今日もNHKのラジオ番組”気になることば”からご紹介します。
先日、「ちょっかいを出す」と「けしかける」について、“ことばおじさん”こと、梅津アナウンサーが解説していました。
「ちょっかいを出す」
からかい半分で横から茶々を入れる時の使う言葉に「ちょっかいを出す」があります。
これは「余計な手出しや干渉をする」という意味ですが、その語源となったのは猫のある動作だそうです。
猫は、一方の前足を出して物をかき寄せるようなしぐさをよく見せますが、あのしぐさを元々「ちょっかい」というのだそうです。
「手掻き」から「ちょかき」→「ちょっかい」になったとか、或いは「手使い」から「ちょっかい」になったともいわれています。「手(て)」が「ちょ」と変わるのは、「手斧」を「ちょうな」、「手水」を「ちょうず」と音変化するのと同じです。
後に、猫のそうした様子が、人間が横合いから手を出す姿に似ていることから、「余計な手出しや干渉をする」という意味でも使われるようになりましたが、この言葉は、江戸時代の頃から見られる言い回しだそうです。
「けしかける」
次に、「相手をおだててそそのかす」ことを「けしかける」といいますが、この語源となったのもペットでお馴染みの犬だそうです。
犬は古くから猟犬としても使われてきましたが、獲物を追えと命令する時、現在では「いけ!」などと声をかけるでしょうが、昔は「しきしき」、「しけしけ」と声をかけていたのだそうです。
それを続けて呼ぶうちに前後が逆になり「けしけし」から「けし」と言うようになったようです。
つまり「けしかける」という言葉は、犬に「けし」という声をかけ、相手に向かわせるという意味からできたもののようであり、この言葉は室町時代の頃から見られる形で、それが後に「人を扇動する」という意味で使われるようになったそうです。
この「けし」という言葉自体に意味はないようですが、今でも犬を追い払う時「しっしっ」などと言っているように、犬に何かを命令する時は「し」の音が有効なのかもしれません。
と解説していました。