明日の7月2日は七十二候の一つ『半夏生(はんげじょう)』です。
半夏生とは、季節の移り変わりの目安として設けられた、日本独自の暦日「雑節」の一つで、夏至(げし)から数えて11日目の7月2日頃から、七夕(7月7日)までの5日間をいいます。
農家では昔から、田植えは半夏生に入る前に終わらせるものとされ、それを過ぎると秋の収穫が減るといわれてきました。
「半夏生の由来」
半夏生の名前の由来には諸説あるようです。
一つは、半夏生の「半夏」は「烏柄杓(からすびしゃく)」というサトイモ科の薬草ですが、この薬草が生える時期であることから「半夏生」と呼ぶようになったとする説。
他には、ハンゲショウ(別名カタシログサ(片白草))というドクダミ科の草が、その名の通り半分白くなり、お化粧をしているように見える時期なので、この時期を半夏生と呼ぶようになったという説です。
・半夏生の花です。
「半夏生の花」
半夏生の花は半化粧とも言われ、葉っぱの大部分が白くなるという独特な姿をした植物です。
葉っぱの片方が白くなるので、片白草(かたしろくさ)とも言われます。
ハンゲショウの葉は不思議な性質をしており、花が咲く頃に葉が白くなり、花が終わると緑に戻ります。
「半夏生には毒が降る謂れ」
半夏生の日には天から毒気が降ると言われ、井戸に蓋をして毒気を防いだり、この日に採った野菜は食べてはいけないと言われていますが、その謂れはどのようなことでしょうか?
その一つは、半夏生の名前の由来にもなった、「半夏(はんげ)、別名カラスビシャク」という草に毒がある、ということからのようです。
他には、梅雨の終わりころにやってくる半夏生は、カビ・雑菌が繁殖しやすい時期で、疫病が広まらないように、毒があると言い、注意を促したという説。
更に、半夏生の時期には「半夏雨」という集中豪雨のような雨が降る時期で、井戸水の水質が大雨によって変わることから、その水を飲んでお腹を壊すことを防ぐためという説などがあります。
・葉が化粧したように白くなっている半化粧でが、花が終わると白い葉は緑に戻ります。
「タコを食べる風習」
関西地方では、半夏生の日にタコを食べる風習があります。
これは「稲の根が、タコの足のように四方八方にしっかり根付きますように」とか「稲穂がタコの足(吸盤)のように豊かに実りますように」との願いが込められています。
関西の中でも奈良や和歌山などの地域では、半夏生の少し前に収穫する小麦ともち米で作った小麦餅や半夏生餅を祖霊や田の神にささげて豊作を祈ったという風習があります。
他にも、
・三重県の熊野地方や志摩地方の沿岸部などでは、ハンゲという妖怪が徘徊するとされ、この時期に農作業を行うことに対する戒めになっていたり、
・讃岐の農村ではうどんを食べる習慣があって、1980年には香川県製麺事業協同組合が7月2日を「うどんの日」に制定しています。
・福井県大野市では江戸時代に大野藩藩主がこの時期に農民に焼きサバを振舞ったという逸話から、現在も大野市を中心とした地域では半夏生に焼き鯖を食べているそうです。