今月17日に近畿地方が梅雨明けして以降、大阪南部の熊取では全く雨が降りません。
日中の最高気温は連日35度を超えており、不快指数100%超と言ってもいいような蒸し暑さが続いています。
こうした中、早朝は涼しくて気持ちがいいことから夫婦で散歩したり、犬を連れて散歩したりして、暑い日中を避けた運動不足解消法を実践している方々を多く見かけます。
私も運動不足の解消に毎日早朝ジョギングをしています。
最近では5時45分頃になると、長い地中生活からこの世に生を受けた蝉たちの ”喜びの歌” の大合唱が響き始めます。
この蝉たちは、本格的な夏の到来を待っていたかのように梅雨明けから鳴き始めたのですが、昆虫は季節に敏感に反応するものですね。
「芭蕉の句」
蝉の大合唱と言えば、松尾芭蕉が奥の細道を旅した時、山形県の立石寺で有名な次の句を詠んでいます。
「閑(しずか)さや 巌にしみ入る 蝉の声」
「ああ、なんて静かなんだ。蝉の鳴き声が岩にしみ入るように聞こえてくる」という意味の句です。
・山寺(立石寺)を訪れた時の写真です。(2008年10月21日撮影)
「閑さとは」
芭蕉は蝉のうるさい鳴き声を何故「閑さや」と詠んだのでしょうか?
調べてみると、ここに詠まれている「閑さ」は、心の中の「閑さ」なのだそうです。
芭蕉は山寺の山上に立ち、眼下にうねる緑の大地を見わします。頭上には梅雨明けの大空が果てしなくつづいています。
そこで蝉の声を聞いているうちに芭蕉は広大な天地に満ちる「閑さ」を感じとったと言うことです。
・立石寺(山寺)のセミ塚です。
「蝉の生態」
一般に、蝉は幼虫として地中で生活する期間が長く地上では1~2週間の命と言われていましたが、実際は1か月程度生きているようです。
生存が1~2週間ほどという俗説が広まった原因として、成虫の飼育が難しく、飼育を試みてもすぐ死んでしまうことがあげられています。
ところが、2019年に私の故郷、岡山県笠岡市の県立笠岡高校の高校生が独自の調査手法によりアブラゼミが最長32日間、ツクツクボウシが最長26日間、クマゼミが最長15日間生存したことを確認し、広島大で開かれた「中四国地区生物系三学会合同大会」で発表して最優秀賞を受賞し、話題となりました。
この調査のきっかけについては、「そもそもセミの死骸を夏の間に見かけることが少ないのはなぜか」と”短命説”に疑問を持ったことだということです。
そして、幼虫として地下生活する期間は3~17年(アブラゼミは6年)に達し、昆虫としては寿命が長いということです。
蝉の命が1週間程度というのは俗説である、ということを証明したこの高校生、凄いですね。
実際は1か月程度生きているようです。私は認識を改めました。