別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

二上山の落日

2014-10-15 | アートな時間

    2014.10.8   5:21 

 黄昏どきの雲の美しさに思わず佇んだ。 ひとは 落日に心を奪われ思いを重ねる。 一日の終わり、荘厳なしらべを感じて こころが洗われる瞬間だ。
 
先日奈良のHさんから写真が届いた。 (↑ 写真)

「落日を背に二上山のシルエットが浮かびあがる 
 天武天皇の死から一か月を経ず、686年10月3日、大津皇子は桜井市訳語田(おさだ)で死を賜りました。
時に24才。 今は二上山に眠っています。」

 Hさんはご主人が残された 「山の辺の道から 二上山に夕陽が沈む日程表」(これは以前拝見している。精しく調べられた時刻とポイントが記されていた) を参考に、 穴師山の中腹からレンズを向ける。 15分ほど景行天皇宮跡に立って捉えた落日です。
  「夕焼けはいきもの…」  一瞬に いのちをかけたご主人を偲ばれていた。 撮影のむずかしさも伝わった。 

                -☆-

 写真は写す人のこころまで取り込むようだ。 西方浄土への入り口と言われた二上山の夕陽、 Hさんが大津の皇子に寄せる思いが作品に昇華されている。

 さっそく「山の辺の四季 疋田 勉写真集」(東方出版)を開いてみた。

  二上山夕景  (9月下旬)  疋田 勉

 

 

 衾田陵から望む中山古墳と二上山の落日(10月下旬)  疋田 勉

  (スキャンした作品は、 とうてい原画の良さに及ばないです。
  お許しください)

                 -☆-
 
  津田さんのエッセイも思い出された。   (万葉集の「大津皇子竊(ヒソ)かに神宮に下りて」…
姉と弟に焦点を当てる。 学ぶ楽しみがふくらんだ、 そのことが何よりもうれしいです。

  この本がきっかけとなり 「山の辺の道から 二上山に夕陽が沈む日程表」を送っていただいた。             

                  -☆-

  一日の仕事のあとの水色の空、そして夕やけが美しいレース編みで西の空を飾ること。
   もう、とほい思ひ出はいらなくなつた。 (立原道造)

 夕やけを しみじみ眺めたくなる。

 

コメント (2)
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