生きてゆくために(斑猫独語83)
澤山輝彦
「過疎自治体初の5割超」2022(令和4年)1月21日(金)の新聞第一面の見出しである。
この記事に付けられた新たに過疎地域になる65市町村のなかに、大阪府豊能町、能勢町があるではないか。2007年(平成19年)には関西二府七県のうち大阪府には過疎市町村は存在しないとあるが、千早赤阪村が2014年(平成26年)過疎地域に指定されている。今度そこに豊能町、能勢町が加わったのだ。両町は私が住んだ兵庫県川西市の隣町である。以前、豊能町と接する所の不便な道を、道路問題として書いたことがあるし、豊能町、能勢町共に、自然観察や、旧蹟探訪に度々訪れた所であり、友人もいることで驚くと共に、とうとうか、と言う気もするのだ。目立つ休耕田や、バスの減便、あるいは路線の廃止など、過疎化とはこんな事か、それともこれは過疎化の引き金なのだろうか、などと考えたものだ。
過疎地にはインフラの整備が必要だなどと単純に考えるのだが、これには国の本格的な、選挙目当ての看板の甘い言葉ではない支援が必要だ。思いやり予算というものがある。在日米軍をおもいやるのである。ならば、過疎地に暮らす人々同朋には思いやっている間もない緊急の対策が必要なのだ。でなければ国の五割は滅んでしまう。こんな事を考えていると原発の廃棄物を引き受けます、と言った町長がいたのを思い出した。わからんでもないなあ、この発想の根は深いのである。
インフラの整備である。昨年暮れ近くの新聞の記事を取り出して見る。それはベトナムの首都ハノイ中心部に国内初の都市鉄道が開業したと言うもので、様々な事情が重なって開通、営業が遅れたものらしい。ベトナムは公共交通機関が未発達で、南部最大の都市、ホーチミン市でも日本が支援する都市交通が整備されているが、この開業もおくれるそうだ。記事にあったハノイ在住の女性、オアインさん(71)の言葉「この日を待ちわびていた。車両は綺麗で近代的。便利で、暮らしやすくなるだろう」と喜んだ、とある。素朴な喜びようが溢れている。
日本におけるインフラの整備は、過疎地における道路や鉄道などは必要であろうが、都市部や都市間の高速化などは我慢、ゆっくり、まあまあ、こんな言葉で包んだ生活を心がけたらやっていけるのではないか。はっきり言って贅沢な要求が多いのだと思う。ここに私のリニア新幹線反対の理由がある。これにかける分を過疎地対策にまわせば、と素人考えの一端でお終い。
【投稿日 2022.1.23.】