雨のため野外スケッチはなし、 仲間が用意した野菜を描いた。 泥つきの葱。 泥つきの人参。
土の匂い、 乾きかける土の色。 重なるミドリ、 葱のうえの 細かな人参の葉を表わせないで終わった。
習作に ドラマはない
12年前 9月30日。 この日、千葉の勝浦は暴風雨に見舞われた。 何か月も前から予約して楽しみにしていた宿に一泊。 颱風だからって… もう行くしかない! 変更できないと、 みな若かった。
宿の屋上にあがり眼下の太平洋を望む。 普段見られない光景だ。 早い雲の流れ、 風におどり荒れ狂う木々、 ドラマチックな波。 わくわくしながらキャンバスに向かった。 屋上の一角に屋根はあるが囲いはない。 柱の陰に身を寄せてもキャンバスは何度も倒れ、 帽子は飛ばされ、雨に打たれ。 傍から見れば狂気の沙汰だ。 一時間余り粘って描いた。
途中ながら、 海の絵はこれ一枚しかない。
潰す気にもならず今日まで残った。 F8 油彩