ただ今ビジネスの新展開を考え中です。いろいろ他社のヤリ口を分析していると、最近の消費者心理をうまくつかまえた戦略が見えてきます。
例えばブレイクからかなりたつのに、いまだにデパートの売り場には買い求める行列が絶えない「ねんりん家」のバームクーヘン。スクラップ&ビルドを繰り返しながら、しぼみそうでしぼまない「築地銀だこ」のたこ焼き。品川駅構内で大ブレイクし、行列&売切が続く「八天堂」のクリームパン。意図していたケース、そうでないケースの違いはあるのかもしれませんが、これらに共通するブレイク戦略は何でしょう?それはネーミング。ネーミングと言っても、「銀だこ」はたこ焼き以外に商品名はないし「ねんりん家」も普通にバームクーヘン、「八天堂」だって単に「くりーむぱん」じゃないかと、それぞれご存じの方はお思いになるかもしれません。商品名に「あえて特徴を入れない」ことが共通点ですが、実はそこがポイントなんです。
少し前までのマス・マーケティング戦略では、“ネーミングの妙”と言うモノが非常に注目された時期があったのですが、この流れが主流になってくると今度は逆に商品特性を盛り込んだネーミングをすることで消費者サイドからの期待感が強くなり、ネーミングのマイナス効果が生まれてしまうのです。どういうことか、もう少し分かりやすく説明します。つまり、“特性ネーミング”戦略が市場に登場しはじめた成長期においては、例えば「ゴロゴロ野菜が入ったスープ」というようなネーミングが目新しく感じられ他のスープとの差別化がはかれたわけです。ところが、追随や模倣が増えてこの手のネーミング戦略が成熟期に入ると、今度はネーミングでは消費者の目を引きにくくなるとともにネーミングした特性に対する期待感が高まって、期待にこたえきれない場合はかえってマイナスイメージを植え付けてしまうこともあるのです。スープの例で言えば、初期は目を引いた「ゴロゴロ野菜」が「なるほどホントだね」という反応につながっていったものが、成熟期ではよほど中身が伴っていないと「なんだゴロゴロって言っているけどたしたことないじゃん」という反応さえも生みかねない状況に変化していくのです。
「ねんりん家」の商品の特徴は「しっとりしたバームクーヘン」、「銀だこ」の場合は「表面がカリッとしたたこ焼き」、「八天堂」は「シュークリームのようなクリームパン」というのが、私が食したところでの人気の秘密と言えるそれぞれの商品特性です。これを製品特性ネーミング戦略でいくなら、それぞれ「しっとりバーム」「カリカリたこ焼き」「シュークリームパン」とかになるのではないかと思えますが、彼らは商品名にその特性を一切表示していないのです。これは恐らく綿密に考えた末の戦略であるのか、はたまた単なる偶然か、いずれにしましてもこの余計な手を加えないネーミング戦略が功を奏していることは疑う余地のないところではないかと思っています。
なぜ、余計な手を加えないネーミングがいいのか。味や特徴に自信があるのなら余計なネーミングで消費者の注目を引かなくとも、自然とその特徴や味は伝わるモノなのです。さらに言えば、人間は不思議なもので、ネーミングに特徴が記されていない方が口コミをしたくなる動物なのです。奥様連中の口コミパワーたるやすごいモノがあります。彼女たちはネーミングですでに告知済みの特徴よりも、自分が発見した特徴の方がより人に話したくなるのです。「ねんりん家」のバームクーヘンが「しっとりバームクーヘン」とは名付けられていないから、「ねんりん家のバームクーヘンってしっとりして美味しいわよ」と口コミするのです。もし「しっとり」がネーミングの一部にあったらなら、「名前以上にしっとり」していなければなかなか口コミはしてくれないのです。ブログ、ツイッター、フェイスブックと口コミメディア花盛りの昨今ですから、これはもう絶対にネーミングで特徴を謳わずに自然体で彼女たちの口コミパワーに委ねた方が数段宣伝効果が見込めるのです。
品川駅構内で相変わらずの“八天堂行列”を目の当たりにして、「これが仮に“シュークリームのようなクリームパン”と言って売っていたら、食べた人は『なるほどシュークリームだ』と感じて、ここまで人気にならなかったかも」と改めて思った次第です。
★好評更新中★「日本一“熱い街”熊谷発社長日記」
blog.goo.ne.jp/ozoz0930
例えばブレイクからかなりたつのに、いまだにデパートの売り場には買い求める行列が絶えない「ねんりん家」のバームクーヘン。スクラップ&ビルドを繰り返しながら、しぼみそうでしぼまない「築地銀だこ」のたこ焼き。品川駅構内で大ブレイクし、行列&売切が続く「八天堂」のクリームパン。意図していたケース、そうでないケースの違いはあるのかもしれませんが、これらに共通するブレイク戦略は何でしょう?それはネーミング。ネーミングと言っても、「銀だこ」はたこ焼き以外に商品名はないし「ねんりん家」も普通にバームクーヘン、「八天堂」だって単に「くりーむぱん」じゃないかと、それぞれご存じの方はお思いになるかもしれません。商品名に「あえて特徴を入れない」ことが共通点ですが、実はそこがポイントなんです。
少し前までのマス・マーケティング戦略では、“ネーミングの妙”と言うモノが非常に注目された時期があったのですが、この流れが主流になってくると今度は逆に商品特性を盛り込んだネーミングをすることで消費者サイドからの期待感が強くなり、ネーミングのマイナス効果が生まれてしまうのです。どういうことか、もう少し分かりやすく説明します。つまり、“特性ネーミング”戦略が市場に登場しはじめた成長期においては、例えば「ゴロゴロ野菜が入ったスープ」というようなネーミングが目新しく感じられ他のスープとの差別化がはかれたわけです。ところが、追随や模倣が増えてこの手のネーミング戦略が成熟期に入ると、今度はネーミングでは消費者の目を引きにくくなるとともにネーミングした特性に対する期待感が高まって、期待にこたえきれない場合はかえってマイナスイメージを植え付けてしまうこともあるのです。スープの例で言えば、初期は目を引いた「ゴロゴロ野菜」が「なるほどホントだね」という反応につながっていったものが、成熟期ではよほど中身が伴っていないと「なんだゴロゴロって言っているけどたしたことないじゃん」という反応さえも生みかねない状況に変化していくのです。
「ねんりん家」の商品の特徴は「しっとりしたバームクーヘン」、「銀だこ」の場合は「表面がカリッとしたたこ焼き」、「八天堂」は「シュークリームのようなクリームパン」というのが、私が食したところでの人気の秘密と言えるそれぞれの商品特性です。これを製品特性ネーミング戦略でいくなら、それぞれ「しっとりバーム」「カリカリたこ焼き」「シュークリームパン」とかになるのではないかと思えますが、彼らは商品名にその特性を一切表示していないのです。これは恐らく綿密に考えた末の戦略であるのか、はたまた単なる偶然か、いずれにしましてもこの余計な手を加えないネーミング戦略が功を奏していることは疑う余地のないところではないかと思っています。
なぜ、余計な手を加えないネーミングがいいのか。味や特徴に自信があるのなら余計なネーミングで消費者の注目を引かなくとも、自然とその特徴や味は伝わるモノなのです。さらに言えば、人間は不思議なもので、ネーミングに特徴が記されていない方が口コミをしたくなる動物なのです。奥様連中の口コミパワーたるやすごいモノがあります。彼女たちはネーミングですでに告知済みの特徴よりも、自分が発見した特徴の方がより人に話したくなるのです。「ねんりん家」のバームクーヘンが「しっとりバームクーヘン」とは名付けられていないから、「ねんりん家のバームクーヘンってしっとりして美味しいわよ」と口コミするのです。もし「しっとり」がネーミングの一部にあったらなら、「名前以上にしっとり」していなければなかなか口コミはしてくれないのです。ブログ、ツイッター、フェイスブックと口コミメディア花盛りの昨今ですから、これはもう絶対にネーミングで特徴を謳わずに自然体で彼女たちの口コミパワーに委ねた方が数段宣伝効果が見込めるのです。
品川駅構内で相変わらずの“八天堂行列”を目の当たりにして、「これが仮に“シュークリームのようなクリームパン”と言って売っていたら、食べた人は『なるほどシュークリームだ』と感じて、ここまで人気にならなかったかも」と改めて思った次第です。
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誠に勝手ながらブログを拝見させて頂き誠に有難うございます。
また素敵なブログにご掲載頂き感謝申し上げます。
“ネーミングの妙”じっくり拝見させて頂きました。大変参考になりました。
有難うございます。
今後も八天堂にしか出来ないスイーツパン作りに精進して参りますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
ご丁寧なコメントありがとうございます。
当ブログの如きチンケなページにまで、わざわざコメントをお入れいただくような素晴らしいご対応に、御社の「くりーむぱん」がなぜ大ヒットしたのかがよく分かる気がしました。
今後ともよろしくお願い申しあげます。
大阪人が認めないというカリカリ触感の「銀だこ」で飲んでる訳ね。銀だこって桐生本社だって知ってました?ホットランドと言います。スクラップ&ビルドでいろいろ忙しそうな会社ですが、やはり基本に帰って正解かなと。「ハイボール酒場」のターゲティングも悪くないですね。
通りがかって記事の興味深さに感激致しました。
又、楽しみに拝見させていただきます。