花器にしたのは沖縄の抱瓶ダチビン 水筒式の酒入れです。 女学校を卒業後 Yさんと偶然再会したその日、 幼子を連れどちらも未亡人でした。 しばらく間があいて、それぞれのくらしに追われながら、 たまたまデパートで、 ある時は駅ですれ違う、 といったご縁があったのです。 断片をつなぎ合わせると、どう讃美したらいいのか分からないような、 お付きあいができました。
やがて、 子供同士が結婚したのです。
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Yさんの貼り絵には 油彩画のようなゆたかさと深さがありました。 和紙もこだわってじぶんで染めて、 ふつうのとは違いました。 作品は、 何度も受賞したそうで。 逢えば個性的な絵の話で、 いつも弾みました。 そのようすを、 傍らに正座してかならず見つめていたのが、 このやきものです。 頂いて 私のものになりました。
Yさんは話好きで夜中の2時まで、絶対に止まらない。 朗らかな母とYさんの盛んな気力を、 たっぷり呑み込んだ抱瓶は、 色遣いも新鮮でカーブは三日月。 腰に下げれば身体に沿って、 花を活けてもよく似合います。
ヒンヤリしてきた部屋の中で、 その口から昇るものがある。
明るく広やかな、 ふたりの魂だと思いました。

こういう花がうまくかけないのは 多分 気持ちがすさんでいるからだ