4時過ぎの公園。 蝉しぐれにまじって哀調を帯びた旋律がひびく。 ベンチで青年がつま弾くのは沖縄の三線サンシンだろうか。 めずらしい楽音が沼のさざ波にのって流れた。 連日37℃を越える、 高温には驚かなくなった。 外出には相応の気合いを入れて、 ようやく別所にたどり着く。
日陰をえらんで歩くと かすかな秋の気配をさがした。
数珠玉はほとんどが白っぽい黄緑で、 なかに茶褐色がちらほら。濃い赤茶もある。 野葡萄のヒスイ色に魅かれ、 アオギリの実は袋に入って花のよう。 色なき風に揺れるのをどきどきしながら見あげる。 リースのような落羽松など。 心を澄ましてみれば、 何かしらみつかるのだった。 出かけてきて良かった…
翳にも秋の気がこもっているような感じだ。
西日に灼かれる向日葵に夥しい虫食いの穴は。
秋近し… 鰯雲をみながら、 そう思う。
沼風は暑さを和らげてくれた
サンシンもまだ聞こえている。
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秋の航(コウ)一大紺(コン)円盤の中 草田男
航は 飛行機で空を行くのだろうか
それとも大海原を船でわたるのだろうか
一大紺円盤のなか… スケールが大きい
青空ばかりで 雨がほんとうに恋しくなった
網膜に漠然と物の形を映して「見」ているのと、意識して物を「観」ている違いですね。絵を描く蛙さんは、そこから次なる「見えてくる」ものを捉え、充実した自然とともにいる自分を享受なさっています。その豊かな時間の中にある充足は何にも換えがたいものでしょう。
草田男の代表句は秋の大海原の航海でしょう。気宇壮大、秋の爽涼感をこれほど感じさせる
句は少ないと思います。船の看板から見る天地を呑み干すような気迫が、破調が気になりません。
「船の看板から見る天地を呑み干すような気迫…」 http://blog.goo.ne.jp/ragunosippo/e/d1134d16cc1d2bc2be078be4f103e5e8 円盤を思い出しました。