「7か月ぶりの円安とその背景」
円安が進んでいます。
昨日の東京外国為替市場は日米の金融政策の方向性の違いから金利の高いドルを買って円を売る動きが進み、円相場は一時145円台まで値下がりしました。
1ドル145円台をつけるのは昨年11月以来、およそ7か月ぶりのことです。
「背景」
円安が進む背景にあるのが、日米の金融政策の方向性の違いです。
日本時間の一昨日、アメリカで発表された失業保険の新規申請件数が市場の予想を下回ったことなどから、アメリカで更に利上げが行われるという見方や米国の物価上昇率の高止まりが意識され、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げが長期化するとの見方が市場で強まっています。
一方で、昨日発表された東京23区の今月の消費者物価指数の速報値が市場予想を下回り、日本の金融緩和の継続が意識されたことなどにより、日銀による大規模な金融緩和で低金利が続くとの見方から円を売る動きに繋がっているとしています。
鈴木財務大臣は昨日の記者会見で、「最近は急速で一方的な動きも見られる」「政府としては為替市場の動向について高い緊張感を以って注視している。行き過ぎた動きに対しては適切に対応する考えだ。」として、市場で進む円安の動きをけん制していました。
『円を「en]ではなく「yen]と書く由来』
ところで、この円ですが、国際表示では「yen]と書き、金額頭部に書く円のマークは「¥」を書きます。
皆さんはこの由来をご存じでしょうか?
調べてみました。
円をローマ字で書けば「en」ですが、実際に使用されている表記は「yen」となります。
その由来について、日本銀行のHPを調べたところ、3つの見解が載っていました。
①発音上の理由
「EN」は外国人が発音する「エン」より「イン」に近いものになるとして、Yをつけて「YEN」としたのではないかとの説です。
ちなみに、幕末日本を訪れた外国人の記録には、「江戸」を英語で「YEDO」と表現したものがあるということです。
②諸外国の語句との区別
「EN」は、オランダ語では「〜と」とか「そして」の意味があり、スペイン語、フランス語では「〜の中に」の意味があって共によく使われる語であるため、これらと同じ表記を回避したとの説です。
③中国の「圓(ユアン)からの転化
中国の「元」紙幣は、表に「〇圓」、裏に「YUAN」と表示されていました。これが「YEN」に転化したとの説もあります。
『円マーク「¥」の由来』
そして、「円マーク」の由来は、明治時代に日本と交易を行った英米人により日本の通貨である「円」が「yen」と綴られたことだとされており、アメリカ合衆国の通貨であるドルを「$」と表記する慣習に合わせて「円」の頭文字「Y」に同様の二重線を入れたことから「円マーク」が使われるようになったという説が一般的です。
『世界市場では「JPY]が多い』
なお、「¥」は日本の他に中国の人民元でも使われる記号なので、それと区別するために世界的なマーケットでは「JPY」(Japanese Yen)を使うことが多いようです。
そして、「JPY」は、一般的には漢字の「円」と同じ位置、金額の後ろにつけることが多く、金額表示は、ドルの習慣と合わせて金額の数字に小数点がつくこともあります。
因みに中国の人民元マークの「¥」以外の表記は、「CNY」となります。