から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

最後の決闘裁判 【感想】

2021-10-24 10:54:11 | 映画


見終わったあと、ヘトヘトになる。打ちのめされた。ライトで気軽な体験が持てはやされる昨今。興行的な勝算は薄いとわかっていても製作に踏み切り、「今」描くべきドラマへと昇華させた情熱に感服する。本作もまた大いなる映画体験だった。

1300年代初期のフランス(日本でいうと室町時代)。かつて親友同士だった2人の男が、「勝って相手を殺した方が正義で無罪」(無茶苦茶だわ)という決闘裁判へと至ってしまった経緯とその結末を描く。太陽が照らす晴れの天気を排除し、終始、曇か雪。青みがかった冷淡なトーンで背景を統一。重量感が伝わる甲冑での戦闘は泥と血にまみれ、容赦ないバイオレンス描写に痛覚が刺激される。粗野で残虐だった中世の時代に観客を引き込む。

原告、被害者、被告、2人の男と1人の女。3人に起きた出来事は1つであるが、「真実」は3つに分かれる必然。それぞれの視点、3人の異なる心理から形成される真実の正体に唸らされる。ミステリーが解き明かされる過程で描かれるのは、「妻の役目は男子を生むこと」「女は何をされても沈黙せよ」といった歪んだ男尊女卑の歴史であり、命をかけて抗う、あるいは翻弄される被害者の姿は、現代に繋がる社会構造への痛烈なメッセージとして響く。

被害者で虐げられる立場のジョディ・カマー演じる妻が、強い女性として輝いてみえてくるのは、キャストを含めた製作陣の女性へのリスペクトがあってこそだろう。三者三様の「クズ男」に徹したマット・デイモン、アダム・ドライバー、ベン・アフレックの献身性も素晴らしかった。

【80点】
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DUNE/デューン 砂の惑星 【感想】

2021-10-22 08:00:00 | 映画


「アベンジャーズ・エンドゲーム」以来、2度目のドルビーシネマにて鑑賞。
相変わらず、上映前の「ドルビーシネマは凄いんですよ」の煽り映像が可笑しい。

リンチ版「DUNE」は未見。ドキュメンタリー映画「ホドロフスキーのDUNE」でその存在を知っていた程度。

壮大が過ぎる原作ゆえ、しっかり映像化すれば「スターウォーズ」を超える大作になるポテンシャルを持っていたとのこと。「メッセージ」「ブレードランナー2049」で期待をぶち上げたドゥニ・ヴィルヌーブがメガホンをとった本作の仕上がりは、結果、想像の斜め上をいくものだった。少なくとも彼以上の適任者はいなかったと確信する。

圧巻。まずは、その一言に尽きる。

スクリーンの世界に吸い込まれ、没入する感覚を久々に味わう。これぞ映画体験の醍醐味である。始まりから終幕まで貫かれる映像の奥行きと広さ。その広大な舞台で躍動するおびただしい人の数、胸躍るデザインのガジェットの数々。機能性を全く無視したトンボ型の飛行船が非常に楽しい。我々凡人には辿り着けないヴィルヌーブの想像の世界。それが仮想というよりも、確かな実在感を伴って迫ってくる。もはや畏怖の念すら抱くほどだ。

物語の中心にいるのは美青年のティモシー・シャラメである。華奢でサバイバル能力ゼロに見える彼の存在も、本作の世界観にフィットしている。彼を筆頭として、豪華で魅力的なキャラクターが次々と登場する。GOTのドロゴの時代が懐かしいジェイソン・モモアも、すっかり、そのスター性を発揮している。彼が悪役どもを蹴散らすシーンに発奮する。一方、それだけに次作でキャストが仕切り直される流れは寂しくもある。

映像のルックがとにかく素晴らしい。それだけでも本作を映画館で見る価値は十二分であるものの、中身の物語はとてもシンプル。悪人VS善人の構図。多くの物語が映画で語られてきた現況において、その既視感は否めない。「スターウォーズの冒頭を2時間半に引き延ばした」といったレビューをどっかで見たけれど、わからなくもない。主人公の運命と予知夢の関係性がわかりづらいのも、考察が苦手な自分にはやや荷が重たかった。

あと、ハンス・ジマーの音楽と本作の相性は悪いと思われる。ジマー特有の重低音が、スケールやドラマを醸成するための「押し売り」になってしまった印象。砂漠という静寂が宿る空間を、もっとうまく演出してほしかった。

壮大な冒険の幕開けという点で「ロード・オブ・ザ・リング」のパート1を見終わった時に似た期待感がある。まだいつになるかわからないが、次作を楽しみにして待ちたい。

【70点】
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4ヶ月ぶりに、ブログを再開する件

2021-10-21 20:02:07 | 日記
人生初の副業に手を出し(合法)、自宅での空き時間は、ほぼ全てその副業に時間を割いた。。。

約4か月、それなりに稼いだので、一旦やめて、ブログ更新を再開したいと思う。
(こんなに長期間、ブログを放置したのも初めて)

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コメントいただいた方、ありがとうございます。

但し、これまで通りのペースやボリュームでの記事投稿は難しいと思いますのでご了承くださいませ。
映画や海外ドラマを見るペースもグッと減りました。

本ブログは情報発信のためというより、自身の行動記録を残すことをモチベーションにしています。
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4か月間で見た映画について、
個人的に面白かったと思う作品を下記にカテゴリー分けします。

<年間ベストに入る傑作>【90点台作品】
・プロミシング・ヤング・ウーマン
・ザ・スーサイド・スクワッド
・空白


<めちゃ面白かった!>【80点台作品】
・孤狼の血 LEVEL2
・シャン・チー/テン・リングスの伝説


<満足>【70点台作品】
・クワイエット・プレイス 破られた沈黙
・東京リベンジャーズ
・007/ノー・タイム・トゥ・ダイ

コメント (2)
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