『みちしるべ』 by 阪神間道路問題ネットワーク

1999年9月創刊。≪阪神道路問題ネット≫交流誌のブログ版。『目次』のカテゴリーからの検索が便利。お知らせなども掲載。

『みちしるべ』**金仙寺湖からのたより**<2009.7. Vol.59>

2009年07月04日 | 北部水源池問題連絡会

北六甲台自治会環境委員会

 金仙寺湖上に高速道路ができ、車が走り出してはや6年になろうとしています。その間、私たちは飲み水である湖の水質への影響を心配し、その変動を阪神高速道路㈱とともにチェックしてまいりました。また、約束どおり道路の維持管理が行われているかの確認を行ってまいりました。今のところ、水質に影響するような、道路上の大きな事故、渋滞なども起こっておらず、定められた水質検査項目には大きな変動は見られていないという結果になっています。だからといって、今の水に安心できるのでしょうか。道路から降り注ぐアスファルト・排ガス・タイヤの粉塵が浄水過程でどのような変化をするのか、細かい粒子は取り除けているのかなど、科学的知見のない心配の種は尽きません。北部水源池問題連絡会では、今後も子々孫々まで安全でおいしい水を飲めるよう、水質の確認や水源上流域の清掃活動、水に関する講演会など積極的な水質保全活動を継続していくことを、参加自治会一致のもと再確認しました。

 何よりも、原水をきれいにすることが、おいしくて安全で安価な水道水に繋がるのですから。

 ちなみに、西宮市水道局は、現在の金仙寺湖の水質を「循環装置(間欠空気揚水塔式)の運転により水質は比較的安定しており、富栄養化につながる窒素、リンの濃度も比較的低いレベルにある。しかし、最近では各地のため池や貯水池等で、冬期にかび臭物質が検出されており、金仙寺湖でも微量であるが検出されている。また、自然由来のフミン質によりトリハロメタン生成能がやや高い傾向にある。」と認識しているようです。

 話は変わりますが、バーチャルウォーターという言葉をご存知でしょうか。食物の輸入による換算水輸入量のことです。昨年、小麦、大豆などの穀物価格が高騰し食料品の値上がりが続きました。食料の輸出を禁止した国もあったと聞きます。あらためて食料の自給について考えられた方も多かったのではないでしょうか。日本の現在の食料自給率は、カロリーベースでほぼ40%です。この40%を得るために使われる日本国内の年間農業用水量は590億トンになります。穀物1kg作るのに、米では2700kg、小麦1200kg、大豆2300kg、とうもろこし450kgの水が、これらを飼料として与えて作る牛肉では16000kg、豚肉5900kg、とり肉2800kg、卵4700kg、チーズ5300kgの水が必要です。これらの農産物を残りの60%輸入することによるバーチャルウォーターは、640億トンにも及んでいます。日本は、農産物の輸入により水資源を節約できたことになり、輸出国は栽培のために水が消費されたことになります。

 今後、地球人口の増加に伴う食料不足に備え、自給率アップは必定となってくるでしょう。そのため農業用水の確保は当然重要な問題となってきます。現在、私たちが飲んでいる金仙寺湖の水もー庫ダムの水も一部が農業用水として使われています。食料増産のために、飲料用の水にしわ寄せがくることは十分に予想できます。

 世界では、安全な水を飲めない人は5億人から10億人と、5人に1人がきれいな水を飲めないと言われています。水には恵まれていると思われる日本ですが、今後はそうでもなくなるのかも。

 私たちのできることは節水、原水の汚染の防止、食料の地産地消の推進、廃棄食物の減少など限られたことかもしれません。皆様にも、いま一度、子供や孫のために、水について考えていただけたらと思っています。

北六甲台自治会環境委員会

 11月22日、北部水源地問題連絡会(※注1)はコミュニティーセンターにて講演会「北部地域の水事情」を開催しました。西宮市水道局施設部長、水質試験所長、北部水道事業所長の3人の方を招き、あらかじめ提出していた質問を踏まえたお話をしていただきました。

 この講演会のハイライトは水の飲み較べ。用意した水は ① 船坂川を水源とする丸山浄水場の水、② 猪名川水系(一庫ダム)を水源とする多田上水場の水、③ この二種をブレンドした、現在北部で使用している水道水、④ 西宮南部で使用している阪神水道事業団の水、そして⑥ ミネラルウオーターの5種類。種類をかくして参加のみなさんに飲んでいただき、一番おいしいと思った水を複数回答で挙手していただきました。

 その結果、1位は何と、いま私たちが飲んでいる北部の水道水でした。2位はミネラルウオーター、3位は高度浄水処理をした南部の水道水であったのも意外な結果でした。5種類とも、カルキ臭やかび臭はありませんでした。

 水道局としては、水の安全供給に力をそそいでおり、丸山ダムの老朽化に伴い耐震化や落雷による停電防止などの改修が行われるそうです。また、渇水危機管理体制として神戸市・宝塚市と強調体制を進めているということです。

 気になるゴルフ場対策ですが、ゴルフ場内に主として農薬の成分を除去する浄水設備を置き、浄水された水は金仙寺湖に流さずパイプで直接ダムの下手の船坂川に流しています。また、ゴルフ場には年二回の報告を義務付けるとともに兵庫県が聞き取り調査をしています。しかし、これで万全であるのか、抜き打ち調査などが必要ではないかという疑問は残りました。船坂川流域の3地点では水道局と環境局が共同で水質チェックをおこなっています。高速道路による水質変化は今のところ見られないということです。

 生きていく上でなくてはならない水ですが、地球温暖化による水への影響など、水の環境は危険にさらされています。水に恵まれた日本の環境をそこなうことなく、将来にわたって安全な水が供給されるよう願ってやみません。

 水質保全の一番重要なことは住民が関心を持ち続けることです。水道局のホームページでもいろいろなデータを閲覧できます。このような機会をとらえて大いに関心を持っていただきたいところです。

(※注1)北部水源地問題連絡会
 北六甲台、新中野、名塩赤坂、緑が丘、西宮すみれ台の5自治会で活動しています。

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『みちしるべ』私の住民運動... | トップ | 『みちしるべ』街を往く(其の... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿