横断車道(97)
2020年を迎えて、何が起こるのか?確かなのはオリンピック・イヤー。かつて、1964年(昭和39年)に第18回オリンピックが東京で行われたことは、今年の予定と合わせ常に報道され、年配者のみならず周知のこと。が、その21年前の出来事は、もう忘れ去られているのだろうか▼今年の開会式は新「国立競技場」であるが、前回オリンピックの「国立霞ヶ丘陸上競技場」(旧・国立競技場)の地に建て替えられたのは記憶に新しい。その21年前には、「明治神宮外苑競技場」があった場所である。ここまで書けば、1943年(昭和18年)10月21日に、出陣学徒壮行会が開かれたことを思い出す高齢者もいることだろう▼第二次大戦の戦況苦しく、学徒まで戦場へ送り出すことになった。学生服に脚絆を巻き、銃を担いだ学徒が、降りしきる雨の中、行進する映像は悲劇を彷彿とする。対して、前回の東京オリンピック開会式は、稀に見る晴天、高度経済成長する日本の中で、国民の感動を得るものであっただろう▼そう、オリンピックはスポーツと平和の祭典であるのだ。開会式で入場するアメリカの大選手団の後ろには、ソ連の大選手団が続いていた。1953年7月27日に休戦が成立した朝鮮戦争の当事国、北朝鮮の参加はなかったが…。閉会式では、各国の選手団が入り乱れて行進し、友好を深め合った感動は、思い起こす人も多いであろう▼1943年の出陣学徒壮行会と1964年の東京オリンピックの、その対照的な出来事のギャップは何なのだろう。ところで、今年と前回の東京オリンピックの違いは。様々な事柄がある中で、ロシアの国旗が入場できないことに、時代の変化を感じざるを得ない。事はドーピング問題とされているが、欧米とそのマスコミのロシア・バッシングは、いささか度を越えたものを感じざるを得ない▼国際的な政治評論の中で、ソ連崩壊以前の冷戦下の対立よりも、現在の対立の方が、より深刻であると評するものが多い。軍事力のレベルは、宇宙に及び、その破壊力は簡単に人類等を滅ぼす威力がある。国連の安全保障理事会は機能せず、根拠が嘘であったイラク戦争に始まり、一方的な言いがかりで経済制裁を連発するアメリカ。イランの司令官の暗殺などは、完全に国際犯罪であろう。敗戦国になれば、確実に絞首刑に処せられるはずなのである▼2019年の国際統計が発表され出すのであるが、GDP(国内総生産)でアメリカを中国が抜くのであろうか?為替相場でなく、実態を反映した購買力平価で比較すると、既に抜いているといわれているが。日韓の間がギクシャクしているが、一人当たりのGDPで、日本が追い越されているのだろうか?▼どうも世界情勢を反映した2020東京オリンピックになりそうだ。文中、パラリンピックを表示していないが、字数の都合であることをご容赦願いたい。(コラムX)