日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

国民に“負担押しつけ”「中期プログラム」に異議あり!

2008-12-23 | ニュース雑感
税制改革の自公合意報道があり、はからずも昨日の続きのようなネタと相成ります。

自民、公明両党が23日未明、税制抜本改革の「中期プログラム」で消費税率引き上げ時期について政府案の修正で基本合意したそうです。今朝の新聞でも、今後3年間の景気回復を条件とし消費税引き上げ時期は「2011年度」は明記、「2015年改革完了」は削除と報じています。「景気回復」に関しては、「今年度を含む3年以内の景気回復に集中的に取り組む」とし、消費税増税に踏み切る条件として「潜在成長率の発揮が見込まれる段階に達しているかなどを判断基準とする」としています。

一見穏健にみえるこの合意内容の問題点を。まず「今年度を含む3年以内の景気回復に集中的に取り組む」とした点ですが、現在期待薄の有効な景気対策が今年度中に講じられなかった場合、「集中的に取り組めなかった」とみなし、本プログラムは破棄されるのですか、と言う事。そうじゃないんでしょ。だとしたらこんな書き方は単なるポーズに過ぎません。全くの無意味。単なる国民への“目くらまし”に過ぎないです。

次に、「潜在成長率の発揮が見込まれる段階に達しているかなどを判断基準とする」と言う点。一言で言って具体性に欠けます。要はどうにでもできるということ。「潜在成長率が発揮されている」と“政府”が言えばOKという、あまりにもいい加減で曖昧な判断基準ではないでしょうか。「何が何パーセント以上で何がどうなったら消費税上げの条件は整ったと判断する」という具体的なモノを提示しないで、曖昧なまま増税の言質をとったかのようなモノ言いは国民をナメているの一言です。

仮に、「今の段階では、何が何パーセント以上などというものを提示できる訳がない」とおっしゃるならすなわち、現段階での消費税上げ方針を明言することそのものが時期尚早な訳です。それと潜在成長率を消費税率引き上げ可否の判断基準にすることは、自民党中川秀直元幹事長が言うように、「国民感覚で景気は悪い状態でも、一方的に増税されかねない」ということにもなります。

そしてもう一点。昨日も申し上げたように、景気回復に加えて国家財政の無駄遣い是正をまず絶対条件にしないことには、国民の納得は到底得られないということ。この点をなぜ分からないのかです。「消費税を5%あげる前に、○.○%分の捻出を各省庁の経費削減・資産有効活用等で実現することを条件とする」なり、「消費税5%の引き上げが必要であるが、まず○.○%分を各省庁の経費削減・資産有効活用等で実現し、引き上げ幅はその達成分を差し引いた分とする」なりの、国民に一方的に負担を強いるやり方にならない前提条件を盛り込むべきであると考えます。

政治家が多額の事務所費を公費で賄い、官僚は「予算策定」を理由に連日タクシー帰りを続け東京の一等地に相場の十分の一以下の格安家賃で住み続けている…。一向に改まらないこんな状況を見るにつけ、不景気の海であえぐ国民に一方的に負担増を押しつける上意下達やり方は、本当に腹立たしい限りです。