド、アイデンティティ、パリまでの努力の道のり、、、そういった彼の感情がダンスで爆発した。無自覚に号泣してしまった。結果の判定は、すべて相手側につき、会場から大ブーイングが起きたが、フェアな判定だったと思う。彼のムーブは確かに音楽性を無視した内容に思えたし、おそらく彼もそれをわかって競技していたと思う。でも、その生き様、カッコよすぎだろ。放送席の3人も全員号泣www(こういうのイイ!!!)



そしてやはり決勝トーナメントである。特に、決勝と3位決定戦だ。オリンピックはメダルを取りに行くことが最大モチベーションのため、相手を打ち負かす闘争心が前提にあると思うが、このブレイキンについては異質な空気が流れている。目の前の相手のパフォーマンスに呼応する形で競技が進められていくなかで、2人の競技者にしか見えない世界が時折透けて見えたりする。そこにあるのは、相手への共感と強いリスペクトである。おそらくお互いがいろんな想いを背負って、これほどのダンスを体現させるために血のにじむような努力を重ね、この大舞台まで勝ち上がってきた。笑顔で相手を讃えながら競技している光景が、メダルをかけた真剣勝負のなかで垣間見える。そして終われば、強く抱擁する。ライバルであり戦友。そこには勝敗を超えた栄光があって、自分はここでも大号泣してしまった。

惜しくもメダルに届かなったシゲキックスこと半井選手の試合後のインタビューが聡明で清々しかった。「このオリンピックは自分に必要な挑戦だった」「ブレイキンに出会って生まれ変わった稲妻を多くの人に体験してほしい」「競技者としての僕の姿をみて目の前のものに打ち込むモチベーションになったら嬉しい」。まだ22歳でこのコメント。何かを極めようと常人には想像もできない努力と研鑽を積み重ねてきた人は、何倍ものスピードで人間として成長するのだ。

そして自分を振り返る。自分の目標ってなんだろう。
自分の「シグニチャー」ってなんだろ。
自問するきっかけを作ってくれたと思う。








コメント (1)
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