映画「ウォールフラワー」を観る。
青春ドラマの佳作。傷ついてもなお輝く3人が愛おしい。
本作は、高校に進学した内気な男子が、
風変りな兄妹と出会い成長していく話だ。
本作を現代劇と思い込んでいたが、登場人物たちのファッションとカセットテープ、
ロッキーホラーショーのクダリを観て、時代設定が少し前ということがわかった。
タイトルの「ウォールフラワー」は、「壁掛けの花」という意味で、
誰からもその存在に気づかれない人ということらしい。
それが本作の主人公、チャーリーだ。
結婚式の2次会が苦手だ。自分の居場所を探すのが面倒くさいし、
居場所を探そうとして知り合い同士で固まる人たちを見るのもイタい。
結局、人との会話はそこそこに、1人食べることに集中する。
思えば、自分も「ウォールフラワー」だったなと勝手に思う。。。ちょっと違うか。
ウォールフラワーな人たちは結構いそうなので、チャーリーに共感する人も多そうだ。
本作での主人公の成長とは、自分の存在を認めてくれる居場所を見つけることだ。
そして過去に負っていた秘めたる傷と向き合い、新たな一歩を踏み出していく過程だ。
主人公の成長に影響を与える兄妹も、人には言えない傷を抱えている。
なので、3人の出逢いと繋がりには強い必然性を感じてしまう。人との出会いは一期一会。
ウォールフラワーだったチャーリーも、いつしか周りに必要とされる存在になっていく。。。
その過程にあるものは友情と恋愛だ。ザッツ青春。
本作で描く青春は、かくも儚く輝いているものだ。青春の吐息が聞こえるよう。
そして過去の記憶と現在の記憶を独特のテンポでシンクロさせ、
秘められた暗部を炙り出す映像が、青春劇に違った深みを与えてくれる。
監督は本作の原作小説の著者であったということもあり、
全体的に文学的な香りが漂う。
主要キャラ3人を演じたのはローガン・ラーマン、エマ・ワトソン、エズラ・ミラー。
高い前評判だったが、皆、期待以上のベストパフォーマンスだった。
『パーシー・ジャクソン〜』『ハリー・ポッター~』『少年は残酷な弓を射る』と、
3人とも過去作が個人的に消化不良だった。それだけに一層感慨深い。
演出家が変われば、演者のパフォーマンスが変わる良い例かも。
本作の称賛はエズラ・ミラーに集まっている模様だが、
色気を感じる容姿含め、恵まれた素質があってのものだろう。素晴らしいことに間違いないが。
個人的には主人公チャーリー演じたローガン・ラーマンの繊細な演技が印象的だった。
とても難しいキャラクターを絶妙なバランスで表現し、本作を特別な青春ドラマにした。
本作で頻出するロッキーホラーショーや、当時のポップミュージックなど、
人によってはハマれるサブカルが、ことごとく趣味じゃなかったのが少し残念。
【70点】
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