NHKの「La tour de France」の総集編を見たが、
いつも思うが過酷なレースだ。
薬物でもやらなきゃ、走れない、とついそういうもの
に手を出す選手に同情したくもなるが、本質は全然違
うところにある。
多分チーム絡みのことだと思うが、一位になればそれ
なりの報酬が約束されているのだろう。
つまり、目的は、スポーツ選手としての誇りあるチャン
ピオンではなく、他のスポーツ全般を支配しているお
馴染みの経済原理による価値、それなのだと思う。
そして、それに対する手段としての薬物。
競技に対する理想、所謂ロマン主義とは反するもの
に支配されたスポーツ界は、この先どこまで現実を
ごまかし、人々に「夢と希望と勇気」を抱かし続け
ることが出来るだろうか。
そんな数少ない成功例が、アマチュア純粋幻想を上手
い具合に植えつけた今の時期の甲子園(興味のない人
にとっては、うるさいだけだが)であるわけだ。
真夏の風物詩。
親父どもの好物。
しかし、いくら薬物汚染のTourであっても、見たいと
思うのは間違いなくTourの方。
山岳コースで間近で応援というのは、一度やってみた
いことなのだ。
日本人選手で完走した人がいないことからも分かるが、
レベルが違う走りを間近で見たいというのは、野次馬
的好奇心の正しい姿ではないだろうか。
そのTourのあと、今度はNHK総合の「水木しげる」
のニューギニア体験を基にしたドラマを見た。
玉砕命令の出た島での、自らの戦争体験を総括するた
めに「漫画家水木しげる」が二十年後に当時のことを
描く、という構成になっていて、現在(終戦から二十
年後)と過去が交錯するという、よくある作りのドラ
マとなっていた。
少しは期待していたが、コミカルにした部分がわざと
らしく、悲惨な状況もあまり伝わらないし、非常に中
途半端な出来のドラマで、ちょっと損した気分。
幻想的な部分も、全体を寓話化するならありだと思う
が、とても効果的とは言えない。
折角、南の島でロケしているのにもったいない。
でも一番の問題は、権威を脱力するキャラクター「水
木しげる」の描き方がどうにも「上滑り」、というこ
とだろう。
残念でありました。