『みちしるべ』 by 阪神間道路問題ネットワーク

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『みちしるべ』**コロナPCR検査の大幅な拡充を!**≪2020.冬季&2021.春季合併号 Vol.109≫

2021年04月22日 | 川西自然教室

コロナPCR検査の大幅な拡充を!

田中 廉

 今回の新型コロナ問題で、首をかしげることがある。それは、「どうして日本のPCR検査件数が少ないのか?」である。新型コロナの厄介なところは、無症状感染者や無症候期(潜伏期間)にも感染性があることが確認され、その感染源の割合は5~6割ほどといわれている。感染の拡大を抑えるためには、PCR検査を行い、感染者を隔離することが基本である。

 本年1月下旬には大隅,大村,本庶,中山のノ-ベル医学・生理学賞受賞者が連名で、コロナ対策について声明を発表した。声明は4項目ありその2番目が、「PCR検査の大幅な拡充と無症状感染者の隔離を強化する」である。本年1月頃のデータ-だがPCR検査件数は、以下のとおりである。(一人で2回以上検査を受けた場合もあるので検査を受けた人数は検査件数よりも少なくなる。人口当たり。)

日本 4.4%     豪州 約45%     イタリア 約45%
スイス 約44%   オ-ストリア 約44% マレ-シア 約11%
フィリピン 約6.5%

※別途調べたデンマ-クは約188%(検査を受けた人は約68%)

 原因は、巨額の検査費用、オリンピック実施に患者数を増やしたくなく、「クラスター戦略」に固執、等々いくつも指摘されている。初期の検査数の少なさは、PCR検査が当初、保健所を通してしかできず、その保健所の数が1994年の全国847から2020年には467に減らされ、当然スタッフも減少しているので、今回のような緊急事態に対応できなかったこと。また、病院も経費節減の名のもと、統廃合が進められキャパに余裕がなかったことが一番の原因だと思う。

 平時は何とか回っていたが、有事の備えができていなかったということだ。これは、それまでの政策が機能しなかったということで、政治の問題でもある。この間の日本の対応は、広島県医師会の健康情報(5月9日)に簡潔にかつ率直に記されている。それには「4月2日、日本感染病学会と日本感染環境学会は、『軽症の患者にはPCR検査を勧めない』という方針を明らかにしました。背景にあるのは、まず陽性者の入院・隔離施設の圧倒的な不足、PCR検査可能許容数の不足、偽陽性率の高さ(30%ほどとも聞きます)などです。一方『コロナに感染しても大方(80%)は自然治癒する』、という事実も忘れてはいけません」と書かれている。

 要は、病院の受け入れ態勢が十分でなく、患者が増えれば医療崩壊が起こるとして患者数を減らそうとしたのだ。そのため新型コロナを軽視するような表現までしている。厚労省は4月15日にはPCR検査センターの設置を許容し、かかりつけ医などの判断で保健所を通さずとも検査ができるようになった。また、以前は37.5度以上が4日継続などの基準があったが、この基準は撤廃され、今ではいくつかの症状が出た場合は検査OKとなった。

 以前よりは前進した対応であるが、大きな問題がある。かかりつけ医などが症状の出た人にしかPCR検査の許可を出さないので、無症状な人は検査されない。最初に述べたように、コロナの特徴は、無症状感染者や無症候期からの感染が5~6割ほどもあるので、無症状の人にもPCR検査を広げて、これら感染者を隔離しない限り、コロナの抑え込みは難しい。

 今は、一度に数十から数百の検体を検査できる全自動PCR検査機が色々と開発され、唾液によるPCR検査も可能になっている。また、プール方式という、複数の人の唾液を1カプセルに入れ一度に検査する方法も一部では行われ、その場合、費用は大幅に低下する。

 実際、那須塩原市では無症状の希望者を対象に、PCR検査を今年1月から実施している。家族であれば5人までの人の唾液を検査キットにいれ、検査センタ―に持参し、1キット当たり個人負担分1000円を支払う仕組みだ。これだと夫婦二人では一人500円、家族5人であれば一人200円で検査ができることになる。もし陽性であれば、全額市が負担し個別に再検査が行われる。

 このように、検査件数を増やすことは容易になってきている。まず介護施設、病院、感染が多かった地域などでは無料で複数回検査をするべきだと思う。コロナ感染に不安を持つ人は誰でも、無料または安価にPCR検査を何度でも受けられるようにすべきだと思う。(感染しても初期にはウイルス量が少なく検査で引っかかってこないので2回の検査が必要)

 感染することも怖いが、自分が無症状感染者で他の人に感染させることも非常に怖いのだ。複数のPCR検査で陰性であれば、もっと積極的に人と会い旅行も、外食もできるようになる。GOTOキャンペーンなどなくても人は、外に出てゆくだろう。そして経済もよい方向に進むだろう。感染者が減少し、医療にまだ余裕のある今こそ、好機である。

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