から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

鍵泥棒のメソッド 【感想】

2013-05-31 07:07:22 | 映画


自分の趣味嗜好があるかもしれないが、映画館で観て満足できた日本映画があまりない。
その多くは、予想通りか、期待外れなものである。

そんな中、昨年、映画館で見逃してしまったことを悔やむ日本映画に出会う。

内田けんじの新作「鍵泥棒のメソッド」は、日本映画にしては稀にみる傑作だった。
DVDで自宅鑑賞ながら、観終わって1人興奮してしまった。

大スクリーンで観なくてもよいレベルの映画だが、
イチ映画ファンとしてこの映画を公開時、リアルタイムで楽しめなかったことが残念だった。

本作は、人生に絶望していた売れない役者が、
記憶喪失となった殺し屋になりすましたことで起きる騒動を描いたものだ。

「お見事!!」と、思わず拍手してしまいたくなる秀逸な脚本だ。

オリジナルストーリーに拘り、自分で脚本も書いてしまう内田けんじの才気を改めて感じてしまう。
「運命じゃない人」「アフタースクール」と、過去2作いずれもハズレなしのコメディだったが、
3作目となる本作「内田ワールド」の完成度は特筆すべきものだ。

徹頭徹尾ブレることない語り口と、人間の可笑しさを見逃さない視線。
何気ない情景に散りばめられた伏線が、物語を追うごとに綺麗に回収され、
無駄なく、予測不能な展開の原動力になっていく。

作り込まれた主要キャラ3人の描き方も非常に面白い。
とりわけ、記憶喪失となった殺し屋が、持ち前の完璧主義を発揮し、
役者として才能を見出していく過程とか、可笑しくて仕方ない。

それら魅力的なキャラを好演したキャスティングも申し分ない。
ダメ人間を地で行く堺雅人のみっともなさに大笑いし、
記憶喪失前後で、キャラが180度変わってしまう香川照之にまた大笑いし、
天然で、予定通りの人生を一途に追っかける広末涼子は可愛くて堪らない。
堺雅人や香川照之のハマり具合は予想の範疇だったが、
広末涼子のコメディエンヌぶりは予想だにしない発見だった。

狙いにいったコメディを得意とする三谷映画とは異なり、断然こっちがハイセンス。
タイトルの「鍵泥棒のメソッド」というネーミングも実に巧い。

こういう映画が日本映画のスタンダードになってくれると、日本映画ももっと観に行くのだけれど。

極上のコメディであり、サスペンスであり、小粋なラブストーリー。充実の120分。
ハートを打ち抜かれた爽快感たっぷりのエンディングには「やられたー!」である。
エンディング曲の吉井和哉のノリノリな曲と合わせて、気持ちよさのあまり万歳。

もう大満足。

【90点】

海外ドラマ「HOMELAND」の感想。

2013-05-30 00:14:36 | 海外ドラマ


有名な映画賞の1つ、アメリカのゴールデングローブ賞。
海外ドラマ事情に疎い自分はドラマ部門の受賞結果を参考にしたりしている。
その中で昨年、一昨年と作品賞・演技部門賞で圧勝していたドラマがあった。

海外ドラマ「HOMELAND」(ホームランド)だ。

ゴールデングローブ賞以外の賞レースでもぶっちりの称賛を浴びていたドラマ。
DVDレンタルまで待つつもりだったが、FOXチャンネルで全話一挙放送があったので、
スカパーの無料お試しを利用して、全話観た。

なるほど〜
完成度の高いミステリーであり、サスペンスだ。
脚本に隙がなく、演者のパフォーマンスには息を呑むばかりだ。

本作はテロ集団アルカイダに捕虜として捕えられていた米兵(ブロディ)と、
その米兵にテロリストの疑いをかける女性CIA(キャリー)を中心に、
現代アメリカとテロとの攻防を描いた物語だ。

CIAの対テロ活動は、情報戦が大半を占める。
アメリカでのテロを未然に防ぐため、そしてテロの元凶である主犯格を捕えるために、
いかに有益な情報を得るか。。。。手段を択ばない非情さをも感じるやり口に迫力を感じる。

このテのポリティカルサスペンスは過去にも沢山あったと思うが、
主役の2人を中心として、彼らの背景にある人間ドラマを丹念に描いている点がユニークだ。

そして「HOMELAND」(母国)というタイトルが本国アメリカだけではなく、
テロを起こしたアルカイダ側にも向けられていることが非常に良い。
武力をもって清算しようとするテロ集団たちを肯定することは決してできないが、
彼らにも母国があり、愛する家族がいるのだ。
それを示唆する、ブロディが捕虜だった時に経験したエピソードが印象的だ。

先の読めない展開と息詰まる心理戦。そこにはナマの人間たちの息遣いと鼓動がある。
物語を牽引する主演のダミアン・ルイスとクレア・デインズの鬼気迫る演技が凄い。

派手な演出・アクションもないものの、
観る側を惹きつけるのはこの作品の力そのものだろう。

連続ドラマとしては、思いのほか中毒性は低かったけど、
観る側に想いを巡らす余地を与えながら、作品世界に巻き込ませていく一級品のドラマ。

大幅なスケールアップを予感させるシーズン2が非常に楽しみだ。

2013年カンヌ映画祭が終わった件。

2013-05-28 23:53:29 | 日記


一昨日の5/26、今年のカンヌ国際映画祭が閉幕した。

コンペティション部門の受賞結果は以下。

◆パルムドール
 『Blue is the Warmest Color』(アブデラティフ・ケシシュ)
  ※監督と併せて、主演女優2人も同時受賞

◆グランプリ
 『Inside Llewyn Davis』(ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン)

◆監督賞
 アマト・エスカランテ(Heli)

◆男優賞
 ブルース・ダーン(Nebraska)

◆女優賞
 ベレニス・ベジョ(The Past)

◆脚本賞
 『A Touch of Sin』(ジャ・ジャンクー)

◆審査員賞
 『そして父になる』(是枝裕和)

パルムドールを受賞したフランス映画「Blue is the Warmest Color」は女性の同性愛を描いた話。
これまでゲイ映画ってあったけど、レズ映画ってあまりなかったなぁと思った。
監督のほかに、主演女優2人に対してもパルムドールが贈られたらしく、
その一人が個人的にファンであるレア・セドゥとのこと。完全にスルーしていた。
受賞後、主演女優のフランス美女2人からの接吻。。。監督、羨ましす。。。

そして、審査員賞に輝いた是枝監督おめでとう!!である。
個人的には大好きだったものの、 世間から大不評だった、
民放ドラマ「ゴーイング マイ ホーム」の鬱憤を晴らしてくれたー。

グランプリはコーエン兄弟のイメージにない1960年代のフォークシーンを描いたという異色作。
本作で主役に抜擢された、同級生で悪役面のオスカー・アイザックの新境地に期待だ。

「別離」で2011年の賞レースを席巻したアスガー・ファルハディ監督の新作「The Past」は、
「アーティスト」で恋してしまったベレニス・ベジョの女優賞で絡んだ。

最注目だった「ドライヴ」コンビによる新作「Only God Forgives」は評価が真っ二つに割れた模様。
予告編を観た感じ、ストーリーラインではなく、ビジュアルで魅せていく印象を受けた。
「ドライヴ」よりも「ブロンソン」「ヴァルハラ・ライジング」に近いのかも。。。やや不安。
同作の日本公開が来年の1月に決まったらしい。とりあえず公開決まってよかった。

スピルバーグが審査員長だったことで、受賞の傾向が変わると思いきや、
例年通り、カンヌ色の強い結果だったなーという印象。
ハリウッドの頂点を極め、大作映画も自由に撮れる今でも、
フェアな視点で作品を観ることのできるスピルバーグってやっぱ凄いわ。


クロユリ団地 【感想】

2013-05-25 08:23:05 | 映画


「クロユリ団地」を観た。

ソーシャル上で何かと話題になっていたので、その流れにのっかって観た。

本作は「クロユリ団地」という団地に越してきた
前田敦子演じる女子高生に振りかかる心霊体験を描いたものだ。

期待していなかったが、やはりたいして面白くなかった。

だけども、孤独死というテーマをピックアップした点が興味深かったり、
自らにある罪悪感と心霊体験を対峙させるようなホラーに、どこか懐かしさを感じたりした。

孤独死という現代社会が抱える深刻な問題をホラーのネタに使うなんて、
見る人が見れば不謹慎と非難されるかもしれないが、自分は大いにアリだと思う。

「遺体のあった部屋を清掃していると、霊的な現象が起きるのは良くあることだ。」

前田敦子を助けようとする成宮演じる遺体清掃員のセリフが印象的だ。
自分自身がオカルト志向だからかもしれないが、
実際によくあるんじゃないかなと思ってしまう。。。
テレ東の深夜にやっている「解禁!暴露ナイト」あたりで特集しないかな。。。

本作は、怪談話「耳なし芳一」に似ている。

登場する幽霊には、人間に憑りつこうなどという悪意はなく、
生きている人間と仲良くしたいだけなのだ。
そして同情してしまうほど、幽霊になってしまった経緯が切ない。

同じホラー映画というだけで比べるレベルではないのだが、
先日観た「死霊のはらわた」とはエラい違いだ。
描かれる幽霊は、自他ともに認める悪霊だ。
迷うことなく、観ている側に恐怖心を植え付け、
逆にこっちは悪霊を懲らしめたいと思う。

そんな欧米型ホラーとジャパニーズホラーの違いを
観ている最中しみじみ感じた。

ハラハラドキドキとは無縁で、「やっぱりか」という展開が続く。
描写も過激ではないので、さして怖くもない。

登場する霊媒師の除霊シーンとか、
とうてい狙っているとは思えない可笑しさ。コント!?

スリラーとしても、ホラーとしても物足りないまま終わってしまった。

先週末の興行収入を観たら、本作が初登場1位だった。

公開後、間もないタイミングで観たせいかもしれないが
自分が観た回も満席に近くて驚いた。

AKBオタに偏った構成かと思いきや、
上映中、夫婦で実況中継をするようなシニア層もいたし、
幅広い年代構成を見て、邦画人気を実感した。

【55点】

スター・トレック イントゥ・ダークネス 【気になる映画】

2013-05-22 00:27:53 | 気になる映画


新生「スター・トレック」の2作目となる「スター・トレック イントゥ・ダークネス」が
先週より全米で公開された。 オープニングの興行収入は予想を下回っているようだが、
ロッテントマトでは現時点で86%のフレッシュ(支持)を受けるなど、前作に引き続き高い評価だ。

前作が公開されたのは2009年だから、今から4年前になる。
「スター・トレック」のファンではなかったが、ドラマ版よりもグッとシリアスな作風になっていて、
個人的にはかなり楽しめたのを覚えている。

2作目となる本作は、エンタープライズ号がテロ攻撃に合うという話らしい。
タイトルにもあるようにダークな味付けになっているとのこと。
予告編を見ても、荘厳なビジュアルに溢れていて、大好きな匂いがプンプンする。
監督は前作に引き続きJ・J・エイブラムスだ。

注目は、日本の一部の女子たちに人気のベネディクト・カンバーバッチの敵役だろうか。
実家の60を過ぎている母親も「シャーロック」を見てカンバーバッチにメロメロになったとか。。。

前作はアメリカで2億ドルを超えるメガヒットになったが、
日本では10億円を超えならずの大コケだった。

本作は日本で8月に公開される。
某映画興行会社の人と話をしたら、今夏、興行に注力する洋画の1本だという。
(他に挙げていたのは「ローン・レンジャー」と「ワールド・ウォーZ」など)
主役のクリス・パインは日本ではさほど人気ないし、
前作同様、スタートレック自体、日本じゃメジャーではないので厳しいのではなかろうか。

個人的には非常に楽しみであるが。

「JR高崎線」に一回死んでほしい件。

2013-05-17 22:46:28 | 日記
「少ない」「遅れる」「不快」。。。

日頃から大変お世話になっている「JR高崎線」にキレた。

今朝、人身事故が起きた。
人身事故により電車が遅れることは当たり前のことだが、
別路線である京浜東北線で起きた人身事故である。

京浜東北線と停車駅は被るものの、線路は全く被らない。
停車駅がほぼ被らない埼京線が止まったときですら、高崎線が止まる時もあった。

『近くの路線が人身事故で大変だ!
 ちょうどよい。我が高崎線も、遅れることにしよう♪
 ついでに電車本数と車両数も減らすことにしよう♪
 乗客には適当に謝っておけばよい。
 混雑する!?乗客は我が高崎線に乗るほかないのだから文句は言わせないよ。』

そんな会話がJR内で交わされているように妄想してしまう。
高崎線の運行がクソ過ぎてハラワタ煮えくり返る。

今朝の人身事故による、2時間遅れは我慢するとしよう。

人身事故から12時間近く経った帰宅ラッシュのピークでも、
15分~30分の1本のペースで本数を減らし、混雑必至の10両編成で運行。
得意の「信号停車」で、停車駅ごとに運転見合わせの連続。
ぎゅーぎゅー詰めになった乗客のことはお構いなしで、どこ吹く風。

大宮より上に居住する埼玉県民にとっては、高崎線は生命線である。
それを良いことに、乗客を舐めきっているのではないか。

昔から一向に改善されない対応だ。
殿様商売と思われても仕方ないだろう。

せめて、然るべき理由の説明をするべきだ。
なぜ遅れるのか、意味がわからない。本数少ないくせに。

学生時代、私鉄をずっと使っていたが、人身事故があってもこんな対応はなかった。
路線規模が違うからなのかもしれないが、間違いなくJRは怠慢体質だと思う。

帰宅時こんなことになるとは思わず、自宅土産にと肉まんを購入したが、
箱がつぶれて、露出し、潰れた。肉まん代を弁償してほしい。

今日の対応にブチキレていたおっちゃんが、若い駅員のお兄ちゃんに詰め寄ってた。
若い駅員さんに怒るのは筋違いだが、その気持ちわかるわ。

過去に高崎線の乗客が暴動を起こした「上尾事件」ってのがあったらしい。
また暴動でも起きたらどうなるのだろう。

これからも高崎線は何も変わらないだろう。
こうやってブログに文句を吐き出すだけだ。

高崎線の運行をコントロールしているJR職員に、
ドロップキックをお見舞いしたい。
やったことないけど。












L.A. ギャング ストーリー 【感想】

2013-05-15 23:53:15 | 映画


「L.A. ギャング ストーリー」を観た。

昨年の公開時、アメリカでは酷評されていたが、
こっちのお目当ては大好きなライアン・ゴズリング。ただそれだけ。

本作は1940年代から1950年代のロサンゼルスを舞台に、
当時LAの裏社会から表社会まで牛耳っていたマフィアのボス「ミッキー・コーエン」と、
彼をぶっ潰すために組織された刑事軍団との戦いを描いた物語だ。

もっとクラッシクで重厚感のある世界観をイメージしていたが、
意外とライトな仕上がりだった。

その分、現代的でケレン味たっぷりな演出で、
「魅せる」アクション劇に向かっていくのかと思ったが、そうでもなかった。

どこか抜けていて、どんくささがつきまとう映画だった。
ギャング映画なのだから、バシッとクールに決めてほしいものだ。

刑事軍団の奇襲攻撃が安易に成功し過ぎていて、爽快感がない。
それが、後半のコーエン側の逆襲の布石になるのかもしれないが、
その前に興冷めしては、助走のない走り幅跳びで盛り上がれない。

はみだし者の集まりで少数精鋭で組織された刑事軍団という、
いかにもといった美味しい素材を無駄にしている印象が強い。
そのキャラクター、演じる俳優ともに、とても魅力的なのだけれど。。。

お目当てのライアン・ゴズリングはクラシカルなスーツが抜群に似合い、そのシルエットが様になる。
だけども、演じたキャラが想定外に小者キャラで残念。
俳優を魅力的に見せることができない演出のせいかもしれないが、
自身の出演作について先見眼を持つライアン・ゴズリングにしては珍しい失敗作の出演といえそう。

コーエンを演じたショーン・ペンの大迫力の演技は見応えありだが、
顔の特殊メイクは返って邪魔だったのではなかろうか。ショーン・ペンほどの役者なら、
コーエンのカリスマ性や狂気を素顔でも十分演じられたはずだ。

ハリウッドでも客を呼べる女優の仲間入りを果たしているエマ・ストーンは、
お顔立ちが現代っ子過ぎて、コーエンが夢中になる妖艶な女性に最後まで見えなかった。

観ていて楽しかったのは、主役だった(主役とは知らなかった)ジョシュ・ブローリンだ。
彼の男気あふれる渋さと剛腕ぶりたるや。
いくら顔面を殴られてもどこ吹く風で、相手に倍の拳をお見舞いする。実に痛快。
ずんぐりとした体形とゴツイ顔、武骨な佇まいに、その時代の匂いが宿る。

ミッキー・コーエンは実在の人物で、彼がいなくなった後のLAを描いたのが、
映画史に名を刻んだ大傑作「L.A.コンフィデンシャル」だ。

すっかり自宅で埃を被っているDVDだが、久々に観たくなった。
ラッセル・クロウが最高なんだよな〜

【60点】

死霊のはらわた 【感想】

2013-05-11 10:57:38 | 映画


「死霊のはらわた」のリメイク版の観た。

普通に怖くて面白かった。
「笑っちゃうわ〜」なんていう余裕のリアクションは自分にはできなかった。

本作のオリジナルは1981年に公開されたサム・ライミのデビュー作かつ、
スプラッターホラーの先駆けとなった有名作だ。

それにしても「死霊のはらわた」なんて、
上手い邦題を付けたなぁ〜とそのセンスに改めて感心する。
「はらわた」という言葉が、オリジナル版が持つ世界観をよく表現している。

リメイク版となる本作は、オリジナルが持つ世界観からユーモアを排除し(笑)、
スプラッターとホラーという2つの要素を4倍増させ、
ギュッと90分に濃縮したような映画だった。

特に印象に残ったのは「痛さ」だ。
スプラッター映画の多くは、簡単に手足がスパスパ切れて、
血しぶきが飛ぶ感じなので、良くも悪くも嘘くさい。

本作は観ていて痛さが伝わるように魅せている。
おかげで観ているこっちは「怖いわ、痛いわ」で忙しい。

悪霊が蘇る過程とかはそっちのけで、その後の悪霊の暴走に集中し、
「恐怖」と「痛み」を観客に植え付けることに徹しているのだ。

オリジナル版との共通項は、5人の若者が山小屋に滞在中、
悪霊に憑りつかれて、殺戮が繰り広げられるという話のプロットだけで、
思っていた以上に脚本が変わっていた。

脚本が変わっていても、話の展開に意外性があるというワケではない。
「こうなるなー」と思ったら、ほぼ間違いなく、そうなる。。。

だけど、やっぱ怖い。

「リメイクという枠の中で、観客を怖がらせるためにはどうすべきか?」
それを突き詰めた賜物といえそうだ。

オリジナル版の製作時よりも、資金も潤沢にあったことで自由度も高かったのだろう。
観終わって、満腹感はあっても不足感はなかった。

流行のVFXは極力避けて、特殊メイクにこだわるなど、
オリジナル版に近い感触を残していることも好印象だ。

本作の監督はサム・ライミからオファーを受けたフェデ・アルバレスという新人監督らしい。
サム・ライミ本人も製作と脚本に関わっていたようで、期待以上の完成度だった。
あと、wikiで調べたら、脚本はディアブロ・コーディも書いていたらしい、意外。

リメイク映画としては成功している映画だと思う。

ホラー映画としては真新しさはなく、ツッコミどころもそこそこ多いが、
バカ正直に作ったホラー映画といった感じで、満足。

【70点】

クロニクル 【感想】

2013-05-08 00:06:59 | 映画


久々のホームラン映画は、日本未公開でDVDのレンタルすらされていない映画。

「クロニクル」は映画史に刻まれる傑作だ。

そして、とにもかくにも面白い!!!

字幕・吹き替えアリの海外BDが購入可能という情報を得て、人生初の見たことないのに購入。
アマゾンUKで送料込みで1400円くらいだった。

本作は、ある日の出来事がきっかけで、超能力を身につけた男子高校生3人の物語だ。

「アメリカの高校生が自由にモノを動かせる超能力を身につけたらどうなるのか?」

そのリアクションが非常にリアルで楽しい。
観ているこっちは憧れに近い感情もあって、一向に目が離せない。

最初はしょーもないイタズラや遊びに使っていたが、
超能力を自在にコントロールできるようになることで、
その活用方法がどんどんスケールアップしていく。
あらゆる意味で無敵になるのだ。

高校という閉鎖的な社会の中で、超能力により彼ら(特に主人公男子)の
ポジションが変わってくる過程は学園ドラマそのものだ。
中盤から終盤にかけてはその表情を変え、キャラクターの持つ背景や個性がフックとなり、
物語が思わぬ方向に転じていく。その過程は人間が持つ危うさを孕んでスリリングだ。

本作は「ブレア・ウィッチ〜」や「パラノーマル〜」等で馴染みのある、
主観ショット映像で構成され、ドキュメンタリー風に見せる映画だ。
低予算で撮れる制作側のメリットと、観る側にリアリティを感じさせる演出上のメリットがあるが
その反面、カメラワークに制限があることでスケール感や自由度が失わる弱点がある。

本作はその弱点を見事クリアし、これまでの同系映画の壁を打ち破った。
多彩なカメラワークで3次元のド迫力のアクションを大いに楽しませてくれる。
それは爽快感たっぷりで、もうテンションが上がりまくりだ♪

「日常にある超能力」という不可思議なリアリティはそのままに、
「体感させる」という主観ショットのメリットを最大限に活かしている点で、
そこらの大作アクション映画とは別次元の面白さだ。
最近、名古屋で上映されるようになった4D映画でやったらハマりそうだ。

大友克洋の「AKIRAの実写版」と評する人が多いが、
個人的には小学生だった当時、ドラゴンボールを観ていた興奮に近かった。

クライマックスのアクションシーンには、男子の血がたぎる。

本作の監督は、本作がデビューとなるジョシュ・トランクという若干29歳の男子らしい。
日本では完全にスルーされている本作だが、アメリカを初め、世界各国ではヒットしたらしく、
本作の若き才能に次作のオファーが殺到している模様。
今後注目すべき映画人を新たに発見できた。

あぁ映画館で観たかった〜
「クロニクル」を日本で公開しないのは、日本の映画配給会社の怠慢だ。

【95点】



ジャッキー・コーガン 【感想】

2013-05-06 01:06:37 | 映画


ブラピの新作「ジャッキー・コーガン」を観た。

普通に楽しめた映画だが、どう解釈したら正解なのか、よくわからなかった。

本作は、ブラピ演じる「ジャッキー・コーガン」というフリーランスのヒットマンが
裏カジノで発生した強盗犯を見つけ出し、後始末する話だ。

冒頭から最後まで人間のクズだらけである。

酒とドラッグと女。
アメリカ映画の3種の神器な悪ワードが登場する男たちの口からポンポン出てくる。
「どうしたらテットリ早く金を儲けるか」、単細胞な男たちの体臭が画面から充満する。

その中で同じ裏社会に生きながらも、自身のポリシーに従い、
ビジネスとして仕事をこなすジャッキーの存在は異彩を放つ。
オールバッグにサングラス。久々にクールでカッコよいブラピを観た。

海外で本作の前評判が高かったのは、何となくわかった。

本作は単なるクライムアクションではない。
ブラピ演じるヒットマンの生き様を描いた話でもない。

裏社会で繰り広げられるシーンの背景に、ラジオやテレビメディアを通じて、
経済破綻を起こした(リーマンショック!?)アメリカのニュースが挟まれる。

ヒットマンたちのお金を廻る、くだらない押し問答の様子から、
表社会で起きている経済問題が、裏社会にも直結していることを示唆する。

社会派ドラマとして観るのが正解か、
裏社会での物語を通じて、アメリカ社会を笑ったブラックコメディとして観るのが正解か。。。

少なくとも
「『ファイトクラブ』『セブン』を超える衝撃!!」という、
配給会社のキャッチコピーは見当違い。

客寄せのために、ブラピを前面に出して、必要な戦略だったかもしれないが、
このコピーによって構えて鑑賞した人はきっと失望しただろうな。。。

先入観をもっていなかった自分は普通に楽しめた。
実力派俳優たちの競演もなかなか。

わかりづらいのが難点だったけど。

【65点】








アイアンマン3 【感想】

2013-05-03 08:07:44 | 映画


「今日から君もアイアンマンだ!」

そんなキャッチコピーが「アイアンマン3」にはよく似合う。
パワードスーツを着れば誰でもアイアンマンになれるのだ。

なんてつまらないのだろう。
もはや自分の好きな「アイアンマン」はいない。

アイアンマンの魅力は、胸に埋め込まれたアーク・リアクターにあると思っている。
アーク・リアクターは彼が正義に目覚めた証だ。

自らが開発した武器により負傷、その肉体はアーク・リアクターにより活かされている。
それは彼にとって最大の弱点であり、超人的なパワーを生み出す強さの源泉でもある。

その危ういバランスこそが、トニー・スタークが持つ「闇」にも映り、
アイアンマンをより魅力的なキャラにしてくれた。
その個性を蔑ろにするようなアイアンマン2から始まった流れは「アイアンマン3」でさらに加速した。

予告編で大量のロボットが出てきたあたりで、予想し、諦めていたが、
やはり残念である。

なおかつ「3」でのアイアンマンはカッコよくない。フルボッコにされる。
「アイアンマンの新たな側面に触れたことが面白い」等の好評価が大勢を占めているようだが、
アイアンマンの大ファンとしては、クールで強いアイアンマンを見たいのだ。

自分の好きなアイアンマンは本作では描かれないことは分かっていた。
それは諦めるから、アベンジャーズばりにスカッとさせてくれ!と思って期待していたが、
最後の最後まで泥試合に近い肉弾戦であった。

アイアンマンというロボットを戦闘に利用した「ダイハード」である。
そりゃないよ。。。

ガイ・ピアース演じる敵が未だかつてないほどに強い。
それはよい。むしろその方が良い。キャラも面白い。
だけど、終始、敵の軍勢に振り回されるのが、どうにも気に入らない。
敵に一泡吹かせてくれ~!とずっとモヤモヤした。

毒舌でスマート、女好き・ジャンクフード好きなトニー・スタークのキャラも、
彼の苦悩に重きを置いたせいか、かなり薄味だ。

本作のために仕上げてきたであろう演者たちの肉体美は目の保養になる。
ドン・チードル、ガイ・ピアースのポロシャツの上からもわかる隆起した胸筋と、
グウィネス・パルトローのしなやかでビューティフルな腹筋に萌えた。
グウィネス・パルトローは、顔が小っちゃくてホント綺麗な人だ。

アクション映画としては十分に楽しめるレベル。
なので、間違いなく全世界でヒットするだろう。そして続編も作られるだろう。

パワードスーツを誰もが自由に着こなせることで、
展開に幅が出て、脚本も書きやすくなることだろう。
スパイダーマンの時みたいに、ニセアイアンマンが出てくるとか。。。ありがち。

そこにはもはや自分の好きなアイアンマンはいない。
ロボット戦闘アクションと割り切って楽しむしかない。
無念。

【55点】

Mud(原題) 【気になる映画】

2013-05-02 00:19:42 | 気になる映画
最近、以前に比べて、アメリカと日本での公開時期のタイムラグが短くなっているようだ。
映画ファンとしては喜ばしいことであるが、昨年アメリカで大ヒットした「マジック・マイク」が
今夏ようやく日本で公開されるなど、諸外国と比べるとまだまだ「洋画ガラパゴス」である。

これから日本での公開を見過ごさないように、
全米で公開されて気になっている映画を備忘録として残しておこうと思う。



原題 『Mud』
脚本・監督 ジェフ・ニコラス
出演 マシュー・ マコノヒー、リース・ウィザースプーン、マイケル・シャノン他

マシュー・ マコノヒー演じる賞金稼ぎに追われる逃亡者と、2人の少年の友情物語らしい。

先週から全米で公開され、絶賛されている模様。ロッテンでは驚異の98%のフレッシュだ!
昨年公開のマジック・マイク、キラージョー等で演技派としてカムバックしたマシュー・ マコノヒー。

本作でのパフォーマンスにより今年初のオスカー主演男優候補有力者になる模様。
監督・脚本はテイク・シェルターのジェフ・ニコラスだし、非常に面白そうだ。
日本での公開は小規模映画なので、再来年あたりになりそうな気がする。