日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

東洋大学生痴漢事件~大学は自己の責任において箱根出否判断を

2008-12-04 | ニュース雑感
1日に東洋大陸上部員(20)が電車内で女子高生に痴漢行為をはたらき、現行犯逮捕される事件が起きました。それを受けて昨日大学側は、陸上部の部長と監督の辞任を発表。シード扱いの正月の箱根駅伝の出場も危ぶまれていると聞きます。

当の部員は犯行を認めた上で、「ムラムラしてやった。欲求不満だった」と話しているそうで、陸上部の運営上の問題とは言いにくい事件ではあります。そうは言いつつも、現在のコンプライアンスの考えた方から言えば、所属員がコンプライアンス違反を犯した場合、組織の管理責任、教育責任は問われて当然ではあります。まぁ、「辞めて責任をとる」というやり方が本当にいいのかどうかは疑問ではありますが。

ただ、箱根駅伝の出否はまったく別次元の問題ではないでしょうか。組織の管理責任と同僚の連帯責任は切り離して考えるべきと思います。部員が「欲求不満でムラムラして」危険な状態であったことを、「分からなかった管理責任」は確かに管理者にはあるかもしれません。しかし、同僚にまでその責任を負わせることは行き過ぎた対応ではないでしょうか。もちろん「ムラムラ」の原因が同僚にあるなら別ですが…。

この手の問題が起きるといつも問題になるのは、一生懸命練習してきた選手が、一部員の不祥事に泣くのはかわいそうだと言う問題です。箱根は陸上長距離選手にとって、選手生活のすべてとも言える意義深いものです。大学側は大学陸連の判断に委ねるとしていますが、私はむしろ「一選手の不祥事の管理責任は認めるが、連帯責任には及ばない。従って辞退しない」と明確に見解を述べることこそ、管理・運営の立場で責任ある対応であると思いますし、選手に対する管理責任の全うそのものであるハズです。部長、監督は辞任より前にそれをすべきだったのではないのでしょうか。

陸連に判断をゆだねるというのはある種の責任回避であり、その結論が世間的な批判にさらされた場合に、「大学は判断に関与していない」との逃げの戦法を作る以外の何ものでもないのです。大学陸連も大学陸連です。「出場するか辞退するかは大学の管理責任に一任する」と言い放つべきではないでしょうか。どうも業界団体は不思議に役所的な考え方になりがちなようです。大学も陸連も、自己の「責任」とは何か、しっかり考えて行動してもらいたいものです。これでは本当に選手がかわいそうです。

※写真の選手と事件とは一切関係ありません。