日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

ブックレビュー「なまけもののあなたがうまくいく57の法則/本田直之」

2009-07-22 | ブックレビュー
★「なまけもののあなたがうまくいく57の法則/本田直之(大和書房1000円)」

またまた出ました本田直之モノ。今度は正真正銘書き下ろし新刊です。とは言いつつも、以前当ブログでも紹介した「面倒くさがりやのあなたがうまくいく55の法則」の続編的一冊です。その前作はなんと25万部を売ったそうで。ちなみに当ブックレビューの評価は6点でしたから、「評価の良し悪し」と「売れるOR売れない」は必ずしも一致しない訳です。その理由のひとつがタイトル。このシリーズ、タイトルに記された読者ターゲットが、前回が「面倒くさがりや」今回が「なまけもの」。この手の言葉を言われて思い当たる人って多いですよね。女性が「冷え性が完全に治る」と聞いて、読んでみたくなる人が多いのと同じような話で、“タイトルの勝利”という印象はかなり強いです。というわけで、「評価」はともかく今回もけっこう売れるのでしょう。

さて内容。つくり、進行、テーマ掘り下げの深浅何をとっても、かなり前作に近いです。明らかな“二匹目のドジョウ”狙い?ですね。書かれている「57の法則」ですが、私から見て“目から鱗”と言えそうなものは4~5項目あるかないか。「テレビをやめてラジオにする」とか「他人を家に呼ぶ」とか「時間の強制力を利用する(締切設定のことです)」とか、ごくごくありふれたビジネスマン向けライフスタイル指南であり、個人的印象は「う~ん」ですね。気が利いているのは、57項目よりもむしろ前書き部分でしょう。「なまけもの」を3つのタイプに分けて「前進型のなまけもの」をめざそうという投げかけは、「なまけもの自認者」は読む価値ありです。

本田氏の基本理念である「レバレッジ(=てこの原理)」はまさに、氏が「面倒くさがりや」で「なまけもの」であるが故の工夫であり、「レバレッジ」シリーズを複数読んだ上で、打ち明け話的存在としてこの本を読むならそれなりに面白いとは思います。一方この本を単独でノウハウ本として読むとすれば、さして得るものは多くないように思うのですが…。まだまだ社会人経験浅い若手“なまけもの”には、学ぶものがけっこうあるかもしれません。表紙のイラストが可愛いので、発行元が想定してる今回の読者ターゲットは意外に若いOL層なのかもしれませんね。

さて点数ですが、前作同様10点満点で6点。本田氏ファンの私ですが、これは氏の著作としては亜流であり、中身の軽さはあまり感心いたしません。逆にテーマが軽い分、この手の本は売れるのかもしれませんが、個人的には同系の前作1冊読めば十分という印象です。それよりも、最高傑作「レバレッジ・マネジメント」に続くレバレッジ・シリーズの最新刊の早期発刊に期待します。本書はどちらかと言えばヤング・ビジネスマン向け指南書の印象で、“本田本”ファンの中堅以上のビジネス・パーソンには、むしろ前回紹介の本田氏訳&監修「デキる人の脳」の方がおすすめです。

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