日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

ipad雑感&政局雑感

2010-06-01 | その他あれこれ
このところ連日、ipadのNEWSと鳩山政権を巡る政局のNEWSを目にしない日はないです。

ipadはその影響力のすごさに驚いています。先行の電子ブックリーダーであるアマゾンのキンドルが日本に上陸した際にはまったく動じなかった各業界が、ipadの日本販売開始とともに一斉に大騒ぎ。電子書籍の販売スキームに関しても様子見を続けていた出版各社や、対著作者ビジネスとしてアップルと購買者の間に入ってんニュービジネスの構築をもくろむ新興勢力各社も上を下への大騒ぎを展開しています。これはすごいことです。ipad、いやアップルの存在感に世間は完全に動かされている、そんな印象すら受けています。

世界最大の電子書籍所有販売企業であるアマゾンがキンドルで動き出した時にはダンマリだった世の中が、少なくとも電子書籍に関するなら圧倒的にアマゾンに劣っているアップルのipad上陸で大騒ぎになる、それだけipadが魅力にあふれていると言う事ではないでしょうか。すなわち、いかにソフトである電子書籍化されたデータの数があろうとも、それを読むハードに魅力がなければ電子書籍の流通は促進されないということであり、ipadがいかに消費者にとって魅力的に映るものであるのかを、日本中が実感した結果としての大騒ぎなのだと思うのです。

前回にこの話を取り上げた時にも述べていますが、ipadは決して目新しい電子機器ではなくて、基本はipodの大型版(3G機能が搭載されている点からipodとiphoneの中間製品とも言えます)であり、これまでipodやiphoneを使ってきた人にとっては、機能そのものからは決して驚きの新製品ではないのです(PC視点、キンドル視点から見れば十分驚きですが…)。そうやって考えると今回のipad登場は、大きさをノートPC並みにしたことで取り扱い用途の拡大や購買層の拡大がなされた訳で、ある意味“コロンブスの卵”的な製品展開であったとも言えるのではないかと感じています。

仮にそうであったとしても、ここまで大きく世間を動かしているモノはアップルのブランド力に他なりません。そのブランド力の源は、スティーブ・ジョブズCEOの“こだわり”であり、その“こだわり”から発せられる“アップルらしさ”が、「何か起きる」「世間を動かす」「時代を変える」的なイメージを世の人々に与え、大きなうねりを作りだしている訳です。ipadがそのルックス、商品パッケージ、販売店舗の店構え…、すべてがその“らしさ”にあふれ、アマゾンでは決してなし得ない「購買者無言の支持」を取りつけているが故の大騒ぎなのです。

翻って政局。ここでもやはりブランド力の問題は大いにあると思います。特に今の時代のようにに国民の大半が「どこが政権をとっても変わらない」と感じている時には、ブランド力は強力な差別化の手段になる訳です。「鳩山首相が辞めないと参院選は惨敗する」と民主党の参議院議員の皆さんが大騒ぎしているようですが、私はそれは違うと思います。なぜなら自己主張の少ない鳩山首相は、少なくとも今の民主党のブランド形成に関与している割合が小さいからです。では、民主党のブランド力強化策のカギはどこにあるのでしょう。

政権の座についてからの民主党ブランドは小沢幹事長の言動が大きく影響しているように思います。選挙対策でスポーツ候補擁立やら郵政法案可決やらいろいろと策を講じているようですが、それらを操るご自身の“こだわり行動”こそが今の民主党ブランドを形成しているのであり、その身の振り方が選挙戦に向けた一番のブランド力向上策であると言う点に気づかれていないとするなら、それこそが致命傷になると思うのですが…。

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