小幡憲仁 議会活動日記

よく考える政治!
20年後の高浜をイメージし、今の政治を考える。

視察研修:3日目

2007年06月27日 | 研修報告
視察研修3日目(最終日)です。
阿蘇熊本空港から伊丹まで空路、その後、役場のバスで高浜に帰ってまいりました。

この3日間の視察研修内容は、後日まとめて報告させていただきます。
ご容赦下さい。

原子力関連施設視察研修レポート

2007年06月27日 | 研修報告
1.佐賀県玄海町について
佐賀県玄海町役場を訪問し研修を行なった。
玄海町は、町政施行が昭和31年で、町の広さは東西約7キロメートル、南北約9キロメートル、総面積は約36平方キロメートル、人口は約6千7百人の比較的小規模な町である。
平成の大合併により9市町村が合併した唐津市に囲まれるように位置している。当初はこの合併協議会に参加していたようだが最終的には合併協議会から離脱し、玄海町は単独の道を選択した。財政的には原発立地による潤沢な税収と交付金の恩恵を受けていることから当面は問題ないが、市町村合併のひとつの指標である人口1万人の要件を下回っており、この点については今後どのような判断をされるのかが興味のあるところである。
今回の研修の眼目のひとつに、九州電力玄海原子力発電所3号機でのプルサーマル計画がある。九州電力では平成16年4月に玄海発電所3号機のプルサーマル計画を佐賀県ならびに玄海町へ申し入れを行い、平成16年5月には事前了解願いを提出し、国に原子炉設置変更許可申請を行った。その後、国の安全審査と並行しながら住民説明会の開催や公開討論会の開催、県議会、町議会の議論などを経て、平成18年2月には玄海町議会がプルサーマル推進意見書を全会一致で議決した。そして、平成18年3月に当時の二階経済産業大臣が玄海町を訪問し、地元に対して大臣自らの言葉で「国が責任を持って安全確保と地域振興に取り組む」ことを約束し、これを受けて佐賀県と玄海町は最終的に事前了解することとなったものである。
国が安全確保と地域振興に責任を持つことは、大臣が地元を訪問して特に述べなくとも約束されていることである。安全に関しては国の安全審査があり、地域振興については電源三法交付金制度などがある。しかし地元にとっては、安全審査というロジックよりも、大臣が直接町役場までやってきて「安全は国が責任を持ちます」の一言の方が安心感の醸成につながるものである。
大臣が原子力の地元を訪問する機会というのは、これまでは事故が発生した場合などが多かった。しかし本来は、例えば今回の、国策であるプルサーマル計画の推進同意を得るというようなタイミングにこそ訪問していただくべきとの玄海町の対応には感銘を受けた。

ところで、玄海町では原子力発電所の建設工事が終了した時期にあたる平成7年度をピークに、それまで増加傾向にあった町の人口が減少に転じ、その後の人口減少カーブが急激である。昨今、地方はどこでも人口減少という問題を抱えており高浜町も例外ではないが、これほど人口が減少していることには同じ原子力発電所立地町として問題意識を持たざるを得ない。
原子力発電所の建設工事が終了したことが大きく影響していると思うが、下げ止まりしていないことから、若者を町に定住させる施策ができていないことにも原因があるように感じた。このため町としても町外からの転入を促進するため定住促進事業を平成16年度から始めるなどの対策を講じているが効果が出ていない。町に人が住まなくなる大きな原因は働く場所がないことである。原子力立地地域ならではの優遇措置を活用して企業誘致を行い、若者の働く場所の確保とセットで定住促進を図っていくことが今後の大きな課題であると感じた。

2.九州電力株式会社玄海原子力発電所について
九州電力玄海発電所を訪問し研修を行った。
玄海原子力発電所(1~4号機)の炉型は高浜発電所と同様の加圧水型軽水炉(PWR)である。出力は1,2号機が55.9万KW、3,4号機が118万KWである。1,2号機が蒸気発生器2基の2ループタイプであることから、関西電力の美浜発電所2号機、そして3,4号機が4ループタイプであることから、大飯発電所3,4号機と良く似た発電所である。
玄海発電所3号機では、前述の通り、2010年頃のMOX燃料装荷を目標とするプルサーマル計画が進められている。
平成18年9月に三菱重工-フランス・コモックス社とのMOX燃料供給契約を締結し、現在は燃料の製造開始に向けた品質保証活動などの諸準備を実施中である。これまで実施してこられた事前了解までの地元理解活動や、事前了解後も継続して実施中の広報活動等についての説明を受けた。九州電力におけるプルサーマル計画の順調な推進を期待するものである。

ところで玄海発電所は、発電所を含む周辺の様々なPR施設群や遊戯施設などを総称して「玄海エネルギーパーク」と呼称して様々な施設を配置している。この玄海エネルギーパーク内には、メイン施設のサイエンス館(原子力に関する展示施設)、九州ふるさと館(九州各地の民芸等の展示)、温室(タービン蒸気の一部を利用した植物観賞用温室)、ツバキ園、太陽の広場、ふれあい農園、物産販売所などがある。
特に注目したのが、原子力PR施設のサイエンス館に併設する「九州ふるさと館」で、九州各地の伝統工芸品や民族芸能を紹介する施設である。展示物の内容、規模とも見応えがあり非常に感心した。

3.日立造船メカニカル株式会社について
日立造船メカニカル株式会社を訪問し研修を行なった。
日立造船メカニカル株式会社は日立造船株式会社の100%出資会社で、主に使用済燃料輸送、貯蔵用容器(キャスク・キャニスター)や化学工場向けの圧力容器等の製造を行なっている。
工場では、1万トンプレスを装備し、厚さ300mmまでの鋼板を冷間で成形加工可能な生産設備などを見学した。製造中の使用済燃料輸送・保管用のキャスク、キャニスターが数多く並び、フル生産態勢であった。
青森県六ヶ所村の使用済燃料再処理施設の使用済燃料の受入により輸送用キャスクの需要が高まったことや、青森県むつ市における使用済燃料中間貯蔵施設の建設計画など、今後とも使用済燃料の輸送、貯蔵容器の需要が期待できることが実感できた。
今回の研修により製造段階のキャスク・キャニスターを初めて見学した。実物を見学することによって、資料等の説明では得られない本質的な理解を得る事ができた。
また、日立造船メカニカル(株)の製品の品質管理面は、ISO9001や米国機会学会(ASME)などの信頼できる資格を取得していることからも、その品質保証体制の優秀さが伺えた。