ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

藪の中

2007年08月17日 | Weblog


先日、久しぶりに(考えてみたら今年初)「ロードバ
イク」に乗った。
まずは空気を注入し(最近乗る時にはいつも空気入れ
から始まる、それだけ頻度が少ないということ)、勢
い良く飛び出した。
いつもそうだが、出だしだけは快調だ。
しかし、そんな勢いも、続いたのはほんの数分だけ。
太陽の勢いにあっさり白旗。
直射日光は、やはりきつい。
行き先は、山方面なので、坂道を登らないといけない。
ある程度、体力を温存しないとと思ったが、これでは
温存どころではない。
無理して坂道を漕ぐことは、この時点であきらめた。
押しながら歩く。
坂そのものは、車ならローギアで登る位の結構な急坂
なので、押して歩くだけでも汗ダクダク。
その途中に、学校の校庭を見下ろすところがあり、こ
んな暑い中「ソフトボール大会」らしきものを行って
いた。
何もこの暑いさなかソフトボールでもあるまいに、と
思ったが暫く見物する。
簡単なフライをバンザイとか、正しい球技風景を見る
ことができ、「楽しそうだけど熱中症になるよ」と心
の中で呟き更に上に向かう。

舗装道路が途切れ、いよいよ本格的な山道に入る。
殆ど人が通らない山道を、ロードバイクを押して上が
る。
こんな光景は、どう見ても奇異だ。
押している本人がそう思うくらいだから。
なにしろ押してるのは「マウンテンバイク」ではなく
「ロードバイク」だ。
しかし、日差しは木々に遮られ大分和らぐ。
なのだが、ここで完全にガス欠状態。
暫し休憩。
遥か昔、この山道は良く歩いたものだが、今は本当に
こういう近場の山道を歩く人がいなくなった。
田舎の人間の唯一のストロングポイントは、身体だろ
うに(敢えて極端に)。
今は、ほんの数百メートル先のコンビニでも車の時代
だ。
困ったものである。
汝の足元を見よ、だ。

最初の頂に出た。
高圧線の鉄塔が並ぶところなので、見晴らしが良い。
この周辺だけは、電力会社の関係者、つまり中部電力
で草刈などをしていて広々していて、ちょっとした広
場のようになっている。
それにしても、蝶の姿もあまり見えない。
草原なので、ヒョウモンやセセリがもっといてもおか
しくないのだが、「ツマグロヒョウモン」一頭が石の
上で休んでいるだけ。
蝶にとっても暑すぎだろうか。
その分蝉がやたらと飛んでいたが、暑さで自家空冷状
態にでもしていたのか。
以前、東京の熱帯夜で、ゴキブリが狂ったように飛び
まわっていた、あの夜を思い出した。
一瞬、「クワガタ」と間違え、こんなところにも一杯
いるんだと思った、今となっては懐かしい思い出。
自分の中では「ゴキブリの夜」として、深く記憶に刻
まれている。

さて、問題はここからだ。
道なりに行くと、この道は下になり(かなり急な滑り
やすい道)、上ったところより大分先の地点に下りる。
これでは、自転車を押して上がり、押して下りるとい
う、それこそ何のために自転車ということになってし
まう。
考えていたのは、もっと上の地点で自動車道路と合流
するはずだから、帰りはそこを自転車で下る、という
ものだった。
だから、鉄塔があるのはまだ山の中間地点だから更に
上に行かないとならないのだ。
ところが、その上に向かう道が見当たらない。
あることはあるはずなのだがと思い、あるとしたらこ
の先の、ということで林の中に突入する。

殆ど藪状態の林に、自転車は邪魔この上ない。
車輪に、枝が絡むこと絡むこと。
ここで、自転車などを持ってきたことを後悔する。
それでも奥に進むと、道らしきものを発見できた。
人が通らないと、獣道なのか、豪雨の時にたまたま出
来た川筋なのか良く分からない。
しかし、飴の包みなどが落ちているのを見ると、道で
あることは間違いない。
少なくとも、人は通った。
いつもなら、こんなところに捨てやがってと思うとこ
ろだが、今回に限っては良くぞ目印を置いていってく
れた、となる。
ここから、再び一応山道を上る。

途中、何かの動物の糞を踏み潰した。
「クロヒカゲ」が止まっていたのはそのためだったの
に、気が付かなかった。
それに、むっとした臭気も感じたのに。
気付いた時は、すでに遅し。
オーマイガー。
倒木が、道を塞いでいたり、どこまで続くのかこの一
本道は。
蝉の鳴き声と、自分の呼吸だけが聞こえる林の中、一
体何が楽しくてこんなことをやっているのか。
じっと手を見る。
「cofusion will be my epitaph」とキングクリム
ゾンの「Epitaph」でも歌ったら、この状況に同調でき
るのではないか、などとつまらないことを考えた。


コメント