小幡憲仁 議会活動日記

よく考える政治!
20年後の高浜をイメージし、今の政治を考える。

6月定例会一般質問 質問と答弁

2012年06月07日 | 一般質問
平成24年第4回 定例会(6月議会)一般質問

質問と答弁

1.高浜病院問題について
【質問(小幡)】
始めに高浜病院の問題について質問します。
このたび野瀬町長が改選されて最初の定例会となります。町長は1期目の大きな取り組み課題として地域医療の再生を掲げられました。住民にとっても最も切実で重要な課題であると同時に非常に難しい問題に取り組むことを宣言されて有言実行されてきたことに対して私は評価をしております。この2期目でスローガンのひとつに掲げられたコンパクトシティー計画についても、ややもすると役場庁舎や城山荘といった箱モノに関心が向かいがちですが、その狙いとするところは、行政機能や医療・福祉の機能を集約させるということであり、高浜病院の問題は、その中核を成す重要な課題であることは申し上げるまでもありません。
思い起こせば平成14年に、突如「社会保険病院の在り方の見直し」方針が当時の自民党政権から示されて以来、昭和24年の開院以来、地域とって欠かせない医療機関の役割を果たしてきた高浜病院が存続の危機にあるという、まさに町民にとっては寝耳に水の問題が湧き上がって以降、これまで10年間、まさに苦節10年間、我々議会も行政も病院も、そして町民も、病院存続に向けた様々な取り組みを行ってまいりました。
私が議員に初当選したのが平成15年ですから、私のこれまでの議員活動も常にこの高浜病院問題とともにあったようなものであると思いますが、これは私自身への問いかけでもありますが、これまでの取り組みでどんな成果が上がりましたかと問われれば、まだ明確な答えができないのが正直なところであると言わざるを得ないと思います。
もちろん、これを高浜町の地域医療という視点で見れば、様々な成果が上がっていることは事実ですし、高浜病院に関しても、作家の開高健さんの言葉を借りれば「漂えど沈まず」でやって来られたのではないかと思っています。
さて、その高浜病院ですが、町長1期目においてRFOから病院の譲渡を受け、病院経営は、新たに地方独立行政法人を発足させて運営させるという考え方を、確定ではありませんが有力な選択肢として町長はいろいろな場で示されてきました。
そこで、野瀬町政2期目をスタートさせるに当たって、この高浜病院に関して、大きな決断をする時期が迫ってきておりますが、それ故、各方面から様々な声が聞こえて来ておりますし、町民にとっても大きな関心事でもあります。
改めて、高浜病院の譲渡はどうなるのか、譲渡を受けた場合の病院の経営のあり方はどうか、また、国との折衝状況などについて、現状と今後の展望を可能な限り詳細に説明を求めます。

【答弁(町長)】
ご質問の、高浜病院の譲渡および譲渡を受けた場合の経営の在り方、また、国など関係機関との状況等についてでありますが、まず、高浜町が国からの譲渡を受けるか否かについて申しますと、以前から申し上げておりますとおり、地域医療を守り継続する上で、町が譲渡を受ける選択肢を持っていることに変わりはございません。
ただ、以前の定例会でもお答えいたしました通り目的は「高浜病院が今後も地域に必要とされる医療を継続的に安定した形で提供できる」ということであり、譲渡を受けることが目的ではございません。
譲渡を受ける考えを持つに至った経緯については、過去も何度か答弁させていただいておりますが、ここ最近の情報収集の結果、仮に高浜病院が26年4月に設立される国の新たな独立行政法人「地域医療推進機能機構」に残った場合においても、医師の確保や病院の経営については、個々の病院の努力であり、機構の本部が手配してくれたり、赤字を補填してくれるものではないということです。
この事については、厚生労働省、またRFO、さらには現在の運営先である全社連の理事長からも直接お聞きしました。したがって仮に高浜町が設置者となることで病院の信用が生れ、結果として医師の招聘や医療の充実に繋がるのであれば、譲渡を受けることも考えるべきであると思っております。
ただ、譲渡を受ける場合には次の3点の課題をクリアすることが必要となります。
まず、1点目は議員ご質問の「経営の在り方」でございます。以前にもお答えいたしましたが、経営形態についてはあらゆる可能性を排除せず検討を重ねてまいりました。
その中で私の考えとしては「地方独立行政法人」による運営が最も望ましい経営形態であると認識しております。
しかしながら、この「地方独立行政法人」は設立・認可ほか、人材の問題、各種事務手続きに時間がかかり、こちらの予測では、設立する場合は役場職員ならびに病院職員を移行準備のため専任で配置し、最低でも2年程度は必要だと考えております。しかし現状の病院の中ではそのような機運が薄く、設立の準備に取りかかれない状態にあり、現実的には時間的スケジュールからこの選択肢は難しい状況にあると言わざるを得ません。
このようなことから、現在、他の有力な経営形態として他の自治体病院の運営実績もある医療団体や医療法人への指定管理による運営も視野に入れ、その実現性について相手先と協議を始めております。
しかし、ここでも一番の問題は医師の確保であり、受託先が必要な医師を確保できるのかどうかという点が問題になってきます。
次に2点目として、仮に指定管理運営をお願いした場合、町として運営に関わる費用、つまり指定管理料がどの程度になるのか?という財源の課題もございます。この2点については現在、想定される相手方との協議途上であります。
そして3点目として「病院全体としての合意・協力体制が可能なのかどうか」ということであります。
現状では病院の一部幹部職員は、これを機会に町の病院となることが良いのでは、とのご理解をいただいておりますが、大半の職員の方には、未だご理解を得るまでには至っておりません。言い換えれば「町は関与することなく、国の新たな独立行政法人に移行すればよい」との考えをお持ちの方々も少なくないということです。
繰り返しになりますが、町としては老婆心ながら高浜病院の再生を考え、さまざまな投げ掛けをさせていただいてるつもりですが、私共が公に病院に対し提案させていただいていることが末端まで伝わらないという現実があり、課題の共有を組織内でしっかり行っていただく体制を作っていただくことが必要です。
ただ病院本体以外の国や全社連幹部との折衝の中では、両者とも概ね、町への譲渡が望ましいと思っておられ、協力をいただける体制にはなりつつあります。
そのような現在の状況をまとめますと、譲渡を受けるか否かに関しましては、この2ヶ月前後の間に運営受託をしていただける医療法人が確定するのか?という点に集約されており、秋を向かえるまでに最終的な結論を出したいと考えております。
どういう結論を出すにせよ、病院また町民の皆様から色々なご意見が上がってくると思いますので、そういったご意見にも耳を傾け、議員の皆様のお力をいただきながら、本町の地域医療の充実・向上に努めてまいりたいと考えておりますので、ご理解・ご協力賜りますようお願いいたします。

2.予防接種について
【質問(小幡)】
次に予防接種について質問します。
予防接種は、予防接種法に基づき、結核予防のBCGワクチン、いわゆる小児麻痺予防のポリオワクチン、ジフテリア・百日せき・破傷風予防の三種混合ワクチンと百日せきを除く二種混合ワクチン、はしかと風しんを予防する混合ワクチン、そして日本脳炎を予防するワクチンがあります。これら予防接種法で定められた予防接種は全額公費で接種することとなっております。
次に、この予防接種法に位置づけされた予防接種以外にも、任意で接種する任意予防接種というのがあります。
具体的には、水疱瘡の予防、おたふくかぜの予防、髄膜炎などの予防のヒブワクチン、子宮頸がんの予防、高齢者肺炎球菌の予防、小児肺炎球菌の予防、インフルエンザ菌b型ウイルスによる胃腸炎予防のヒブワクチンなど様々なものがあります。この任意予防接種については原則則、全額自己負担となっておりますが、最近では国の補助制度もあって、各自治体において対象、金額の違いはありますが、助成制度を設けているところであります。
この任意の予防接種も予防医療の観点から接種することが望ましいとされていますが、費用面や保護者の認識不足から、接種率はそれ程高くないのが現実です。
そこで質問ですが、高浜町における任意の予防接種の現状はどうか。また、今後、任意の予防接種の接種率の向上のため、何か施策を取り組む考えはないかをお伺いいたします。

【答弁(保健課長)】
「任意の予防接種の現状と今後の任意の予防接種の接種率の向上のための取り組みについて」のご質問でありますが、まず、予防接種には、予防接種法によって対象疾病、対象者及び接種期間など市町村長の責任において実施することが定められている「定期の予防接種」と、それ以外の法に基づかない、本人または保護者の希望により自己の責任において、その費用を自己負担して接種する「任意の予防接種」があります。
定期の予防接種は、社会防衛のために発生やまん延の予防を目的とする一類疾病(ジフテリア、百日せき、ポリオ、はしか、風しん、日本脳炎、破傷風、結核)と、主に個人の発病と重症化防止を目的とする二類疾病(季節性インフルエンザ)に分けられており、一類疾病の予防接種の対象者は、予防接種を受けるよう努めなければならないとされており、二類疾病の対象者はその努力義務は課せられておりません。
また、定期の予防接種による健康被害が発生した場合の補償についても予防接種法に基づき医療費や各種の給付が定められております。

※【参考】予防接種法に基づかない接種(任意の接種)により、健康被害が生じた場合には、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づく救済制度がある。

さて、ご質問の任意の予防接種において、現在、子宮頸がんワクチン、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの3種のワクチン接種については、国から子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例交付金として事業費の2分の1の補助を受け公費助成を行い既に実施しております。
参考までに、23年度末時点での3種のワクチン初回接種率については、子宮頸がん「85.9パーセント」、ヒブ「40.6パーセント」、小児用肺炎球菌「46.9パーセント」という状況となっております。
その他の水ぼうそう、おたふくかぜ、B型肝炎、成人用肺炎球菌等々の任意の予防接種については、現在、すべて自費負担となっております。
これらの予防接種は、接種回数も1回で免疫を獲得できるものもあれば、数回の接種が必要なものもあり、自費負担額も数千円から回数によっては数万円となるものもあることも承知いたしております。
(和田診療所で実績のあるもので1回当りの自費負担額 水ぼうそう5,500円、おたふくかぜ3,500円、成人用肺炎球菌7,000円)
《【参考】B型肝炎5,250円程度、A型肝炎
10,000円程度、ロタウイルス13,000円程度》
公費助成を行っている3種を除いた接種状況等につきましては、任意での接種となることから、その情報を掴む事は非常に困難であるため把握いたしておりません。
厚生労働省では、本年度末で国の助成措置が切れる子宮頸がん、ヒブ、小児用肺炎球菌の3種については、平成25年度から定期の予防接種とすることを現在検討しておりますが、実施主体である市町村との財源調整は目処が立っていない状況であり、また、それ以外(水ぼうそう、おたふくかぜ、B型肝炎、成人用肺炎球菌)の予防接種の定期化についても費用負担の問題に加えて、身近なところにおいて複雑化する予防接種を管理・実施できる医療機関の確保や予防接種に対する保護者等の理解など、実施や接種率の向上に向けては多くの課題があると認識しております。
当町といたしましては、先ずは、本来最も重要とされる「定期の予防接種」が滞ることなく正しく接種されるよう保護者等に対し健診や育児相談、家庭訪問等のあらゆる機会を通じ、分かりやすく工夫して情報提供を行うなど、予防接種に対する認識・理解を深めていただくことが大切であり、それが接種率などの向上にも繫がって行くものと考えております。 そして、こうした多くの課題に対し、その対応策を検討するとともに、任意において行なう予防接種の公費助成などについては、今後の国の定期化の動向も見極めながら対応を検討してまいりたいと考えておりますので、ご理解いただきますようお願い致します。
(再質問用)
予防接種を受けることができる協力医療機関はどれだけあるのか。また、町内ではどうか。
現在、小浜医師会管内で13箇所、舞鶴医師会管内で33箇所の医療機関にご協力いただいております。しかしながら、定期予防接種と任意予防接種で実施している3種のすべてのワクチンの接種ができる医療機関は16医療機関だけしかない状況であります。
また、町内では和田診療所の1箇所のみであり、議員ご指摘のとおり時期や予防接種の種類によっては予約が取りにくい場合もあります。
小さなお子さんを持つ保護者にとって、より身近な医療機関に受診したいという希望が強いことは十分承知しておりますが、通常の診療や訪問等の業務も当然ある中で、予防接種の枠を増やすということは容易ではなく、国が進める任意予防接種の定期化には、小児を診ることができる医師の数や医療機関の受入体制の整備等の問題も同時に解決していかなければならないと考えております。
参 考 資 料
○子宮頸がんワクチンの接種率(H22~23年度) 85.9%
○ヒブワクチンの接種率   (H23年度末)  40.6%
○小児用肺炎球菌ワクチンの接種率(H23年度末)46.9%
それ以外の任意予防接種については接種管理ができないので実態把握は不可能である。参考までに和田診療所において平成23年度の接種者数は以下のとおり。
水ぼうそう(H23年度)7名
おたふくかぜ(H23年度)25名
成人肺炎球菌(H23年度)7名
和田診療所での予防接種の予約内訳
毎週月曜日 夕診 主に子宮頸がんワクチンや定期予防接種
毎週水曜日 13:30~14:00、15:30~16:00、16:00~16:30
      16:30~17:00に分けて主に定期予防接種やヒブ等
毎週金曜日 18:00~18:30 定期予防接種
平成25年度から定期に移行する場合の地方負担について
財源の問題については、現在、年少扶養控除の廃止等に伴う地方増収分を充当する案が提案されている。

3.学校教育におけるタブレット型端末の導入について
【質問(小幡)】
最後に、3点目の学校教育におけるタブレット型端末の導入ついて質問いたします。
学校教育において、授業でICTを活用することによって、学力向上に効果があることが示されており、ICT活用授業が注目されています。
特に最近では、デジタル教科書やデジタル教材などの分野が急速に伸びてきており、タブレット型端末を電子教科書として活用した授業を行っている事例も増えてきています。
ただ、こうしたICT活用の授業を始めるにあたっては、そうした分野に明るいけん引役がいなければ難しい面もありますし、また、実際に始めるにあたっては教師全体のスキルアップも必要かと思います。そこで、高浜町でもこの分野に精通した外部人材を登用して、情報教育の学校教育研究会を立ち上げるなどして、導入に向けた準備を進めてみてはどうかを伺います。

【答弁(教育委員会事務局長)】
学校教育におけるICTにつきましては、学習指導要領の改訂により、情報教育や教科指導におけるICT活用など、教育の情報化に関わる内容について一層の充実が図られております。
高浜町におきましては、平成21年度に「学校情報通信技術環境整備事業費補助金」を活用し、学校におけるICT活用の推進を図るため、小学校(H13整備)では、電子黒板を各校1台ずつ、50インチのデジタルテレビを普通教室の全室に、また普通教室での児童生徒用として、ノートパソコンを内浦小学校に6台、他の小学校に各15台新設(教員用PCはH19に1人1台を配備済)する他、コンピュータ教室のデスクトップパソコンも全台更新(21年度)し、校内LANにつきましても有線設備の高速化や普通教室向けの無線対応も完了しております。
また、高浜中学校でも、小学校と同様、電子黒板、デジタルテレビ、ノートパソコン(15台)を整備しております。
(コンピュータ教室はH18整備のため、H21は変更なし)
あわせて、今年3月にインターネットの通信環境も高速化(5MB→100MB)しておりますので、ICT活用推進に係る基本的な整備は完了したと考えております。
しかしながら、ハード整備をいたしましても、実際に活用するためには、教材等のコンテンツやこれらを活用する能力が必要なことは言うまでもございません。
そのため、導入初年度の平成22年度は、各先生方に新しいICT機器に慣れていただく期間とし、また、その後のヒアリングの結果、更なる活用促進を図るため、平成23年度より内浦小中学校を町内におけるICT活用のモデル校として、デジタル教科書等の備品整備を行う他、機器の運用指導や事例紹介、デジタルコンテンツの収集・作成方法等の指導を行うなど、先生方の授業サポートを進めております。
さらに、議員ご指摘の「この分野に精通した外部人材」として、今年度、舞鶴市等で実績のありますICT支援員を1名導入し、教材作成や授業支援を行うなど、先生方と意見交換を行いながら、高浜町の現状に即したICT活用を推進すべく取り組んでいるところでございます。
その他の学校につきましても、ヒアリング・要望調査を実施し、デジタル教材の整備を徐々に始めておりますし、内浦小中学校で得られた実績・活用方法を周知するなど、他校への展開も進めているところであります。
一方、国におきましては、議員のご指摘のとおり、デジタル教科書の研究が進められておりますが、現在市販されておりますのは先生方が使用する指導者用のものであります。
子ども達が使用する学習者用の開発も進められておりますが、現在は研究段階であり、国庫補助事業(フューチャースクール等)もありますが、町費負担がかなりの額が見込まれる他、募集要項の公開から申請期限が短かったこと(約1ヶ月)や採択は全国で10校程度と数えるほどであるため、申請を見送っております。
議員ご指摘の1人1台のタブレット型端末の導入につきましても、現在の取り組みと並行して検討を進めておりますが、現時点では激変期と考えております。
しかしながら、ICT関係の進歩は著しく、今後も国等の情報を常に収集しながら、検討を進めてまいりたいと考えておりますので、ご理解のほど、よろしくお願いいたします。
『参 考』
当町のモデル校である内浦小中学校へのタブレット型端末の導入について研究中であります。
高浜町出身の教諭1名を、本年度4月より嶺南教育事務所の情報教育研究員として研修課に派遣しておりますが、「ICTを活用した授業展開のあり方等」について教職員の資質能力の向上を目指した研究取組に従事しており、今後の活躍を期待しております。
子ども達に基礎的・基本的な知識技能を習得させるとともに、それらを活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等を育成し、主体的に取り組む態度を養うためには、児童生徒がコンピュータや情報ネットワークを適切に活用できるようにすることが重要であります。これには指導する教員のスキルアップとともに、全国他市町の実践事例等を参考に、ICT活用を組み込んだ、より良い授業計画・授業観をもつことが必要と考えており、こうした面につきましても、町教委としてバックアップしていきたいと考えております。
また、インターネットが身近にある現在の小中学生にとりましては、情報モラルを身につけることも必要な項目であります。この点につきましても、ICT支援員等を活用しながら取り組んでまいる所存ですので、ご理解のほど、よろしくお願いいたします。