別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

しじまの中へ

2013-06-08 | 別所沼だより

  ある日 小鳥をきいたとき
  私の胸は ときめいた
  耳をひたした沈黙(シジマ)のなかに
  なんと優しい笑ひ声だ!

  ……

        「鳥啼くときに」   立原道造

 


 

 久しぶりに 窓を開けて沼を見ていると 何の魚かジャンプした。 朝のうちは風もなく曇っている。  10時過ぎると晴れて蒸してきた。  
 

通りの音も届かない沼の奧、 噴水だけが歌っている。  しずかな沼に水音がこだまする。 吟行の方たちも句帳を手に集まってくる。 


・スカイツリーのそばから自転車で3時間かかっていらした女性。 
 「TOTOギャラリー・間」で開催中の 「中村好文展 小屋においでよ!」を観て ヒアシンスハウスもぜひにと思われた。 ほんとうは沼の向こう側に建てられ、 立原はベッド脇のちいさな窓から沼を見るはずでしたとご説明。  
 
 瞳をかがやかせて仰ったことばもすてき。
 「詩人にとって窓は 小さくなくてはいけなかった…  ちいさなところから覗く沼が 大切だったのでしょう」

  狭い開口から広がる、 想像し広げる空間  創作する景色 奥行…

 「学生に 建築家がこめる思いを伝えたい。  もちろん今の開放感もすばらしいですが…」

ほら 硝子の向こうに 木立がトロトロしてるでしょう。 
 丸ビル解体時に譲り受けたガラスで 古いものだから…とガイド。
  女性の目が 一瞬潤んでいるように見えた。  

・ 奈良からもいらして熱く語った。 博識なHさんからおもしろくて楽しい話題が尽きることなくつづく。 ヒアシンスハウスのこと、 万葉歌、 はじめられたガイドのこと、 フランスひとり旅。 古事記… 

 このあと稲荷山古墳に向かわれたが、 さっそく現地から写真が届いた。 すばらしい行動力、 向学心、 マグマのような情熱に圧倒される。

・ 「うちもこの鍵です」 先月ガイドの日、お友達の鍵とヒアシンスの鍵と3人で見せ合ったのでしたね。 同じHORIの 誇高き三つ又の槍。  ヒアシンスハウスは 「ほんとうにいい家… なつかしい… 」 何度もおっしゃって。

 

  良い時間だった、 貴重なお話が伺えた。 ガイドはただ おどろき、うなずくだけ。
しじまを熱いものが流れている。 みなさまは 優しく深くなつかしい我家のように、 ヒアシンスハウスを眺めていらした。 
 
  来訪 8名。   遠いところから ほんとうにありがとうございました。
 
 前庭にムクドリが来て 蜻蛉がよぎってゆく。 雨は降りそうもない。
  ひとも水も風も 緑に染まるこのごろ。

 

 

 

 

 

コメント
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