日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

空気読めない、先も読めない“退場モノ”の与謝野発言

2008-12-22 | その他あれこれ
与謝野経済財政担当大臣が、昨日のテレビ番組でまたつまらないことをのたまわれており、穏やかに過ごしたい年末の貴重な日曜日だと言うのに、ついついブチ切れさせられてしまいました。

お話は消費税についてです。現状の国家財政状況では、福祉関連の財源を確保していくことは難しく、2011年度からの段階的引き上げを含めて2015年度までに消費税を10%まで上げなくてはならないというもの。現状で福祉財源確保が難しい点はまぁ良しとして、今この景気急降下のタイミングで2015年度までに10%という時期および数字を明確にすることの、狙いと効果は一体どこにあるのでしょうか?

まず1点目、2011年から2015年にかけてという時期について。わが国を含めた世界経済は100年に一度という大不況に陥れられようとしているその最中、消費税率を2011年度から引き上げはじめて2015年度に10%にしようって、2011年度に景気がどうなっているのかそっちが先の問題じゃないのですか。すなわち、「政府としてこうこうこんな具体的な効力のある景気対策を講じることで、2011年度には景気回復にメドが立つと考えられるので、無事想定どおり回復した暁には消費税率見直しに手をつけさせてください」と言う話ならまだ許せますが、この先どこまで悪化するのか見当もつかない大不況を前に、何の有効な対策もなく無策のまま失言を繰り返し支持率ばかりを下げ続けていく今の内閣の一員が、何を言い出しているのかです。

しかも、日銀短観で戦後二番目の最悪ともいえる景況悪化が明らかになり、ソニーショックに続いて世界に冠たるトヨタも営業赤字転落というショッキングなニュースが駆け巡り、国民一人ひとりの懐はと言えば時期も時期、賞与支給で景気の悪化をいよいよ実感したこの折ですよ。こんな時に、さらに国民の暗い気分に追い討ちをかけて冷や水を浴びせるような「消費税率引き上げ宣言」、空気も先行きも読めないバカな発言です。この人は、何度でも言いますが前回の総裁選最中のリーマンショック時に、「日本経済への影響はハチが刺した程度」とのたまわれた稀代の“経済オンチ”なのです(一部では自民党一の経済通とか言われているそうですが、知識と経済感性は別物です。言ってみれば、音符は読めるけどリズム感ゼロって奴と一緒ですね)。もうこれ以上、景気を悪くするようなことは言わないで欲しいです。

2点目。これも繰り返しになりますが、消費税上げはまず官僚とその周辺組織の無駄遣いを徹底的に実施して、その実績を国民の前に具体手的な形で提示をしてからです。ここにきての景気の悪化で、民間企業はどこも皆、生き残りをかけての無駄の排除、経費の削減に必死です。官僚をはじめ“親方日の丸”の方々にどれだけその気持ちがありますか。消費税を上げなければ福祉財源の確保はできませんという早急な結論づけは、“既得権”死守で何の努力もしたくない官僚たちの受け売りです。本当にそうであるとしても、官僚も政治家も本気でまず自分たちの無駄遣いや非効率をただし、少しでも財政の改善に寄与する姿勢を見せるべきではないでしょうか。

相変わらず夜更けの霞ヶ関官庁街には、客待ちタクシーの列が見られています。一等地格安の公務員住宅は叩かれても叩かれても依然そのまま、優良国家資産を有効活用する動きは全くありません。さらに最近では、新たに独立行政法人の「昼食費支給」問題なども明るみに出ています。これらの問題を棚どころか2階3階に上げたまま、財源確保は新たな国民負担に頼りきっていては、誰も納得しませんよね。一日も早く、具体的目標を掲げて無駄排除、経費削減、資産活用を実行して欲しいものです。企業経営でもそうですが、具体的目標ないところに成功はあり得ません。

誰が考えても時期も内容も全然おかしいと思うことを、平気で公共の電波に乗せて国民に軽々しく伝えてしまう。こんなバカな政治家に日本を任せていたら、本当にわが国は抜け出せない大不況の袋小路に入ってしまいそうで、背筋が寒くなる思いです。