地球散歩

地球は広いようで狭い。言葉は違うようで似ている。人生は長いようで短い。一度しかない人生面白おかしく歩いてしまおう。

「ジプシーを追いかけて」

2008-05-12 02:49:26 | インフォメーション

いつの頃からだったろう。「ジプシー」という言葉に心のざわめきを覚えるようになったのは。記憶の断片を手繰って行っても、その答えは見つからない。ただ、その言葉の紡ぎだす独特の表象は、私の心の片隅で自己主張を繰り返し、いつも正体の見えぬ何かへと私を駆り立てた。

あてのない遍歴の旅を繰り返したジプシーが財産として共有してきたもの、それは音楽。影のように儚く揺らめき、不確かな足跡を残してきた土地の「音楽」を、彼らはしたたかに吸収した。
そして、魂の底から生まれ出る粗野で情熱に満ちた音の塊は、多くの音楽家に創作の素描を与えてきた。

2月末、大きなチャンスが私に訪れた。
ジプシーに出逢う旅へと、私は誘(いざな)われた。
私は、自らの魂が奏で出す旋律を彼等の暮らしと音楽に重ね、自分だけの「風景」を現出させるために、夢中でカメラのシャッターを切った。
切り取った絵の一枚一枚は、確実に、私の心の底に眠っていた情念のリズムを映し出す「タブロー」となっている。

「ジプシー」の懐深くに私を導いてくれたのは、関口義人氏(音楽評論家 ジプシー/ロマ研究家)。関口氏はこれまでジプシーに会うために、バルカン半島や中東の国々を数多く遍歴して来た。詳細なフィールドワークに基く研究の成果は、すでに多くの場で発表されている。誰も知り得ない風景や音楽や人々を求めて、果ての無い「巡礼」を繰り返す関口氏の旅の断片へと、いつも『地球散歩』を訪れてくださる皆さんをご招待したいと思っている。

『ジプシーを追いかけて』VOL.14@渋谷アップリンク・ファクトリー

ジプシー的なものに心奪われ、フィールドワークを中心にジプシー研究を続ける音楽評論家の関口義人さんによる人気イベント。今回は、今年2月末より取材のためにトルコとイランに滞在されていた関口さんが撮りためた映像のなかからトルコのジプシーたちの現在を中心にレポートします。ご期待下さい。

出演:関口義人(音楽評論家/「ジプシー・ミュージックの真実」著者)
日時:5/24(土)18:30開場/19:00開演
料金:¥2,000(1ドリンク付き)
http://www.uplink.co.jp/factory/log/002597.php%0D

また、月刊誌『ラティーナ』にて、関口氏の連載「虚無への巡礼-オリエントを迷走するドムの軌跡を追って」も進行中です。

以下のURLにて、私自身の『ジプシーを巡る旅』も公開しています。
http://ethno-mania.at.webry.info/

外部からの押し付けにより、「幻想」に彩られてしまっているジプシーの「真実」に、映像とトークを通して触れて頂きたいと思っています。(m)

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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ロマ (yokocan21)
2008-05-13 20:32:24
私も、いつ頃からかロマの魅力にハマっています。大好きなエミール・クストリッツァの映画の影響でしょうか。やっぱり端々に現れる彼らの音楽の力強さ・土臭さというのかなぁ、気持ちがざわざわしてきます。
実際にトルコでロマの人たちに接して、益々興味が出ているところです。
このイベントも、行ってみたいです!ネットで中継とかしてくれないでしょうかぁ(無理ですよね)。今度日本へ帰ったら、関口さんの本も是非読んでみたいです!
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yokocan21さん ()
2008-05-13 22:06:56
コメントありがとうございます。mitraは散歩に出ておりますので、お返事はちょっとお待ちくださいね!
来週、私はmitraのところへ出かけ、その足でトルコ入りします。
yokocan21さんのブログで、食べたいものだらけ!行きたいところだらけになって身もだえ中(笑)
ウスタルパで、薔薇に埋もれてくる予定です。
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碧さんへ (yokocan21)
2008-05-15 03:29:11
こんにちは!
わぁ、トルコへいらっしゃるんですね!ウスパルタの薔薇をご存知だなんて、ツウですねぇ。最近は薔薇の化粧品も生産されていて、ちょっと有名なんですよ。トルコ、あちこち見どころ満載ですので、存分に楽しんで来て下さい♪美味しいものも満腹食べてくださ~い。
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私がジプシーを身近(?)に感じたのは (がんさん@大和の国)
2008-05-15 14:30:07
母の還暦祝いにスペインを旅したときでしたね。
ガイドが『物盗りが多いので気を付けるように』と何度も繰り返しておりました。
あと、レース編みをバスの中に持って来て、『買ってくれ』とか…。
私の好きなフラメンコもジプシーの踊りですよね、確か。
ポルトガルのファドもジプシーの音楽じゃなかったかな…?
あてのない遍歴の旅を繰り返すというのには憧れに似た感情を抱きますが、考えてみると私も倉敷→徳島→東京→横浜→奈良と放浪(?)の度を続けて来たような気がします。
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イタリアでは (hyblaheraia)
2008-05-16 19:41:04
今イタリアでは新政権の反移民政策のため、ロマの人々が厳しい状況に置かれています。彼らが独自に張るキャンプ(市が用意したキャンプ以外)に大々的な捜査が入り、容赦なく退去させられています。本当にやり切れない思いです。
ロマの素晴らしい文化について情報を発信なさることで、人々の偏見が少しでもなくなればと思います。
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yokocan21さん ()
2008-05-16 23:01:09
ここで、バラ摘みをしたいのですが、潜入方法が判らずに苦戦。
ここからオルサさんにお手紙を書こうかな~とか、妄想中です。
美味しいものだらけですが、これは外しちゃいけない!と言うものがありましたら、是非教えてくださいね。
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がんさん ()
2008-05-16 23:05:26
私もジプシーの血を引いていると自称しております。
何しろ放浪癖が…
ジプシー=物取りなどのマイナスイメージは、どうかと思いますね。
私もアンダルシアの山奥で、ジプシーの子が、私のバックにかじりついていたのを思い出します。
だからと言って、決め付けは良くないと思うのです。
フラメンコにファド…これからはジプシーの持つ、よいところが生かされる時代になるといいと思います。
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hyblaheraiaさん ()
2008-05-16 23:09:28
一つ前のがんさん宛てのお返事に書きましたが、同感です。
もう、ロマ迫害の時代は終わらせ、彼らと共存の道を世界が、模索してくれないかと思います。
彼らの貴重な「生きた歴史」を、世界が保護してくれたらと思います。
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がんさん@大和の国さん (mitra)
2008-05-27 20:31:59
お返事が大変遅れてしまい申し訳ありません。
「物取り=ジプシー」というイメージ、偏見である部分も多い一方、実際にはそうせざるを生きていけない環境に彼らが置かれているもの事実だと思います。
そして「物取り」のイメージの裏側には、過剰なまでの「ロマンチック」なイメージもあり・・・。
多少語弊がありますが、その「中間」に位置するロマたちや、社会にすっかり溶け込んで成功を修めているロマの姿も、今回多数目にしました。これからまた様々な場所で、ロマの姿をご紹介できるチャンスが巡ってくるかもしれません。
ところで、がんさんも「遍歴」を繰り返してこられたのですね!私も実はこの15年ほどの間、同じ場所に長くても2年以上住んだことがありません!
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hyblaheraiaさん (mitra)
2008-05-27 20:39:45
イタリアの現政権の政策について、関口氏より最近話に聞いたばかりでした。
ヨーロッパで近年次々に誕生する右派政権により(イタリアの場合は返り咲き?ですね)、翻弄されるのはいつも移民などの弱者。(ロマのみならず、フランスではマグレブなどからの移民の問題も顕著ですよね。)
割合最近になってイタリアに移住してきたロマにとって、果たしてイタリアは「故郷」となりえていたのかどうか解りませんが、謂れの無い罪を押し付けられ居場所を失おうとしている現在、彼らの抱いている現実は如何程に重いものだろうと推し量ると、とても悲しくなってきます。



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