日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

首相辞任の後始末とマスメディアの責任

2010-06-03 | マーケティング
ipadのお話にからめて民主党のブランド戦略に触れたとたん、鳩山首相が辞任しました。いきなり余談ですが、テレビで自民党の石破氏が「亀は千年、鶴は万年、鳩は1年」とか言っていてちょっとおもしろいと思いましたが、この日のために相当前から仕込んでいたのでしょうか?でも地味でした(ホント今や“地味党”ですね)。小泉さんが言ったらもっと迫力をもって見る人に突き刺さるんだろうなと思わされました。それがまさに「ブランド力」なんですけどね。

さて、鳩山さん最後の最後に小沢さんを道連れにして“親指ポーズ”。やりますね。「やればできるんじゃん」と思いました。前回書いたように、民主党のブランド力向上によるイメージ・アップはすべて小沢一郎その人の進退にかかっている訳で、鳩山さんの“道連れ作戦”は正しい判断であり、ここまではひとまず正しい方向に進んでいると言っていいかと思います。問題はこの先です。「次」に真っ先に名乗りを上げたが管直人氏。この人、私が以前から申しあげているようにとにかく短気、関西風に言えば“イラチ”ですから危険この上ないのですが、まぁ本人が「やりたい」と言っている訳ですからやむなしとしても、いかに小沢色を払しょくできるか、すべてはそこにかかっていると断言できます。

鳩山氏が身を呈して“道連れ自爆”をしてくれたわけですから、ここで管氏が小沢氏に媚びたのでは何にもならない訳で、民主党のイメージもブランド力も全く向上どころか、さらに地に落ちることになる訳です。鳩山氏が辞任表明の際に「クリーンな政治、クリーンな民主党づくり」とその目指すブランド・コンセプトを明確に表明した訳で、今を逃したら民主党のブランド再生はほぼ絶望的であると言わねばならないでしょう。繰り返しますが、とにかく誰が「次」をやるのかはどうでもいいことで、小沢色の一掃が出来るか否か、すべてはそこにかかっているのです。

メディアもだいたい似たようなトーンで書きたてていますが、ここまで小沢氏に政権政党を独裁化し牛耳らせてきた責任の一端はマスメディアのこれまでの報道姿勢にもあることを忘れてはいけません。とにかく、「小沢怖し」の姿勢から小沢氏に対する会見質問は常に及び腰(だいたい小沢氏の会見では質問は1社1問までとの制限があるのですが、これを文句ひとつ言わずメディア側ものんでいるんですから信じられないです)、すべて小沢ペースでのマスメディア操作へ迎合し書くべきことも書かない他社にらみの姿勢を続けてきました。小沢陣営の取材拒否をチラつかせた実質言論統制に、今こそ勇気をもって対抗すべきなのです。

国民が求めているのは選挙優先の薄汚れた政治はないはずですし、クリーンな政治を実現するためには「既得権擁護」と「数の政治力学」と「選挙至上主義」を身上とする田中角栄直系の小沢政治との決別をマスメディアは力強く連呼する責務があると思います。民主党のブランド・イメージの向上は我々にはどうでもいいことではありますが、鳩山氏が口にした「クリーンな政治の実現」は政治家として正しい見識であり、マスメディアにはこの言葉を重く受け止めその実現に向けて今自分たちが何を主張すべきか分別ある報道を期待します。まずは、政権政党の独裁統治からの脱却と郵政法案成立の参院選後先送り再審議、個人的にはこの2点の行方を注目して見守りたいと思っています。

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