日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

経営のトリセツ47 ~ 「五感経営」のススメ

2008-12-11 | 経営
私のセミナー講演ネタに「五感経営」というものがあります。これ、“大関オリジナル”なのですが、人間と同じく生き物である「企業」の経営には「五感」を働かせて対処せよ、というものです。そのさわりを少々…

経営における「五感」も、人の「五感」と同じ「視覚」「聴覚」「嗅覚」「触覚」「味覚」です。「視覚」「聴覚」あたりは何となく分かるけど、経営における「触覚」や「味覚」って何?とお思いでしょうか。順を追って簡単にご説明いたします。

「視覚」は、繰り返し繰り返し私が言い続けている「見える化」です。中でも経営の心得としての「視覚」の最重要は、とりもなおさず「社長の見える化」です。「社長が何を考えているのか」「社長が何をしているのか」極力皆から見えるように心がけることです。例えば経営理念や社内徹底事項等は、文書で掲出すること、社長室にこもらず社長が常に皆から見える場所にいる、社長のスケジュールはオープンにして社長がどんな仕事をしているか皆に伝える…、などが「視覚」の働いた経営者であります。

「聴覚」は、「思ったことは口にして相手に聞かせる」「意見を押し付けず、聞く耳、受け入れる耳を持つ」「密室会議等一部の人間で情報の囲い込みをしない(機密に関することは別)」など。常に言いたいことは口にして皆の「聴覚」に訴えつつ、同時に聞く耳をもって自身の「聴覚」も活用する、がポイントです。自分の意見ばかり言って、スタッフの意見を聞かない「聴覚障害経営者」は世間一般に意外に多いものです。

「嗅覚」とは、「臭い」=気配の察知です。経営者は常に注意深くありたいもの。「皆が不満を感じてそうだ」「皆が会社の行く末を心配してそうだ」など、いち早く社内のムードを察知して対応策を打つことが大切です。鼻が利かなくて「嗅覚」ではなく直接聞きまわっていわば「食べてまわる」人がいますが、これは逆効果。かえって不信感を募らせたり不安をあおったり、問題が複雑化する原因になります。あくまで「嗅覚」を働かせて、先手を打つことです。そのためには日常からの十分なコミュニケーションが不可欠になります。鼻の利かない経営者は、“裸の王様”になりがちですので要注意!

次に肌で感じる「触覚」。これは、特に人が一番強く感じる「痛い」という「触感」をしっかり理解しましょうということ。すなわち、社員の人たちが「痛い」と感じていることを、経営者も同じ感覚で分かりましょうということです。社員の「痛い」を知らないことには、円滑な企業経営はあり得ません。「痛い」を知るためには、稼ぐセクションだけでなく、あらゆる現場が何をして何を悩んでいるかをしっかりと把握することです。ですから、ここでも現場主義とともに円滑なコミュニケーションの実現が重要なのです。

そして「味覚」。経営の「味」って何だ?ってお思いでしょう。「味覚」とはすなわち、「味なことができる感覚」ということ。「味なこと」の一例をあげるなら、スタッフにポケットマネーで「社長賞」を出すとか、飲み会をやる若手たちに「足しにしろよ」といってポンと一枚渡すとか。お金ばかりじゃなくとも、スタッフを人前でほめてあげるのも「味」な行動です。普段目立たないセクションのスタッフを皆の前で社長がほめるというのは、かなり「味」ですね。一方、社員のプライベートに必要以上に入り込まないのも、「味」な経営者の要素です。「味覚が利く」とは、すなわち「気が利く」ということなのです。

最後もうひとつ、経営にも存在する「第六感」というもの。「第六感」が働く「勘の良い経営者」っているものです。「経営における直感」、これって実は結構大切なんですね。数多くの経営者を見てきた中での結論として、常々「五感」を気にかけて鍛えていれば、「第六感」=「経営における直感」は自然と身についてくるものと見ています。「第六感」=「直感」は、「五感」が十分機能することで初めて備わるものではないでしょうか。いずれにしても、まずは「五感」を心がけて鍛えるべし、ですね。

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