別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

詩人で建築家…

2012-06-09 | 別所沼だより

 

 ヒアシンスハウスの時間に感謝したい。 居心地の良い知的空間でサプライズが待っている。 ここは心の基地である。

 ガイドの朝  鍵といっしょにふっくら厚い封筒を頂いた。
 宛先  「別所沼公園内 ヒアシンスハウス 5月19日(土)。午前中にいたボランティア先生」とある。 差出人の記載はない、 しかし先月19日の日付と、 貼ってあるシールにピン!と来た。  まさに ワッ! とおどかすつもりでしょう。 ウナギまつりの あの紳士しかいない、 開ける前から解ってしまった。
 ほんとうは 何もかもご存じだったのでは、 と笑いもこみあげるが詮索はよそう。 何度もなんども 面白可笑しく励ましてくださっている。 真心のこもったお手紙をありがとうございました。 お礼申しあげます。 (たぶんblogなどご覧にならないでしょうけれど)

  機知に富んだサプライズはすてきな手紙で とても嬉しかった。 失礼をわびながら、別所沼の別所という店でウナギを食べながら考えた とはじまっていた。  
  
  立原道造が別所沼別荘をつくり、そのあと弥生町にいき(立原道造記念館)、最後は信州上田の別所温泉の山奧の信濃デッサン館に行ったと言うこと。
 ※ アンダーラインは蛙

 紳士は別所つながりにおどろく、 別所で休憩所とばかり思っていたところでガイドに会い、 立原道造を知り、 そういえば3月に別所温泉の奧のデッサン館で立原コーナーを見てきたばかりだ…  この不思議、 なにやら見えない糸に繋がれているらしいと感動する。 

 本屋でみつけたという新刊書も添えられて、ヒアシンスハウスにふれられないのを残念に思われた。   

   「真相の近代建築 数奇な運命の建築家たち」 佐々木宏  鹿島出版会

  無視された事実、 忘れられた建築家。 いま明かされる近代建築の真実。 欧米・日本の巨匠たちの、知られざる素顔、 見逃せない功績、 語り継ぐべき史料。
 博覧強記の著者がつづるノンフィクション近代建築史。 

 50の秘話のなかに 立原道造関連では 60年間秘匿された小論文、 立原道造の建築家像を定着、 小場晴夫の使命感と大きな功績 等々まだある、 いま読んでいるところ。 

  「もう一つの感動は、 ベッドに寝たこと。 ほんの瞬間に、 思いは立原道造がこの別荘をつくりたいという昔に戻りました。 五坪足らずというのがとてもいい大きさ。 寺泊の良寛の五合庵、 奧吉野の西行庵も、これより小さいのです。 機会があったら見にいってください。 感動でヒックリかえりますよ。 2012.5.21」

  ありがたいお手紙を一部公開しました。 ウナギの紳士殿 どうぞお許しください。 愉しい手紙を、 ほんとうは全部公開したいくらいです。


 

  音もなくふる雨に緑が濡れて、 鮮やかさを増している。 きのうの真夏から春の寒さへ。 関東も梅雨入りした。 草の葉にやどる露の清らさ、 雨の匂い、 けむるような沼にカワセミが居る。 午前中は、 実感して「詩人の建築家像にせまりたい」 と、 男性が相次いだ。     

 ・ 蒲生から、ハウスは何度目か。 若者は就活中。 「建物を見るだけでは駄目で、 そこで時間を過ごすことで見えてくる、 わかることがある。  現在自炊しキッチンに立つ、 使い勝手を知り改善の余地はないか問うのもひとつ」 (体験は設計に活かせるのですね。 住み心地の良い住宅を)

 ・ 静岡から福島へ帰るところ、 (わざわざ) 途中下車してハウスに立ち寄られた由。 熱意に感動する。 
  「いつか行ってみたいと願いつづけた場所にようやく来ることができた。 図面や写真を見るだけでは解らない、 実感してこそ。 とても落ち着ける場所。 ベッドに寝転がったり、 椅子に座って一日中思索に耽りたい そんな気持ちにさせる」 (静かに味わって頂きたかったと 反省ばかり。  満喫されましたか) 

 午後から 永峰さんの知人で建築家の男性が同級生3人(女性ばかり)を連れてこられた。  浦和出身でありながら浦和には何もないと思っている彼女たちに、 こんなすてきな場所ができていることを伝えたくて。
 緑を眺めながら窓際でコーヒーを頂きたい。 ちょうど良い空間。  そういえば母校の校歌… 作詞は神保光太郎先生、 沼の畔でお姿も見かけた。 (季節を変えて またいらしてくださいね。)

 訪問者6名。 ありがとうございます。
 今日もすてきな方たちにお会いした。 どなたも1時間以上滞在された。
 学ぶことが多く しあわせである、 雨もまた良し。 ここに来れば皆詩人になれる。
   

 

コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 前の記事へ | トップ | 今日の雨 »

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
すばらしいめぐり合わせ (ふくら雀)
2012-06-10 17:46:35
何もかもが素敵なめぐり合わせ。不思議なほどですね。

雨の山道を登りながらではなく、ウナギを食いながら考えた。のが、現代風で粋です。
素敵な方ですね。ミスターうなぎ殿はまさに君子の味わいです。
「淡如水」おつきあいがこれからも静かにつづきますように。
返信する
淡如水 ()
2012-06-10 22:34:59
 ミスターうなぎ殿… こんどからそうしましょう。 ほんとうに粋な方、行動も文章も。
 
 道造さんのまわりには毎回すてきな方が現れます。ガイドはそのお福分けを頂くのでしょう。今回も心に残る方たちばかりで、「君子交淡如水」の教え通りのお付きあいが末永くつづくように祈ります。ありがとうございます。
返信する
ありがとうございました (佐藤)
2012-07-06 16:54:48
静岡からの帰路、立ち寄らせていただいた福島の佐藤です。
あのときは、興味深いお話をたくさんしていただき、また、すっかり自由きままな時間を過ごさせていただき、ありがとうございました。

まさか、あのベッドに寝そべることができるなんて。
横になって、一瞬ではありましたが、「これからの人生」などについて、思索にふけることができました。
それにしても、あの吸い込まれるようなマットの感触よ!
気持ちよかったです。

埼玉の知人は「ヒヤシンスハウス」を知らないと言いましたが、私にとってはずっと憧れの場所でした。
また足を運ばせていただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
返信する
ようこそ ()
2012-07-06 22:12:22
佐藤さん! その節はご遠方よりしかも雨の中。こちらこそありがとうございました。詩人もきっと喜んでいます。思い覚まして貴重な時間、マットの感触も。
 
 雑誌や新聞、TVなどで紹介されますがなかなか浸透しません。知る人ぞ知る…立原道造のヒアシンスハウス。 どうぞまたお出かけください。
 スーツがとてもよくお似合いでした。       
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

別所沼だより」カテゴリの最新記事