別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

サンシン

2010-09-06 | 別所沼だより

  4時過ぎの公園。 蝉しぐれにまじって哀調を帯びた旋律がひびく。 ベンチで青年がつま弾くのは沖縄の三線サンシンだろうか。 めずらしい楽音が沼のさざ波にのって流れた。  連日37℃を越える、 高温には驚かなくなった。 外出には相応の気合いを入れて、 ようやく別所にたどり着く。 
  日陰をえらんで歩くと かすかな秋の気配をさがした。

  

  数珠玉はほとんどが白っぽい黄緑で、 なかに茶褐色がちらほら。濃い赤茶もある。 野葡萄のヒスイ色に魅かれ、 アオギリの実は袋に入って花のよう。 色なき風に揺れるのをどきどきしながら見あげる。   リースのような落羽松など。 心を澄ましてみれば、 何かしらみつかるのだった。  出かけてきて良かった…

 

   

  翳にも秋の気がこもっているような感じだ。 
   西日に灼かれる向日葵に夥しい虫食いの穴は。 
  秋近し…  鰯雲をみながら、 そう思う。 

 

     

  沼風は暑さを和らげてくれた
    サンシンもまだ聞こえている。

                  -☆-                                

    秋の航(コウ)一大紺(コン)円盤の中   草田男

   航は 飛行機で空を行くのだろうか 
     それとも大海原を船でわたるのだろうか  
     一大紺円盤のなか…  スケールが大きい
       
    青空ばかりで 雨がほんとうに恋しくなった

 

       クリスマスリースのような落羽松

      拡大                    拡大                     拡大

 

 

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 前の記事へ | トップ | 慈雨 »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
観るということ (ふくら雀)
2010-09-07 07:45:03
サンシンの音色と別所沼、意外性があります。杉の影に秋の気配が漂っています。

網膜に漠然と物の形を映して「見」ているのと、意識して物を「観」ている違いですね。絵を描く蛙さんは、そこから次なる「見えてくる」ものを捉え、充実した自然とともにいる自分を享受なさっています。その豊かな時間の中にある充足は何にも換えがたいものでしょう。

草田男の代表句は秋の大海原の航海でしょう。気宇壮大、秋の爽涼感をこれほど感じさせる
句は少ないと思います。船の看板から見る天地を呑み干すような気迫が、破調が気になりません。
返信する
ワクワクして ()
2010-09-07 22:07:47
 節穴でも、不思議が見えてワクワク愉しい。観ているかどうか、絵はなかなか上達しませんが。草田男の句はいいですね。blogにずいぶん取り上げました。ふくら雀さんの解説は味わい深い。句の大きさも増しました。ありがとうございます。
 「船の看板から見る天地を呑み干すような気迫…」 http://blog.goo.ne.jp/ragunosippo/e/d1134d16cc1d2bc2be078be4f103e5e8 円盤を思い出しました。
 
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

別所沼だより」カテゴリの最新記事