
夢みたものは ひとつの幸福
ねがつたものは ひとつの愛
山なみのあちらにも しづかな村がある
明るい日曜日の 青い空がある
優しき歌Ⅱ 「夢みたものは…」 立原道造 より
-☆-
午後になると やわらかな陽射しが 冷たい風に戯れる
若者は黒っぽい身なりで そっと入ってきた
「道造のファンです…」 そう言うと はにかむように 笑みを崩す
なにか しゃべらなくては… ガイドは説明の用意をし
「お構いなく……」 などと彼は 椅子にかけ じっと沼の方を見ている
5分もしないのに 立ち上がる
もう お帰り? せめて記帳を
「いえ… 外から見てきます…」
とうとう戻らなかった ハウスのなかを ほとんど見ずに…
ガイドをうるさいと感じたのかも知れない 関わりを反省する
ナイーブな感じの華奢なひと…
あるいは 道造その人だったかも知れない
( 曇りのち晴れ 来訪 13名)
BISES(Benesse) ビズNo.46早春号 「夭折の詩人・建築家 立原道造が残した夢の設計図」。 美しい写真とともに紹介されています。