から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

ハンガー・ゲーム2 【感想】

2013-12-31 20:34:39 | 映画


今年2013年の映画納めは「ハンガー・ゲーム2」。

全米では4億ドルに迫る超絶ヒット。
2013年の全米興行でみるとアイアンマン3に肉迫する堂々の2位。

昨年に公開されたばかりの前作も全米では4億ドルの大ヒットとなったが、
日本では全くウケなかった。興行的にも、評判的にも。
周りの知人からは「全然ヌルい『バトルロワイヤル』」と言われたが、
本作は全く別コンセプトの映画だと思われる。
殺し合いではなく、生き残りをかけた戦いを描いているのだ。

自分は前作が好きだったので、楽しみにしていた。

前評判通り、前作を上回るスケールと迫力だ。
普通に楽しめたが、個人的には前作の方が好き。

内容は前作からの続き。
前作を知らないと全くわからない作りになってる。

前回のデスマッチで優勝し、生き延びたヒロインが反乱のシンボルとなったため、
政府の反感を買い、再びデスマッチに呼び戻されるという話だ。

前作と同じように選手同士の戦いをイメージしていたが、
今回出場する選手たちは過去の優勝者たちで、せっかく生き延びたのに、
再び強制的に出場させられて政府に対して「ふざけんな」という態度。
戦いの構図は選手VS選手から、選手VS政府になる。

しかし、自分がそれに気付いたのが、物語の終盤だった。
「なるほど!こっから面白くなるぞー」と思ったら、エンディング。。。
ハリポタの最終章同様、本作も2部作の前編だったようだ。結構な肩透かし。

エンディングになったということは、上映時間の140分が過ぎていたということ。
あっという間だったので、映画に没頭していたのだろう。

本作の魅力は何といっても、今最もハリウッドで旬を迎えている、
ヒロインを演じたジェニファー・ローレンスだろう。

彼女の顔立ちを改めて見ると、彫りが浅く、のっぺりとしていて、
欧米人には珍しい一重まぶたに近い二重まぶただ。
表現のしづらそうな顔立ちなのだが、彼女の演技を見ると一気に鷲掴みにされる。
映画に愛された演技力の持ち主というか、実に魅力的だ。
3月のオスカーでも助演女優賞(アメリカン・ハッスル)にノミネートされそう。
第二のメリル・ストリープになるか。

ヒロインの案内役を演じるエリザベス・バンクスの衣装も、
前作以上に面白い。近未来コスチュームも本作の見所だろう。

メインキャストにフィリップ・シーモア・ホフマンも加わり、
俄然面白くなりそうな次回作。

でも、やっぱり消化不良。それなりに面白かったけど。

【65点】







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ゲーム・オブ・スローンズ 第二章 【感想】

2013-12-30 10:21:17 | 海外ドラマ


ゲーム・オブ・スローンズの第二章を見終わる。
第一章と同じ全10話。あっという間に終わる。
感想も第一章と同じ「早く第三章を見たい」。

面白い。止まらない。
続きの展開が気になって仕方なくなるタイプのドラマだ。

戦いの火蓋を切った第一章。
第二章で大きな変動があると思いきや、まだ動かない。
原作は第7部まであるとのこと。壮大な物語のまだ序盤である。

第一章を見終わってから4ヶ月くらいしか経っていないが、
登場人物が多く、その相関も複雑であるため、
出だし、第一章からの前提がなかなか思い出せず追いついていけない。
ドラマの公式HPに相関図があって助かる。
この原作小説を読み込んでいる人は読解力があるなーと感心する。

このドラマの魅力は、スターク家のサンサのこのセリフに象徴される。
 「悪者は生き延びる」

正しき者が勝者ではなく、悪い者でも強ければ勝者になる。
それをまざまざと見せつけるドラマだ。
女、子どもへの暴力を御法度にしているアメリカには珍しく、
直接的な描写は避けているものの、そのあたりに踏み込むシーンも多い。

正義の王族であるスターク家の苦難は続く。
長男のロブは父の復讐のために挙兵し、快進撃を続けるが、狂王にまだ届かない。
長女のサンサは引き続き、父を殺した鬼畜狂王にいじられる。
次女のアリアは男子に変装して逃亡する。
次男のブラン(可愛い!)は裏切ったシオンにより城を追い出される。
ブランの「誰も傷つけないって言ったじゃないか!」に半泣き。

心優しきスターク家の幸せを節に願うが、
第一章から引き続き、スターク家を痛めつけるドMな展開だ。

だけど、そのスターク家の動向ばかり、気にしていられない。
「ナイツ・ウォッチ」となったスターク家の落し子ジョン・スノウの動向、
バラシオン家のスタニスの逆襲、ドラゴンの母デナーリスの険しい旅路。。。
などなど、見所が盛りだくさんで目が離せない。

そして第二章で印象的だったのは、物語を盛り上げる女性キャラたちだ。
皆、もれなく魅力的だ。豊満な裸体を惜しみなく魅せる。エロさよりも美しさ。
戦乱の時代を生き抜く強かさも兼ね備えて、一層盛り上がる。

フラストレーションを抱えながらも夢中になる感覚。

「インプ(子鬼)」こと、小人症のディリオンが前章以上にカッコいい。
真の愛に目覚めた、シェイとのロマンスにグッときた。
演じるピーター・ディンクレイジ、相変わらず巧い。

互いを牽制し合い、緊張感たっぷりの展開が多い本作にあって、
和気あいあいとしているメイキング風景が見たい。

第三章はアメリカでは、既に6月に終了している模様。
早く日本で放送してほしい。










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ゴースト・スクール 【感想】

2013-12-28 12:04:18 | 映画
新作DVDレンタル寸評。。。



ゴースト・スクール 【70点】
スペイン発ながら、ハリウッドの御株を奪う快作のコメディ映画。これは面白い!!
幽霊が見えてしまう教師が、学園に居座る5人の学生幽霊を卒業させる話。
ありそうでなかった脚本がユニーク。教師と幽霊たちの交流を軸に、
各キャラクターの失われた青春が取り戻されていく過程が秀逸。笑ってホロリ。
ハリウッドリメイクが決定とのこと。本気出して作ったらオリジナルを超えそう。
しかし製作がウィル・スミス、勘弁して。ジャド・アパトーにやってほしい。

舟を編む 【60点】
まずまず。辞書作りは言葉に命を宿す作業で、言葉の語釈には作り手の個性が生きる。
同時に、完璧な精度と膨大な作業量を伴う仕事。その完成の達成感たるや。
しかし石井裕也の演出がやはりダメ。型に嵌め込む演出で俳優が窮屈そう。
原作の力と、その石井演出を補う実力派俳優たちの共演。。。あー勿体ない。
アカデミー賞の日本代表は本作ではなく「そして父になる」が正解。

図書館戦争 【55点】
知人に勧められて観たが、残念。つまらない。洋画に慣らされているので、
真面目なアクション映画を見せられても、物足りなさだけが残る。
架空の世界観にもハマれず。キャラクターたちの友情、ロマンスの描き方も幼稚。
岡田准一と榮倉奈々の凸凹シルエットは面白いが、榮倉の演技がキツイ。

ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮 【65点】
面白い。18世紀に実際にあったデンマーク王室のスキャンダルを描く。
ラブストーリーだけでなく、ポリティカルスリラーとしても見ごたえあり。
王妃と恋に落ちるドイツ人医師を演じた主演のマッツ・ミケルセンはさすが。
130分とやや長尺だが、スリリングで濃密。中世の大河ロマンに満足。
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Her 【気になる映画】

2013-12-26 01:48:06 | 気になる映画


気づけば、来週で今年も終わる。

先々週に再見したゼロ・グラビティの余韻に浸っている隙に、
全米では立て続けにオスカー候補作が公開されている。

来月末に日本でも公開されるデヴィッド・O・ラッセルの「アメリカン・ハッスル」だったり、
コーエン兄弟の新作で、オスカー・アイザックが主演を張った「Inside Llewyn Davis」だったり。
いずれも公開前からの前評判に違わぬ、大変な好評ぶりで気になる。

そうしたオスカー候補作に名を連ねるであろう映画が、先週より全米で封切られた。

スパイク・ジョーンズの4年ぶりの新作となる「Her」という映画だ。

内容は、ある孤独な作家がコンピュータの人口知能に恋をしてしまう話らしい。

人口知能は「サマンサ」という名前らしく、姿形のない「声」だけの存在。
そんな相手と、どう恋に落ちるのか。。。

この奇想天外なプロットはいかにもスパイク・ジョーンズらしい。
「マルコヴィッチの穴」「アダプテーション」 「かいじゅうたちのいるところ」と、
監督作として手掛けた長編映画はさほど多くないが、どれも強烈なイメージが残っている。
学生の頃、「マルコヴィッチの穴」を観に行って抱腹絶倒したことを思い出した。
以来、欠かさず映画館で観る監督の一人になっている。

そんな彼の新作「Her」は現在Rottenで93%のフレッシュで大絶賛を受けている。

出演はホアキン・フェニックス、エイミー・アダムス、
ルーニー・マーラ、スカーレット・ヨハンソンと、実力派を揃えた凄いキャスト。

ホアキン・フェニックスは「ザ・マスター」でどエライパフォーマンスを魅せたばかり。
トレーラーを見る限り、彼の名優たる振れ幅を確認できそう。

また声だけの出演となった「サマンサ」演じるスカーレット・ヨハンソンが、
デトロイト映画批評家協会賞など複数の映画賞で、まさかの助演女優賞を獲得したりしてる。

非常に気になる。とても期待してしまう。
早く日本公開が決まってほしい。

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箱入り息子の恋 【感想】

2013-12-23 08:38:51 | 映画
新作DVDレンタルの寸評。



箱入り息子の恋 【75点】
歓迎すべき日本映画。西川美和の「蛇イチゴ」を始めて観たときの感動に近い。
恋愛経験なしの30代男子と全盲女子の純愛を描く。主演2人が素晴らしい好演。
共感できるできないは別として、星野源演じる引きこもり男子の生き様が意外とロジカル。
そんな男の人生を変えるほどの恋には、何者も抗えない力がある。無様でも格好良い。
純愛の延長には正直な性があり、そこに誠実に踏み込んでいるのが良い。
原作の力もあるだろうが、監督市井昌秀の確かな感性と強い作家性を感じる。
惜しむらくは最後の超変化球。だけど、それを差し引いても面白い。

ペーパーボーイ 真夏の引力 【60点】
あらすじはわかるが、何を描いた話なのかよくわからない。
主人公ザック・エフロン演じるキャラの存在意義は何だったのだろう。
あの結末は買わない。前段で描かれてきた物語が台無しになったのでは。
真夏の暑苦しさとともに映画全編に腐臭が漂う。嫌いじゃない感覚。
肉欲に憑かれたニコール・キッドマンとジョン・キューザックが象徴的で良い。

ザ・タワー 超高層ビル大火災 【65点】
タイトル通り超高層ビルで大火災が起きてそこに居合わせた人たちのサバイバル劇。
脚本がやや安っぽく、CGはハリウッドに比べると見劣りするものの、
実写にこだわったシーンの数々はさすがの迫力。かなり無茶をしているのがよくわかる。
消防士隊長演じた主演のソル・ギョングがやはり良い。壮絶なシーンによく映える。
日本も2、30年前にはこんなガチンコな映画を撮っていたけど、今は皆無だな。

グランド・マスター 【65点】
3人の武闘家を描いた話と思いきや、イップマンの伝記映画に近い。
日本との戦時期を股にかけた大河ロマン的な作りだが、あまりピンとこず。
ドニー・イェン演じたイップマンも良かったが、トニー・レオンも非常に良い。
多勢の武闘家たちを、バッタバッタとカンフーでなぎ倒すシーンに何度も発奮する。
ウォン・カーウァイが描くアクション映画。随所にカーウァイらしい色気を感じる。
薄化粧のチャン・ツィイーは、薄目でみると大久保佳代子に似ていてキツイ。





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gleeへの愛が止まらない件 。シーズン4の感想。

2013-12-21 07:48:51 | 海外ドラマ


海外ドラマ「glee」のシーズン4のBDボックスを購入した。
シーズン3で購入は終わりにしようと思ったけど、
「フィン」こと、コーリー・モンテースへの追悼の気持ちもあり、購入した。

あまり期待していないシーズン4だったけど、全22話、見出したら止まらなかった。。。
4、5話ぶっ通しで見ても全然お腹いっぱいにならない。続きを煽る脚本でもないのに。
面白いというより、愛おしくて堪らない。
gleeという絆で結ばれた仲間たちの友情に何度も感動してしまう。
「さーみんなでハグしようぜ!」っていうたびに涙腺が緩む。

シーズン3にて、レイチェル、フィンをはじめ主要メンバーが卒業し、
ブレイン、ブリトニー、アーティといった大好物メンバーが中心になった。
そこにマーリー、ジェイク、ライダー、キティーの4人の新入生が加入する。

主要メンバーがいなくなった穴をどう埋めるか。
既存メンバーのサムとブリトニーがまさかのカップルになる。
2人とも顔が個性的でキュートだ。非常にお似合いでコメディとロマンスの大きな柱になった。
新キャストのパフォーマンスも凄い。さすがglee。さすがアメリカ。
どうしたらこんな才能を発掘できるんだって、唸ってしまう。

レイチェルに変わるリードボーカルとなったマーリーの歌唱力はかなりのモノだ。
レイチェル(リー・ミシェル)の歌唱力はキャストの中でも別格であるため、
比較したくないが、マーリーの歌声にはレイチェルにはない艶があって好きだ。
しかも歌うとき、非常に気持ちよく歌うんだよなー。笑顔がめちゃ可愛いし。

金髪&マッチョで、サムとキャラが被ることを懸念していたライダーだったが、
非常に好感度の高い個性的なキャラになっていて良かった。

ドラマ上では不実となったマーリーとライダーだったが、
実生活では、このドラマをきっかけに婚約したらしい。そういうの何か嬉しいわ。
だけど同時に、リー・ミシェルとコーリーのことを思い返して胸が痛くなる。

シーズン4の感想を大雑把にすると、シーズン2とシーズン3を足して2で割った感じ。
シーズン2の完全1話完結で、気持ちのよい終わり方が復活。この余韻を待っていた!
シーズン3から引き続き、パフォーマンスがよりパワーアップしていて見ごたえあり。
マッキンリー高校以外に、舞台をレイチェルたちのいるニューヨークまで広げたため、
これまでよりも広く浅く見せざるを得ないが、よくまとまっていると思う。

ニューヨークでレイチェルのロマンスの相手となるブロディも素敵だった。
なのに、あの仕打ちはあんまりじゃないか!?(笑)文化の違いかなー。

好きなエピソードは第7話の「ウォブラーズの陰謀」。
あのコメディのノリが最高に心地よくて堪らない。

印象的なエピソードは第18話の「最後に伝える言葉」。
打って変わって想定外にシリアスな内容にびっくり。gleeのチャレンジ回。
銃社会にある学園生活の一面を切り取っていた。

シーズン4を通じて嬉しかったのは、
ブレインのパフォーマンスが多かったことと、ブリトニーの出番が多かったこと。
メルヘンの世界に住むブリトニーのド天然ぶりが最高。なのに踊るとやっぱりキレキレ。
ブリトニー(ヘザー・モリス)の実妊娠のせいか、やや太めに。それでも全然可愛い。
体を気遣ってか、後半はあまり派手なダンスシーンはなかったみたい。出産おめでとう!

そして毎シーズンのお楽しみであるブリトニーと、
彼女と一緒に暮らしているデブ猫ダビントン閣下との絡みが神すぎて悶絶。
さらに新たなデブ猫、レディ・ダビントンが登場。可愛い。。。また悶絶。
デブ猫を愛するセンス。これだから好きなのだ。

シーズン4はこれまでのシーズンと比べて展開が遅く、
22話中、19話目以降からトーンダウン。次のシーズンへの序章だったのだろう。
そこにまさかの悲劇である。今でもにわかに信じられない。。。

gleeの大きな魅力は歌唱パフェーマンスだけでなく、
もれなく気持ちの良いキャラクターたちであることを実感。
そして吹き替え版のセリフの秀逸さと声優さんたちのハイパフォーマンス。

gleeへの愛を再確認したシーズン4だった。

    最高にキュートでエクセレントなカット!!

サム 「この子の名前はレディ・ダビントン。
     閣下に気を使って太めのコをシェルターから選んできたんだ」



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2014年アカデミー賞勝手に予想。其の2

2013-12-19 02:15:43 | 映画
第86回アカデミー賞ノミネーションは来月、1月16日の早朝発表。
ノミネーション発表まで1ヶ月を切った。

オスカー前哨戦も火蓋を切り、連日の北米映画賞の結果が気になる。
候補作も出揃ってきたので、勝手に予想の2回目をしてみる。

★は確定予想。()は日本公開日。

【作品賞(10作品)】
 ★『それでも夜は明ける』(3月7日)
 ★『ゼロ・グラビティ』(12月13日)
 ★『キャプテン・フィリップス』(11月29日)
 ★『Fruitvale Station』(未定)
 ★『Inside Llewyn Davis』(未定)
 ★『アメリカン・ハッスル』(1月31日)
 ★『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』(2月28日)
  『Her』(未定)
  『ウォルト・ディズニーの約束』(3月21日)
  『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(1月31日)

 ノミネーション確実と思われた『大統領の執事の涙』が
 前哨戦で結構スルーされているのでアウトに。
 台頭してきた『ウォルト・ディズニーの約束』をイン。
 先週から公開された『アメリカン・ハッスル』は大絶賛の嵐。よって確定。

【監督賞】
 ★スティーヴ・マックイーン 『それでも夜は明ける』
 ★アルフォンソ・キュアロン 『ゼロ・グラビティ』
 ★ポール・グリーングラス 『キャプテン・フィリップス』
 ★デヴィッド・O・ラッセル 『アメリカン・ハッスル』
  アレクサンダー・ペイン 『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』

 デヴィッド・O・ラッセルは昨年に続き、2年連続のノミネートだろう。
 『Her』のスパイク・ジョーンズの可能性も高いと思うが、
 スパイク・ジョーンズがアカデミー賞にひっかかるイメージがない。好きだけど。

【主演男優賞】
 ★キウェテル・イジョフォー 『それでも夜は明ける』
 ★ロバート・レッドフォード 『オール・イズ・ロスト 最後の手紙』
 ★トム・ハンクス 『キャプテン・フィリップス』
 ★マシュー・マコノヒー 『ダラス・バイヤーズクラブ』
 ★ブルース・ダーン 『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』

 すべてに確定予想。前哨戦では思いのほかロバート・レッドフォードが苦戦してるが、
 たぶん、ノミネーションは固いのでは。

【主演女優賞】
 ★サンドラ・ブロック 『ゼロ・グラビティ』
 ★ケイト・ブランシェット 『ブルージャスミン』
 ★エマ・トンプソン『ウォルト・ディズニーの約束』
  メリル・ストリープ『8月の家族たち』
  ジュディ・デンチ『あなたを抱きしめる日まで』

 大御所がひっかかりやすいアカデミー賞。
 メリルとエマが急浮上。そうなると、
 『Short Term 12』のブリー・ラーソンは厳しいかも。頑張れー。
 前哨戦の流れからエマ・トンプソンは確実そうだ。

【助演男優賞】
 ★マイケル・ファスベンダー 『それでも夜は明ける』
 ★ジャレッド・レト 『ダラス・バイヤーズクラブ』
 ★バーカド・アブディ 『キャプテン・フィリップス』
  ダニエル・ブリュール 『ラッシュ プライドと友情』
  ブラッドリー・クーパー『アメリカン・ハッスル』

 『42』のハリソン・フォードは完全にアウトの予想。
 その変わりに大絶賛の『アメリカン・ハッスル』からブラッドリー・クーパーをイン。
 受賞の本命はマイケル・ファスベンダーと思いきや、
 前哨戦ではジャレッド・レトが総ナメ状態。このまま受賞するか。。。

【助演女優賞】
 ★オプラ・ウィンフリー 『大統領の執事の涙』
 ★ルピタ・ニョンゴ 『それでも夜は明ける』
 ★ジューン・スキッブ 『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』
  オクタヴィア・スペンサー 『Fruitvale Station』
  ジュリア・ロバーツ『8月の家族たち』

 前哨戦の結果から『8月の家族たち』よりジュリア・ロバーツをイン。
 オプラ・ウィンフリーは確実と思っていたけど、前哨戦で大苦戦なのでアウトするかも。
 前哨戦の結果より、ルピタ・ニョンゴが受賞確実の予想。

個人的に今年の神映画となった『ゼロ・グラビティ』は
現在までの前哨戦で『それでも夜は明ける』に完敗中。
『それでも夜は明ける』が独走状態。一昨年の「アーティスト」のような強さ。
『ゼロ・グラビティ』の作品賞は難しいか。。。せめて監督賞をー。
あんな映画、キュアロン以外、誰にも作れないだろうに。
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ゼロ・グラビティ 【感想②】

2013-12-11 07:47:19 | 映画


「完璧だ。」

ジョージ・クルーニー演じる宇宙飛行士が、
宇宙から見た地球を眺めて思わず呟いたセリフだ。

そのセリフを本作「ゼロ・グラビティ」への賛辞としてそのまま返したい。

「ゼロ・グラビティ」の公開が今週末に迫る。
完成試写での衝撃と感動から2カ月。その熱はまだ冷めないが感想を残す。

しつこいほどの絶賛だが、この映画は奇跡だ。

上映中、スクリーンと客席の境がなくなる。気づくと劇場が宇宙になる。
体感を超えた「同化」という感覚を映画で初めて知る。

自分たち人間はどうして生を全うできるのか。
それは大気と水で覆われた地球という大きなゆりかごの中にいるからだ。

サンドラ・ブロック演じる主人公が
宇宙船の中で生を感じるシーンが象徴している。

宇宙という視点から見れば、地球はちっぽけな存在だろう。
だけど、広い宇宙の中でこれほどまでに美しい惑星もないのではないかと思う。

地球を出れば、地球上の住民たちが生きることができない無限の空間が広がる。

その宇宙という空間に果敢に挑んできた先人たちに想いを馳せる。
宇宙への旅は今も昔も、人類の大きな偉業であることを実感させられる。
この映画は地球への賛歌であり、人類への賛歌だ。

命をかけた壮絶なドラマが暗闇の宇宙空間で展開する。
その背景には、何変わりもなく美しい表情を見せる地球の姿がある。

監督、アルフォンソ・キュアロンは天才だ。
DVDを持つほど大好きである「天国の口、終わりの楽園」から10年以上経って、
こんな映画を創り出すとは夢にも思わなかった。

原題は「グラビティ」=「重力」。
宇宙空間の無重力(ゼロ・グラビティ)の世界を描いているのに「重力」なのだ。
そこにアルフォンソ・キュアロンの強いメッセージがあると思う。
「重力」がもたらす力が、主人公の生き様に見事に結実する。
そのドラマの力強さよ。感動で体が震える。
なので、特筆した視覚効果だけがフォーカスされるのは非常に心外。

劇場という場所での鑑賞、および、3Dという映画表現を
これほどまでに必要とする映画は、あとにも先にも出てこないと思う。

近くにIMAXがあって良かった。
今週末と、あと何回観に行くか。ほぼ中毒。

この映画が成した偉業はあまりにも大きい。
映画史に燦然と輝く映画の誕生だ。

【150点】
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危険なプロット 【感想】

2013-12-08 13:56:32 | 映画


最近観る映画がどれも大当たりでラッキーだ。
フランソワ・オゾンの新作「危険なプロット」が、かなり面白かった。

「オゾンの最高傑作」という謳い文句もあるようだが、その言葉は言い過ぎじゃない。
少なくとも個人的にオゾンの映画の中で最も夢中になった映画だ。(初期作観てないけど)

文才に秀でた高校生(クロード)と、彼の才能を見出し個別指導する教師の物語。

孤独な青年と教師の心温まる交流を描いた感動作、と想像したが大違い。
物語は思わぬ方向へ転ずる。クロードが記す物語に周りの人間たちが翻弄されていく話。

「僕を捉えたのは、中産階級の女の独特な香りだった」

何と惹かれるセリフだろう。鋭い視線の先に淫らさが浮上している。
クロードが観察する同級生一家の母親を表現した言葉だ。

面白い物語を書くためにクロードが観察する対象として選んだのは、
上流でも下流でもない「中流」レベルの家庭だ。
クロードは抉るような洞察力と挑発的な文体を持って
「普通」の家族の物語を娯楽小説に変えてみせる。
クロードの人格を疑いながらも、指導する側であったはずの教師も次第に
読者として彼の文章に魅せられ、虜になっていく。ある種の中毒になるほど。

クロードのよく通った青年男子の美しい声(ナレーション)が非常に良い。
観客側のこっちも登場人物たち同様、クロードの物語に没頭してしまう。

クロードを演じたエルンスト・ウンハウアーが素晴らしい。
鋭く澄んだ瞳、綺麗な鼻筋、柔らかそうな肌、薄い唇。
その造形には美しさと妖しさが同居している。
本作における魅力的な「怪物」を見事に体現する。
それを狂気としてではなく、純粋さとして魅せたことが面白い。

オゾンが描く世界だ。語り口はあくまで軽妙で、一定量の毒が気持ち良い。
現代アートへの皮肉をはじめ、知的ユーモアを散りばめる。ニヤニヤが止まらない。
クロードが記す物語を軸に、クロード、教師、教師の妻、同級生一家の優位が
次々と入れ替わっていくのがスリリングだ。

小説や映画も、人間が作り出す物語。
それがフィクションか、ノンフィクションであるかよりも、
それが面白いものかどうかの方が重要だと思う。
本作は面白いものが勝利するという、その本質を言い当てる。

その勝利者になるべくクロードの手により語られる物語は、
彼による写実描写なのか、妄想描写なのか次第にわからなくなる。
リアルとフィクションの垣根がなくなる映画はよくありがちだが、
本作はフィクションが、リアルな世界を侵食していく過程をじっくり魅せる。

物語を面白くさせる調味料は「愛欲」だ。危険な香りが立ち込める。
エロスを描くことに一流であるオゾンの手腕が本作でも発揮される。
その対象となる「中産階級の女」こと、同級生の母を演じるエマニュエル・セイナーと、
教師の妻を演じたクリスティン・スコット・トーマスが堪らない。
熟れきった肉体にエロスが宿ってしまう。趣味じゃなくてもそれが見える。
欲望に抗えず、見入ってしまう自分がいる。。。ごちそうさまです。

結末も秀逸。巧い。面白い。
見終わったあとには不思議な高揚感が残った。

これだから映画はやめられない。

【85点】

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セレステ∞ジェシー 【感想】

2013-12-08 01:01:10 | 映画


劇場公開を逃した映画の新作DVDレンタルが続く。以下寸評の残す。

セレステ∞ジェシー 【65点】
面白い。親友の延長で結婚した風変わりなカップルの物語。
確かなものと過信していた関係が崩れていく様を描く。
すれ違いの男女の恋愛物語は多くあるが、本作では切なさよりも爽快感が残る。
本作の脚本も書いているというヒロイン「セレステ」演じた
ラシダ・ジョーンズがチャーミングで印象的。今後活躍の予感。
久々のイライジャ・ウッドを発見。ゲイの共同経営者役、全然悪くない。

アンディフィーテッド 栄光の勝利 【65点】
一昨年のアカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞を受賞した映画。
貧困地区にある高校の弱小アメフトチームが、
ボランティアコーチの手腕により常勝チームにのし上がっていく様を記録したもの。
ドキュメンタリーだけに、フィクションを超えるほどのストーリーを期待していたが、
出来の良い普通のスポ魂映画を見た感じ。コーチの指導力、生徒たちとの絆には感動。
「人間性」を鍛えることが一流のプレイヤーになるための近道。

天使の分け前 【55点】
評判の良い映画だったが、面白さがわからず。。。
スコッチウィスキーと、テイスターとして才能を見出す不良青年という、
話のプロットは実に面白いのだが、そのプロットを活かしきれなかった印象。
もう少し話を盛ってくれないと面白くない。主人公の人生の大逆転のために挑んだ、
奇跡のウィスキーの入手方法にズッコケ。いろんな意味でそれはないだろ!?
主人公の背の低い青年に、全く魅力を感じなかったことも大きいか。。。

ラストスタンド 【65点】
正直ナめていたが面白かった。老いぼれたシュワちゃんをカッコつけることなく、
そのまま堂々と魅せた演出が成功。正義に一途な頑固ジジイの活躍にアツくなる。
平和な田舎町を相手に、余裕をカマしていた悪党たちに倍返しをお見舞い。あー爽快。
アクションスターであったシュワちゃんを意識した肉弾アクションもお見事。
本作がシュワちゃんの復帰作とのこと。あんまり役者業に専念しないほうが良い気も。。。
















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ガーディアンズ 伝説の勇者たち 【感想】

2013-12-06 00:52:53 | 映画


日本公開を待ち望んでいたアニメ映画「ガーディアンズ 伝説の勇者たち」。

日本での劇場公開はスルー。DVDでレンタル開始していたので飛びついて観る。

残念。おもしろすぎる。。。3泊4日レンタルで2回観てしまった。
自宅のテレビではなく、劇場のドデカいスクリーンで観たかったぁーーー
しかも、こんなに綺麗な映像作品なのに、なぜBDレンタルがないのだ!?

本作は、子どもたちの夢や希望を守る5人の妖精たちと、
恐怖の妖精「ブギーマン」との攻防を描いたファンタジー活劇だ。

5人の妖精のうち、日本人である自分が知っていたのは、サンタクロースだけ。
他の4人は、主人公である霜の妖精「ジャック・フロスト」をはじめ、
復活祭の妖精「イースター・バニー」、睡眠の妖精「サンドマン」、
歯の妖精である「フェアリー・トゥース」と、いずれもよく知らなかった。

西欧の文化でしか通じないこれらのキャラクターが物語の前提になるため、
日本公開が敬遠されたのもわからなくもなかった。
確かに理解が追いつくまで少し時間がかかるが、それでも十二分に楽しめる。

宙を縦横無尽に駆け回る妖精たちのアクションには、
スピード感とユーモアたっぷりの演出がてんこ盛りでワクワクする。
目まぐるしく変わるシーンの隅々にまで行き届いたディテールに驚き、
妖精の世界を彩るビビットなパステルカラーに魅了され、何度もため息が出る。

ファンタジー色が強いものの、5人の妖精たちが力を合わせるバトルも迫力たっぷり。
「アベンジャーズ」を彷彿とさせる見事な連携プレーに熱くなる。

ストーリーラインもしっかりしていて、
妖精たちと子どもたちの目に見えぬ絆を描くとともに、
主人公の「ジャック・フロスト」のアイデンティティを探す旅でもある。
その旅の終着点が、物語の幸福な結末に繋がるあたりはさすがのドリームワークスだ。

アニメーションでは肝心となるキャラクターの個性も輝いている。
中でも、「サンディー」の愛称で呼ばれているサンドマンが可愛くて最高。
卵のようなまん丸体型で、子どもたちに「夢」を届ける心優しき妖精だ。
言葉を持たないが、その振る舞いは実におしゃれで素敵。そんでもって最強(笑)。
サンディーのキャラグッズ、どっかで売ってないかな。。。

子どもから大人まで楽しめる映画とはまさにこのこと。

子どもたちの夢が大噴火するクライマックスは圧倒的な迫力と美しさで心が洗われる。
思わず感涙。。。あぁまだそんな涙が残ってたのね、と客観する。

子どもたちと妖精の関係がやや甘ったるいなど、気に入らない部分もあったが、
信じることの尊さや愛おしさを強く感じさせてくれた映画だった。

日本ではDVDしか売ってないみたいだ。
海外amazonでBDを購入しようと思う。

【80点】


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キャプテン・フィリップス 【感想】

2013-12-01 10:04:02 | 映画


「キャプテン・フィリップス」を観る。

ホームラン。素晴らしい。

本作は2009年に実際に起こった、ソマリア沖で海賊に襲撃され、
人質となったアメリカ人(フィリップス船長)の話。

一艘の小舟が猛スピードで、数万倍もの巨大な貨物船に接近する。
小舟はボロボロで、武装しているものの、乗組員はたったの4人だ。

巨大な貨物船と一艘の小舟。その画にはシュールさを感じるほどだ。
しかしそれが、以降の展開にもつながるアメリカとソマリアの構図を象徴する。

鑑賞中、何度も熱いものがこみ上げてくる。

船員たちの身代わりとなったフィリップス船長の勇姿によるものではない。
フィリップス船長の4日間にも渡る恐怖と絶望からの解放によるものでもない。

アメリカとソマリアという異なる世界、境遇で生まれ、
出会うはずのなかった2人の船長が命をかけて戦わざるを得なくなった悲劇に対してだ。

本作が素晴らしいのは、主人公フィリップス船長だけでなく、
ソマリアの海賊船長(ムセ)にも主眼を置いている点だ。

フィリップス船長を人質にとったあと、
「俺は前にオランダ船で身代金として6000万ドルせしめた」とムセが話す。
痩せこけ、粗末な服を着るムセたちの姿を見て、
「その金は誰の懐に入った?」とフィリップス船長が話す。

2人は互いの目的、背景を冷静に理解しているのだ。
ムセもアメリカを敵に回すことの恐怖を十分理解している。
物語を縁取るセリフの数々が説得力に満ちていて、隙がない。

歴史とグローバル経済がもたらした史実であるが、
ジャーナリズムを語った映画でなく、あくまでエンターテイメント。

事実を誠実に折り重ね、冒頭からラストまで、
生死をかけた駆け引きを弛まぬ緊張感とスリルで描き出す。

このあたりは監督ポール・グリーングラスの真骨頂。
さらに本作では映画的なスケールが加わる。どんどん面白くなる。
それはこちらの想定を遥かに凌ぐもので、目が離せなくなる。

そして本作を成功へと導いたのは2人の船長を演じた、
トム・ハンクスとバーカッド・アブディの名演だ。

トム・ハンクスの奇跡的な演技に圧倒される。
経験と技術に裏打ちされた船長の所作は勿論のこと、
後半にかけて極限状態に置かれた人間を体現する。その様に息を呑む。
フィリップス船長と看護師のラストシークエンスは神。
後世に語り継がれるに違いない。

そして、ムセを演じたバーカッド・アブディ。
本作が映画初出演で、演技自体も初体験とのことだが、
彼のパフォーマンスによって、物語が一層深いところまでに行き着いた。
宙を仰ぎ、自らの宿命を静観した眼差しが忘れられない。

本作の上映時間は約130分とやや長尺だが、リピートも全然アリだ。
異なる見方もできるので、また違った味わいになりそうな気もする。
監督ポール・グリーングラスに心からの喝采。

今月から、ようやく日本でもオスカー有力作が公開を始める。
その先発となった本作だが、オスカーノミネートに大賛成である。

これだから映画はやめられない。

【90点】











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