梅雨空に あざやかなゼラニウム
高木典子さんの 「いとしき草花たち」 を読み返していたら
「雀隠れ」 という知らない言葉がでてきた。
挿し木でたくさん殖やしたゼラニウムの鉢の縁にスズメのヒナが二羽いました。
子スズメは羽根を膨らませ、 留守番を言いつかった子供のように、 神妙に母鳥の帰りを待っていたことを思い出します。 私も半日間、戸も開けず、音も立てないようにして、ひたすら母鳥の信頼に応えました。 わが家のゼラニウムも「雀隠れ」になって、 少しはスズメの子育てに役立ったのでしょう。
細やかな眼で、 なんて やさしい心のひとだろう。 戸も開けないで、 音も立てないようにして 半日もガマンして 母鳥の信頼に応えた。 穏やかな作者の横顔が浮かんだ。 留守番を言いつかった子雀のいとしさも、 すくい上げる高木さんにも胸を打たれた。
いつも たんたんと見えて、 さり気ない気配りをみせる ルピナスさんに重なった。
雀隠れとは、 草木の葉が生長して、スズメが隠れるほどになること と。
爽やかなエッセイは 蒸し暑さを忘れさせる。
-☆-
さよならと梅雨の車窓に指で書く 長谷川素逝
湿った車内の 窓ガラスの水滴、 分かれがたい気持ちで
さよならと指で書いた… ドラマチックなシーンだ
離れたホームからみつめるひと その姿はシルエットになる