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SHEEP(シープ)
日本人にとって、羊はそれほど身近な動物ではない。
寝られない時などは「羊が一匹、二匹…」と数えたことがある人は少なくないと思う。しかし、効果があった人はいるだろうか?いるとすれば、「羊を数えると眠れる!」という、強い思い込みのある人だろう。この睡眠法はもともとイギリスで行われていたもの。羊のsheepと、眠るのsleepのイントネーションが近いこと。そして、音が柔らかいので、自己催眠をかけやすいという理由で、「シープ、シープ、スリープ、シュリープ…シー…」という感じで、自然に眠りにつけると考えられていた。
そんな訳で、「数えていたら、余計眠れなくなってしまった」というのは、無理からぬこと。恐らく、「本日は晴天なり」と同じように、戦後アメリカにかぶれた人が持ち込んで定着したのではないかと思われる。(マイクでは拾いにくい音、"t's""f""d"が含まれる"It's fain today"というセリフを、マイクテストで使用。、「本日は晴天なり」という日本語は言いやすいので、マイクテストには向いていない)
エジソンがレコードに初めて録音したのは「メリーさんの羊」。これも、アメリカ中の人がこの歌を知っているからという理由だった。
英語圏の人々の身近にいる羊。これには聖書が関係している。聖書に羊はたびたび登場するが、それもそのはず、キリスト教の発祥の地は中東である。中東において羊はもっともポピュラーな生き物であり、キリスト以前の神との関係も関係が深かった。
なにしろ、ダーウィンによれば、羊が家畜化されたのは、いつに遡るか判らないという。人間と共に暮らしてきた、最古の生き物である。
キリストは善い羊飼いであり、人々は子羊であると新約聖書には描かれている。そのため、たとえ話などで、羊は聖書で、大活躍するのであるが、それが、漱石の『三四郎』につながってくると、初めて読んだときは気がつかなかった。
『三四郎』の中の印象的な言葉。
たゝ口の内で、迷羊(ストレイシープ)、迷羊(ストレイシープ)と繰り返した。
中学生の私は、話の内容などすっかり飛んでしまい、ただこの「ストレイシープ」という単語がいやに耳の奥に残った。
「ストレイシープ」、この単語を繰り返していると、冒頭に書いた自己催眠、「羊が一匹~」と同じような感覚に捕らわれてくるのは気のせいだろうか?
漱石が留学中、寝る時に「シープ、シープ…」と、数えたかどうかは定かでないが、この幻想的な感覚を呼び覚ます単語と、聖書に出てくる「迷える羊」のひっかけはありえないだろうか?
マタイの福音書(第18章)、ルカの福音書(第15章)に出てくる、百匹の中から迷い出た一匹の迷える子羊。
想いを寄せる人は他の男に嫁いでしまう。
迷える羊は悩める人をも意味する。悩める人々を救う善い羊飼いは、救世主。
三四郎の心は、信じたくない気持ちからこの言葉を繰り返す。
迷える羊は三四郎か?いや、そうではあるまい。聖書にあるように、皆が迷える羊。
そう思いながら、この呪文のような「ストレイシープ」を、耳に響かせて『三四郎』を読むと、哲学的な作品になってくる。[a]
聖書の羊イランへ 復活祭の羊ギリシャへ 出エジプト記エジプトへ
迷える羊は、世界の各地に一匹、二匹… シルクロードを通って日本へも
迷い込んで人気blogランキングへも…
そういえば、父も私も牡羊座でした。あと、家族の中に、干支が未(羊)の者もいる。
身近でなさそうで、意外と身近な羊でした。
こちらのお部屋を訪ねると、本当に気分が癒されます。
最近の過去ログも時間をかけてゆっくり拝読させていただき、あらためて自分の世界観・宗教観の偏狭さを思い知らされています。
私と神の関係は、常に個人的な関係という強い信念があるので、私は、常に他国の人々(ひいては、自分以外の全ての人々;家族も含めた)とのキリスト教との関係の観察やキリスト教のバックグランドの探索を怠ってしまうのです。
あれほど聖書に登場する羊に関することにしろ、知っているつもりでいたのに、こちらにうかがって、あれ、これも知らなかった、ってな事だらけです。(苦笑)
ジプシーに関する(↓の記事のような)も、興味が増す一方。
いつも勉強させていただいています。今日もありがとうございました。^^もちろん応援ポチッですよ!
あはは。
羊さんファミリーでしたか?それは数え甲斐がありましたね!
美しいが大きい羊と言うのに驚いた人もいますよ!
宗教的なことに触れることに対して、私たちは感じたままを書くようにしています。
メギーさんがおっしゃるように、宗教とはどの宗教でも「神対個人」だと思います。
宗教と言うのは、生活と切り離せるものではありません。この地球に数多ある宗教を知ることで、旅がいっそう楽しくなると考えています。
外国人のほうが、日本のことを知っているなんて事もありますよね。
今回の話もそういうことですよ。
私たちの記事が、スパイスとなってメギーさんに刺激を与える…そこから先は、メギーさんの独壇場ですよ!
以前、ZARAの名前でコメントさせて頂いた者です。(豪州に住んでおりますが、主人がギリシャ人です☆>_<)
最近、新しいブログをスタートさせまして、それに伴い改名致しました!(笑)(苗字のLivanidosからとりまして、”りば”です!
羊…
確かに仰る通りですね。聖書にも”迷える子羊たち”と出ているし…
そっか…羊って大きな意味を持っているんですね…
大変勉強になりました!
新しいブログのURLを是非教えてくださいね!
さらさがギリシャのお話に飢えていると思います(笑)
聖書の中の羊を追いかけるのも面白そうですね。
オーストラリアの羊さんはどんな感じですか?
日本で家畜というと、鶏かな?
「鶏鳴」「散歩歩くと・・・」とか、いろいろ引用されるし??(^^;
そうですね。日本の家畜・・鶏ですね。狭い庭先でコケコッコの「鶏鳴」よりも聖書の例えにもなっている「迷える子羊」の方が雰囲気がありますね。
碧が散歩中なので留守番の私がお返事させていただきました!